バイクには走行に関する重要な部品が様々ありますが、その中でもタイヤは直接地面に接してエンジンのパワーを伝達させる重要なパーツです。
走りにも当然影響があり、センターがすり減ったタイヤから新品のタイヤに変えるとまるで違うバイクに乗っているんじゃないかと錯覚するほど。
「溝が残っていればまだいける」と思う方もいるかもしれませんが、実は溝以外にもタイヤを変えたほうが良いサインはあるのです。

今回はそんなバイクのタイヤの寿命や交換時期について解説していきます!

バイクのタイヤには寿命がある

バイクのタイヤには寿命があり、寿命に近づくにつれグリップ力の低下やハンドリングの悪化など、様々な悪影響が出ます。
「タイヤのせいでライディングを60%くらいしか楽しめていない」というような状況もありえるうえ、最悪の場合事故へ発展する可能性もあるため日常的な点検が重要です。

ここからは寿命を縮める要因について解説していきます。

走行距離


タイヤの寿命が短くなる一番の要因は走ってタイヤが擦り減っていくこと。
タイヤは消耗品のためバイクに乗れば乗るほど擦り減っていきます。
使用用途や走り方にもよって異なりますが、一般的にはタイヤを新品にしてから走行距離10,000~20,000kmが交換の目安と言われています。

経年劣化

保管状況や使用状況次第で紫外線や高温のアスファルトの影響を受け、走っていないくてもゴムの劣化が進んでいく場合もあります。
特に日が当たりやすい場所での保管だったり、走った距離が短くてもタイヤをハードに使うサーキット走行などをした場合はタイヤの寿命が短くなりやすい傾向にあります。

バイクのタイヤの交換時期

スリップサインが出ている


タイヤのスリップサインはタイヤに掘ってある溝の一部に出っ張っている部分。
新品状態では地面とは接せずに溝の奥にありますが、タイヤが擦り減っていくと徐々にスリップサインが露出していきます。
スリップサインが地面と露出する前にタイヤを変えましょうというサインです。


スリップサインはタイヤ交換の目安となるため、スリップサインが出た状態で公道で乗っていると整備不良に該当したり車検にも通りません。

また、スリップサインまで達していなくても、経年劣化やセンターだけが減りすぎている場合などもあるため、交換時期はスリップサインだけでなく総合的に判断することが重要です。

ひび割れ


タイヤの溝の中心あたりから徐々にヒビが入ってしまっている場合も交換時期といえるでしょう。
ひび割れはゴムが劣化が原因のため、放置していると走行中にバーストしてしまう危険性もあります。

特に屋外保管は紫外線の影響でひび割れが発生しやすいため、屋外に駐輪する場合でもできるだけカバーをかけたり、直射日光が当たらないようにするのが得策です。

年数

タイヤを新しくしたまま乗っておらず、溝が残っていたとしても紫外線などの影響で劣化していくため、製造から3〜5年が寿命の一つの目安として知られています。

いつ製造されたタイヤなのかを知りたい場合、タイヤのサイドウォールを見ればタイヤの製造年を確認することができます。

異物が刺さっている


公道は様々な車も通る道。
たくさん走っていればどこかの車が落としたネジや異物を踏んでしまってタイヤに刺さることがあります。

この場合はタイヤの使用年数や溝の残りにかかわらず、早急に交換したほうが良いでしょう。
パンク修理キットで対応できることもありますが、刺さったまま走っているとパンクやバーストして事故につながる可能性もあります。

パンク修理跡がある

異物などが刺さってパンク修理した場合、少なからずタイヤが多少変形しているため、修理後にそのまま乗り続けるというのは望ましくありません。

パンク修理はあくまで応急処置であり、その後長期間使い続けるのではなくなるべく早めに交換しましょう。

フラットスポットができている

車両をしばらく動かさずに保管していると、地面に設置していた部分のタイヤが変形して曲面ではなく平らなフラットスポットができてしまうことがあります。

この場合もフラットスポットを完全に曲面に戻すことはできないため交換したほうが良いでしょう。

偏摩耗している

タイヤの偏摩耗とは正しい減り方ではなく一部が極端に減っていたり、普通に走っているだけなのに通常ではありえない減り方をしてしまうこと。
その原因は様々でブレーキのメンテナンス不足やチェーンラインが真っ直ぐではなかったり、ブレーキを引きずりながら乗ることだったり理由は様々。

偏摩耗した状態で乗るのは危険なので、交換する際はタイヤを新しくするだけでなく、一度プロの整備士に見てもらって偏摩耗の原因を探して交換と同時に修理しておきましょう。

バイクのタイヤの交換はどこでできる?


