バイクのブレーキの種類や仕組みについて解説!
公開日:2026.08.10 / 最終更新日:2026.08.10
バイクや車、自転車など車輪を回転させて走る乗り物にはブレーキが装着されています。
車は一つのブレーキペダルで前後4輪それぞれのブレーキが動作しますが、バイクはフロント(前)ブレーキが右ハンドルのブレーキレバー、リア(後ろ)ブレーキは右足のブレーキペダルで別々に操作します。
安全に走るために重要な部品であると同時に、サーキットなどでバイクを速く走らせるためにもブレーキは非常に重要です。
今回はそんなブレーキについて、どういう仕組みで止まるのか、どういった種類があるのか、正しい操作方法は何かを解説していきます。
ブレーキの種類と仕組み
まず大前提としてバイクのブレーキには主に2種類あり、同じブレーキでも仕組みが違っています。
ディスクブレーキ

現代のバイク、車で最も主流となっているのが油圧式のディスクブレーキ。
ディスクローターと呼ばれる部品が前後それぞれのホイールに取り付けられており、ディスクローターはホイールと一体となって回転しています。

ディスクローターの一部を挟み込むように取り付けられているのがブレーキキャリパー。
ブレーキキャリパーは回転しない車体側に取り付けられており、ブレーキを操作すると油圧の力でキャリパー内部のピストンが押され、ピストンに押されたブレーキパッドが回転するディスクローターを挟み込み、回転する力を弱め、減速させていきます。

バイク用ディスクブレーキは基本的に油圧式となっており、ブレーキレバー、ブレーキペダルの近くにマスターシリンダーというレバー操作の力を増幅させ、油圧に変える装置が付いています。
なのでディスクブレーキの部品としてはマスターシリンダー、油圧ホース、ディスクローター、ブレーキキャリパーが最低限必要。
部品点数が多く多少複雑な構造ですが、少ない操作量で高い制動力が得られるブレーキシステムです。
ドラムブレーキ

現代のバイクからは徐々に姿を消していますが、ドラムブレーキはディスクブレーキが登場するまでは主流のブレーキでした。
現代でも一部のクラシックスタイルのバイクや、コストを抑えたバイクなどでは採用されています。

ドラムブレーキはホイールの中心にあるブレーキドラムがホイールと同じ回転をしており、その内側にブレーキシューなどのドラムブレーキパーツが備わっています。
ブレーキドラム以外は回転していません。

ドラムブレーキをかけるとブレーキアームが回転し、カムレバーにも回転が伝わることで、内部のブレーキシューが外側に押し出され、ブレーキドラムに接触します。

ブレーキドラムに押し付けられたブレーキシューがホイールの回転力を弱め、減速していきます。
ここで重要なのがブレーキシューを押し付ける力だけで止まっているのではなく、ブレーキドラムの回転方向と逆にブレーキシューが押し出されて軽く引っかかりながら押し付けられることで減速力を高めています。

ディスクブレーキに比べてかなりクラシックな機構ですが、部品点数が少なく、ワイヤーを引っ張るだけで動作するので、現代でも一部のバイクに採用され続けています。
ディスクブレーキとドラムブレーキの違い

ディスクブレーキとドラムブレーキは違ったブレーキシステムですが、基本的にはディスクブレーキのほうが性能は優れています。
しかしそれぞれにメリット・デメリットがあり、それを踏まえるとドラムブレーキを捨てがたいのも事実です。
エンジンブレーキ

エンジンブレーキはディスクブレーキやドラムブレーキのように制動装置を使った減速ではなく、エンジンの圧縮を利用して緩やかに減速するブレーキです。
ギアが低ければ低いほどエンジンブレーキが強くなります。
ただし、ブレーキシステムのように急減速はできず、緩やかに減速していくブレーキなので、エンジンブレーキだけで安全に停止することはできません。
あくまでブレーキシステムと一緒に併用する補助的なブレーキとなっています。
正しいブレーキのかけ方とは?
どのバイクにもブレーキシステムが搭載されていますが、正しいブレーキのかけ方とは、どのような操作なのでしょうか。
基本的にはフロントブレーキが7割、リアブレーキが3割の配分でブレーキをかけるのが理想とされています。
ここからはABSあり・なしのディスクブレーキ、ドラムブレーキに分けて解説していきます。
ディスクブレーキ(ABSあり)

ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)はブレーキの掛けすぎによるタイヤロックを抑制し、制動距離を縮めることができたり、ブレーキによる転倒を防ぎます。
基本的には急停車する場合に前後ブレーキを思いっきり握ったとしても、ABS付きのバイクはタイヤロックを起こしません。
ABSが効くとバイクにもよりますが「ガガガ」とかかりすぎた油圧を戻す音や振動が伝わってくるため、ABSが作動したことがわかるはず。
7:3の比率は理想ですが一刻も早く停車する必要がある場合は、できるだけ車体を真っ直ぐにした状態でABSを効かせながら止まるのが最も短い距離で停まることができます。
ディスクブレーキABS無し

