販売されてから年数が経過している旧車と呼ばれる部類のバイクは、最新のバイクと同じように乗ることはできず、所有して乗るというのはなかなか決心がいることだと思います。

しかし、旧車と呼ばれる年代のバイクにしかない味わいは確かにあって、それによってバイクライフが思わぬ方向に広がりを見せ、より深い楽しみ方ができるということもあります。

そんな旧車に乗るためには、いい個体と信頼できるバイクショップのメカニックが必要不可欠。
今回はバイク未来総研所長でもあるモータージャーナリストの宮城光さんがバイク王で”あの旧車”を購入されました…!

旧車の中でもスパルタンな900MHR

DUCATI 900MHRは1979年〜1984年に販売された、レーサーレプリカの走りと言われる貴重な旧車バイク。
1978年にマン島TTレースでイギリスのSMC(スポーツモーターサイクルズ)というチームが優勝を果たし、それを記念してDUCATIから発売されたのがこのモデルです。

900MHRのMHRは優勝当時に乗っていたレーサーの「Mike Hailwood」のことで、マイク・ヘイルウッド・レプリカの頭文字から来ています。

ベースとなっているのはカフェレーサーの王様とも称されるDUCATI 900SS。
900MHRの初期型となる1979年式から最終型の1984年式まで、様々な変更が施されてきましたが、細かい部分はほぼこの900SSと共通と言われています。

エンジンはデスモドロミック機構を採用した空冷Lツインエンジン。
通常4ストロークエンジンはカムチェーンを介してカムシャフトを回転させますが、デスモドロミックはベベルギアと呼ばれるカム駆動となっており、DUCATI独特の構成となっています。

現在でもデスモドロミックは受け継がれているため、古い時代の技術ではありませんが、当時としては新しい機構でした。
ベベルギア駆動の空冷Lツインは、巷では「ベベルツイン」と呼ばれています。

キャブはデロルト製PHM40となっており、上下それぞれに独立した形で付いています。
純正で直キャブファンネル仕様というのも珍しいポイント。

しかしこのバイク、旧車の中でもかなりスパルタンな部類で、最終型はセルモーターが搭載されましたが、それまでは全てキック始動オンリー。
おまけに純正ではサイドスタンドもついておらず、センタースタンドのみという、バイク玄人向けの旧車でもあります。

1984年式DUCATI 900MHR

宮城さんが今回購入されたのは最終型となる1984年式の900MHR。

宮城さんと900MHRの絡みは実は今回が初めてではなく、80年代に出入りしていたバイク屋さんの店主が900MHRに乗っており、それに乗ったことがあったそう。
しかし印象はあまり良くなかったと言います。

「80年代当時に店主の900MHRに乗らせてもらったときは正直、めちゃくちゃ乗りにくいなぁと思いました(笑)。
ハンドリングも独特だし、何よりキック始動のケッチンが本当に怖い。
この歳になって900のケッチンを喰らいたくないので、このMHRに出会うまでは乗る気も無かったし、興味さえ薄いバイクでした。

でもバイク王でこの900MHRに出会ってこれなら欲しいと思ったんです。」

「とにかく状態が良くて細かいところまで見てもこれなら乗りたいと思える個体でした。
元々はオートバイレーサーをやっていましたが、今はスピードやハンドリングだけが全てのバイクライフではありません。

このバイクをどういう人がどういう想いで作って、何がうまくいって何がうまくいかなかったのかを体感するいい素材だと思いました。
なので900MHRに乗りたかったというよりは、この個体がどうしても欲しかったという意味合いが強いですね。」

実際に購入された900MHRはフルノーマルではなく、一部カスタムされています。
しかし見た目だけのカスタムなどではなく、実際に気持ちよく乗るためのカスタム、現実的に乗り続けるためのカスタムパーツが装着されており、この点も宮城さんの目に留まったポイント。

この900MHRに乗りながら70年代当時のヨーロッパのオートバイ文化を感じたいと目を輝かせながら語っていただきました。

バイク王だから信頼できた

今回、バイク王で900MHRの購入するに至った理由を聞いてみました。

「バイク王さんは全国各地からバイクを買い取って整備し、次のオーナーのバイクライフをより豊かにするためにしっかりとした状態まで仕上げて販売しています。
買い取ってきた車両の中には程度が良いものも、悪いものもあって、それをしっかり整備してきている信頼があったので、今回の900MHRもうまくまとめてくれると思ったんです。」

「実際この900MHRの整備クオリティにも満足しています。
年式の新しいバイクは部品が充実しているため、整備するのも比較的苦労しないですが、生産終了からそれなりの年数が経過している旧車となると同じようにはいきません。
当然新品部品も手に入らないし、壊れた部品を修理して正しく動くようにするという修理作業が必要になります。

それは部品を付け替えるだけの整備士ではできないことで、どうやったら修理できるかのノウハウを持ったメカニックしかできません。
なのでしっかり信頼できる整備力があって、乗り続けていくうえで今後のメンテナンスも含めて付き合っていくことを考えてバイク王で購入することにしました。」

今回の納車でもかなり細かい部分まで確認されていた宮城さん。
しっかり整備されており、クオリティにも納得されていた様子でした。

旧車バイクライフとの付き合い方

乗り始めてからは900MHRのようなプレミアムバイクに乗っているライダーと交流し、ツーリングに行きたいと語る宮城さん。
しかしそうなるまでに快適に走れるようにカスタムと研究をしていきたいのだとか。

「80年代当時に乗って感じたあの乗りにくさは今でも変わらないと思います。
実際に久しぶりに乗ってみて乗りやすくはなかったです笑。
乗りながらどうやったら気持ちよく、快適に乗れるのか考えてみようと思います。」

「マイク・ヘイルウッドは当時このマシンでマン島TTレースで優勝しているので、そこには技術や文化があるはず。
この900MHRに乗ってそれを体感したいと思います。
まずはタイヤを変えてサスペンションやポジションなど、自分なりに模索してみます。
そうやってこのバイクを楽しみ、その様子を若いライダーさんたちにも見てもらうことで、これからのバイクの未来を作っていきたいですね。」

広い旧車の世界で見ても、宮城さん自身の価値観で見ても、絶好のコンディションの900MHRに出会えた宮城さん。
旧車も含めてバイクを愛するライダーとして強く応援したい気持ちになりました。

筆者プロフィール

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