北海道は全てのライダーが憧れるバイクの聖地と呼んでも過言でない。
80・90年代は北海道を旅する荷物満載のライダー達が“ミツバチ族”や“カニ族”と呼ばれており社会現象となる程の独特なライダー文化を醸した地でもあるのだ。

北海道はその地理的要因から大自然の宝庫でもある。当然、秘境や絶景の宝庫だ。
しかし、旅人達を魅了して止まないその本質は“最果て感”だろう。
海を渡り、日本最北を目指す。このアクションが特別な冒険感となるのだ。
単なる絶景・秘境巡りではない各人だけの冒険譚を実体験できる事が北海道旅の魅力成分に違いない。

さて、初めて北海道へ向かうに際し、注意しておきたい事がいくつかある。
まず日程によるが、1日の走行距離は200km程度以内に抑えておくと各地での観光や探索がより深くなる。
決して欲張って走り過ぎない方が良い。

また、どうしても日程上の都合が付かない場合は道東を中心としたスケジュールがお勧めだ。
当然他の地域も感動的だが、北海道の魅力はその多くが道東に集中している。

そして最後、地域選択に迷ったら本記事を参考にルート選択をするのもアリだ。
今回は定番スポットが中心ながら、一度は行っておくべき北海道をピックアップしある。
しかし、一番のお勧めは自分の直感に従った旅。
迷い苦労して見つけ出会った場所や人はキミの一生の宝となるだろう。
これは北海道のみならず旅の神髄であるとも言える。では、良き旅を北海道で!

定番!お勧めツーリングロード

【道央・道北】日本海オロロンライン


数ある北海道の名道の中でトップクラスにランクインされる絶景道の一つ。
小樽市と日本最北端の稚内市を結び、総延は実に300km以上にもなる日本海沿いの壮大な海岸ロードだ。
特に稚内市へのアクセスルートとなる、約68kmの道道106号線区間は“北海道で最も有名な道”とも言えるだろう。
水平線と遠望する利尻富士。緩やかな海岸丘陵地帯を貫く果てしない直線道路は、北海道を代表する憧れの絶景ロードだ。
この道を走るだけでも北海道に行く価値があると言って過言ではない。

【道東】国道334号・244号/斜里国道“天に続く道”


こちらも北海道を代表する絶景ロード。斜里町の峰浜地区から大栄地区まで続く約18kmの直線道路だ。
丘陵地の頂上からは地平線が一望。その空との境界線まで果てしなく続く道の光景はまさに“天に続く道”そのもの。
本土とのスケールの違いを全身で感じられるスポットだ。
ピークポイントにある“名も無き展望台”からは遠くオホーツク海まで見渡せる大パノラマが広がる。
大定番のスポットながら絶対に走っておくべき絶景ロードなのだ。

【道北・道東】国道238号“宗谷国道/オホーツクライン”


 日本最北端の宗谷岬を経由し、オホーツク海沿岸の網走市まで至る。総延は319kmと北海道屈指の長さを誇る沿岸ルートだ。
“日本最北端の国道”とも呼ばれており、季節を問わず多くのライダー達が訪れる“ツーリングの聖地”でもある。
交通量は多めながら流れは非常にスムーズ。一部区間ではサハリンや北方領土を遠望できる旅情抜群のルートだ。
特に猿払村~浜頓別町の区間は丘陵越しに遠望する海岸線が美しい。北海道特有の最果て感を感じる絶景だ。

【道東】知床横断道路


国内屈指の秘境地、知床半島の東西を横断する国道ルート。総延は約27km、ピーク標高738mの知床峠からは羅臼岳の威容がダイナミックに迫る。
また、知床八景にも登録されており国後島まで遠望できる展望スポットでもあるのだ。
冒険ムード漂う秘境感は北海道を旅するライダー達の大人気ルート。
11月初旬~4月下旬は冬季閉鎖となるが羅臼側の熊の湯までは通行可能。
そのため、真冬に熊の湯を目指すライダーがいるという噂もある。

【道北】北海道の定番おすすめツーリングスポット

 

猿払村道エサヌカ線



北海道宗谷郡猿払村浅茅野台地
名寄美深道路、美深北ICより100km/90分

北海道へ赴く旅人達の聖地とも言える絶景ロード。
区間は約16kmだが、内約8kmは地平線を遠望する直線道路が果てしなく続く。
この空と融合する直線道路こそ北海道ならではの醍醐味。
北海道へ行ったなら絶対に一度は走っておきたい感動道だ。
冬季は通行止め。

