教習車は教習所で二輪免許を取得する過程で、誰しも必ず乗るバイクです。

ですが、教習車はただの練習用のバイクではありません。
その時代の免許制度、市販車のトレンド、そして安全基準に合わせて、常に最適化されてきた存在です。

この記事では、過去20年あまりの教習現場を支えた「王道モデル」から、AT限定教習の普及で重要性を増したモデル、そして設計思想に色濃い個性を持つ車両まで、10車種をピックアップして紹介します!

小型限定普通二輪免許の教習車に採用されたバイク

ホンダ CB125F

小型限定普通二輪免許の教習現場で広く採用されているのがホンダの「CB125F」です。

非常に軽量かつコンパクトな車体は取り回しに優れ、スクーターとは異なる「バイクを操作する楽しさ」を小型二輪クラスで学べる1台です。

125cc人気が高まる現代において、扱いやすい出力特性と経済性の高さから、今後さらに多くの教習所でライダーの成長を支えてくれることでしょう!

普通自動二輪免許の教習車に採用されたバイク

ホンダ NX400L(2024年〜)

2024年4月より導入された、現行の普通二輪教習車で、クロスオーバーモデルの市販車「NX400」をベースに開発されました。

低中回転域でのトルク重視のセッティングで、注目すべきはベース車の800mmというシート高を790mmに抑えるべく、サスペンションや車体構成の見直しが図られている点。

4気筒ネイキッドモデルのCB400SFからパラツインのクロスオーバーモデルへの変化が、時代の流れを感じさせますね。

ホンダ CB400 SUPER FOUR(〜2022年)

教習車としてのCB400SFは、日本における普通二輪教習のスタンダードとして長年君臨しました。

筆者も教習はこのCB400SFでしたが、このバイクで免許を取得したライダーも多いのではないでしょうか?

もともと持ち合わせている見やすいメーター、扱いやすいアップハンドル、低めのシート高に加え、エンジンガードやリアバンパーが装備され、教習車としての扱いやすさが追求された1台でした。

2022年の市販モデル生産終了に伴い、その役割を次世代機へ譲ることとなりましたが、数々のライダーを育て上げた実績は揺るぎないものがあります。

カワサキ ZRX-II(〜2008年)

※写真は市販モデル

カワサキ系の教習車両として導入された4気筒モデル。
ビキニカウルが特徴的なベースモデルの「ZRX」に対し、ZRX-IIはトラディショナルな丸型ヘッドライトと砲弾型メーターを採用しているのが最大の特徴です。

カワサキらしい重厚感のある車体と、中低速域から力強く吹け上がるトルクフルなエンジン特性を備え、無骨でクラシカルなバイク本来のスタイルを好むライダーから高い支持を集めました。

ヤマハ XJR400L(〜2008年)

※写真は市販モデル

ベースとなるXJR400は、1993年にネイキッドブームの真っ只中に登場。

空冷4ストローク直列4気筒エンジンが放つ美しい冷却フィンの造形と、空冷ならではの味わい深いフィーリングが特長です。

のちの「XJR400R」などではオーリンズ製リアサスペンションやブレンボ製キャリパーといった豪華な足回りを標準装備し、ヤマハらしい素直で軽快なハンドリングを追求。

流麗なスタイリングと高い走行性能で、400ccクラスを代表する名車として愛されました。

スズキ GSX400X インパルス(〜2008年)

GSX400Xインパルス※写真は市販モデル

スズキのインパルスシリーズは、1982年の登場以来、長きにわたり製造されたネイキッドモデルです。

1986年モデルのGSX400Xインパルスは、特徴的な鋼管トラスフレームから「東京タワー」の愛称で広く知られました。
当時のスズキは、シリンダーヘッドを水冷、シリンダーブロックを空冷、ピストン裏を油冷で冷却する「SATCS」を導入するなど、独自の冷却技術を積極的に展開していました。

1994年以降は、水冷エンジンを搭載したモデルが主流となり、伝統的な丸型ヘッドライトとオーソドックスな車体構成を継承しました。

GSX400インパルス※写真は市販モデル

その後もカラーリングの変更や年次改良を重ねながら、2000年代後半までロングセラーを記録しました。
時代ごとに仕様は変化しつつも、一貫してシンプルな車体構成を貫いたモデルです。

