バイクは、エンジンが生み出した動力をタイヤに伝え、その力で走る乗り物です。
しかしエンジンが直接タイヤを回転させているわけではなく、その間で様々なパーツが機能することでタイヤを回転させています。

今回はその中でも特に重要なスプロケットについて。
スプロケットの役割や交換のタイミング、社外品のメリット、丁数変更などについて、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

バイクのスプロケットとは?

一般的なチェーン駆動のバイクには、フロントとリアにスプロケットが1つずつ装着されており、チェーンで連結することでエンジンの回転をリアホイールに伝達しています。

フロントスプロケット(ドライブスプロケット)はエンジン左側に装着されている小さな歯車のようなパーツで、チェーンを伝ってリアスプロケットまでエンジンが生み出した回転力を伝えています。

リアスプロケット(ドリブンスプロケット)とはリアホイールに装着されていて、チェーンから伝わる力をリアホイールへ伝達する部品です。

部品の配置や役割としては自転車のギアと近い仕組みとなっています。
流れとしては以下のとおりです。
エンジン→ミッション→フロントスプロケット→チェーン→リアスプロケット→後輪

このどれか一つでも欠けるとバイクは走らなくなってしまうため、どれもバイクを走らせるうえで無くてはならない重要な部品です。

丁数はスプロケットの歯の数

スプロケットには丁数が決められており、「15T」「45T」などと表記されます。
15Tはスプロケットが一周するまでに15個の歯があるということになります。

Tは丁数のTではなく、英語で歯を表す「Teeth」の頭文字が由来しています。

スプロケット交換タイミングの目安

スプロケットはチェーンと常に接触しているため削れて劣化していきます。
定期的なメンテナンスが必要で、摩耗の状態によっては交換が必要になります。

スプロケットの摩耗状態

スプロケットには明確に何キロ走ったら交換しましょう、という基準値はありません。
というのも同じ距離を走ったスプロケットでもメンテナンスがされていないものと、しっかり定期的なメンテナンスがされたものでは摩耗の具合が大きく変わるため、基本的には実際の摩耗状態とチェーンの状態で判断することになります。

判断基準としては以下のとおりです。
• 歯が細く尖っている
• 歯が一方向に曲がっている
• 歯の谷部分が大きく削れている
• チェーンの張り調整をしてもすぐ緩む
• 駆動時に異音や振動が出る
• チェーンとスプロケットの噛み合わせが悪い

以上のどれかに心当たりがある場合は交換、もしくは一度バイク販売店や量販店の診断を受けましょう。

乗り方、メンテナンス次第で大きく変わる

スプロケットの摩耗は走行距離よりも加減速の多さ、オフロード走行の有無、チェーンの張り具合などによって変わってくる部分です。
急な加減速が多ければ当然摩耗も早くなり、砂や土などが絡むオフロード走行が多い場合も摩耗が早くなります。

またチェーンの張り具合も重要で、適正な張り具合であれば問題ありませんが、張りがキツすぎたり、緩すぎたりした場合は摩耗が早くなります。

できるだけ長持ちさせるためにも、定期的なチェーンの張り調整、清掃、注油が重要になってきます。

スプロケット交換時はチェーンも同時交換がおすすめ

スプロケットの摩耗があり、交換する場合は基本的に前後スプロケットとチェーンの3点同時交換がおすすめです。

古いチェーンと新品のスプロケットを合わせた場合や、新品チェーンと摩耗したスプロケットを組み合わせた場合、新しく交換した部品まで摩耗が早くなる可能性があり、3点同時に新品にしたほうが長い目で見てお得になるケースが多々あります。

基本的には同時交換すべきですが、3つの部品だけでも値段はそれなりに高額になるため、予算が厳しい場合は一度バイク販売店や量販店に見てもらい、どこから先に交換すべきか判断してもらうのがおすすめです。

スプロケットを長持ちさせるメンテナンス

スプロケットも安い部品ではないため、できるだけ長持ちさせて使いたいところ。
日々のメンテナンスをしっかり行うことで、スプロケットやチェーンの寿命を延ばすことができます。

チェーン清掃と注油が重要

チェーンとスプロケットは金属同士が直接当たって摩耗が進まないようにオイルが付着しています。
しかし使っているうちにこのオイルにゴミが吸着してゴミが噛んだ状態で回ってしまい、余計に削れてしまうことがあります。

それを防ぐため、定期的なメンテナンスがチェーンだけでなくスプロケットを長持ちさせることにも繋がります。

チェーンクリーナーを使って定期的に汚れを落とし、チェーンルブを塗布してゴミが噛んだまま走らないように心がけましょう。

チェーンルブが乾いてしまって金属が直接当たっても走ることは走りますが、寿命を削って走ることになるので、チェーン・スプロケットへのダメージは深刻です。

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チェーンの張りも適正に保つ

チェーンの清掃、注油と同時に張り具合を適正に保つことも長持ちに繋がる重要なポイント。

張りすぎるとチェーンが伸びたり、スプロケットが余計に削れてしまうことに繋がります。
逆に緩みすぎていても駆動系全体に負荷がかかるため、常に適切な遊び量に調整しておく必要があります。

張り具合は車種ごとに異なるため、愛車のチェーンの遊び量を調べて調整するか、自信のない方はバイク専門店に依頼しましょう。

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純正から社外スプロケットへ交換するメリット

チェーンにも純正社外それぞれありますが、スプロケットにも社外品があります。

主に材質が違ったり、色やデザインが違うなど各社様々。
社外品に変えるとどういうメリットがあるんでしょうか?

