バイクには現代に新車で売っている現行車と、すでに生産が終了となった絶版車・旧車と呼ばれるものがあり、最近ではこの旧車が今注目を集めています。

今回は旧車とはなんなのか、現代のバイクとは何が違うのかなど、バイクの旧車について詳しく解説していきます!

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バイクの旧車とは?


バイクの旧車とは、ざっくり言えば昔製造されていたバイクのこと。
明確に「ここから旧車、これ以降は旧車じゃない」という定義はなく、人によって、ショップによって異なるため、一概には言えませんが「昔売られていた古いバイク」という認識で合っているでしょう。

旧車と似た用語で絶版車というものもあります。
しかしこれは旧車と似ているようで違った言葉で、メーカーの生産が終わって販売終了したモデルのことを絶版車と呼びます。
旧車は古いバイクですが、絶版車は2022年に生産終了したモデルも該当するため、全ての絶版車が旧車に該当するわけではありません。

絶版車の中の古い年式のバイクが旧車と呼ばれるバイクです。

バイクの旧車が人気な理由

バイクとして見れば、旧車は現代のバイクと比較して性能が低い傾向にあり、製造から年月が経っているため故障リスクやメンテナンスコストが高く、セキュリティも低いため盗まれやすいものでもあります。
ここからはそんなデメリットも多くある旧車がなぜ人気なのかを解説していきます。

現代のバイクには無い魅力や特徴がある


まず大前提として、現代のバイクは乗っていて不安のなく、安定したパフォーマンスを発揮してくれるテクノロジーが詰め込まれています。
しかしそれはこれまで様々なバイクをメーカーが作って培ってきた技術で完成させたもの。
旧車はある意味現代のバイクが完成するまでの経過であり、完成されきっていない荒々しい部分が面白いバイクでもあります。

まず大きなところで言えばエンジン。
最近は空冷が終わりかけていますが、80年代以前のバイクは基本空冷エンジンでした。
空冷エンジンは水冷のようにシリンダーの周りに水の通路などがなく、空冷フィンがあるだけなので独特のサウンドや振動、粘り強さがあります。
パワーで言えば圧倒的に水冷のほうが高出力ですが、水冷エンジンしか知らない若いライダーにとって旧車の空冷エンジンは水冷にはない味わいを感じるはずです。


エンジンでもう一つ言うと、旧車は基本キャブレターということ。
現代のバイクはフューエルインジェクションが採用されており、これはコンピューターがエンジンに対して最適な量、タイミングでガソリンを噴射する装置のことで、最近ではトラクションコントロールなど車体全体を統括するコンピューターにもフューエルインジェクションの制御が組み込まれており、テクノロジーの塊である現行車には無くてはならない存在です。

対して昔のバイクはインジェクションではなくキャブレターが採用されていました。
キャブレターは燃料と空気を混ぜ合わせて混合気を作り、エンジンに送るもので、ガソリンの量は内部のジェットというパーツで決まるため、コンピューターのように調整してくれるのではなく、ジェットの番手を変えない限りは基本一定のガソリンを送り続けます。
なのでセッティングが季節によってズレてしまうことがあり、キャブレターの種類にもよりますがジェットの番手を調整する必要があるものもあります。

このキャブセッティングが楽しい、と感じるコアな層もいますが、純正キャブの性能で言えばフューエルインジェクションにはかないません。


キャブレターの良いところはフューエルインジェクションと違ってダイレクト感があること。
フューエルインジェクション、負圧式のキャブレターはエンジンの回転に合わせてガソリンを送る量を調整するため、例えスロットル全開にしたとしてもエンジンの回転が上がるまでは全開にはなりません。
しかし、社外キャブレターや昔のレーサーに多く採用されている強制開閉式のキャブレターは、スロットルを開けたらその分だけスロットルバルブが開くため、エンジンの回転を待っている間もなく強烈なレスポンスでエンジンが吹け上がります。
このダイレクト感はフューエルインジェクションにはありません。

その代わり扱いが難しく、セッティングが狂っていたり、なにか不調がある状態で全開にすると燃料過多でストールしてしまうことも。
他には変えられないほどダイレクトで荒々しい代わりに、しっかりスロットルコントロールができないと上手く乗れないんです。

この現行車ではありえない、スパルタンさがキャブレターの良いところ。


ハンドリング面でも現行車とは差があります。
現行車のサスペンションは技術の進歩により旧車とは比べ物にならないくらい高性能です。
ですがタイヤサイズを見てみると現行車は基本17インチのバイクが多く、安定的なハンドリングとなっています。