車の場合はガソリンスタンドなどでも交換ができますが、バイクの場合はバイク用品店かバイク販売店のどちらかで行うのが一般的です。

おすすめはバイク用品店。
様々な銘柄のタイヤが店頭に在庫で置いてあるケースが多く、タイヤ知識豊富なスタッフに相談しながら自分のバイクライフにあったタイヤを現物を見ながら選ぶことができます。

タイヤは前後の同時交換がおおすすめ


タイヤ交換する際は前後同時交換が推奨されています。
バイクは後輪駆動のためリアから減りがちなので、「フロントはそのまま、リアだけ新品に」という考える人も多いでしょう。

ですがベストなのは前後同時交換。
リアだけ交換した場合、前後でタイヤの丸みが違っていて、挙動に影響が出る可能性があるためです。

タイヤ交換は自分でできる?


自転車のタイヤ交換やチューブ交換は比較的簡単に行えますが、バイクの場合はそう簡単にはいきません。

まず車体をジャッキアップしてタイヤを外し、タイヤを外して付けるだけでも空気圧調整やムシ外し、ビードクリームなどバイクメンテ初心者が簡単にできる作業ではなく、多くの専用工具が必要になります。

参考までに、筆者が初めて自分でタイヤ交換をしたときはリアだけで5時間以上かかりました。

また、外した廃タイヤも家庭ごみとしては捨てられず、処分できる場所へ持っていく必要があります。
常に地面と接している重要部品なので、プロの整備士に任せるのが安心・安全です。

タイヤ交換の費用目安


バイクのタイヤ交換費用は車種と選ぶタイヤで大きく値段が変わり、店によっても交換工賃が変わってきます。

一般的なタイヤサイズで、銘柄にこだわらずに最安を求めた場合の予算としては以下の金額が参考となるでしょう。

・タイヤの小さい50ccの原付スクーター:1万円~
・250cc〜400ccの中型バイク:3万~
・400cc以上の大型バイク:5万~

詳細な金額はバイク販売店やバイク用品店へ確認するのが確実ですが、大体の相場感は把握しておいて出費に備えておきましょう。

タイヤの寿命を伸ばすには?

最後にタイヤの寿命を極力伸ばせる、ちょっとしたテクニックを紹介します。
週末限定など、そこまで走らないライダーにとって3年〜5年と幅のある寿命をどう伸ばすかは重要なポイント。

日頃のライディングやバイクの保管方法などにちょっと気を使うだけで寿命を延ばす事ができます。
誰でもできる簡単なテクニックですので参考にしてみてください。

急のつく動作をしない


急発進はリアタイヤ、急ブレーキはフロントタイヤに悪影響が出て偏摩耗の繋がる可能性があります。
急のつく運転はそもそも危険なので、ゆったりとゆとりを持った運転を心がけましょう。

バイクカバーを使用する


バイクを自宅に停めておく際、バイクカバーで覆うことで太陽の光が直接当たらないようにしましょう。
色はシルバーで生地の厚みがしっかりあるものを選ぶと長く使い続けることができます。

定期的に空気圧調整を行う


空気圧の低い状態や高すぎる状態で走行するとタイヤに負担がかかり、劣化が早まってしまいます。
指定空気圧で走行できるように、月一回はタイヤの空気圧を調整するようにしましょう。

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タイヤの選び方に注目する


タイヤには様々な種類があり、それぞれ違った特技があります。
スポーツタイヤはグリップ力は抜群ですが摩耗が早く、タイヤライフは短い傾向にあります。

対してツーリングタイヤはスポーツタイヤほどのグリップ力はありませんがりタイヤライフが長い傾向にあります。
自分の走り方や使い方次第で装着するタイヤのキャラクターにも注目して選んでみてください。

タイヤの交換時期は適切に

タイヤの交換時期や判断方法、寿命を伸ばすテクニックについて解説してきました。
何度も言うように、タイヤはバイクの走行に関する重要なパーツです。
いくら車体がしっかりメンテナンスされていて完璧な状態でも、タイヤがダメだとバイク全体がダメになってしまいます。
定期点検と日常点検をしっかり行い、タイヤの状態をセルフチェックすることで適切な交換タイミングでタイヤを新しくしましょう!

筆者プロフィール

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