バイクを動かす上で重要なパーツのバッテリー。
エンジンオイルほど頻繁な交換サイクルではありませんが、こうなったらそろそろ交換?というタイミングがあります。

今回はそんなバッテリーの寿命の見極め方と伸ばし方をご紹介します!

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バッテリーの寿命の目安

一般的にバイク用のバッテリーの寿命は2〜3年と言われています。
しかし使用環境や使用頻度、バッテリーの種類によって寿命は大きく前後するため、期間だけでは一概に判断できません。

ここからはバッテリーの寿命の目安になる症状をパターン別に解説していきます。

電圧が12.5V以下

一般的なバイクには12Vのバッテリーが搭載されています。
バッテリーに接続し、今このバッテリーは何Vの電圧があるのかをモニターしてくれるのが電圧計です。

寿命が近づき、弱っているバッテリーはこの電圧が12.5V以下になっており、電圧が足りない状態になります。

テスターを持っていればバッテリーの端子に接続することでモニターすることができますが、日常的にチェックしておきたい方は電圧計を取り付けてメーター周りに付けておくと乗るたびにバッテリーの電圧を数値化してチェックできるため、出先で突然バッテリーの寿命を迎える心配が軽減されます。

セルの勢いが弱くなる

キーを回してセルボタンを押すと「キュルキュル…」とセルモーターが回転してエンジンが始動しますが、このセルモーターを回している電力はバッテリーに蓄電されている電力で回しています。

そのため、セルモーターを回したときに「いつもよりセルモーターの元気が無いな?」と感じたり「いつもより音が低い」「始動はできたけどいつもより長くセルが回っていた」などはバッテリーの寿命が近づいているかもしれません。
一度テスターや電圧計を使ってバッテリーの電圧を測ってみてください。

灯火類が暗い

エンジンをかけずにキーを回した状態でヘッドライトやウインカー、ブレーキランプがいつもより暗いと感じた場合はバッテリーが弱っていて、そのうちバッテリーが上がってしまう可能性があります。

エンジンが始動しないとヘッドライトが点灯しないバイクも多いですが、ウインカーやブレーキランプなどは機能するはずです。

エンジンを始動すると多少光量が上がるくらいはありますが、エンジンを始動していないと明らかに暗いと感じた場合はそろそろバッテリーの寿命が近いかもしれません。

ホーンの音が小さい

ホーン(クラクション)もバッテリーの電力を使用して機能しているパーツです。
エンジンをかけていない状態でホーンボタンを押すと音が小さかったり、アイドリング状態でホーンの音が小さいけどエンジンの回転を上げたら正常に鳴る、という場合もバッテリーの寿命が心配されます。

アイドリングが不安定

これは一概にバッテリー上がりが原因とは言えませんが、アイドリングが安定しないというのもバッテリーの寿命が近くなっている予兆として知られています。

信号待ちの途中で突然エンストしてしまったり、アイドリングがいつもより低い回転になっている場合、原因はバッテリーが弱っていて電圧が足りていないことにあるかもしれません。

ただし、キャブ車は燃調の問題やプラグ、エアクリーナーなどが原因になっている場合もあるので、疑わしく感じたら一度テスターや電圧計で数値化してチェックしてみてください。

こちらの記事でもバッテリー上がりについて詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

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バッテリーの寿命を延ばす方法

バッテリーは充電と放電を繰り返すことで徐々に劣化していきます。
普通に使っていたら劣化していくので寿命を確実に伸ばす方法はありませんが、あることに気をつけながら乗ることで少しでもバッテリーの寿命が長くなる可能性があります。

定期的にバイクに乗る

これが最も簡単でライダーなら誰もがやりやすい予防策だと思います。
最低週に1回30分は走るなど、ルールを決めておくと突然のバッテリーあがりを防ぐことができます。

バッテリーは最初エンジン始動に電力を使い、その後は充電されながら灯火類やプラグの点火に電力を使います。
そのため定期的に乗って充電しておくことでバッテリー上がりを予防し、電圧を極端に低下させないことでバッテリーの寿命を伸ばすことにも繋がる場合があります。

