カッコいいバイク女子になれるライディングフォームとは?
公開日:2025.04.06 / 最終更新日:2025.04.06
いくら身なりが美しくても、バイクに乗るその姿勢がカッコ悪ければ意味がない。
じゃあ、カッコいいライディングフォームってどういうこと?
レース歴20年以上、自身でバイクのスクールも主催する岡崎静夏さんに教えてもらった。
岡崎静夏さんプロフィール

全日本ロードレース選手権・J-GP3クラスに参戦するロードレーサー。
所属チームは“日本郵便Honda RACING”。
今回撮影で使用した愛車のHONDA・CB1300SFでツーリングも楽しむ。
千葉県・茂原ツインサーキットにて定期的にスクールも開催中。
参加者募集の呼びかけはおもにSNSからの発信となっている。
すぐに定員になるほど毎回人気なので、参加してみたいと思ったら、まずはSNSをフォローしよう。
YouTubeでは過去に開催された“きそれん! ”のようすなども見られるよ。
X:https://x.com/okazaki_shizuka?lang=ja
Instagram:https://www.instagram.com/shizuka_okazaki/
YouTube:https://www.youtube.com/@ShizukaOkazaki/videos
また、岡崎さんは5〜12歳までの子供を対象にポケバイ試乗体験とお手紙ワークショップをレースやイベント会場などで開催している“ぽすくまの親子バイク教室”に講師として参加することもある。
HP:https://www.post.japanpost.jp/kids/sp/bike/
”下半身で乗る”ってどういうこと?
“カッコよく走る”ことは全ライダーに共通する永遠のテーマ。
けれど、どうしたらカッコよく見えるの?
そこで編集部がカッコいいライディングフォームだと思う人・岡崎静夏さんに疑問をぶつけてみた。
すると、ある意味イメージの問題だということに気がついた。
ライディングの基本は“上半身の力を抜いてニーグリップ”。
このニーグリップがクセモノで、ヒザに力を入れてタンクを挟み込む、と思っている人が多い。
けれど、じつはヒザはタンクに添わせる程度。
カカト、ツマ先、足裏まで意識して下半身全体でバイクをホールドし、上半身を支えることが重要なのだ。
その形をベースとして、道の状況やバイクの動きに合わせて適時適所に入力できれば、それがカッコよさにつながる。
とはいえ男性に比べて筋力の弱い女性は、腕で体を支えがち。
上半身をリラックスすることを意識しづらいよう。まずはその意識ができるようにしてみよう。
基本ポジションの作り方
ステップの上に両足を乗せて立ち、そこから真下に腰を落とすように座る。へっぴり腰にならないように。
この時、体格やバイクのサイズの違いでベストな着座位置は変わるので、ハンドルに手を添えた状態で遠くならないよう前後の位置を調整してから着座するといい。



座ったら一度ハンドルから手を離し、“おはようございます!”とおじぎしてみよう。
この動作をすると、上半身はリラックスしたまま、下半身でバイクをホールドし、腹筋・背筋に力が入る状態を自然に作れる。
岡崎さんは自身のスクールでもこう指導しているそう。

GOOD!!
おじぎをした状態からそのまま手を使わずに起き上がる。
それからハンドルに手を添えると、基本のライディングフォームになる。
手は添えるだけで腕には力を入れず、頭(ヘルメット)と上半身の重さを下半身で支えている状態。
おじぎをすることで腹筋と背筋を意識しやすくなるので、普段腕に力が入ってしまうという人はぜひやってみて


BAD!!
女性にありがちな姿勢。腹筋と背筋を意識しづらいと、腰が反っておしりが後方へ突き出るエビ反りフォームに。
腕を突っ張って体の重みを支えてしまっている。
頭の重みを下半身で支えられていないので、バイクの挙動に合わせて頭も振られがち

猫背になり、前のめりにバイクにしがみつくフォームもよくあるパターン。
これもやっぱり腕の力で体を支えているのでバイクの挙動を上半身で受け止めてしまう。
もちろん見た目もカッコよくない

ニーグリップよりもカカトとつま先を意識する

“ニーグリップ”という言い方だと、“ニー”=“ヒザ”タンクを挟み込むことだけを意識しがち。
けれどじつはヒザよりもカカトとツマ先に意識を向けることが重要なんだそう。
ヒザはタンクに沿わせる程度。カカトとツマ先を車体にしっかりとつけ、足裏でステップを意識する。
直進、コーナー、上り下りといったバイクの動きに合わせてバイクを倒す、起こすという動作を、カカトを押し付けたりステップを踏ん張ったりという入力で行なうのだ。

