冬の寒さが和らぎ、いよいよはじまるバイクシーズン。
この時期は念願の公道デビューを果たすビギナーの方、そして数年、あるいは数十年ぶりにハンドルを握るリターンライダーの方もいることでしょう。

しかし、公道には教習所では教わらなかった「暗黙のルール」や、時代の変化とともにアップデートされた「新常識」が溢れています。

安心して「最高の走り出し」を迎えるためのポイントを、改めて整理しておきましょう。

【初心者向け】走り出す前に心得ておきたい「公道の作法」

教習所を卒業してから臨む、初めての公道走行やツーリングでは、ワクワクする一方で不安なことも多いと多いでしょう。

今回は、そんな初めてのツーリングの前に頭に入れておきたい、公道でのマナーや注意ポイントについて紹介します。

走り出す前に30秒セルフチェック!

どんなに腕のいいライダーでも、初歩的なミスでパニックになることがあります。走り出す前の30秒、これをルーティーンにしましょう。

ヘルメットのあごひも

締めたつもりになっていませんか?

ミラーの角度

もしかすると取り回しの際や振動で自然にずれてしまっているかも?発信してから慌てることのないように走り出す前に角度をチェック!

プロテクターのズレ

身を守るためのプロテクターがずれてしまっていると、もしもの時にしっかりと効果を発揮してくれない可能性があります。
また、 走行中に違和感があると集中力が削がれるので再度チェック!

「慣れ」は最大の天敵です。最初だからこそ、毎回儀式のように丁寧に行うのがベテランへの近道です。

サイドスタンドは跨ってから上げてもOK?

教習所では「スタンドを払ってから跨る」と教わることが多いですが、公道では「跨ってからスタンドを払う」ほうが安全な場面もあります。

特に足つきに不安がある場合、先にスタンドを払ってしまうと、車体を支えるのが一気に不安定になります。
まずは跨って車体を垂直に立て、安定を確認してからスタンドを跳ね上げる。
この手順なら、不意の立ちゴケを劇的に減らすことができます。

車の「死角」に飛び込まない・留まらない!

「自分からは車が見えていても、相手からは自分が見えていない」と常に考えましょう。
特に大型トラックの左斜め後ろや、乗用車の斜め後方は、ミラーに映らない完全な死角です。

車の真横に並走し続けるのは避け、死角に入ってしまったら周囲の状況に注意しながら加速するか減速するかして視界に入る位置へ移動しましょう。

無理な車線変更は禁物!

バイクは全長が短く、クルマとクルマの間にすっと入り込める車間が空いていることも多いですが、車線を変更する際にはしっかりと前後の安全を確認し、方向指示器で周囲の車に自分の行動を知らせましょう。

クルマにとっては最適な車間距離で走っているところに急にバイクが割り込んでしまうと、ドライバーが驚いたり不快に感じたりすることもあります。
お互いに気持ちよく道を共有する精神が、事故を防ぐ防壁になります。

路面の「色」と「質」を読み取れ!

公道の路面は常に変化しています。
以下のポイントは「滑るもの」としてインプットしておきましょう。

マンホール・白線・工事鉄板: 雨の日だけでなく、朝露やタイヤのカスでも滑ります。
路肩の砂利: 交差点を曲がった先、路肩に溜まった砂利は天敵です。

視線を近くに落としすぎず、数メートル先の路面の「色の変化」に敏感になりましょう。

ツーリング先での「停め方」のコツ

目的地に到着してホッとする瞬間こそ要注意です。

傾斜の確認: 下り坂に前向きで停めると、重いバイクを自力でバックさせることがむずかしくなります。
傾斜のある場所に停める際は、走り出す時のことを考えてバックで入れておくと後で動かせなくなってしまうリスクを回避できます。

1速に入れて停車: 傾斜地ではニュートラルではなく、1速(ギア)に入れてからエンジンを切りましょう。これでバイクが勝手に動き出すのを防げます。

足つきの確保: 停車する場所の地面が窪んでいないか、サイドスタンドがめり込まないか(砂利や土の場合)を必ず確認しましょう。

初めては意外にアタフタ? ガソリンスタンドの利用手順

ガソリンスタンド利用の流れ

バイクのタンクにガソリンを給油するだけ。

単純な作業ですが、はじめてのガソリンスタンドの利用では戸惑ってしまうケースがあるかもしれません。
実際、筆者は初めて50ccスクーターでセルフガソリンスタンドを利用した時にはアタフタと焦ってしまったのも懐かしい思い出です。

