群馬県/赤城西麓・南麓広域農道“からっ風街道”

定番の観光地へのツーリングはハズレも少なく一定の満足度は十分に味わえる。

しかし観光客も多く、ソロツーリングでの旅情感を楽しむにはどうしても役不足がある。
また自身で新しい魅力を見つける冒険感的なワクワクも少ないに違いない。

そんな定番地へのツーリングでは物足りない方々へお勧めの少しディープなツーリングスポットをセレクト!

圧倒的な絶景感や観光地感とは無縁ながら(伊豆の千貫門は大絶景だ!)深淵な伝承や歴史背景が凝縮している。
中には歴史的に非常に貴重なスポットも。

どれも、想像力と妄想を全開にして巡ると更に楽しめるに違いない。
バイクは自由。旅も自由。想像も自由。自由と共に、深淵なバイク旅へ行ってみよう!

東京の一等地にあるシュールすぎる公園


キンキン広場
東京都千代田区神田錦町3-13-11

東京都千代田区。
皇居に隣接する都内でも有数の一等地だ。

平均地価は1平方メートルあたり約608万円。
そんな特級地のド真ん中に、凄まじく贅沢でシュールな公園があるのだ。

その名は“キンキン広場”。設備・遊具は跨れるパンダの遊具が1基のみ。
公衆トイレや水場等、公園らしい設備は一切ない。有数の地価である千代田区において、羨ましい限りの土地活用である。

この公園、実は都市再生機構が所有し一般開放している。
それまでは駐車場だったが、平成31年に公園として整備。
市街地再開発事業を進めるに際し、周辺の地権者達との協議が完了するまでの間、地域コミュニティー形成に役立てるために設置されたのだ。

設置物はパンダの遊具のみ(常用過重は~40kg)。
パンダである理由は現地住所である神田錦町3丁目の“カンダ”と“パンダ”をかけた単なるダジャレ。

上野公園にいたパンダとは一切関係がない。
近年、リニューアルのため、パンダの主食である黒竹を植えた植栽プランターが3基設置され見た目も一新!

感動も絶景も楽しさも皆無ながら、都心ツーリングの際、どうしても暇で仕方なかった時はぜひ訪れてみよう。

魚雷の鎮座する寺


東雲寺
埼玉県深谷市新戒200

利根川に程近い田園地帯に建つ東雲寺。
その境内に一基の魚雷が展示されている。

それは明治44年に開発された四四式二号魚雷。
星型四気筒エンジンにて雷速は36ノット。

国産初の魚雷で、世界を震撼させた九三式酸素魚雷の基礎となった。
弾頭には同口径の三八式一号魚雷のものが装着されているが、国内に数基しか現存しておらず史料的価値からも大変貴重な遺産なのだ。

これは静岡県伊豆の国市に展示されている天然記念物“地震動の擦痕”と同型の魚雷。
伊豆の個体は胴体のみだが、東雲寺の個体はほぼ完全体。

ぜひ観察してみよう。

サザエが獲れるクレーンゲーム


道の駅ちくら・潮風王国
千葉県南房総市千倉町千田1051

房洲フラワーライン直近に位置する「道の駅ちくら・潮風王国」にある隠れた名物的なスポットだ。
世界初とも言われており、何と生きたサザエがGETできるサザエ専用クレーンゲームがあるのだ。

