国産本格モタードの代名詞 ビッグネーム「DR-Z」の復活を歓迎【どっちが良いのよ!? 新旧バイク!!】
公開日:2026.09.08 / 最終更新日:2026.09.08
ボリス・シャンボン選手が1999年に来日し、国内の腕利きの度肝を抜いたあの衝撃はすさまじかった。
「モタードカッコいい!」となり、カワサキDトラッカーを中心に00年代にかけて大いに盛り上がったカテゴリーとなる。
そんななか本格的な400ccモタードとして登場したのがDR-Z400SMだった。
※本記事に掲載されている車種画像はメーカーオリジナルの状態と異なる場合があります。

マニアックだったが、良いポジションに収まっていたDR-Z400SM
DR-Z400SM(旧)DR-Zの復活はつい最近のホットな話題と言えよう。
一部では熱狂的なフォロワーがいたかつてのDR-Z400SMが、現代の各種規制をクリアしたうえで舞い戻ってきた。
しかも約120万円という超高級車として!
万人向けのモデルではないかもしれないが、話題としては大変に面白い。
かつてのDR-Z400SMもやはり、ややマニアックな乗り物だった。
当時はターミネーターズ、あるいはスーパーバイカーズと呼ばれたオフ車ベースの乗り物が新たに「モタード」というカテゴリーへと成長する中、カワサキのDトラッカーが最もベーシックな選択肢だったし基本的にオフ車というのは250ccクラスというのが常識だった。
そんな中2004年に登場したのがDR-Z400SM。
ベースとなるオフ車のDR-Z400Sの前後ホイールを17インチにしただけでなく、フロントを倒立フォークとするなど本格的な作り込みがなされていた。
250クラスに対して大きな車格や40馬力というパワーはより本格的にモタードを楽しみたい人にとっては大変に魅力的だった。
同時に、海外製のKTMやハスクバーナといったほぼコンペモデルベースといったモタードモデルに対しては、パワーでは譲るかもしれないが信頼性は高く、車検も通しやすいなど、パフォーマンスと現実的な付き合いやすさのバランスもよくとれていた。
モタードというカテゴリーはその後、ボリス・シャンボンのような曲芸めいた走りが簡単にできるものではないと世のライダーが気づいてしまったためか一定以上のブームにはならなかった感があるものの、その中でも国産の中で最も本気度の高いモデルとしてDR-Z400SMはファンを集めたのだった。
カスタム&チューニング
DR-Z400SMをさらにマニアックなモノへと押し上げたのは、チューニングを楽しむ人が多かったからだろう。
その内容は主にフルエキ交換とFCRなどのレーシングキャブへの交換で、さらにマニアックな人やレース参戦をする人はカムシャフト交換などにも手を出していた。
ヨシムラをはじめチューニングショップもこれに同調し、「DR-Zはイジッてこそ楽しい!」という空気感があった。
事実、これらカスタムを施したDR-Zは激変し、本当に速かった。
オフ車由来ゆえにファイナルがショートで瞬発力があるのに、レーシングキャブによりスロットルレスポンスが強烈になったDR-Zは、それまでのオンロードのチューンドシングルとは別の興奮をもたらしてくれたし、ストリートにおいてはよりパワーのある多気筒車よりも速い場面が多かった。
こういった性格がまたさらにマニアックなフォロワーを増やしてくれたのだろう。
帰ってきたDR-Z
DR-Z4SMそんなDR-Zがまさか25年の時を経て復活するとはだれが思っただろう。
スズキの400ccクラスはスクーターのバーグマンだけだったため、何かをこの排気量帯に投入したいという想いもあったのかもしれない。
そんな中でDR-Zとなったわけだが、これには「北米で作られ続けていた」ということが関係している。
国内や欧州では絶版となり久しかったが、環境規制の基準が異なる北米ではキャブ仕様の先代が売られ続けていて、しかもこれだけ時間が経っても売れ続けていたという。
ならばそろそろちゃんとモデルチェンジして、他のマーケットにも再紹介していこうとなったのだった。
ところが当時のDR-Z400SMはユーロ2規制の頃であり、新型がいかにインジェクション化や電子制御スロットル化を果たしたとはいえ、現在のユーロ5+規制に対応させるのは大変に難しいことだったとか。
加えてフレームも上半分は新作、ABSやトラコン、ドライブモードなどここ25年で当たり前となった装備もしっかり載せていかなくてはならない……というところで、約120万円という価格となったようだ。
直接対決!
