バイクはタイヤが2つしかない乗り物のため、基本的にライダー無しでは自立しない乗り物です。
そんな乗り物を自立させるために使うのがスタンド。

車体左側から出るサイドスタンドがよく知られていますが、実は他にもセンタースタンドを始めメンテナンススタンドなど様々なスタンドがあるんです。

今回はバイク初心者の方に向けてバイクのスタンドについて解説していきます!

サイドスタンド

サイドスタンドの特徴

バイクのスタンドの中で最もメジャーと言っても過言ではないのがサイドスタンド。
基本的にバイクの車体左側に取り付けられていて、足で手軽に出し入れすることができます。

車体は直立せず、スタンドがある左側に傾いて車体を支えます。

サイドスタンド・フロントタイヤ・リアタイヤの3点で接地しているため、平らな場所では安定してバイクを支えることができます。

サイドスタンドの使い方

サイドスタンドはバイクの停車時、走り出す際のスタート時に操作するものです。
まずは停車時から使い方を説明していきましょう。

サイドスタンドには足を引っ掛けるための取っ手があることが多く、ここに足を引っ掛けてスタンドを前に蹴り出し、スタンドをしっかり前に出しきってから車体を傾け、車重をスタンドに預けて支えます。
一部の車種ではサイドスタンドが出にくかったり、完全に前まで出ておらず車体が倒れてしまうことがあるので、しっかり前まで出し切れているか足で確認するのがベストです。

サイドスタンドはあくまで平坦な場所で機能するように設計されており、傾斜がある場所や路面に大きな凹凸がある場合は安定せず、最悪の場合倒れてしまう危険性があります。

必ず平坦な場所でサイドスタンドを使い、やむを得ず多少の傾斜面でサイドスタンドを使う場合は、車体が前後に進まないようにギアを1速に入れておくのがオススメ。

次にスタート時にスタンドを払ってまたがる場合。
車体に跨る前に起こし、起きた状態でスタンドを足で払って車体に跨がります。

跨ってから車体を起こし、スタンドを払うパターンもありますが、これの場合サイドスタンドの設計時に計算している車重にプラスしてライダーの体重も上乗せされて過度に力がかかってしまうため、スタンドが曲がったり折れてしまう可能性があるため、できるだけスタンドは払ってから車体に跨るようにするのが安心でしょう。

サイドスタンドはなぜ左についている?

バイクのサイドスタンドが車体左側についているのにはいくつか理由があるとされています。

日本は左側通行であり、車体右側の車道側で乗り降りするのは危険なのでスタンドが左側に付いて歩道側で乗り降りするという説が浸透しています。

しかし、右側通行で右ハンドル車が多い国でもバイクのスタンドは左側に取り付けられていることが多いため、一概にこれが理由とは言い切れません。

理由は諸説あり、馬に乗る際は左側から乗ることが由来している説や、多くの人の利き足が左足を軸足として使うことが多いためという説もあります。

サイドスタンドが右についているバイクもある

基本的にほぼ全てのバイクはサイドスタンドが左側に取り付けられていますが、一部のバイクはサイドスタンドが右側に取り付けられているモデルもあります。

中でも右側に取り付けられていることで有名なホンダのCT110は牧羊で使われる想定をしており、複雑な路面でも安全に停めるため、左右両側にサイドスタンドが取り付けられています。

センタースタンド

センタースタンドの特徴

サイドスタンド以上に安定して停めることができ、リアタイヤを浮かせることができるセンタースタンド。
教習所でもセンタースタンドをかける教習がありますが、サイドスタンドと比較してかける際に少々コツが必要です。
慣れれば簡単なので難しく捉える必要はありません。

センタースタンドは左右それぞれで支える事ができ、フロントタイヤとサイドスタンドの2点で接地することになります。

センタースタンドの使い方

センタースタンドをかける際は車体左側に立ち、センタースタンドを下に押し込みながら車体を上に引き上げ、リアタイヤを浮かせることでセンタースタンドをかけます。

この時、センタースタンドを下に蹴り込む力で車体を上げようとするとうまくかからないため、蹴り込むよりも自分の体重をかけながら車体を上に引き上げるのを強くイメージするとかかりやすいと思います。

次におろし方。
センタースタンドを下ろす場合はハンドルを両手で持ち、前に押し出しながらセンタースタンドを解除し、解除できたら前ブレーキで車体が進んでいかないように制御して降ろします。

この時、単に前に押すだけでは力が弱くセンタースタンドが降りない可能性があるため、一度車体を後ろ方向に引っ張り、前に戻る反動を利用してセンタースタンドを降ろします。

かける際も降ろす際も力のかけ方が重要で、力技ではなく、テコの原理をうまく使って車体を動かし、スタンドを操作しましょう。

センタースタンドが標準装備されるバイクの特徴

センタースタンドはバイクのバンク角を少なくしてしまうため、スポーツ系のバイクにつくことは少ない傾向にあります。
スクーターにはセンタースタンドが取り付けられいることがほとんどで、他にもネイキッド、ツアラー、アドベンチャーなどのバイクに取り付けられていることが多いです。

純正では付いておらず、オプションで取り付けることも可能ですが、車種によっては専用品が出ておらず、後付けが難しい場合も多くあります。
その場合はメンテナンススタンドを使ってリアタイヤを浮かせましょう。

