バイクのエンジンオイルの種類や選び方について徹底解説!
公開日:2025.11.17 / 最終更新日:2025.11.18
エンジン車のバイクには必ずエンジンオイルが使われています。
これは50ccの原付クラスのバイクも、1000cc以上の大型バイクもすべて同じ。
2ストローク車は別のオイルが使われていますが、基本的に全ての4ストロークエンジン車は定期的な交換が必要なエンジンオイルが使われていて、正しい種類のオイルを正しいタイミングで交換することで、エンジンのパフォーマンスを最大限発揮することができ、エンジン自体の寿命も伸ばすことができます。
今回はそんな4ストロークエンジンのバイクに使うエンジンオイルについて詳しく解説していきます。
バイクのエンジンオイル交換の重要性

そもそもなぜエンジンオイルが必要なのかについて解説します。
バイクのエンジンオイルは「潤滑作用」「洗浄作用」「密封作用」「冷却作用」「防錆作用」などの様々な役割をもっています。
しかし、走行や時間の経過によってオイルが劣化すると、これらの効果を十分に発揮できなくなってしまうため、定期的な交換が必要となるのです。
一例として潤滑作用に絞って解説します。
バイクのエンジンは、金属部品の集合体です。
これらの部品は動作中に常に擦れたり、ギアが噛み合ったりして各部で複雑な働きをしています。
そのため、どんなに強い素材でも部品同士が直接擦れ合って少しずつ摩耗し、削れていってしまいます。
エンジンオイルには、各部品の間に油膜として入り込むことで摩耗を極力軽減させ、部品の劣化を防いで滑らかに動かすという潤滑作用があります。
ですが、エンジンオイルが劣化した状態で使い続けると十分な潤滑作用が発揮されず、金属部品同士が直接接触したり、過度に削れたりする可能性があり、エンジンのトラブルや故障に発展する危険性があるのです。

エンジンオイルは走行するごとに性能が低下していくため、3,000~5,000kmの走行が交換の目安とされることが多いです。
また、走っていなくても酸化することでオイルの劣化は進むため、走行距離が伸びない場合でも半年に1回は交換することが望ましいです。
エンジンオイル交換のより詳しい情報についてはこちらの記事で解説しているので、ぜひ読んでみてください。
バイクのエンジンオイルの種類
バイクのエンジンオイルは2ストローク用と4ストローク用で異なりますが、本記事では4ストローク用について解説していきます。
エンジンオイルは80%〜90%がベースオイルとなっており、残りの10%〜20%が添加剤で構成されています。
エンジンオイルのベースオイルは主に鉱物油、化学合成油、部分合成油の3種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。
鉱物油
原油から不純物や有害物質を取り除いて精製された最もスタンダードなエンジンオイルが鉱物油です。
安価でコストパフォーマンスに優れているため、頻繁にオイル交換する方にはおすすめのオイル。
ただし、性能は合成油よりも劣り、熱によって劣化したり、酸化も早いと言われています。
一般的な用途で適切なタイミングでエンジンオイルの交換をしていればしっかり役割を果たすため、品質上問題はありません。
化学合成油
原油を化学分解して不純物を可能な限り取り除いた純度の高いエンジンオイルです。
耐熱性や潤滑性能などの性能が高い反面、オイル自体の価格も高いため、毎回のオイル交換費用が高くついてしまう場合があります。
しかし、性能はピカイチなので、高回転を多用するバイクやサーキットを走るバイク、高性能なエンジンを搭載するバイクに使われることが多いオイルです。
部分合成油
鉱物油と化学合成油を配合したエンジンオイルです。
性能と価格の両立ができるため、バランス重視の方におすすめのオイルとなっています。
バイクのエンジンオイルの選び方

