ヤマハの旧車の特徴は、デザイン的に美しく、歴史を変えるようなエポックメイキングなモデルが多いことでしょう。
2ストロークの魅力にこだわり続けたメーカーでもあるため、中古車でも2ストロークマシンを多く見ることができます。
ロードレースに出場するレーシングマシンを長く作っていたことから、2ストロークマシンの多くにはレーシングマシンの技術が生かされているところも魅力です。

今回はヤマハの旧車にフォーカスして人気車種について解説していきます!

ヤマハの旧車で注目したい中古車

DT-1


初の本格的オフロードモデルとして1967年に誕生したのがDT-1です。
当時はオフロードを走るライダーの多くが、ロードスポーツのタイヤとマフラー、ハンドルを変えただけのスクランブラーで走っていました。
そこに軽量でパワフルな2ストロークエンジンを搭載したDT-1が登場したものだから、世界中で人気になり、レース用のチューニングキットも発売されたことでモトクロスでも大活躍することになりました。

ヤマハは道なき道を走るバイクに「トレール」という名前をつけ、これが公道走行できるオフロードバイクの代名詞にもなりました。
究極にシンプルな構造のバイクなので、整備も簡単。
エンジンはパワフルというわけではありませんが十分に扱いやすく、車体もコンパクトで軽いので、ストリートをノンビリ走るのが楽しくなるバイクです。

XS-1


1955年の創業以来ヤマハは2ストローク一筋で中小排気量のマシンを生産していました。
しかし高速道路が発達して、大排気量のオートバイが求められるようになったことで初の4ストロークビックバイクを開発します。
それが1970年発売のXS-1です。
世の中の流れは4気筒エンジンのビックバイクに向きかけていましたが、ヤマハは敢えて軽量スリム、コンパクトな大排気量スポーツバイクを目指しました(こういう反骨精神が実にヤマハらしいところです)。

XS-1は繊細で美しいデザインで評判になりました。
バーチカルツインの653ccエンジンは低中速からトルクがあり、スロットルを開けると力強い加速をみせてくれます。
ハンドリングも軽快なので、ストリートではとても乗りやすいバイクです。
ファンからはペケエスの愛称で親しまれていました。

RD400


1970年代にミドルクラス最速のマシンとして君臨していたのがRD400。
ヤマハがレースで鍛えた2ストロークの技術を注ぎ込んで作ったバイクです。
エンジンは空冷2ストローク2気筒で中速から高速では素晴らしいパワーを発揮しました。
ハンドリングも軽快かつスポーティーです。

70年代は世界的なオイルショックがあって2ストロークの人気が低迷していましたが、RD400は「安くてメチャクチャに速いバイク」としてアメリカでも人気。
ポケットロケットというニックネームで呼ばれていたほどです。

メーカー発表の最高出力は初期が38ps。
最終モデルでも40psですが、実際に乗ったらその豪快な加速とスポーティさに驚くことになるでしょう。
荒々しい空冷2ストロークエンジンの排気音とフィーリングも魅力です。

RZV500R


GP500で大活躍していたYZR500のレプリカとして1984年に登場したのがRZV500R。
アルミフレームにV型4気筒2ストロークエンジンを搭載していました(輸出仕様のRZ500は鉄フレーム)。
エンジンをかけるとV型4気筒の排気音と共に4本のマフラーから白い排気煙が吐き出される様子は迫力です。
ヤマハの2ストロークロードバイクとしては最大排気量になりますが、RZV500Rは理想的なハンドリングを追求するため、ホイールベースをYZR500と同じ寸法にしています。
リアショックもエンジンの下に配置してホイールベースを短くした結果、250と変わらない数値を実現しました。
とても意欲的なバイクですが、安定性も確保されていて前傾姿勢さえ我慢できたら(それほどきつくはありません)ツーリングでも使えるくらいの扱いやすさを持っています。

RZ350


1980年代前半、ミドルクラス最速の名前を欲しいままにしていたのがRZ350です。
その速さはナナハンキラーと異名をとるほどでした。
フレームや外装、エンジンの下半分などは兄弟車のRZ250と同じでしたが、フロントのディスクブレーキとホーンがダブルになり、リアホイールの中にショックを吸収するゴムダンパーが入っています。
今のバイクの常識からするととても細いタイヤサイズなのですが、これが現行車では味わえないヒラヒラとした鋭いハンドリングを生み出しています。

RZの購入を考えている方は250と350で悩むかもしれませせん。
排気量が大きいのでRZ350の方が速いことはもちろんですが、低速トルクがあるので回転を上げていないときでも走りやすいのが350のメリット。
刺激的な特性ならRZ250、速さと乗りやすさならRZ350という感じでしょう。

RZ250


2ストロークバイク人気がどん底まで落ちていた1980年にRZ250は登場しました。
開発する人たちは2ストロークを作るのは最後になるかもしれないから、思い切って2ストロークらしいバイクを作ろうと考えたようです。
ところがこれが予想を遥かに超える大ヒット。
この後の2ストロークレプリカブームのキッカケになりました。

RZ250にはヤマハのレーシングバイクTZ250の技術がエンジンや車体に注ぎ込まれています。
2ストロークエンジンは水冷にされたことでメカノイズが減って信頼性も大幅に向上。
ラバーマウントなので走っているときは振動をほとんど感じません。
徹底して性能を追求したことでポテンシャルは他を圧倒しており、サーキットで開催されていたプロダクションレース(市販車のレース)はRZ250で埋め尽くされるほどになりました。