サイドスタンドとセンタースタンドの使い分け

センタースタンドは車体が直立してリアタイヤがフリーになるため、チェーンのメンテナンスやオイル交換等の日常的なメンテナンス時に活躍します。

その反面風が強い台風の日や、強い地震の時などはサイドスタンドと比較して倒れやすいため、普段の停車や駐車時はサイドスタンド、メンテナンス時はセンタースタンドと状況に合わせて使い分けるのがおすすめです。

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メンテナンススタンド

メンテナンススタンドとは

バイク本体に取り付けられているスタンド以外で販売されているメンテナンス用のスタンドで、リアタイヤを浮かせることができます。

先述したセンタースタンドがメンテナンススタンドと呼ばれることもありますが、ここではあくまで社外品のメンテナンススタンドについて解説していきます。

メンテナンススタンドを使用するメリット

レース専用車はバンク角確保のためサイドスタンドが取り付けられていないモデルも多く、サイドスタンド、メンテナンススタンドがついていないバイクのメンテナンス時に役立ちます。

他にもカスタムやマフラーの取り回しによってセンタースタンドを取り外したバイクのメンテ時にも活用できます。

メンテナンススタンドの使い方

メンテナンススタンドをかける場合、車体後ろ側にあるホイールが付いているアーム、スイングアームの下にメンテンススタンドをかけます。
写真ではスイングアームに取り付けられたピポッドの引っ掛けていますが、スイングアームをしたから支えるタイプなど、アダプターによって支え方を変えることができます。

車体を直立させたらスタンドを下に蹴り込み、スイングアームの下にメンテンススタンドが入り込むことでリアタイヤ浮きます。
車体を支える側、スタンドを降ろす側の2人でやるのがベストですが、やむを得ず1人でやる場合はバイクを直立させたまま車体後ろ側に回り込む必要があるため、倒れないように注意しましょう。

降ろす場合はサイドスタンドを出しておき、メンテナンススタンドを上に引き上げてリアタイヤを設置させ、サイドスタンド側に傾けて降ろします。

こちらも2人でやるのがベストですが、1人でやる場合は外した際に車体が倒れないように注意しましょう。

メンテナンススタンドの種類

メンテナンススタンドにも様々な種類があります。
いくつか紹介していきましょう。

スタンド型 リア

先述したリアのスイングアームにかけてリアタイヤを浮かせるスタンドです。
主にチェーンメンテ時、ブレーキ、タイヤ交換時に使用します。

スタンド型 フロント

こちらは前タイヤを浮かせるメンテナンススタンド。
仕組みはリア用と同じですが、ステムの下の穴にシャフトを挿し、そこを軸にフロント側を上げるスタンドになります。
主にフォーク、ステム周りの整備や、フロントタイヤ交換時に使用します。

ローラー型

センタースタンドが付いていないバイクのチェーンメンテ時やホイールの洗浄時に楽にフロント・リアタイヤを回転させるためのスタンドです。
サイドスタンドを使用しながらタイヤをローラーの上に乗り上げ、手動でタイヤを回転させながら使用します。

1人でメンテナンスする場合かなり楽に使えるスタンドですが、その反面タイヤを取り外すなどの作業はできません。

リフトアップ型

サイドスタンドと併用してリアタイヤを浮かせるためのスタンドです。
車用のジャッキと似たような構造で、スイングアーム片側にスタンドを接地し、スタンドの回転部を回すことで高さが増し、リアタイヤを浮かせます。

主にチェーンメンテ時に使用することが多く、ホイールの取り外しなどの重整備には適していません。

オフロードバイクスタンド

オフロードバイク専用のスタンドで、主にスタンドが取り付けられていないモトクロス用のレーサーなどで使用します。
車体の下にスタンドを接地し、スタンドのレバーを下に降ろすことでリフトアップし、リアタイヤを浮かせます。

かけ方によっては前後それぞれのタイヤを浮かせる事もできますが、基本通常のバイクはマフラーが車体下にあり、オフロードバイクのようにフレームで支える部分もないため、基本的にオフロードバイクでしか使えないスタンドになります。

メンテナンススタンドの選び方

メンテナンススタンドを購入する場合、「買ったはいいけど使えない」といったことを防ぐために、事前によく調べてから購入するようにしましょう。

愛車で使用する場合、買ったスタンドがフックなどの受け具が必要なスタンドかどうか、耐荷重は大丈夫か、など所有しているバイクでしっかり使用できるか確認しておきましょう。

調べてもよくわからない場合、バイク用品店のスタッフに相談して選ぶと安心です。

スタンドを便利に使ってバイクをメンテしよう

バイクのスタンドはサイドスタンド、センタースタンド以外にも様々なスタンドがあります。
ですが基本安全に駐車させるために使用するのはサイドスタンド、センタースタンドのみで、それ以外はメンテナンス用になります。

ですがバイクのメンテナンスは前後どちらかのタイヤを浮かせた状態でないとできないメンテナンスも多いため、自分の愛車にしっかり使えるスタンドを選んでメンテナンス時に活用するようにしましょう!

筆者プロフィール

Bike Life Lab supported by バイク王

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