バッテリーを取り外す

雪が降るため冬季は乗らないという地域の方や、複数台所有していて乗らない期間があるという方はバッテリーを車体から取り外しておくと安心です。

車体に繋がっているだけでも少しずつ放電しており、端子を外して車体から取り外せば繋がっているよりも放電される量が少なくなります。
取り外して専用の充電器で充電しておくとより安心です。

こまめにバッテリーの状態を確認する

電圧計を取り付けて乗るたびに異常がないか確認しながら乗る、というのも重要ですが、もっと確実なのはしっかりとしたバイク屋さんで定期点検を受けること。

バッテリーはもちろん、バッテリー以外もトラブルがないかしっかりチェックしてくれるので、安心して乗り続けることができます。
また電圧が足りなければバッテリー専用の充電器で充電してもらえるため、正しい電圧を保つことができ、結果的に寿命が伸びる可能性があります。

品質の高いバッテリーを選ぶ

バッテリーは探してみるとピンキリで様々な価格帯の物がありますが、バッテリーは消耗品のため安いものでは交換してもすぐに電圧が低下し、交換するハメになることも。
実際筆者も激安バッテリーを買って使っていましたがすぐ使えなくなり、その後バイク屋さんで国産ブランドのバッテリー買ったところ適切な電圧になったことでエンジンの調子が良くなったということがありました。

安いバッテリーが必ずしもダメなわけではありませんが、やはりそこそこ値段を出したほうが品質が高く、結果的に長く安く使えるバッテリーであることが多いと言えるでしょう。

バイク用バッテリーの選び方

バイク用のバッテリーにはいくつか種類があり、物によって中身や形態が違っています。
基本は純正指定のバッテリーが安心ですが、バイク屋さんと相談してタイプの違うバッテリーを装着したほうが良いパターンもあります。

開放型バッテリー(鉛バッテリー)

かつて主流だったのが開放型バッテリー。
旧車と呼ばれる部類のバイクが純正で指定されているのはこのタイプのバッテリーが多いと思います。
近年発売されるバイクにはあまり使用されていないタイプです。

開放型バッテリーは名前の通り内部が開放されていて、急激な電圧変化によって内部に発生するガスをホースを通じて外部へ逃がしています。
内部にバッテリー液が補充されており、色が白く若干透けているため、ブレーキフルードと同じように量を目視でチェックすることができ、足りなければ補充して使い続けることができます。

ただしバッテリー液が足りないと性能が大きく低下してしまうため、都度液量をチェックして補充しなければならないため、ある程度短いスパンでメンテナンスをする方に選ばれることが多いタイプです。

メンテナンスフリー型バッテリー(鉛バッテリー)

現在最も主流となっているのがメンテナンスフリー型バッテリー、別名密閉型バッテリーです。
開放型とは違って内部が密閉されており、新品の状態で買うと最初にバッテリー液を注入しますが、密閉されているため液が減らず、その後はメンテナンスフリーで使い続けることができます。

急激な電圧変化によって内部で発生したガスを内部で還元できる構造のため、外部に漏れることはありませんが、デメリットとして還元できるガスの量を超えてしまうとバッテリー本体が膨らんでしまうことも。

ですが開放型よりもメンテナンスのスパンは長いので、純正で開放型が指定されているバイクのバッテリーを密閉型に置き換えて使うことも可能。
無難に安定したコスパを求めているならこのタイプがおすすめです。

ゲルバッテリー

開放型も密閉型もバッテリー内部にはバッテリー液が入っていますが、通常は液体タイプ。
しかしゲルバッテリーはバッテリー液をゲル状にすることで悪条件の中でも安定したバッテリー性能を発揮することができます。
自然放電が少ないため長期間保存する場合にも適しています。

