連日の酷暑の中、温泉?何て狂気な。
…なんて思う方もいらっしゃるかもしれないが、実は“冷たい温泉”も存在するのだ。

実は温泉法によると、湯温が25℃以上あれば温泉と定義されている。
また、それ以下の温度でも特定成分が一定以上含まれる場合は“温泉”と名乗る事が許されているのだ。

この冷たい温泉こそ“鉱泉”や“冷鉱泉”と呼ばれている温泉。
巷では冷鉱泉の類は一般的な温泉と比べ見落とされる場合も多いが、実は素晴らしい泉質や鮮度を秘めているケースも多い。

酷暑の中、川や海で泳ぐのも良いが、温泉成分を堪能しながらキリッと冷えた冷鉱泉で身体を冷やすのは最高の贅沢だ。
炎天下の人混みの海水浴場より穴場感も抜群。
渋滞も無く、バイクツーリングと絡めて楽しむにはおすすめなのだ。

また、25℃以上ながら温度が低めの温泉は真夏にこそ楽しみたい“適温”を味わえる。
この時期だけの特権だ。

肌寒い時期に楽しむ温泉は至福の一時。
しかし、暑い時期だからこそ楽しめる穴場な温泉も実に多いのだ。
そして、多くの温泉は山岳地帯にある。
山岳避暑ツーリングと絡めて巡れば、真夏のツーリングが一層楽しくなるに違いない。

夏こそ温泉。
温泉を知り、地域を知ればキミのバイクライフは更に奥深くなるぞ。

※下記日帰り入浴の営業時間等は季節・事情により変動する場合があります。必ず事前に確認の上ご利用下さい。

古遠部温泉

青森県平川市碇ヶ関西碇ヶ関山1-467
TEL:0172-46-2533 9:00~20:00
●ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉 泉温42.8℃ 500l/分湧出

泉温は約42℃と長めに浸かれる若干温めの湯だ。
夏はさっぱり、冬は長湯でしっかりと温まるオールシーズン楽しめる温泉として秘湯マニアの聖地とも言われている。

浴槽投入量が物凄く、床は溢れる湯が川となる。
この光景を見るだけでも圧巻。
国内屈指の秘湯としてファンの多い温泉だ。

微温湯温泉 旅館 二階堂

福島県福島市桜本温湯11
TEL:024-591-3173 9:00~16:00 ※4月下旬~11月下旬営業
●酸性-含鉄-アルミニウム-硫酸塩温泉 泉温31.8℃ 194l/分湧出

ピストンルートの奥に佇む一軒宿。
豊富な源泉が投入されており、夏でも楽しめる温さが特徴だ。

浴槽は1ヶ所のシンプルな造りだが浴槽鮮度の高さと溢れるオーバーフローは感動的。
また、自炊部も併設されており安価で宿泊できるのも嬉しいポイントだ。

駒の湯温泉 駒の湯山荘

新潟県魚沼市大湯温泉719
TEL:090-2560-0305  8:00~17:00 ※6月上旬~11月上旬営業
●アルカリ性単純温泉 泉温31~33℃ 2,000l/分湧出

奥只見樹海ラインに近い秘湯。
夏に丁度良い泉温が非常に特徴的だ。

加温浴槽もあるが、やはり凄まじい投入量を誇る源泉浴槽が感動的。
中でも大量に自噴する露天風呂は温泉ファンの聖地たるシンボルだ。

立ち寄りも良いが、安価で食事が美味い事でも人気の宿。
ぜひ宿泊利用がおすすめだ。

滝沢温泉 滝沢館

群馬県前橋市粕川町中之沢滝沢241
TEL:027-283-5711 10:30~15:00
●カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩冷鉱泉 泉温23.8~24.5℃ 80l/分湧出

