4ストローク(サイクル)バイクの調子を保つには、なんと言ってもオイル管理が第一です。定期的なオイル交換やオイル量のチェックはそれほど難しいものではありません。今回はオイル交換の方法をご紹介します。

1.オイル交換って何? オイルの役割とは?


オイル交換とは、バイクのエンジンの中にあるエンジンオイルを抜き取り、新しいオイルを入れ直すことです。なお、エンジンオイルには以下のような役割がありますが、走行距離が増えるにつれてオイルが汚れて黒ずんできます。そうすると、以下の役割に対する効果(エンジンを守る性能)が落ちてしまうので、定期的なオイル交換が必要なのです。

エンジンオイルの主な役割

①「潤滑」
エンジン内で触れ合うパーツ同士の摩擦を減らし、エンジンをスムーズに動かします。
②「冷却」
エンジン内部の熱を吸収してオーバーヒートを防ぎます。オイルを冷やすやり方には、空冷や水冷、油冷といったエンジン構造の種類(造りの違い)があります。
③「洗浄」
エンジン内のパーツが摩耗してできた細かな金属片や汚れなどを取りこんでエンジン内を洗います。
④「防錆」
エンジン内に発生する水分や空気と触れ合うことによる各パーツの酸化(サビの発生)を防ぎます。

下の写真は、1,500kmほど走行した後のオイル(左側)と新品のオイル(右側)を並べたものです。たった1,500kmほどでもこれだけ汚れてしまいますから、エンジンを守るためにも定期的な交換が必要です。

また、ドライサンプ方式の空冷エンジンなどオイルの減りが早いエンジンは、定期的にオイル量を確認してやることが大切です。オイルが減った状態のままエンジンをかなり回してしまうと焼き付きが発生する恐れもあります。

なお、バイクを全く走らせずに(エンジンを始動せずに)放置することもミッションオイルやエンジンにとって良くないことです。エンジン内に発生した水分や空気に触れることでオイルが濁ったり酸化するなどして品質が悪くなり、そのまま始動するとエンジンにダメージを与えることもあります。長期間乗らない場合でも定期的にエンジンを始動してオイルを温め、エンジン各部にオイルを回してやることも大切です。

2.オイル交換に必要なもの


オイル交換に必要なもの、用意すべきものは以下になります。

用意するもの

●通常時 ~メーカー指定のサイクル(走行距離または交換してからの年月)で交換
①オイル
10W-40Wなどメーカー指定の粘度を選びましょう。サーキット走行を頻繁にする、冬の北海道(宗谷岬ツーリング等)など極端な厳寒地を走るなど使用環境や走行環境が極端に変わらない限りはメーカー指定のオイルが安心です。

なお、オイルには、鉱物油、部分合成油、化学合成油などベースオイルの種類によって、性能や価格が違いますが、メーカー指定のもの(純正品)でかまいません。通常の走行・使用環境であれば、高性能なオイルを6,000kmで交換するより、純正品を3,000kmごとに交換するほうがエンジンにとっては良い環境となります。「早く交換する」ことがトラブルを防ぎ、エンジン寿命を延ばすからです。

サーキット走行のようにエンジンにものすごい負荷をかけるような走行・使用環境であれば、化学合成油など高性能なオイルを使うと安心です。また、家の周りが坂だらけとか、走行距離がわずか数kmでオイルが温まる前にエンジン停止を繰り返すといった使い方が日常的な場合は、部分合成油、化学合成油などエンジン保護性能の高いものを使っておくとエンジンオイルへの負担を低減できます。

②オイルジョッキ
オイル容量を計るための「目盛つきのもの」が便利です。高価なものは必要ありません。それよりもホコリやチリが入らないように保管に気をつけましょう。

③廃オイルを捨てるための容器
容量ごとに大きさが設定されている専用品(ビニールの中に綿のようなものが入っていて段ボールの箱に入っているもの)が便利。ホームセンターでも売っています(600円くらい)。廃オイルを捨てる時は住んでいる自治体の決まりに従いましょう。