オトンルイ風力発電所



北海道天塩郡幌延町
深川留萌自動車道、留萌ICより124km/120分

彼方より遠望できるダイナミックな28基の風力タービン群だ。
もはやオロロンラインのランドマークとも言える存在となっており、この光景が原風景となっているライダーも多いだろう。
2025年に撤去予定だったが、工事延期のため2027年3月まで運転される事となっている。

宗谷丘陵 白い道



北海道稚内市宗谷村宗谷
深川留萌自動車道、留萌ICより196km/180分

宗谷丘陵上に広がる解放感抜群の草原を縦貫する真っ白な道。
通称“白い道”と呼ばれるこの道はホタテ貝の殻を砕いて敷き詰めているのだ。
約3kmの短い区間だが、紺碧の海と空が白亜の道と融合する幻想的な光景が広がる。
完全フラットで走行に問題はないが舗装ではないため要注意!

道道889号上猿払清浜線



北海道宗谷郡猿払村
名寄美深道路、美深北ICより135km/130分

宗谷岬より宗谷丘陵上を走る内陸ルート。宗谷国道の裏道とも言える爽快絶景ロードだ。
ゆるやかなアップダウンと共に丘陵上に林立する風力タービンの風景が美しい。
展望も良くライディング感も抜群。宗谷丘陵一帯のスポットを繋ぐ連絡ルートで利便性も高い。

三毛別ヒグマ事件復元地



北海道苫前郡苫前町三渓
深川留萌自動車道、留萌ICより58km/60分

大正4年にこの地で発生した日本史上最悪の熊害の記憶を後世に残すために設置された資料施設。
当時の開拓民の復元家屋と共に襲撃したヒグマの実物模型を展示している。
本土の熊とは全く違うヒグマの恐ろしさを実感できるスポット。穴場ながら一度は訪れて損はない。

【道南】北海道の定番おすすめツーリングスポット

八幡坂



北海道函館市元町
函館新道、函館ICより10km/20分

函館観光の定番スポットながら直線道路の並木群と海の光景が美しい。
赤レンガ倉庫も近く、バイクで走って楽しめる観光地の一つだ。
正面には青函連絡船記念館摩周丸が係留されており、写真映えも良い。
船内は博物館となっており、併せてこちらの見学もお勧めだ。

笹流ダム



北海道函館市赤川町
函館新外環状道路、赤川ICより750m/3分

国内に6基のみ存在するバットレスダムの中で最初に建造されたダム。
竣工は大正12年。改修により建築当時と様相は変わっているが、土木遺産にも認定されている大変貴重なダムだ。
独特の鉄筋コンクリートの支柱が印象的でダムファンでなくとも見ておく価値はある。

滝瀬海岸シラフラ



北海道爾志郡乙部町滝瀬
道央自動車道、大沼公園ICより66km/70分

シラフラとは“白い傾斜地”を意味する言葉。
高さ約20mの白亜の断崖が約500mにわたってそびえ立つ異世界感抜群の光景が印象的だ。
晴天時は白の断崖と海のコントラストが感動的に美しい。
展望公園からは海岸へ降りる事も可能でフォトスポットとしても人気だ。

【道央】北海道の定番おすすめツーリングスポット

西11線道路“ジェットコースターの路”



北海道空知郡上富良野町西11線北28号
道央自動車道、滝川ICより63km/70分

かみふらの八景にも認定されている北海道感抜群の絶景ロード。
アップダウンをしながら丘陵地を貫く全長約2.5kmの直線道路はさながらジェットコースターの路線。
丘の上からは富良野平野と大雪連峰を一望する感激の大パノラマが広がる。
北海道屈指の絶景地を見逃すな!

美瑛の丘“新栄の丘展望公園”



北海道上川郡美瑛町美馬牛新栄
道央自動車道、旭川鷹栖ICより35km/45分

パッチワークのような広大な畑の風景が広がる美瑛屈指の展望スポット。
360°を見渡す大展望は雑誌等で見た事のあるあの風景そのまま。
美瑛の丘が最も美しく見えるポイントの一つだ。
定番の観光スポットだが一度は見ておくべき北海道の原風景がここにある。

【道東】北海道の定番おすすめツーリングスポット

能取岬



北海道網走市美岬8
旭川紋別自動車道、遠軽ICより93km/100分

絵画のような幻想的な風景がそのまま存在する穴場なスポット。
草原と海の開放感抜群ながら秘境感の混在する印象的な光景が特徴だ。
道道より分岐する灯台までの約1kmの区間が特に感動的。短いながら国内屈指の絶景ロードと言えるだろう。行かなければ後悔必至!