RZ250は今乗っても非常に刺激的なバイクです。
低回転を使っていると頼りないのですが、パワーバンドに入ると猛然と加速していく特性は、2スト好きを夢中にさせてしまいます。
RZ250や後継モデルのRZ250R(350も)はエンジンなどのパーツが比較的入手しやすく、維持や整備がしやすいのもメリットでしょう。

XJ400D


1975年から免許制度が変わって実質的に400ccが一般的なライダーの最大排気量となりました。
大型は試験場で取得するしかなく、合格率がとても低かったからです。
こうなると400ccのバイクがとても重要になるのですが、1970年代ヤマハのラインナップはマニアックで一般受けしにくい感じでした。
例えば1979年ヤマハが発売していたのは、2ストロークのRD400SPとアメリカンのGX400、単気筒のSR400と実に個性的。
しかし実は密かに本格的な4ストロークバイクの開発をスタートさせていました。
1980年に4気筒DOHCエンジンを搭載したXJ400をリリースしたのです。
クラス最高の45馬力を誇り、4気筒とは思えないほどスリムな車体。
美しいデザインと高い完成度で人気になります。

1981年には4本マフラーを採用したXJ400Dが登場してバリエーションを増やしていきます。
XJ400やXJ400Dはツーリングやストリートライディングも使いやすく、スポーティーに走らせることもできるバイクとして多くのライダーに愛されました。

FZR400


1980年代の半ばからヤマハは高性能な4ストロークエンジンの開発に着手します。
そこで1986年に発売されたのがFZR400です。
当時は市販車を改造したF3というレースが盛んだったので、FZR400はF3で勝つことを考えてレーシングマシンと同時に開発されました。

当時のヤマハはバイクと人が一体となるジェネシスという考え方でバイクを作っていました。
このジェネシスの考えから生まれたエンジンはシリンダーを前に45度傾けるレイアウト。
こうすることでガソリンと空気の混合気をまっすぐシリンダーに送り込むことができるようになり、重心も低くなるので安定性も高くなるわけです。

フレームもデルタボックスという太いアルミフレームが採用され、レーサーそのものと言っても良いようなフルカウルが装着されて性能をアピールし、本格的なロープロフィールのラジアルタイヤを400ccで最初に装着していました。
本格的なレーサーレプリカなのですが、ストリートやワインディングで走る楽しさも考えられているのでハンドリングがクイック過ぎるようなこともありません。

TZR250R


ヤマハ最後の2ストロークレプリカとなったのがTZR250Rです。
エンジンはライバルNSR250Rと同じV型となりました。
バランサーを採用しているので振動も少なくなめらかなフィーリングですが、2ストロークメーカーヤマハが最後に作ったレプリカだけにパワーは強烈。
ハンドリングもヤマハらしく、実に素直で軽快です。

TZR250Rが発売された1991年はレプリカブームが下降線に入ろうとしていた時期でした。
人気だったF3のレースにも2ストロークのバイクが参戦できないようになってしまいます(SP250という2スト250だけのカテゴリーはその後しばらく続きました)。
そんなわけでNSR250Rに比べると日の目を浴びていないような印象がありますが、実力では決して負けていません。
同じエンジンを改良して使い続けていたNSR250Rよりも新しい考えで作られたTZR250Rの方が性能は上だという人も少なくないのです。

TZR250Rは年式ごとに仕様が異なり、乾式クラッチを装備したRSやレース参戦が前提のSPなどがあります。
また、最終モデルとなったSPRは、レース参戦からストリートでの乗りやすさまでを考えたモデルでした。

ちなみに1993年モデルからは(他のメーカーのバイクも)、馬力の規制が変わり、最高出力がそれまでの45psから40psへと引き下げられています。
マフラーや電気的な変更が加えられただけなのでエンジン自体はフルパワーと変わりませんし、最高出力がダウンした代わりにストリートでの乗りやすさは増しています。

R1-Z


TZR250のパラレルツイン2ストロークエンジンをX字型スチールフレームに搭載したスポーツネイキッドがR1-Zです。
このバイクは、ストリートで2ストロークの走りを楽しむことを考えて生まれました。
だからキャブレターをTZR250より小さくして低中速でのレスポンスを重視。
ミッションもストリートで使用する速度で気持ちよくシフトできるクロスレシオになっています。

所有する喜びを感じられるようにしたいという考えでデザインや質感にもこだわっていて、右側2本出しのカーボンサイレンサーや楕円構造のスイングアームが採用されました。
比較的高年式の2ストロークバイクで、ツーリングからワインディングまで楽しみたいというのであれば、R1-Zは注目のバイクになるでしょう。

ヤマハの旧車は個性派揃いだから面白い


旧車は現代のマシンから比べると個性的なモデルが多いのですが、ヤマハは独創的なバイクが多いので特にこの傾向が強く感じられます。
最近のバイクにはない刺激的なバイクに乗ってみたいというのであれば、ヤマハの旧車を探してみてはいかがでしょうか。
今回紹介した車種はほんの一部でまだまだ人気の旧車は沢山あります。
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