またバッテリー内部にある電極板(サルフェーション)の劣化がゲルのおかげで少なく、製品にもよりますが通常のバッテリーより1.5倍寿命が長いとされていることも。
メリットが大きいゲルバッテリーですが、デメリットとしては費用が高いためまだ主流にはなっていませんが、これから主流になっていってもおかしくありません。

リチウムイオンバッテリー

近年登場したのがスマホやモバイルバッテリーと同様のバッテリータイプを使用しているリチウムイオンバッテリー。
従来のバッテリーでは鉛を使用していましたが、それをリチウムに置き換えることで軽量で自然放電が少ない効果を発揮してくれます。

まだデータが集まりきっていないほど新しいというのもありますが、鉛バッテリーに比べて約4倍の寿命があると言われており、電圧も安定して高い数値を共有できるという声も。
デメリットとしては価格が高いというのと、充電器によってはリチウムイオン専用のバッテリー充電器が必要なことです(鉛バッテリーと共有できるものもあり)。

鉛バッテリー指定の旧車のバッテリーをリチウムイオンに置き換えると、プラスで良くなったという意見もあれば、旧車が設計当時想定されていない電気が流れるためマイナスという意見も。
あくまで旧車でバッテリーを置き換える場合の話なので、高年式のバイクはそこまでのデメリットは無いと思いますが、置き換える場合は一度バイク屋さんに相談しておくと安心かもしれません。

乗っているバイクに適合した製品を選ぶ

様々なバッテリータイプを解説しましたが、バッテリー選びの大前提として乗っているバイクに適合したバッテリーを装着するというのも大きな部分です。

物によっては型番が違ってもバッテリーボックスの大きさがあまり変わらず、別の型式のバッテリーが入ってしまうことがあります。

筆者も実際新しくバッテリーを買うのが面倒で、別のバイクで使わなくなったバッテリーを試しに使ってみたところ、使うことができました。
しかししっかり充電されている状態では問題は起きず、使い続けたときにトラブルが発生。
充電はされているのに先述したようなバッテリーの寿命が近い症状が現れました。

結果的に純正指定のバッテリーに交換したところトラブルは解決。
形は大体同じでも蓄電できる容量など細かい部分が違ったりするので、できるだけ純正指定のバッテリーを使用し、もし変更する場合はバイク屋さんに相談して決めるようにしましょう。

信頼できるメーカーを選ぶ

バッテリーはピンキリで様々な価格帯のものがあります。
特にAmazonなどの通販サイトでは海外製の格安バッテリーなども販売されていますが、やはり国産有名メーカーの製品と比べると劣ることが多く、先述したように予期せぬトラブルが起きるかもしれません。

さすがにそこまでの製品は少ないと思いますが、最悪の場合発火するおそれやガスが発生してしまう可能性もあり得るのがバッテリー。
トラブルを避ける意味でも国産有名メーカーのバッテリーを選ぶのがおすすめです。
選び方がわからない場合はネットで買うのではなく、バイク用品店やバイク販売店のスタッフに相談して購入するようにしましょう。
バイク屋さんによってはバッテリーの保証があるため、より安心して使い続ける事ができます。

正しい知識でバッテリーの寿命を使い切ろう

バッテリーはあくまで消耗品であり、いつかは寿命を迎えて新品に交換しなければならないものです。
ですが正しい知識、維持方法で使うことで寿命をフルで使い切ることができます。
逆にいくら良いブランドのバッテリーでも使い方を誤ると寿命よりも早く使えなくなってしまいます。
自分の愛車に合ったバッテリーを正しい知識で長持ちさせてください。

バッテリー交換はメンテナンス初心者でも比較的行いやすい作業ですが、手順を間違えると感電したり、ショートして他のパーツまで壊れてしまう可能性も。
メンテナンスに自信がない方や新たなバッテリー選びの相談もしたいという方はバイク販売店やバイク用品店に依頼して交換してもらうのが安心です。

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筆者プロフィール

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