現代のバイクはほぼ全てABSが標準装備(125cc超の二輪車[新型車は2018年10月、継続生産車は2021年10月]に義務化)となりましたが、昔のバイクはABS無しのバイクもあります。
レバーを握った力、ペダルを踏んだ力がそのままブレーキに伝わるため、当然思いっきり握ったら前後のタイヤがロックして転倒します。
多少の慣れが必要ですが、ロックするかしないかの絶妙な力加減が一番停まりやすいポイント。
単に思いっきり握るのではなく、ジワッと操作しながらレバー、ペダル奥の方でロックしないポイントでブレーキをかけるのが理想的です。
教習車にもABSが搭載されているモデルが多いですが、どこまで握ったらロックしかけるのか、安全な環境や指導のもとで、急制動の練習をしておきましょう。
ドラムブレーキ

ドラムブレーキはディスクブレーキほどの絶対的な制動力はありません。
そのため、ディスクブレーキなら絶対にロックしてしまうレベルの握り方をしてもドラムブレーキの場合はロックせずに停まることができる場合があります。
ドラムブレーキの場合でもかけ方はABS無しのディスクブレーキと同じで、ロックするかしないかの絶妙なポイントで握り続けることで制動距離の短い停止が可能です。
特に昔のSR400のようにフロントブレーキがドラムブレーキの場合は通常走行時のブレーキはできても、急制動に弱い一面があるので、力加減の練習と日々のメンテナンスが重要です。
ドラムブレーキは制動力こそディスクブレーキに劣りますが、メンテナンス次第でディスクブレーキよりも扱いやすくすることもできるため、根強い人気があります。
ブレーキのメンテナンスは?
ディスクブレーキの場合

ディスクブレーキのメンテナンスポイントは様々あり、代表的なところから紹介するとブレーキパッドの残量点検、減っていれば交換が挙げられます。
3,000~5,000kmごとにパッドの残量を点検しておき、パッドの残量が1mm程度まで減っていたら早急に交換するようにしましょう。

パッドが挟みこんでいるディスクローターも徐々に摩耗していくポイント。
ローターの中心部に「Min.TH 4.0mm」のようにこれ以下になったら交換してください、という目安が刻印されています。
パッド交換ごとにローターの厚みを計測し、刻印の数値以下になりかけている、なっている場合は早急に交換しましょう。

ブレーキ操作をキャリパーまで伝えているのは油圧ですが、中の油はブレーキフルードと呼ばれています。
このブレーキフルードが特殊な液体で、吸湿といって水分を吸収しやすい特性があり、吸湿したブレーキフルードは性能が低下します。
1~2年ごとに新しいフルードへ入れ替えるようにし、新鮮な状態を保つようにしましょう。
またブレーキフルードが内部を通っているブレーキホースも年一回ひび割れ、膨らみ、漏れがないか確認し、異常があれば交換するかバイク販売店や量販店に相談しましょう。

ブレーキパッドが削れることでブレーキダストが溜まり、キャリパーが汚れていきます。
ブレーキダストで黒く汚れていた場合はパーツクリーナーで掃除し、綺麗な状態を保ちましょう。
また、油圧でブレーキパッドを押しているブレーキピストンも清掃が必要です。
パッド交換時には必ずダストを除去しましょう。

キャリパーのスライドピンもメンテナンスが必要なポイント。
スライドピンが固着するとブレーキがかかりっぱなしになったり、普通に操作できていても制動力が弱くなることがあります。
メンテナンス知識がある方は年1回程度バラしてグリスアップ、自信がない方はバイク販売店や量販店に相談しましょう。
以上のようにディスクブレーキは高性能な分メンテナンスする箇所は比較的多めになっています。
ドラムブレーキの場合

ドラムブレーキの場合でも一番メジャーなのは減っていくブレーキシューの点検・交換。
5,000~10,000kmごとに摩耗限界を確認し、減っている場合は交換しましょう。
ブレーキシューに同梱されていることもありますが、リターンスプリングも同時に交換が推奨されています。

ブレーキシュー交換時にドラムブレーキの内部をバラすことになるため、同時にドラム内の清掃を行い、ダストを除去しましょう。
ブレーキアームがしっかり動くか点検し、カムシャフトにはしっかり動くようにグリスアップが必要です。