赤城山麓にひっそりと湧く秘湯。
大き目の浴槽は加温浴槽だが、鮮度抜群の源泉浴槽も併設されており、真夏にぜひ楽しみたい温泉の一つ。

スペック上の湧出量は決して多くないが、源泉浴槽は小振りで浴槽鮮度は極めて高い。
温泉マニアも唸る湯使いの上手さをぜひご堪能あれ。

奥蓼科温泉 渋・辰野館

長野県茅野市豊平4734奥蓼科温泉
TEL:0266-67-2128 11:00~16:00 ※不定休
●含硫黄-酸性冷鉱泉 泉温21.2℃ 約250l/分湧出※変動有

八ヶ岳山麓の奥地に湧く秘湯。
泉温が低くもはや水であるが、マニア垂涎の足元湧出の名湯を楽しめる。

泉質は酸性硫黄泉だが、若干の泡付きもあり楽しみ所も多い。
立ち寄り入浴ではこのハイライトゾーンへは入浴不可。
ぜひ宿泊で楽しもう。
料金も非常に安価だ。

下部温泉 古湯坊 源泉館

山梨県南巨摩郡身延町下部45
TEL:0556-36-0101 ※宿泊者のみ利用可。日帰り入浴不可
●単純温泉 泉温30.1℃ 自噴足元湧出のため湧出量測定不能

1300年の歴史を誇る古湯。
戦国時代は武田家の隠し湯として保護されてきた名湯だ。

巨大な岩盤より大量に湧出しており、武田信虎や信玄が浸かった浴槽をそのまま楽しめる。

泉温が低く、夏の温泉としても最適だが歴史浪漫の凝縮したファン垂涎の温泉だ。

湯屋温泉 奥田屋

岐阜県下呂市小坂町湯屋572
TEL:0576-62-3006 14:00~16:00頃
●含二酸化炭素-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 泉温15.4℃ 150l/分湧出

国内屈指の炭酸濃度を誇る二酸化炭素泉でサイダーのような強烈な炭酸感が特徴。
加温浴槽や飲泉場と共に、大き目の源泉浴槽も設置されており、夏の暑さを吹き飛ばす冷鉱泉浴を楽しめる。

何と縄文期より利用されてきた温泉地であり、周辺には遺跡も点在。
穴場ながらファン狂喜の温泉だ。

荒城温泉 恵比須之湯

岐阜県高山市丹生川町折敷地415 
TEL:0577-78-2877 13:00~21:00(冬期は~20:00) 金曜休
●含二酸化炭素-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉 泉温24.3℃ 300l/分湧出

田園地帯にひっそりと湧く地域の共同浴場。
主に地元客が中心ながら大変人気の温泉だ。

泡付きの良い爽快な炭酸泉が特徴。
加温浴槽とは別に冷たい源泉が投入される源泉浴槽も設置されており、穴場ながら避暑温泉としても素晴らしい。
芸術的な浴槽堆積物も必見だ。

小屋原温泉 熊谷旅館

島根県大田市三瓶町1014
TEL:0854-83-2101 ※宿泊者のみ利用可。日帰り入浴不可
●含二酸化炭素-ナトリウム・マグネシウム-塩化物・炭酸水素塩泉 泉温37.8℃ 30l/分湧出

湯治場の雰囲気を色濃く残す穴場的な秘湯。
堆積物が織りなす浴槽はまさに自然の芸術。

泉温が低めで長湯を楽しめるため、夏場もおすすめの温泉だ。

豊富な泡付きを楽しめる温泉ファン垂涎の名湯で、県内外より多くのファンが訪れる。
日帰り不可だが安価で食事も美味い。

寒の地獄温泉 寒の地獄旅館

大分県玖珠郡九重町田野257
TEL:0973-79-2124  9:00~16:00※曜日変動有。要確認
●単純硫黄冷鉱泉 泉温13.6℃ 2,160l/分湧出

毎分2トンを超す膨大な湧出量を誇る温泉。
水着着用で冷泉浴槽に入浴。
寒くなったら暖房室の薪ストーブで身体を温め再度入浴…という“冷泉サウナ”と呼ばれる珍しい入浴形態が特徴だ。

これぞ究極の酷暑対策温泉。
真夏に寒さで震える貴重な体験を堪能しよう。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。