対して旧車には16インチ、18インチ、19インチなど様々なタイヤサイズがありました。
タイヤサイズが違うと当然ハンドリングも変わり、旧車の中には現行車ではありえないほど鋭いハンドリングのモデルもあります。
このエキサイティングさも旧車の良いところ。

安定を取るなら絶対現行車がおすすめですが、今まで乗ってきたバイクにはない味とスパルタンさを持っていて、カスタムするとどんどん鋭さを増していく、というのが旧車の面白い部分です。

2ストに乗れる


現代のエンジンはほとんどが4ストロークエンジンで2ストロークエンジンは90年代後半を最後に排ガス規制の関係で販売できなくなってしましました。
しかし60年代は2ストロークエンジンが主流であり、70年代、80年代、90年代も4ストロークエンジンと並行して販売されていました。

2ストロークエンジンにはパワーバンドというものがあり、4ストロークエンジンは高回転まで回してパワーを稼ぎ出すという考えですが、2ストロークは一定の回転数域で爆発的なパワーを生み出し、カスタムして社外のチャンバーなど入れるとパワーバンドに入った瞬間フロントが浮き始めるほど激しいものも。

全てがそこまで激しいわけではなく、乗りやすい2ストロークも存在しますが、同じ排気量クラスでは4ストよりもエキサイティングということは確か。


2ストロークエンジンの排気音はチェーンソーの音というのが一番わかりやすいかもしれませんが、4ストロークとは違った独特のサウンドです。
オイルを同時に燃やしているため、サイレンサーから煙が出るというのも特徴の一つ。

アイドリングは静かですが、パワーバンドに入ってからの吹け上がる様は、旧車好きならたまらない迫力と煙を放ちながら加速していきます。

今後2ストロークエンジンのバイクが復活する可能性は極めて低いため、2ストロークエンジンに乗りたいなら旧車を選ぶことになります。

漫画や映画に出ていたバイク


バリバリ伝説(CB750F、KATANA)、あいつとララバイ(Z750RS)、あぶない刑事(GSX-R750)など、バイクが登場する漫画や映画は沢山ありますが、そこで登場するのは大体が旧車です。

なので「あの作品で見た憧れのバイクに乗りたい!」となると必然的に旧車になることが多いです。
現代ではそれもあってか何かしらの作品に登場した人気旧車の価格がは高くなる傾向に。

最近で言えば東京リベンジャーズに登場したCB250T通称バブなどは、この作品の登場前からある程度の人気はありましたが、これによって今ではかなりの人気旧車となっています。

その人にとって昔からの憧れや思い出のあるバイク


漫画、映画に出てきたバイクに乗りたくなるというのと似ていますが、昔走っているのを見てずっと欲しかった、前に先輩が乗っていてかっこよかった、友達が乗っていてニケツさせてもらったなど、憧れのバイクというのも旧車であることが多いと思います。

旧車は性能というよりも味わいを求めて乗るもの。
そういった意味でもずっと乗りたかった憧れのバイクから旧車デビューすれば、思い入れがより深く、色濃い旧車ライフを楽しめるかもしれません。

価値が上がる場合も


純粋なバイク好きからすると少し邪な考えかもしれませんが、価値が上がることを見込んで旧車を選ぶ、という方法もあります。

しかし、この予想はプロのバイク屋さんでも外すことがあるため、そう簡単には行きません。
あくまで乗りたい旧車があって、踏み切れないけど今買えば価値が上がるかもしれない、という希望を理由に踏み切る、という方が多いかもしれません。

ですが実際不人気旧車だったバイクも、現代のアニメに登場した途端価値が上がったり、現行車で復刻モデルが登場してオリジナルが高くなる、など旧車は何が起こるかわかりません。

それ目的だけで買うのは危険ですが、最後の踏切材料のひとつとしては有効かもしれません。

旧車はこれでしか味わえない魅力が詰まってる

旧車の魅力は様々ですが、今のバイクでは味わえない面白みがあるのは確かだと思います。

年式が古い旧車で乗りたいモデルがあるなら早いほうがおすすめ。
今現在1960年代の旧車を買っても販売から60年以上経過していることになりますが、10年後これが現存しているかも、販売されているかも定かではありません。

70年代、80年代の旧車はまだしばらく定番人気が続くと思いますが、もっと高くなってしまう可能性も考えられます。
心ができたらまずは実車を見て跨ってみることで旧車独特の味わいを体で感じてみてください。

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