どんなバイクにも使えるエンジンオイルというのは高値なことが多く、当然エンジンの構造や種類によって変わってくる部分です。
スーパースポーツのような高性能スポーツエンジンの場合、オイルは最高級のものが指定されることも多いです。
最も重要なのは、愛車のオーナーズマニュアルや取扱説明書で指定されているエンジンオイルの条件を確認し、それに合ったものを選ぶこと。
メーカー純正ブランドのオイルを入れておけばまず間違えることはありません。
エンジンオイルは様々なメーカーから販売されているため、その中から自分の乗り方に合わせた製品を選ぶのが理想的。
社外メーカーでもブランドが多く迷いがちですが、メーカー純正ブランド以外ではMOTUL(モチュール)、カストロール、WAKOS(ワコーズ)などの有名ブランドを選ぶのがおすすめです。
バイク用品店に行くと様々なエンジンオイルを取り扱っているため、スタッフに相談して現物を見ながら一緒に選ぶと安心です。
バイクのエンジンオイルの規格
エンジンオイルにはいくつかの規格があり、メーカーから使用するエンジンオイルの規格が指定されていることがあります。
一見アルファベットや数字でわかりにくいですが、実はそれほど難しくないので詳しく解説していきます。
SAE規格

SAE規格は日本だけでなく国際的に広く適用されているエンジンオイルの規格です。
「10W-40」などの粘度表示はSAE粘度を示しており、10WのWはWinterの略で低温時の粘度を表しています。
40は高温時の粘度で、数字が高ければ高いほどエンジンが高温時の性能が良いとされています。
高温時に油膜切れしにくくなるため、人によっては季節に合わせて夏は末尾の数値が高いオイル、冬は純正相当の末尾の数字が低いオイルに切り替えている方も。
油膜とは
ピストンとシリンダーで例えると、ピストンとシリンダーの間にオイルが入っているのが通常、間にオイルが入っておらず、部品同士が直接当たってしまっているのが油膜切れを起こした状態です。
JASO規格

JASO規格は日本自動車技術会(Japanese Automotive Standards Organization)が定める規格のこと。
4ストロークエンジンのバイク用エンジンオイルでは大きく分けてMA・MBの2種類があり、クラッチとの相性をチェックする重要な指標となっています。
バイクは車と違ってエンジンオイルがクラッチにも回っているため、湿式クラッチを備えたスポーツバイクやネイキッドバイクなどにはMA規格のオイルが一般的です。
スクーターのように湿式クラッチではなく遠心クラッチを使用しているバイクにはMB規格のオイルが使用されることが多くなっています。
・MA→高い摩擦性能
・MA1→MAの摩擦指数基準で粘度が低い
・MA2→MAの摩擦指数基準で粘度が高い
・MB→摩擦性能が低い、スクーターに使用されることが多い
API規格
アメリカ石油協会が定めるエンジンオイルの品質を表している規格です。
ガソリン車用エンジンオイルは「SA」「SB」「SC」とSの後ろのアルファベットが進むごとに性能が高くなっていきます。
必ず記載されているわけではなく、API規格の試験を受けていない製品もあります。
マークに「ENERGY CONSERVING」「RESOURCE CONSERVING」と記載されているものは摩耗低減剤が使用されているオイルなので、バイクには使うことができません。
バイクのエンジンオイルに関するよくある質問