またディスクブレーキローターほど減りませんが、ブレーキドラムも傷や段付き、偏摩耗がないかしっかり確認しておきましょう。
ここの清掃だけでもドラムブレーキのタッチが変わります。

ブレーキシューを新品に変えた場合はシュー調整が必要なことがあります。
シューとドラムのすき間を調整するためのもので、アジャスターを回しながらシューの位置を広げ、ホイールを回したときに軽くシューとドラムが擦れる音がするくらいまで詰めておくとタッチが良くなります。
※車種によって異なる部分なので車種専用のサービスマニュアルの情報を参考にしてください。

ブレーキアームを引っ張るためのブレーキワイヤーも伸びたり、切れたりすることがあるため、交換もしくは調整が必要です。
ワイヤーの動きが良くなるように内部に注油し、レバー、ペダルの遊びが10~20mm程度になるように調整しておきましょう。
ドラムブレーキはシンプルな分ディスクブレーキほど複雑ではありませんが、各部をしっかりメンテナンスするだけで制動力が大きく変わります。
常に安心して停まれるようにしっかりとしたメンテナンスが必要です。
バイクのブレーキに関するよくある質問
ここからはブレーキに関するよくある質問に回答していきます。
Q.最近のバイクはディスクブレーキのバイクが多いのはなぜ?

A.性能もありますが、バイクにもABSが標準装備として義務化されたためです。
大前提としてディスクブレーキは、一般的に高い制動力を得やすいブレーキシステムです。
近年の車両の高性能化に伴い、どの排気量帯でもライダーが安心できるディスクブレーキを各メーカーが採用する傾向にあります。
それに加え、ABSをはじめとした電子制御に対応するにはディスクブレーキが最も適しているためという理由もあります。
特にABSはライダーがレバーを握ってかけた油圧がかかりすぎている場合、ABSが電子的に油圧を戻すことができ、これはワイヤー式のドラムブレーキでは非常に難しいことです。
Q.ブレーキはかけ続けると効かなくなることもあるって本当?

A.本当です。フェード現象やベーパーロック現象が起こると効かなくなります。
まずフェード現象から説明すると、ディスクブレーキはブレーキパッドとディスクローターの摩擦によって車体を減速させます。
山道の長い下りなどでブレーキを多用するとパッド、ローターの温度が上がり、摩擦係数が低下することでいつも通りのブレーキのかけ方をしているのに効きが悪い、最悪の場合は効かなくなることも考えられます。
長い下り坂ではブレーキを多用しすぎず、代わりにエンジンブレーキを多用してブレーキへの負担を減らしましょう。

フェード現象よりももっと危険なのがベーパーロック現象。
油圧をかけるためのブレーキフルードは油であり、フルードの中に空気が入っていると効きが悪くなるため、フルードを抜いた場合はエア抜きという作業が必要になります。
ベーパーロック現象はブレーキが加熱されることで内部のブレーキフルードが沸騰し、フルード内に気泡が発生した状態となり、ブレーキレバーがスカスカになって全くブレーキが効かなくなります。
ブレーキが熱を持ちすぎるようなハードなかけ方をしないのがベストですが、万が一のベーパーロック現象を防ぐためにも定期的なフルード交換が重要です。
Q.やってはいけないブレーキのかけ方はある?

A.ABS無しでガツンと握る、握りっぱなし、前後どちらかに偏るのはよくありません。
やってはいけないブレーキのかけ方は様々ありますが、代表的なところから言うとABS無しのディスクブレーキのバイクで突然思いっきり握ってしまうなどの急動作はタイヤがロックして転倒するため危険です。
緊急時でも思いっきり握るのではなく、転倒しないことを心がけてロックするかしないかのポイントを見極めて停まるようにしましょう。

ブレーキを握りっぱなしにするのもフェード現象、ベーパーロック現象が起こりやすくなるため危険です。
安全な速度まで減速したらレバー、ペダルを離すというのを徹底しましょう。
また、ブレーキング時に前後どちらかのブレーキのみを使い続けると片方の負担が増え、フェード現象、ベーパーロック現象の原因になることがあります。
オフロードの場合は除いてオンロードでは前7:後3の比率を意識してブレーキングするようにしましょう。
正しいブレーキ操作で安全なライディングを
今回はバイクのブレーキについて様々解説してきましたが、ブレーキは決して減速するため、停止するためだけのものではありません。
バイクの場合は特に前後の荷重移動にも非常に重要です。
バイクはフロント側に荷重がかかっている状態のほうが、コーナー進入時の旋回性が高く、コーナリングもスムーズに曲がりやすい傾向にあります。
そういった意味でもブレーキはライディングするうえで非常に重要なので、常に万全な状態にメンテナンスしておき、楽しく安全なバイクライフを送りましょう。








