丹後半島は京都府の最北部、日本海に突き出した半島だ。
全長は約25kmで半島一周の周遊総延は約100km。
透明度の高いアクアブルーの海と変化に富んだ海岸風景、趣のある集落群と絶景感も抜群。
手頃な距離感も相まって近畿圏屈指のツーリングスポットとしても人気のエリアだ。
関東圏で例えるなら少々小振りな伊豆といったイメージだろう。

“半島”である事から周遊ルートがやはり定番。
しかし、沿岸ルートの主線である国道以外に旧国道を絡めると更に趣抜群の旅が楽しめる。

旧道は現在も概ね1.5車線の鄙びた街道だが、国道ルートは全線が線形改良された快走2車線路。
初心者でも比較的安心して走行可能だが、想像以上にペースが上がりやすく速度には要注意だ。

とは言え、休日は観光車両やマイカーも多く、メジャー観光地界隈では若干の混雑も見られる。
天橋立や伊根の舟屋といった有名観光地も擁しており、近畿圏では比較的メジャーな観光エリアと言えるが、旧道沿線には穴場的スポットも沢山。
また、内陸部も穴場な絶景スポットや絶景区間が点在しており、風景変化に富み奥深い探訪が楽しめるエリアでもある。

しかし、初訪問ならお勧めはやはり透明度の高い感動的な日本海の光景だ。
走りやすい国道の外周ルートを走るだけでも日本海の美しさと荒波が削った豪快な海岸風景に感動できる事間違いない。
バイクの穴場的聖地とも言える丹後半島の絶景と原風景を堪能しに行ってみよう!

定番!お勧めツーリングロード

国道178号(丹後半島外周ルート)


丹後半島の沿岸を一周する国道ルート。
沿岸の旧国道等を含め海岸直近のみを走るルートレイアウトも可能だが、宮津市街より最北端の経ケ岬を経由し、久美浜へ至るルートが最も一般的だろう。
総延は約100km。日帰りツーリングにも丁度良い距離感でアクセスも非常に良い。
潮風を感じつつも山的要素も同時に楽しめる多彩な風景感が特徴的で、満足感も非常に高い。
路面状態も良好で初心者でも安心して楽しめるツーリングルートだ。

デジタルマップURL


https://www.google.com/maps/d/u/0/viewer?hl=ja&mid=1cvgQPB2kdGWiWn9FNgRjNFpjxKIofNc&ll=35.66528146662642%2C135.103562&z=11

丹後半島の絶景スポットをキミのGoogleMapに表示するデジタルガイド。
記載のツーリングスポット10選はもちろん、その他多くの絶景スポットを公開中!

ツーリングスポット10選 ~丹後半島編~

伊根の舟屋



京都府与謝郡伊根町平田
京都縦貫自動車道、与謝天橋立ICより23km/30分

“舟屋”とは住居の一階が舟の格納室、二階が作業場となっている建物の事。
漁船のメンテナンスと諸作業を効率良く行うこの地域独自の建築様式だ。
地域一帯にはで約230件もの舟屋が建っており、まるで建物が海上に係留されているかのような独特の景観が魅力だ。日本の原風景の一つとも言える。

天橋立

 


京都府宮津市文珠
京都縦貫自動車道、与謝天橋立ICより4.7km/6分

日本三景の一つと言われる歴史深い絶景スポット。宮津湾を横断する約3.6kmの砂洲だ。
日本唯一の湾内の砂州で松林も自然林。多くの歌人達にも愛された景観。
125cc以下のバイクなら何と砂洲上を通行可能!激レアな体験が可能だ。定番の一大観光地ながら一度は行っておきたい。

越浜海岸

 


京都府宮津市島陰
京都縦貫自動車道、宮津天橋立ICより9.4km/15分

丹後半島の基部にある穴場的スポット。正確には栗田半島であるが丹後半島と極めて近い。
白砂にエメラルドグリーンの海。思わず見とれる感動しかない光景だ。
海水浴シーズンを外せば観光客は皆無。美しい絵画の世界を存分に堪能できる。
あまり広い浜ではないが、海岸に降りて散策するのがお勧めだ。

屏風岩



京都府京丹後市丹後町筆石
京都縦貫自動車道、京丹後大宮ICより25km/35分

1500万年ほど前に火山活動によって生まれた屏風状の岩。
高さは約13m。海上からそそり立つような様相と美しいアクアブルーの海が大変見事な絶景ポイントだ。
周遊ルート上に展望台が設置されており、素晴らしいフォトスポットでもある。
徒歩で直近まで近づく事も可能。地球創成期の息吹を感じるジオスポットだ。

琴引浜

 


京都府京丹後市網野町掛津
京都縦貫自動車道、京丹後大宮ICより21km/30分

歩くと砂がキュッと鳴く、いわゆる“鳴き砂の浜”として知られるスポット。
砂の目が細かく不純物が極めて少ない事がその理由だが、鳴き砂を堪能できる浜は非常に少なく、貴重な体験ができる。
ここを目的地として走るライダーも多く、旅の目的地としても人気のスポット。音と共に白砂と海の絶景を堪能しよう。

廻旋橋



京都府宮津市文珠
京都縦貫自動車道、与謝天橋立ICより4.7km/6分

天橋立南端部の水路に位置する可動橋。船舶の往来時に90°回転して進路を作る珍しい橋だ。正式名は小天橋。一日で多い時は50回程度可動している。
現在、国内で稼働中の同形式の可動橋は東京都の羽田可動橋・富山県の生地中橋・山口県の錦橋などがあるが、天橋立の廻旋橋は常時稼働中の貴重な橋だ。

犬ヶ岬



京都府京丹後市丹後町此代
京都縦貫自動車道、京丹後大宮ICより27km/35分

先端の小岩と岬の遠景が子犬を連れた人間に見える事から命名されたと言われている。
犬ヶ岬園地より遊歩道が整備されており、岬先端の小岩まで散策可能。先端までは片道約20分程度だ。
道路上からも存在感抜群の威容が特徴的だが、時間に余裕があればぜひ海岸の散策がお勧めだ。

上世屋集落 ささぶきの里



京都府宮津市上世屋
京都縦貫自動車道、与謝天橋立ICより18km/30分

丹後半島の魅力は海岸部だけではない。周遊道より若干内陸部へ入ると、日本の原風景とも呼べる古民家と棚田が広がる集落がある。
日本の里100選にも選定されたこの上世屋集落は懐かしさ抜群の光景が広がる絶景地だ。
家屋の屋根はチマキザサで葺かれており、カヤとの違いも見どころの一つ。穴場的絶景地だ。

新井の棚田



京都府与謝郡伊根町新井
京都縦貫自動車道、与謝天橋立ICより26km/35分

美しい海と水田が一度に俯瞰できる貴重なスポットとしても人気の絶景地。
海岸直近の断崖上の棚田でロケーション抜群だ。
圃場自体は区画整理されており現代的な様相だが、ブルーの水平線が背景に広がる幻想的な光景が感動的だ。
伊根の舟屋からも比較的近く、周遊旅にぜひ絡めて訪れてみよう。

向井酒造



京都府与謝郡伊根町平田67
京都縦貫自動車道、与謝天橋立ICより23km/30分

伊根町は舟屋だけではない。舟屋群の一角には銘酒の蔵元があり、素晴らしい日本酒が入手できる。
この向井酒造では女性杜氏が醸しており、古代米を使用した特徴的な製品もラインナップ。
定番の“京の春”は地の食材に合った味として地元で特に人気。
生酒モデルもある、ぜひ一度試してみてはいかがだろう?

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。