バイクに乗ってはや数年、普段の街乗りやツーリングにも慣れてきて、「ちょっと変わった非日常を味わってみたい」「何か新しい刺激がほしいな」なんて思ったことはありませんか? それなら次の週末はちょっと冒険して「オフロード」なんていかがでしょうか?
舗装されたアスファルトを滑らかに走るオンロードに対し、オフロードの醍醐味は「路面状況を予測し、マシンを操る楽しさ」にあります。滑るタイヤ、跳ねる車体、刻一刻と変わる路面状況──。そこでは時速30km程度のスピードであっても、まるで全身の感覚が研ぎ澄まされるようなスリルと緊張感を味わうことができます。
楽しそうだけど、未経験では「走り方がわからない…。」「転んで自分のバイクを傷つけたくない…。」なんて不安を持つのも事実。そこで今回はオフロードの魅力に迫るべく、手ぶらで参加できるモトクロス体験会に突撃!
なぜ大人が泥まみれになりながら少年のように笑ってしまうのか? 未経験でも本当に走れるようになるのか? 汗と泥にまみれて突き止めたそのリアルな魅力を、体当たりでレポートします!
PHOTO:石神邦比古 TEXT:八橋秀行
そもそも、“オフロード”ってどんなもの?

オフロード(Off-Road)とは、文字通り「道路(Road)の外(Off)」のこと。普段私たちが走っている綺麗に舗装されたアスファルト(オンロード)ではなく、土・砂利・泥・岩場といった未舗装の路面を走ることを指します。

スズキ「DR-Z4S」
使用する車両は一般的にホンダ「CB400SF E-Clutch」などのネイキッドスポーツ、カワサキ「Ninjaシリーズ」のようなスーパースポーツモデルではなく、取り回しのいい軽量な車体に障害物を乗り越えやすい大径のフロントホイールと滑りやすい路面を掴むゴツゴツしたブロックタイヤを装備し、凹凸や段差の大きな悪路でも衝撃を吸収できるような長いサスペンションを備えた、いわゆる「オフロードバイク」と呼ばれるモデルです。国産モデルだとスズキ「DR-Z4S」、ホンダ「CRF250L」、カワサキ「KLX230」などが挙げられます。

オフロード競技イメージ
オフロードバイクを使用する競技もあり、未舗装の周回コースで速さを競う「モトクロス」。山道や林道などの未舗装の周回コースで、決められた区間の合計タイムの少なさを競う「エンデューロ」などがあります。
実際どうなの!? オフロード走行体験会に突撃!!
では実際のオフロード走行はどんなものなのか? 今回は埼玉県・川越市にある「ウエストポイント クラブハウス」が運営する、手ぶらでオフロード体験ができる『モトクロスごっこ』にオフロード未経験のオートバイ編集部・八橋が参加してきました!
これがオフロード用の装備だ!

体験に際して、ヘルメット、グローブの他に、吸汗速乾性と通気性に優れた薄手の素材が特徴の「モトクロスジャージ」や、膝やお尻に強度の高い生地やレザーを使用した「モトクロスパンツ」を着用。パンツの下には膝から脛まで保護する「ニーパッド」を装着しています。今回の体験走行会はウェア・ヘルメット・バイクまで一通りのレンタルが可能です。

足元には専用の「オフロードブーツ」を装着。すねからふくらはぎ、くるぶし、つま先に至るまで硬質樹脂(TPU)やプレートで覆われており、転倒や障害物からの衝撃から足全体を強力に保護します。

今回の体験会では、オフロード専用以外のヘルメットも使用できますが、激しい走行中でも呼吸をしやすくなるよう口元とヘルメット内部の空間が広く取られたチンガード、跳ね上げる泥や砂などから視界を守る上部のバイザーがついた「オフロードヘルメット」がおすすめです。
併せて、飛散する泥や砂から目を保護し、息による曇りを防ぐ専用のゴーグルと併用するのも一般的です。

ウェアを着用したら、使用する車両についてのレクチャーを受けます。参加者の中には普段オフロードバイクに乗らない、初めて乗る人も多く、バイクに興味津々!
今回使ったバイクはこれ!

ホンダ「CRF125F」
今回使用したモデルはホンダ「CRF125F」。オフロード走行に重要視される低中速域での粘り強いエンジンパワーを備えた空冷4ストロークエンジンに、十分なストローク量を備えたサスペンションを備えています。ナンバープレートやウインカー等の保安部品を搭載していないため、公道走行は不可です。
オフロード体験会スタート!