CB、ZRX、XJR、インパルスと、4気筒ネイキッドが日本のスタンダードであったことがわかりますね。

スズキ バーグマン400(AT教習車)

※写真は市販モデル

普通二輪AT限定教習において、長年教習車両の役割を担ってきたモデルがスクーター群です。

現在ではスズキのバーグマン400が広く教習車として取り扱われています。

バーグマン400は399ccのDOHC4バルブエンジンを核に、トラクションコントロールやスズキイージースタートシステムなどの電子制御を搭載。リンク式モノショックサスペンションを採用することで乗り心地とスポーツ性を両立しています。

コミューターらしく、42Lの大容量シート下トランクをはじめ利便性の高い装備を備え、街乗りからツーリングまで幅広い用途で活躍するラグジュアリーなビッグスクーターです。

大型自動二輪免許の教習車に採用されたバイク

ホンダ NC750L(2014年~)

※写真は現行2022年モデル

ホンダ「NC750L」は、2010年代半ばに導入され、現在の大型二輪教習において絶対的なスタンダードとなっている教習モデルです。

ベースとなっているのは、市販車のNC750シリーズ。
エンジンを大きく前傾させることで徹底的な低重心化を実現。
極低速域でのトルクが極めて分厚く、エンストしにくいエンジン特性は、まさに教習車にうってつけと言えます。

各所に教習車専用の装備も与えられていて、大型バイクでありながら乗り手を選ばない懐の深さを備えているのも大きな魅力です。

また、クラッチ操作を自動化した「DCT」を搭載するAT教習車仕様もラインナップされていて、多様化する教習のニーズに応え続けています。

ホンダ CB750(〜2007年)

※写真は市販モデル

1992年の登場から2007年まで大型二輪教習の普及を支えたのが、このCB750。

空冷4ストローク直列4気筒エンジンを搭載したオーソドックスな大型ネイキッドモデルで、力強くも扱いやすい出力特性や低重心による素直なハンドリングが特徴。

大型二輪教習の標準機として全国で広く活躍し、トラディショナルなスタイリングと高い信頼性から、長年にわたって多くのライダーに愛された名車です。

筆者が大型教習を受けたときは、すでにCB750ではありませんでしたが、現在主流のNC750L以前は、大型免許取得の第一歩として多くの方がこのバイクに乗っていたことと思います。

ヤマハ FZX750(〜2000年)

※写真は市販モデル

最後は教習車に採用されたモデルとしては一風変わったヤマハ「FZX750」。
1986年に登場したスポーツツアラーです。

特徴は、スポーツモデルである「FZ」をベースとした水冷4ストロークDOHC5バルブ並列4気筒(749cc)エンジンを搭載している点です。
この高性能なエンジンに低中速向けのチューニングを施すことで、街中から峠道までを難なくこなすオールラウンダーに仕上がっています。

また、スタイリングは名車「VMAX」のイメージを随所に漂わせる、マッスルで力強いデザインを採用しています。
フロントに16インチ、リアに15インチのタイヤを装着した独特のローフォルムも特徴的です。

スポーツバイクの心臓部と堂々としたルックスを併せ持つ、強烈な個性を持った名車といえます。

今では教習車としては個性的に見えるバイクですが、癖がなく扱いやすい車体は教習車として評価されていたようです。
NC750世代としては面白さを感じますね!

未来のライダーを育てる教習車

過去の教習車両を振り返ると、4気筒ネイキッドという一つの黄金時代から、現代のパラツインエンジンやATバイクへとニーズが多様化していることが分かっておもしろいですね。

これは単なる趣味嗜好の変化ではなく、メーカーが提供する市販車の進化、そして時代に求められる安全教育の質的な向上が密接に関わっているのでしょう。

時代とともに教習コースを走るバイクは入れ替わりますが、教習所という場所がライダーに基礎的な操作技術を叩き込む場所であるという本質は、これからも変わることはありません。

教習車という「最初の相棒」は、技術的な進化を経てもなお、ライダーの記憶に深く刻まれる存在であり続けてほしいですね!

筆者プロフィール

webオートバイ×BikeLifeLab

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