基本的にはセルフの場合は機械の指示、有人の場合にはスタッフの方にお任せすれば大丈夫ですが、あらかじめ手順を頭に入れておくと、現地での給油がスマートに行えます。

【セルフサービスの場合】

1:給油機に対して、給油口が近い側になるよう停車。エンジン停止。
2:支払い方法を選択(現金・カード等)。
3:油種と給油量(満タンかリットル・金額指定かを選択)。
4:静電気除去シートに必ずタッチ。
5:ノズルを持ち(赤:レギュラー、黄:ハイオク)、給油口に差し込んで給油。
6:「カチッ」と止まったらそれ以上入れない(吹きこぼれ防止)。
7:キャップを閉め、レシートを受け取る。

【有人(フルサービス)の場合】

店員さんの誘導に従って停車します。
この時、給油中にバイクが不安定にならないよう、サイドスタンドをしっかり出し、できればバイクから降りて待機するのがスマートでしょう。

〈支払い方法に注意しよう〉

基本は現金かクレジットカードでの支払いが可能です。ただし、デビットカードはガソリンスタンドでは利用できないこともあるので注意が必要です。

また、山奥のツーリング先にある個人経営のスタンドなどでは、「現金のみ」というケースも珍しくありません。
キャッシュレス派の方も、常にタンク満タン1回分+αの現金は用意しておくと安心です。

【リターンライダー向け】「大人の余裕」で感覚を取り戻す!

ここからは、数年、数十年ぶりにライダーに返り咲く方に向けたちょっとしたポイントを紹介します。

過去にガッツリ走り回っていたベテランの方には退屈な内容かもしれませんが、再び乗り出す前に是非一読してみてください。

身体のウォームアップを入念に!

気持ちは若かりし頃のままでも、反射神経や筋力は、今の自分に最適化されています。

走り出す前に、手首や足首、肩まわりを軽くストレッチするだけで、足まわりの操作感やブレーキングの精度が大きく変わります。

ツーリング当日のライディングをスムーズにするだけでなく、翌日の疲労軽減にも繋がりますよ。

新しいバイクは慎重に

近年のバイクは、フューエルインジェクションの一般化やABSの義務化、電子制御の充実など、よりバイクを快適にする要素が詰まっています。

キャブレター時代のバイクに比べ、冬場でも始動性が良く不調もほとんどない一方で、特に大型モデルではスロットルの開け始めから非常にパワフルに加速する特性を持つモデルが多いです。「昔の感覚」でラフに開けると驚くことがあるので、まずはモード設定を一番穏やかなものにするなど、慎重に距離を縮めていきましょう。

最新の安全装備を味方につける

今や胸部プロテクターの装着は「一般的なマナー」になりつつあります。
また、万が一の際のドライブレコーダーも、自分を守る強力な味方です。

こうした装備を整えることは、送り出してくれる家族の安心にも繋がり、結果として長くバイクライフを楽しむための近道になります。

近年ではプロテクターを標準装備するジャケットや、脱着のしやすくスマートな胸部プロテクターも増えています。
以前は使っていなかった、という方も是非使用を検討してみてください。

交通環境の変化をアップデート

あおり運転や迷惑運転への社会の視線は年々厳しくなり、カメラによる監視も至る所にあります。
かつて少し“やんちゃ”をしていた心当たりがある方も、今は大人の余裕をもって。周囲を威圧しない、紳士的なライディングこそが、現代のライダーに求められる「カッコよさ」です。

「無事に帰る」が最強のテクニック

どれだけ高価なバイクに乗り、鮮やかなコーナリングを決めたとしても、無事に自宅のガレージに辿り着かなければ、そのツーリングは成功とは言えません。

「あと少し走りたい」という気持ちを抑えて休憩を取る、あるいは早めに帰路につく。そんな「無理をしない勇気」こそが、公道における最強のテクニックです。

安全を第一に、素晴らしいバイクライフをスタートさせましょう!

筆者プロフィール

webオートバイ×BikeLifeLab

webオートバイは現存する日本の二輪雑誌の中で最も古い歴史を持つ月刊「オートバイ」の公式ウェブサイトとして、2010年よりバイクに関する幅広い最新情報を日々更新しています。
新型モデルの速報はもちろん、用品、パーツ、ツーリング、カスタム、レースなどバラエティ豊かなコンテンツを多数用意。
また、SNSやYouTubeチャンネルでのライブ配信企画や試乗動画配信など、ウェブならではのオリジナルコンテンツも展開しています。