④工具
オイルを排出するためのドレンボルト、オイルを注入するためのボルトのサイズに合ったものを用意します。ドレンボルトに使う工具は、締め過ぎによるボルトのねじ切りを防ぐため、締め付ける力(トルク値)をコントロールできるトルクレンチ(3,000円~)があると安心です。


⑤ドレンワッシャー
ドレンボルトを組み付けるときに挟み込むドレンワッシャー(穴の開いたリング状のもの)は新品に交換します。用品店などで売っています。ワッシャー交換を怠っていると、オイル漏れにつながることがあるので要注意です。なお、ドレンボルトはナメやすい(ボルトの角が削れて丸くなる)ので予備のものを持っておくと安心です。少しでもナメてしまったら、次回のオイル交換時に完全になめてしまい大変なことになる恐れもあるので、さくっと交換してしまいましょう。

●オイルフィルター交換時 ~2回に1回はオイルフィルターやパッキン類も交換
①オイルフィルター
オイルの汚れを吸着させることで、エンジン内のオイルをキレイに保ってくれるフィルターです。用品店で売っています(1,000円くらい)。

②パッキン類
オイルフィルターを固定するためのパッキンも劣化していくので、オイルフィルター交換時に一緒に交換します。用品店に在庫していないこともあります。その場合は用品店やバイク販売店に注文しましょう。

3.オイル交換の手順とポイント


エンジンの種類や構造によって多少変わりますが、オイル交換の主な手順は以下です.

オイル交換の手順


1.古いオイルを抜く
①オイルの抜けを良くするため、エンジンを暖機運転してオイルを温めます。
②オイルを受け止めるためドレンボルトの下に廃油処理箱をセットします。

③メガネレンチ等の工具でドレンボルトを回してオイルを抜きます。オイルはドレンボルトをゆるめている途中から垂れてくるので、この時、熱いオイルでやけどしないように耐油手袋などをはめておくと安心です。

④オイルの勢いがなくなっても、車両を立てたり反対に傾けたりして、エンジンの中のオイルをなるべく完全に抜き取ります。

●オイルフィルターを交換する場合
④の後、オイルフィルターのカバー等を外し、オイルフィルターを外します。ここからも多少のオイルが流れるので、廃油処理箱で受け取ります。パッキンを新しいものにし、新しいオイルフィルターを装着して、フィルターカバー等を組み付けます。

2.新しいオイルを入れる
①規定量を計りながらオイル缶からオイルジョッキにオイルを入れます。この時、こばさないように「ろうと」を使うと便利です。100円ショップなどで手に入ります。

また、オイルフィルターを交換した時は、通常のオイル交換よりも少し多めにオイルを入れます。セロー250の場合は通常時は1200ml、オイルフィルターも交換した時は1300mlです。取扱説明書に書いてあります。

②オイルが抜けきったら、ドレンボルトを締めつけます。オイル漏れを防ぐためにも、ワッシャーは新品を組み付けましょう。

③ボルトを外すなどしてオイル注入口を開け、ジョッキのオイルを少しずつエンジンに入れていきます。一気にたくさん流すとあふれてしまい注入量がわからなくなってしまうので注意。

④オイルが入りきったら、ゴミが入らないようにすぐに注入口のボルト又はカバー栓を閉めます。

⑤オイルの点検窓やゲージを使って、オイルの量を確認します。LOWERラインとUPPERラインの間にあればOKです。

⑥最後にドレンボルトや注入口のボルト・カバーやフィルターカバーの固定用ボルトなどが間違いなく締め付けられているか確認して終了です。

このように、オイル交換自体は難しい作業ではありません。販売店や用品店が遠い方、忙しくて作業の予約ができない方も自分のタイミングでぜひチャレンジしてみてください。早め早めに交換することで、エンジンの寿命が驚くくらい変わりますよ

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■筆者プロフィール

田中淳磨
46歳・男性・北海道札幌市出身
二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。