直接、と言っても同時に乗り比べたわけではないが、以前このサイトで書いたCBR250RR新旧比較では2台が完全な別物であり、名前だけが共通しているのに対し、このDR-Zについては中身もほぼ同じという意味では直接対決だろう。
新型で走り出すと、意外なほど旧型に似ていると感じる。
旧型はレーシングキャブを装着したカスタムマシンの印象ばかりが強いものの、実は純正の負圧キャブのままでは意外や従順で扱いやすいのである。
新型も同様で、特にアクセル開け始めの優しさや常用域でのギクシャクしなさは素晴らしい。
活発なモタードモデルの印象とは違って、構えることなく付き合える懐ももっているのだ。
一方でアクセルを大きく開けていくと元気なパンチも見せてくれる。
特に高回転域の伸び切り感は秀逸。
多少の振動は伴うものの、フリクション感少なくパワーバンドを駆け上り、ナチュラルな頭打ち感でシフトアップを促してくれる感覚はとても洗練されていて進化を感じさせてくれた。
スペック的には先代の40馬力から2馬力ダウンとなっているが、ある二輪誌のテストにおいてパワーをチェックしたところ、後輪出力では先代よりも新型の方がわずかながら高いという数値も確認されている。
非常に厳しいユーロ5+に対応しながらも、細かい部分の積み重ねでパワーアップを果たしていることには素直に感心する。
数値上ではパワーが微減、重量も増ではあるものの、25年ぶりのモデルチェンジはやはりダテではないと感じさせる。
いかにここ25年で技術が進化したかを実感。
先代が粗削りに感じるほど、新型は洗練されていてなお、楽しさやパワフル感は失われておらず、DR-Zのアイコニックな名前に恥じない仕上がりになっていると感じた。
確かさの向上
新型でもう一つ安心なのは、耐久性の向上だ。
先代のDR-Zは回しすぎ、オイル管理不足などにより焼き付いたりすることもあったことをマニアな方々はご存じだろう。
筆者は一時期バイク便をやっていたのだが、ガレージにDR-Z400SMのエンジンが転がっていて「また壊れちゃった…」とメカニックが嘆いていたのが印象的だ。
もちろん、壊れやすいエンジンという意味ではない。
適切に管理していれば一定の水準を満たしているはずなのだが、少なくともバイク便という過酷な環境には向いていなかったのだろう。
またもう一つ先代DR-Zで困ることと言えばヘッドライトの暗さによる車検合格の難しさだった。
新型ではもちろん、そういった事柄をクリアしている。
特にエンジン耐久性については開発者に直接伺ったが、しっかりと対応していると心強く答えてくれた。
また小型ではあるがLEDとなったヘッドライトも車検場で不安になることはないだろう。
先代も褒めたい!
新型はさすが新型だけあって全方位に素晴らしい。
値段はちょっと高すぎやしないかとも思うが、その値段でも納得してもらえる作り込み、と言えばその通りだ。
ただ、先代には先代の魅力もあるように思う。
それは「自分で積極的に楽しむ」ということ。
これは絶版車全般において言えることかもしれないが、規制がまだ緩いことやキャブ車であること、発売されて時間がたっているからこそ、中古含めたパーツ類が豊富で、各種情報も豊富にあることが強みであり楽しみ方を広げてくれると思う。
確かに新型はパワフルで洗練されていて間違いない。
ただ合法的にチューニングしようとしたらそれなりにハードルもあるだろう。
先代だったら「お、リーズナブルな中古マフラー見つけちゃった!」とか「FCR、付けちゃうか!」となるではないか。
また一部プレミアがついているとはいえ、新型の120万円に比べれば入手しやすい価格帯ということもあって、モタードらしく転倒も恐れずに積極的に遊びやすいということもある。
「オモチャ感」でいえば、その性格も、価格帯も、現在の中古車の立ち位置としても、今改めて先代のDR-Z400SMを買って楽しむというのも大いにアリに思う。
甲乙つけがたし
25年の開きがあるとはいえ、新旧のDR-Zは最初に書いたように「ほぼ同じ」ものである。
旧型には一部プレミアがついているが、新型がそれを上回るプレミア価格で登場したことで、価格的には新旧の関係性は一般的な新車とそれの旧型の関係性と同じと言えよう。
乗り味としてはCBR250RRの比較のように「全く違うもの」ということはないのだから、ちょっと無理して新型を買うか、出費を抑えて先代を買ってその差額をメンテやカスタムにつぎ込むか、ということになると思う。
当時もそうだったが、400ccクラスの国産本格モタード(およびオフロード)モデルはこのDR-Zしかないし、今後も国内からライバルが現れる様子もない。
そういう意味では先代、新型、いずれも孤高の存在である。
バイクでアクティブに遊びたいと考えている人はぜひとも興味を持っていただきたいブランドである。