実際の走行前に準備体操! オフロード走行は体重移動が肝だそうで、万が一の転倒や怪我に備えて入念に体をほぐしていきます。
準備体操を終えたらバイクにまたがって体験会スタート! 初めはグラウンドのような砂メインのコースから始まります。
最初は普段乗っているようにタンクを足で挟むニーグリップをして走りますが、アスファルトとは異なるコンディションのため、コーナリング時にタイヤが滑っていき、転びそうでヒヤヒヤ…!
ちなみに今回の体験会は基本的に「フロントブレーキを使わない」とのレクチャーを受けました。体を曲がる方向とは逆に体重移動をして、リアブレーキを使って減速と旋回を行います。

途中でインストラクターの方から、曲がる方向の内側の足を前に出してコーナリングする技法を学び、見よう見まねで足を出して旋回! 旋回時にリアタイヤが滑って内側へ転びそうになる際に、足でグッと地面を押さえ、勇気を出して「えいや!」とスロットルを回します。
するとグググッとバイクが前に押し出され、リアタイヤが滑り、砂を巻き上げながらコーナリング。何回か試行を重ねるうちに、だんだん速く、きれいな旋回ができるようになりました。
何度かヒヤヒヤする瞬間はありましたが、回数を重ねるうちに、速く・綺麗に曲がる感覚がわかっていき、普段のツーリングとは全く異なる感覚にテンションが一気に高まります! ただ砂地をぐるぐる回っているだけなのに、思わず笑みがこぼれるほど楽しくなりました。

楽しくなってどんどんバイクを傾けていくとリアタイヤが滑っていき、あわや転倒…!! 幸い減速して右足をついてなんとか立て直しました。オフロードは転んでなんぼ…。と経験者から聞きましたが、転倒はなるべく避けたいですね。

ちなみに、本イベントの参加者は「普段バイクに乗っているけれど、オフロード走行は初めて」の方が多く、皆さんビギナーなので焦ることもなく走行を楽しめました。
本格的なオフロードコースにチャレンジ!

次のステージは、土が混ざったマットな路面に加え、ジャンプ台や「わだち」が連なるタフなコース。先ほどの硬い砂地とは打って変わり、足元はフカフカとしたコンディションです。車体が想像以上に滑りやすくなり、走りの難易度がぐっと跳ね上がります!

最初の数周は慣れないコースに苦戦したものの、これまで身につけた走り方を思い出して勇気を出してアクセルを開けます! 旋回時にリアタイヤがガガガッと滑り、バランスが崩れそうになるも、うまく曲がれた時の達成感はひとしお。

コース内のちょっとしたジャンプ台にもチャレンジ! スタンディングしながら坂の手前でアクセルを開け、恐る恐るジャンプ。写真では分かりづらいですが、一瞬体が浮き上がる瞬間は今回の体験会で最も印象的なシーンでした。もっと上達してより高く飛べるようになりたい…!!

普段走る綺麗なアスファルトの上では味わえない「路面を読み、全身を使ってマシンを抑え込む」という感覚。思い通りに曲がれた瞬間や、転ばずに走破できたときの達成感は、まさに格別です。
「転ぶのが怖い」と思っていたはずが、走り終わる頃にはすっかりその魅力に夢中。巻き上げた砂や泥にまみれながら、いつものツーリングとはひと味違う、濃密で刺激的な冒険を味わうことができました。
【結論】顔もウェアも土まみれ、でも心は晴々! 未経験から一歩踏み出して分かったオフロードの絶対的な面白さ

取材前は「本当に未経験の自分でも走れるのだろうか」「怪我をしたらどうしよう」という不安が少なからずありました。しかし、いざコースに飛び込んでみれば、そこにあったのは大人たちが童心にかえって泥まみれで楽しむ、最高に自由な世界でした。
硬い砂地から始まり、フカフカとした本格コース、そして数々のわだちやジャンプ台への挑戦――。普段の街乗りでは決して味わえない「マシンと一体になって路面を抑え込む感覚」は、走れば走るほど自分の中の限界が広がっていくような爽快感に満ちていました。
未経験だからこそ味わえる、一歩踏み出した瞬間のワクワクと達成感。今回の体験会は、単なる乗り物の体験にとどまらず、日々の喧騒を忘れて全力で遊ぶ楽しさを思い出させてくれる最高の1日となりました!
今回のオフロード体験会『モトクロスごっこ』は定期的に開催されています。開催日程や参加条件は、主催者の最新情報をご確認ください。