ここからはバイク用エンジンオイルに関するよくある質問とその回答をQ&A形式で解説していきます。
Q.オイル交換を怠るとどうなる?
A.エンジンの不調に繋がる可能性が高くなります。
始動性の悪化やレスポンス低下、燃費の悪化など故障までいかずとも不調が出て来ることが多くなるでしょう。
また、油膜切れが多くなりオーバーヒートや焼付きなどの重大な故障に繋がることも考えられます。
エンジンオイルを定期的に変えることは安心・安全なバイクライフにおいて必要不可欠です。
Q.走っていなくてもオイル交換が必要なのはなぜ?
A.走っていなくてもエンジン内で空気と反応してオイルが酸化することで劣化していくためです。
走っていなくても交換してから半年ほど経過したオイルは交換するようにしましょう。
Q.車用のエンジンオイルは使える?
A.車用のエンジンオイルはバイクには使用できません。
車のエンジンとバイクのエンジンでは構造が違います。
摩耗低減剤が悪影響を及ぼし、エンジンの不具合や故障に繋がる可能性が高くなります。
Q.銘柄の違うエンジンオイルは混ぜて使っても大丈夫?
A.違うメーカーのオイルを混ぜて使用するのは危険です。
オイルメーカーごとにオイルの中身は違います。
無駄なエンジントラブルを防ぐためにも、同じ銘柄で同じ粘度のオイルを使用するようにしましょう。
Q.フラッシングはしたほうが良い?
A.基本的にはしなくても大丈夫です。
エンジン内部を洗浄する効果はありますが、一般的な使用用途で定期的に正しいタイミングでエンジンオイル交換を行っていれば気にしなくても大丈夫でしょう。
Q.エンジンオイルの粘度は季節で変えたほうがよい?
A.夏と冬での気温差が極端に大きかったり、よほどの寒冷地でなければ10W-40、10W-50で通年使用可能です。
性質上、夏であれば10W-40よりも10W-50のほうが高温での粘度は高いですが、重要なのはメーカー指定規格のオイルを選択することです。
Q.エンジンオイル選びで困ったらどうすればよい?
A.メーカー指定のオイルを選ぶのが最も安心です。
「メーカー指定のオイル以外にしたいけど悩んでいる」という場合には、専門知識が豊富なバイク用品店やバイク販売店のスタッフに相談すると良いでしょう。
Q.エンジンオイルはどこで購入できる?
A.バイク用品店やバイク販売店で購入可能です。バイク初心者はバイク用品店での購入がオススメです。
ホームセンターやAmazonなどの通販サイトでも購入することができますが、バイク初心者におすすめなのはバイク用品店です。
エンジンオイルは多くが1L単位で販売されていますが、交換に必要なオイル量必ず1L単位になるとは限りません。
バイク用品店やバイク販売店では必要な分だけ量り売りしている店舗も多く、微妙に余ってしまうなどの無駄も生まれません。
また、知識豊富なスタッフに相談できることもポイントと言えるでしょう。
Q.オイル交換はどこでできる?
A.バイク用品店やバイク販売店に依頼することができます。
必要な工具や交換用品が揃っていれば自分でも行うことができます。
また、バイクは車と違いガソリンスタンドでオイル交換を対応しているところがほとんどないため注意が必要です。
Q.エンジンオイル交換はメンテ初心者でもできる?
A.工具や必要部品さえ揃っていればメンテ初心者でも比較的簡単に作業できます。
エンジンオイル交換はバイクメンテナンスの中でも難易度が低い部類なので、バイクメンテナンスの第一歩としてチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
Q.原付バイクでもエンジンオイルをちゃんと交換した方が良い?
A.排気量の小さい原付バイクこそしっかりオイル交換を行う必要があります。
排気量が小さいバイクほどオイル量が少なく高回転を多用するため、オイルの劣化が早い傾向にあります。
Q.高くて性能の良いエンジンオイルを長く使うのと安いエンジンオイルをまめに交換するのはどっちが良い?
A.車種によって条件が異なるため一概には言えませんが、多くの場合は安いエンジンオイルをこまめに正しいタイミング、もしくは少し早めに交換するほうが良いでしょう。
一番重要なのは適切なタイミングでオイルを交換すること。
高いオイルは安いオイルと比較して性能が高く、耐久性も高い傾向にはありますが、それでも交換タイミングが長いというわけではありません。
適切な時期に正しい種類のエンジンオイルに変えよう
オイル交換は長年バイクに乗っているライダーほどこだわっている部分です。
ベテランライダーになるにつれ、高いオイルと安いオイルの違いや、適切な交換時期を十分に理解していることでしょう。
ただのオイルと言えど、オイル一つで気になる不調が軽減されたり、いつもよりエンジンのパワーが上がったように感じることもあります。
交換時期を見誤らず、正しい種類のオイルへ交換してみてください。
オイルだけで今よりもっとバイクが楽しくなるかもしれません。