前側から見るとよりわかりやすいかも。
下半身をバイクにしっかりと沿わせる。
バイクに触れられる部分は全部使って下半身全体でバイクをホールドし、動かしていく。
つねに入力しているわけではなく、バイクの動きに合わせて必要な部分に力を入れる。
BAD!!
ツマ先やカカトがバイクから離れているバレリーナ足は、バランスを取りづらくなり、動きを入力しにくくなる。
たとえば傾いたバイクを起こす際、傾いている側のカカトを押しつけて車体を起こすという動作もしづらい。

レバーは”にぎる”ではなく”角度調整”と考える
上半身をリラックスして乗るために、もう一つ意識したいのはレバーの操作。
通常、レバーを“にぎる”“離す”という言い方をするけれど、そのイメージだとガッツリと握力を使ってにぎり込んでしまう人が多い。
これも上半身が力んでしまう原因の一つ。
「にぎる」ではなく、指先を使って「角度を調整する」というイメージでレバーを操作する。
クラッチレバー
岡崎さんオススメのにぎり方は、人差し指と親指でグリップをホールド。
中指と薬指でレバーを動かす。
クラッチ側も、レバーをどのくらいの角度にするとクラッチが切れるのか、半クラッチとの境目はどのあたりかなどを意識する。
それができれば指先の角度調整だけ。レバーをすべてにぎり込まなくてもクラッチは切れる。


ブレーキレバー
レバーをどのくらいの角度にすると、ブレーキパッドがどの程度ディスクローターに押し付けられるか、という感覚を探って意識する。
あとはブレーキのかかり具合でレバーの角度を調整するだけ。
この意識ができるといきなりギュッとにぎり込んでしまうようなブレーキのかけ方にならない。


レブル250で考えてみる
GOOD!!
レブル250はセンタースタンドが装備されていないけれど、考え方はCB1300SFの時と同じ。
ハンドルに手を添えて地面に立ち、まっすぐ腰を下ろしてバイクに座る。
下半身が意識しづらいなら、一度「おはようございます!」をしてみる。
クルーザーはバイクの形状から後ろ気味に座る人が多いけれど、ハンドルまでの距離は体格によって変わるので、腕が伸び切らない自分のベストポジションを探そう。


レブル250の場合はヒザを先に意識するとニーグリップしづらいので、まずステップにしっかりと足を乗せ、ツマ先を意識、カカトも車体にくっつける。
その状態で、モモとヒザをタンクに沿わせ、フィットさせると下半身でホールドできる。

BAD!!
シートの奥におしりをつけて乗ると、ハンドルまでの位置が遠くなり猫背になってしまう。
腕も伸び切りハンドルに体重を預けてしまっている状態。
こうなると上半身で体を支えることになり、下半身に意識がいきにくくなってしまう。

手首が下がって腕が伸び切り、力が入りすぎている状態。
見た目に余裕がなくカッコよく見えないし、体が固まった状態でリラックスできていないとバイクの動きに体がついていけない。

感覚をつかむためのワンポイントレッスン
適切なライディングポジションを維持するにはそれなりに筋力も必要。
でも普通の運動ではおもしろくないから続かないかも?
バイクを使った簡単な動きで、筋力アップとともに“バイクに乗る”感覚を研ぎ澄ますトレーニ ングをご紹介。
※メーカーや車種によっては、サイドスタンドをかけた状態でバイクの上に立ったりすることを推奨していない場合もあるので、実践する前に確認を。
Lesson.1 立ったり座ったり
左右のステップに乗って立ち、そのまま 腰をまっすぐ下におろして座る。
立ったり、 座ったりを繰り返すだけ。
へっぴり腰にならないようにすると自然に体幹に力が入る。
ステップの上に乗る、踏ん張る、バイ クの上でバランスを取るといった感覚も身につく。

Lesson.2 左右にバイクを傾ける
バイクにまたがり、両手を離した状 態で片側に傾けたらいったんまっすぐに戻し、それから反対側、というようにゆっくり行なう。
バイクが自立する位置、倒れない角度といったバランス感覚を養うと同時に体幹も鍛えられる。
不安な場合はハンドルに手を添えてもOK。

Lesson.3 左右にオシリをずらす
バイクにまたがって両足をステップに乗せる。
両手はフリーの状態で、オシリを左右にずらす動作を繰り返す。
これも体幹が鍛えられると同時に、バイクの上で動ける体になる。
バイクのヘリに座るという感覚やステップの上で踏ん張る、ステップを押し返すといった足裏の感覚もつかめる。

Lesson.4 スタンディングチャレンジ!
片足を地面に着き、もう片方をステップに乗せた状態でバイクが自立バランスする位置を探り、両足をステップに乗せてみる。
一瞬でも いいので、バイクが自立する感覚を体で感じてみよう。
コロナ禍でバイクに乗れなかったころ、岡崎さんが自宅前でバイクでなにかできないかとやっていた遊びなんだとか。
