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冬場に一番ほしいアイテムと言えば、グリップヒーターです。春・秋でも体感温度が下がる高地や雨天時など意外と幅広く活躍してくれるので、コスパは絶大です。そこで今回は、実際に装着したレポートをお届けします。

1.装着簡単!ワイズギア「グリップウォーマー360 A」を用意

まず最初に、今回、セロー250(2015年モデル)に取り付けるべく選んだのは、ワイズギアから出ているヤマハ車専用の「グリップウォーマー360 A」。車種専用ではないですが、原付スクーターから大型バイクまでヤマハ車のタイプごとに全6種類をラインナップしています。全くの汎用製品を買うより取り付けに苦労がなく、車体にマッチするように設計されているのでオススメです。ヤマハ車に乗られている方は要チェックです!

この製品の主な特長は、以下になります。

①スロットルチューブ一体構造
純正グリップと同じ太さ(31.4mm)を実現(※ヒーター機能付グリップとして世界最小径)。スロットルチューブ一体構造なので、取り付けが簡単!

②ステンレス発熱体の採用
電熱線タイプに比べ温まりにムラがなく耐久性が高い。指先を温めるヒートスポット構造を採用

③出力設定はボタンプッシュ式3段階
Hi(100%)、Mid(70%)、Lo(50%)の各出力レベルは任意に設定変更も可能

④バッテリー保護機能付き
バッテリー電圧に応じて出力を自動で調整し、バッテリーがあがりにくい設計

⑤主要な部品は単体購入が可能
スロットルチューブ一体構造の右グリップ、左グリップ、コントローラ、ブラケットのほか紛失しやすいハンドル端のエンドキャップなど補修部品が充実。長く愛用できる

なお、ヤマハ車以外の方でも、グリップヒーター取り付け時の基本的な手順や方法といったものは、ほぼ同じですので、ぜひ参考にしてください。また、電装系アイテムの取り付けという意味では、過去記事「いまやバイクの必須装備「USB電源」を装着しよう!」もあわせて読んでみてください。電装系アイテム取り付けの概念や電装工具の使い方など参考になると思います。

2. コントローラと左側グリップの取り付け


説明書に沿って、取り付けを進めます。まずは、コントローラとブラケットを固定し、ブラケットをミラーAssy.に共締めします(上写真)。スイッチハンドルの操作をさまたげないように位置を調整します。この工程に関しては、特別に難しいことはないので省きます。

次に、左グリップを装着します。

①古いグリップを外す
グリップは接着剤(グリップボンド等)でハンドルに固定されているので、グリップとハンドルのすき間にパーツクリーナーを吹き入れて、接着剤を溶かしながら進めます。

エアガンがない場合は、マイナスドライバーなどをすき間に刺しこんで、こじるようにすると徐々にグリップが外れてきます。

②ハンドルバーに残っている接着剤を拭き取り、新しい接着剤を薄く塗る
ハンドルバーには接着剤がところどころに残っている(左写真)ので、パーツクリーナーとウェスなどできれいにふき取ります。その後、左グリップを取り付ける前に、新しい接着剤(別売り)を薄く塗ります(右写真)。接着剤は塗り過ぎないように注意し、余分な接着剤は拭き取ります。

③配線の角度を調整しながら、左グリップを押し込み、位置決めをする
本製品に限らず言えることですが、グリップヒーターはグリップの根本から配線が出ているため、配線の取り回しを考えながらグリップの固定位置を決める必要があります。本製品の場合は、車両進行方向に対して90度の位置から配線が出るようにします。なお、接着剤が完全に固まるには24時間ほど必要ですので、その間は取扱いに注意が必要です。

左グリップの配線とコントローラの配線をスイッチハンドルの配線と結束バンド(付属)で固定し、ハンドルポストの中央へ這わせていきます。

3. 右グリップの取り付け


通常は、右グリップも左グリップ同様にパーツクリーナーなどを使って外す、または再利用の予定がないのなら右グリップ自体をカッターなどで切って外せばよいのですが、本製品はスロットルチューブ一体構造なので、その手間がありません。

①スロットルホルダーを分解し、チューブガイドごと右グリップを外す
スロットルホルダーを分解し、スロットルケーブルをチューブガイドから外して、右グリップがついたままのチューブガイドを引き抜きます。とても簡単に外せます。