軽量化できる

出典:サンスター https://www.sunstar-kc.jp/product-information/sprocket/

純正のスプロケットはスチール素材でできていることが多く、耐久性はありますが重さもそれなりにあります。
社外品のスプロケットにはアルミや軽量ジュラルミンなど、スチールよりも軽くてある程度の耐久性も確保している製品もあります。

駆動系が軽くなると、純正品よりも回転の上がり方が軽快になったように感じることがあります。
まずは細かいところからカスタムしてみたい、という方におすすめです。

ただし、耐久性はやはり純正のほうが勝る場合が多いと思います。
筆者はバイクに乗り始めた頃に憧れだったジュラルミン製のリアスプロケットを入れましたが、チェーンの張り調整を盛大にミスり、消しゴムのように削れていきました。

何事も装着したあとの調整とメンテナンスが大切です。

カラーやデザインを変えられる

出典:X.A.M https://www.xam-japan.co.jp/sp-top/

社外のスプロケットにはゴールド、ブラック、アルマイトカラーなど、純正スプロケットの色とは違ったカラーのスプロケットがあります。
また肉抜き加工されているスプロケットなども。

スプロケット自体が外に露出しており、純正ではないことがわかりやすいパーツなので、ドレスアップ効果が高いカスタムパーツです。

スプロケットの丁数変更

社外スプロケットなら、純正とは異なる丁数を選べることもメリットです。

丁数変更とは、純正よりも歯の数が少ないスプロケット、多いスプロケットにすることで減速比を変更することができ、加速寄り・最高速寄りにカスタムすることができます。

ここからはスプロケットの丁数変更について解説していきます。

加速重視のセッティングにしたい場合

純正よりも加速重視のセッティングにしたい場合、基本的にはフロントスプロケットを小さくするか、リアスプロケットを大きくすると、ローギヤード方向になり、最高速よりも加速重視のセッティングになります。

主な変化点としては加速感が強くなる、発進が楽になる、エンジンによっては低速域で扱いやすくなるなどのメリットがありますが、同時にシフトチェンジの頻度が上がる、同じ速度でも以前よりエンジン回転数が高くなる、最高速が下がるといったデメリットもあります。

(例)純正
フロント15T/リア45T
↓
リアを社外の48Tに変更orフロントを14丁に変更

高速巡航重視のセッティングにしたい場合

純正よりも高速巡航時を重視したセッティングにする場合、フロントスプロケットを大きくするか、リアスプロケットを小さくするとハイギヤード方向になり、加速よりも高速巡航を重視したセッティングになります。

変化点としては同じ速度でエンジン回転数を下げられる、高速巡航で余裕が出ることがあるなどのメリットがあります。

デメリットとしては加速が鈍くなる、発進時に力が必要になる場合があるなど。

特に高速巡航がツライ小排気量車で行われることがあるカスタムです。

(例)純正
フロント15T/リア45T
↓
リアを社外の42Tに変更orフロントを16丁に変更

フロント1丁とリア1丁では大きく違う

スプロケットの大きさを変える際に注意しておきたいのが、基本的にはリアスプロケット側を変更したほうが良いということ。

フロントスプロケットの大きさを変えて調整することも可能ですが、フロントスプロケットを1丁変更すると、リアスプロケットを約3丁以上変えた事になってしまい、フロントでいじると1丁だけでもかなり大きく変わってしまうためです。

加速重視、高速巡航重視どちらにしても、エンジンのパワーが増えるわけではなく、目標速度に早く到達して頭打ちが早くなるか、目標速度に遅く到達して頭打ちが少し伸びるか程度の違い。

色々やってみたけどツーリングユーズなら結局純正のほうが良い、と感じるライダーも少なくないため、適当に変えるのではなく、一度バイク販売店や専門店の方にカスタムしたい内容を相談し、必要があれば交換するのがおすすめです。

極端な丁数変更は避ける

スプロケットの丁数を変更する場合、フロント・リアどちらも同時に丁数変更するのは危険です。
エンジンのパワー自体は変わらないため、どちらか極端に寄せるとバイク自体の使い勝手、乗り心地が悪くなる可能性があります。

車両メーカーが決めた純正値は様々なテストを繰り返して算出された数値のため、そのバイクに最も適している数値は純正値になります。
なのでカスタムする場合は詳しい方に相談しながら丁数を決め、純正に近い範囲で変更すると安心です。

スプロケット交換はDIYで可能?

愛車のスプロケットを交換する場合、DIYでも可能ですが、ホイールの脱着や高い締め付けトルクが必要なため、オイル交換やプラグ交換ほど簡単な作業ではありません。

純正のスプロケットを止めているネジにはネジロックが使用されていることもあり、そう簡単には外れません。

また外して新しいスプロケットを装着する際にも締め付けトルクが高い数値に設定されているため、トルクレンチとしっかりとした工具が必要になります。

その後チェーン調整やホイールアライメント調整、リアアクスルシャフトの締め付けトルク管理など、大掛かりな作業が多いため、DIYで行うにはメンテ中級者以上の経験が必要です。

構造自体はシンプルですが、安全に直結する駆動系なので、不安な方はバイク販売店か量販店に作業を依頼しましょう。

スプロケットは仕組みがわかると面白いパーツ

チェーンを介してエンジンの力を後輪へと伝える重要部品であるスプロケット。
チェーンと同様に摩耗するため、定期的なメンテナンスと点検が必要です。

社外品に交換すれば軽量化やドレスアップ効果を期待できる他、丁数変更することで愛車の性格を自分好みに変更することができます。

単純なパーツですが、意外と奥が深いのがスプロケット。
耐久性で選ぶなら純正ですが、社外の軽いスプロケットを入れたときのなんだか速くなったような感覚をスプロケット交換だけで楽しめるのは良い経験になります。

まずは愛車のスプロケットの丁数を確認し、定期的なメンテナンスをして正しくスプロケットを機能させましょう。

筆者プロフィール

Bike Life Lab supported by バイク王

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