その名も「SUB MARINE CATCHER」。
筐体の中は海水が満たされた水槽になっており、景品はぬいぐるみではなく本物の活サザエ。

アームを操作して、水底に沈むサザエを釣り上げるユニークな体験が楽しめるのだ。
サザエ達はあちこちに吸着しており、これが意外と難しい。

しかも“氷は付きません”の文言も。
生きているので海水に入れて持ち帰ればOKながら、その後のハードルも高い中々尖ったゲームなのだ。

しかし、その場で焼いて頂く事も可能なので一安心?「運試し」と「グルメ」を同時に楽しめる、潮風王国ならではの超体験型スポットなのだ。

世界一広いトイレ


自然の中のトイレ
千葉県市原市飯給941-1

自然豊かな田園地帯。
小湊鐵道の飯給駅に隣接して設置されているワイルド感抜群の公衆トイレだ。

“世界一広いトイレ”と称されており、個室の広さは何と200平方メートル!
もちろんこの広大な“個室”の定員は1名。
贅沢間と抜群の開放感が味わえるトイレなのだ。

建築家の藤本壮介氏によって設計されたトイレだが、庭園中央の個室は総ガラス張り。
もの凄い違和感と開放感である。

周囲には花が咲き誇り、四季折々の里山の風景を独り占めしながら用を足すという哲学性抜群のシチュエーション。

しかも嬉しい事に温水洗浄便座である。
残念な事に女性用のため、男性諸君の使用は不可能ながら見学は可能だ。

バイクで走れる飛行場


第二横須賀飛行場跡
神奈川県三浦市初声町下宮田

飛行場…と言っても旧海軍航空隊の飛行場跡地の事である。
京急線の終点、三崎口駅より北西へ100m程の広大な大根畑内に600m程の直線道路がある。

これこそが、かつて海軍航空隊の小型機用滑走路として使用されていた軍用滑走路跡地なのだ。

現在は農道として使用されており、当然バイクで走行する事も可能。
地元民の中には“飛行場ッ原”と呼ぶ方もおり、飛行場としての歴史の片鱗を感じさせる。

西へ向かって走行すると目前には相模湾。
まるで空母より発艦するかのような臨場感ある光景が楽しめるのだ。

車両用として当時より狭くなってはいるものの、補助滑走路や誘導路の線形もそのまま現存しており、心躍るスポットだぞ。

神奈川県で最も低い山頂にある穴場要塞跡


岩堂山 三崎砲台観測所
神奈川県三浦市南下浦町毘沙門

三浦半島南部に位置する岩堂山は、標高86.8mと神奈川県一低い山だ。
しかし、丘陵地帯の南端の為、山頂からは相模湾を望む素晴らしい展望が楽しめる。

最も低い山ながら展望スポットの乏しい三浦半島では髄一の絶景スポットなのだ。
しかし、その山頂に何やら怪しげな構造物が。

実はこの付近は東京湾要塞の一角であり、この岩堂山には三崎砲台の観測所が設置されていたのだ。
竣工は大正10年、昭和14年頃には廃止となった為、実戦参加する事のなかった要塞だが、山頂にはその防御陣地と推察される遺構が残されている。