②本製品付属の右グリップを取り付ける
本製品は、コーナートップの写真のようにスロットルチューブ一体構造なので、配線の延びた右グリップをハンドルバーに差し込み、スロットルケーブルをはめ込んで固定、スロットルホルダーを組んでしまえば装着完了です。

右グリップの配線はスロットルワイヤーかスイッチ配線に沿って這わせ、結束バンド(付属)で固定し、ハンドルポスト中央へ無理なく持って行きます。セロー250の場合は、右グリップの配線が上側に出てくるので、全閉から全開までスロットルを回してみて、動きを阻害せず、引っかかったりしないように配線を取り回し、スイッチ配線と結束しました。

4. サブハーネスの取り付け


ここまでで、コントローラ、左グリップ、右グリップを取り付けました。ここからは、いよいよサブハーネスの取り付けとなります。万が一のバッテリー上がりを防ぐため、電装系アイテム装着時の基本である「バイクのイグニッションキーをONにした時にのみ通電する」ようにするため、車両のヘッドライトリレーにサブハーネスを割り込ませる作業に移ります。

①作業の前にバッテリーのマイナス端子を外す
各部のバルブやリレー、端子や電子機器など電装系をいじる時の基本です。作業の前にバッテリーのマイナス端子を外して、端子とバッテリーが接触しないように遮断しておきます。こうすることで、作業中にふいに発生したショートによる電装系部品へのダメージを防ぐことができます。

②カウル類を外し、ヘッドライトリレーを確認する
ヘッドライトリレーの位置は車種によって様々なので、本製品説明書または車種専用のサービスマニュアルなどを参照します。セロー250の場合は、右サイドカバーの内側、バッテリーに向かって右側に指先くらいの大きさの黒いカプラホルダーがありますが、そのホルダーにヘッドライトリレーカプラ(白色半透明)が接続されています。

③カプラから端子を抜き取る
作業としては、慣れていないと、ここが少し大変かもしれません。ヘッドライトリレーカプラをホルダーから外し、端子抜き工具(専用品があり1,000円ほどで市販されています)または細いドライバー等を使って、ヘッドライトリレーカプラの抜け止めを外しながら指定された端子を1本抜き取ります。※図は、本製品の説明書より転載

④ヘッドライトリレーカプラとサブハーネスを接続する
ヘッドライトリレーカプラにサブハーネスを割り込ませます。サブハーネスについていたカプラaを外して、③で抜き取った端子に取り付けます。

サブハーネス側の2つの端子を1つはカプラa(抜き取った端子の先端)と、もう1つはヘッドライトリレーカプラの抜き取られた端子スペースと接続します。

⑤各部の配線とサブハーネスを接続し配線、電源ONで確認する
コントローラ、左グリップ、右グリップのそれぞれから延びている配線をハンドルポスト部で集合し大き目の結束バンド(別売り)で結束します。この際、ハンドルを左右目いっぱいに切って、干渉がないことを確認します。配線の取り回しがOKならばバッテリー側から延びているサブハーネスと3つのコネクタで接続します。それぞれのコネクタは灰色、黒色、黄色と色分けされているので間違える心配はありません。

余分な配線は、書類入れの中でまとめました。サブハーネスはメインフレームに沿って配線し、要所では結束バンドで固定しています。最後に、外していたバッテリーのマイナス端子を接続し、イグニッションキーをONにして、正常に接続できているかを確認します。イグニッションONに連動してコントローラのインジケータが点灯、ボタンを押して作動し、実際にグリップが温かくなればOKです。

なお、イグニッションONの瞬間、Hi、Mid、Loのいずれかのインジケーターが点灯することで、バッテリーの電圧状況を教えてくれます。右写真のようにLoの点灯であれば、バッテリーが弱っている可能性があります。バッテリー専用充電器を使い、バッテリーの補充電をするか、それでもダメな場合は新しいバッテリーに交換しましょう。

5. グリップヒーターがあれば、冬場や低温下でも走り続けられる


本製品は、ボタン1つで3段階調整(Hi100%、Mid70%、Lo50%)+OFFというシンプルな操作性とバッテリー保護・診断機能のほか出力設定を好みでカスタムできる点など、とても魅力的な製品となっています。真冬のツーリングはもちろんのこと、雨天時や低温下でも大活躍してくれること間違いなしです。ぜひ一度、体感してみてください!

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筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。