カムイワッカ湯の滝



北海道斜里郡斜里町遠音別村
旭川紋別自動車道、遠軽ICより170km/180分(知床自然センター)

知床の奥地にある温泉の滝。幅数m、落差は約20mで滝壺は天然の浴槽となっている。
北海道旅の定番スポットだったが知床半島の世界遺産登録と安全確保のため、現在はツアー以外の立ち入りは禁止。
しかし、秘境感抜群の野湯ツアーはぜひ一度参加をお勧めしたい。

瀬石温泉



北海道目梨郡羅臼町瀬石(瀬石番屋:0153-89-2654)
十勝オホーツク自動車道、北見東ICより175km/180分

知床半島の奥地、日本最北東端付近に位置する海中温泉。
干潮時にのみ楽しめる浪漫抜群の野湯だが、地元の水産加工会社の厚意によって維持されておりマナー良く使用されたい。
利用時には連絡の上、一声かけてから入浴しよう。ワイルドな本物の野湯が楽しめる。

岩尾別温泉 三段の湯



北海道斜里郡斜里町岩尾別温泉内(ホテル地の涯)
十勝オホーツク自動車道、北見東ICより123km/140分

岩尾別温泉は知床連山の羅臼岳登山口に湧く秘湯だ。
国内有数の秘境帯の一軒宿。湧出量も多く複数の浴槽が魅力だが、外せないのが三段の湯。
流れ落ちる温泉を豪快にかけ流す自然感抜群の混浴野湯だ。
まさに知床の銘湯。日帰りも良いがぜひ宿泊で利用をお勧めしたい。

屈斜路湖 コタン温泉露天風呂



北海道川上郡弟子屈町屈斜路古丹
十勝オホーツク自動車道、北見東ICより63km/70分

屈斜路湖の湖面がほぼ目線!温泉天国北海道の中でも有数のロケーションを誇る温泉だ。
混浴浴槽(男女別脱衣場あり)のみの露天風呂だが、地元の厚意により整備・維持されており料金は無料。
お勧めは夕暮れ時。屈斜路に映る幻想的な夕陽を眺めながら解放感抜群の温泉を楽しもう。

津別峠(展望所)



北海道網走郡津別町上里
十勝オホーツク自動車道、北見西ICより54km/60分

北見市方面より屈斜路湖へアクセスする穴場なルートだが、国内最大のカルデラ湖を一望する穴場な絶景ポイントだ。
国内最大級の雲海展望地としても知られており、6・7・8月は雲海遭遇率が50%を越すとも言われている。
お勧めは早朝。日本一の雲海に感動しに行こう!

三国峠



北海道河東郡上士幌町三股
旭川紋別自動車道、上川層雲峡ICより54km/60分

標高1139mと道内の国道で最も標高の高い峠。
目前には東大雪の原生林が広がり秘境感と共にダイナミックな解放感抜群の絶景地だ。
樹海を縦貫する松見大橋を見渡す展望が最も人気の光景。
上士幌~上川町の約100km区間はGS皆無。燃料には十分注意して走行しよう。

十勝牧場 白樺並木



北海道河東郡音更町駒場並木
道東自動車道、音更帯広ICより7.7km/10分

十勝牧場の象徴とも言える約1.3kmもの白樺並木。
音更町の美林にも認定されており、十勝周辺定番の絶景スポットだ。
何より嬉しいのはこの並木道をバイクで走行可能な事。
未舗装路のため要注意だがフラットで走行はしやすい。
真冬の白銀の並木道も感激の風景だ。

開洋台



北海道標津郡中標津町俣落
道東自動車道、釧路別保ICより89km/90分

北海道を旅するライダー達に“聖地”とも言われた雄大なパノラマが楽しめる絶景スポット。
草原・牧場・丘陵地を見渡しつつ彼方まで広がる地平線は地球の丸さを体験できる貴重な展望地だ。
キャンプ場も併設されており、夜は満天の星空も楽しめる。キャンプがお勧め!

美幌峠



北海道網走郡美幌町古梅
十勝オホーツク自動車道、北見東ICより43km/50分

国内最大級のカルデラ湖、屈斜路湖を一望する道東定番の展望スポット。
津別峠と比較すれば観光地感は否めないが、そのスケールはやはり感動的。
雲が低い場合は雲海に遭遇する場合もある。
道の駅が併設されており、休憩・食事にも最適のロケーションだ。ぜひ立ち寄っておこう。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。