また、観測所跡の遺構には現在も当時の迷彩塗装が残っておりファンにとっては堪らない場所だろう。
山頂への道は未舗装ながらロードマシンでも十分に走行可能。

非常に見つけ辛いが、アクセスも悪くない。
しかし、周囲は農地が広がる田園地帯。農地への立ち入りは絶対禁止。
マナー良く見学しよう。

ゴジラを堪能し尽くすすべり台


くりはま花の国
神奈川県横須賀市神明町1

100万本のコスモス&ポピーが咲き乱れる花の名所として有名な“くりはま花の国”内に巨大なゴジラが立っている。

なぜこんなトコにゴジラが?
その理由は1954年公開の映画第1作目で、ゴジラが最初に日本へ上陸した地は三浦半島の多々良浜だったのだ。

初代のゴジラすべり台は多々良浜にあったが老朽化により撤去。
その二代目としてくりはま花の国に建設されたのだ。

東宝の監修を受けて制作されており、皮膚の質感や鋭い眼光は驚くほど精巧。
ゴジラを中から丸ごと体験できる嬉しい施設である。

ゴジラファンにとっては聖地とも言えるのだ。

ド迫力で迫る太古の火山の根


千貫門
静岡県賀茂郡松崎町

伊豆半島は太古の昔、火山島だった時代がある。
その火山島時代を象徴する風景が、半島南西部の松崎町雲見に位置するこの千貫門だ。

これは通称“火山の根”と呼ばれている太古の火山の跡なのだ。
このそびえ立つ岩塊は地底から噴き出したマグマそのものなのだ。

火山より噴き出したマグマが冷えて固まった後、周囲の山体が波の浸食によって削り取られた結果、このような特異な景観を生み出した訳なのである。

中央の穴は波の浸食によって生まれた海食洞だが、この穴も含めその豪快な風景は知る人ぞ知る伊豆屈指の絶景スポットだ。
しかし、徒歩約20分程度の急勾配を徒破する必要があるためか観光客は皆無。

未だ多くには知られていない、ある意味“秘密の絶景”と言える場所なのだ。

神代文字が刻まれた石碑がある!?


赤城神社
群馬県前橋市三夜沢町114

赤城山は古代より山岳信仰の対象だ。
山麓寺社の御神体の多くが山体を祀っている。

しかし、ここには驚きのミステリーがあるのだ。
赤城山麓には多くの巨石群が点在する。
その多くから祭祀遺跡が発掘されているのだ。

そして、寺社群もその遺跡跡に建てられている事が多い。
遺跡の時代的には古墳期が多いものの、弥生・縄文期の痕跡も出土している。

また、寺社ではない単体の巨石にも神話にまつわるエピソードや古い伝承を持ったものが複数ある。
つまり、この巨石群は神社や寺が建つ前より、古代信仰の聖地だった可能性が高いのだ。

ミステリー輪をかけるのが山腹の三夜沢赤城神社(赤城神社本宮の一つ)境内の、明治3年に建立された石碑に記された阿比留文字。
これは神代文字と称され、現在の日本語とは全く異なるルーツを持つ古代文字だと言われている。

伝承では、上毛の地の開祖は豊城入彦命。
紀元前50年頃の出来事とされている。

しかし“開祖”とはなっているものの、当時無人の原野であったワケでは決してない。
ヤマト王権が上毛の地に侵略の触手を伸ばしたのが大体この位の時期だった…といったところだろう。

つまり、この地にはそれ以前の文化があったかもしれないのだ。
縄文期の出土品は、その存在の裏付けではないだろうか?

巨石を奉る、歴史の狭間に消えた民族達。
そして神代文字。ルーツは石器時代にまで遡るかもしれない。

壮大な赤城山麓の裾野はまだまだ深淵なミステリーを擁しているのだ。

紀元前の開湯伝承も残る古湯


秘湯、赤城温泉郷 ※写真は滝沢温泉 滝沢館
群馬県前橋市粕川町室沢滝沢241
TEL:027-283-5711
カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩冷鉱泉 
泉温24.5℃ 60l/分湧出 露天:加温循環かけ流し併用 ※源泉完全かけ流し浴槽有

赤城温泉郷は赤城山南麓に位置する小さな温泉郷だ。
赤城温泉・忠治温泉・滝沢温泉の3ヶ所をまとめての総称であり比較的マイナーな温泉地だが、驚くべき歴史を持つ温泉なのだ。

書物に残る確実な記録では江戸期以降だが、奈良時代の書物にも“赤城の霊泉”の記述が残っている。
また、上毛の地の開祖とされている豊城入彦命開湯との伝承もあり、神話や各種伝承を鑑みると何と紀元前開湯の可能性すらあるのだ。

中でも、滝沢温泉は旧赤城神社の神域だったかもしれない、まさに神の湯。
いずれの温泉地も、渓谷や森に囲まれた秘境地。

アクセス路は狭く、酷道テイスト抜群ながら温泉ファンなら一度は行くべき名湯だ。
冬季は凍結の危険性が高く気象情報には細心の注意が必要だが、これからの時期は爽快なツーリングロードを楽しめる地域だろう。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。