現代でこそ、快適性に優れた毎日の移動のお供として、多くの人々の生活を支えるコミューターである“スクーター”。

しかし、80年代から90年代にかけて日本を席巻したバイクブームのさなか、各メーカーは移動手段であるスクーターにさえ“スポーツ”を持ち込みました。

今回は、そんな熱狂の時代に生まれたスポーツスクーターたちをまとめてご紹介します!

1987年 スズキ:ハイR

SUZUKI Hi R
総排気量:49cc
最高出力:6.5PS/6500rpm
最大トルク:0.72kgm/6000rpm
車両重量:53kg(乾燥)

スズキ「ハイR」は、1985年発売の「ハイ」をベースに、走行性能をさらに特化させたモデルです。

乾燥重量53kgという極めて軽量な車体に、最高出力6.5PSを発揮する空冷2サイクルエンジンを搭載します。パワーウェイトレシオは8.15kg/PSに達し、鋭い加速性能を実現。

最大の特長はなんといってもフロントブリスターフェンダーで、アンダーカウルやリアスポイラー、スモーク仕様のウインカー等と相まって、スポーティなイメージを強調していました。

さらに、スポーティなのは見た目だけではなく、アンチノーズダイブフォークや10インチタイヤなど、スポーツ走行に対応した本格的な装備が与えられていました。

1983年 ホンダ:ビート

Honda Beat
総排気量:49cc
最高出力:7.2PS/7000rpm
最大トルク:0.73kgm/7000rpm
車両重量:65kg

まるでクルマのような左右ヘッドライトを備えた斬新なスタイリングが特徴な「ビート」は、世界初の水冷2サイクル50ccエンジンを搭載した快速スクーター。

最高出力7.2PSを発揮するエンジンは、最大の特徴として「V-TACS(可変トルク増幅排気システム)」を採用。これは足元のペダル操作により高回転域と低回転域で2段階のトルク特性の切り替えが可能となっています。

電装系にはクラス初のデュアルハロゲンヘッドライトを採用し、計器類にはタコメーターを標準装備。フロントにはスタビライザーを装着した本格的なテレスコピック式フォークが装備され、リアショックはユニットスイング式を採用。

当時の50ccクラスにおいて最高峰のメカニズムが投入されていました。

1986年 ホンダ:リードR

Honda LEAD R
総排気量:49cc
最高出力:6.4PS/7000rpm
最大トルク:0.71kgm/6000rpm
車両重量:76kg

1986年に登場した「リードR」は、スポーティさで好評を得ていた「リードSS」の性能を向上させ、さらなるスポーツ走行に耐えうる足まわりを与えたモデルです。

リアサスペンションには、当時のホンダのレーサー直系技術である「プロリンク・サスペンション」を採用。路面追従性とクッション性を高次元で両立。エンジンは空冷2サイクルで、最高出力6.4PSを発揮しました。

フロントには油圧式ディスクブレーキを採用し、サスペンションは制動時に沈み込みを抑える機構を備えた油圧式ダンパー付きのトレーリングリンク&アンチダイブサスペンションを装備します。

大柄な車体ながら、スポーツ専用設計のフロントフォークとマフラーを備え、スポーツスクーターにふさわしい機能・スタイリングとなっていました。

1987年 ヤマハ:チャンプRS

YAMAHA Champ RS
総排気量:49cc
最高出力:6.3PS/7000rpm
最大トルク:0.65kgm/6500rpm
車両重量:59kg(乾燥)

1987年に登場した「チャンプRS」は「チャンプ」をベースにしたスポーツ性能を極限まで高めたモデルです。

エンジンは排気ポート形状の変更やキャブレターの最適化により、最高出力6.3PSを発生し、排気系には膨張室を持つ本格的なチャンバータイプのスポーツマフラーを標準装備し、スタイリングもレーシーな雰囲気を纏っています。

足まわりには作動性に優れるセリアーニタイプのテレスコピックフロントフォークとガス封入タイプのリアショックを採用し、高い運動性を確保。ブレーキシステムには対向ピストン式キャリパーを備えた油圧ディスクブレーキを搭載。

また、アンダーカウルにはエンジンを冷却するエアインテークまで備え、スクーターレースのようなハードな使用にも対応。スポーツ走行を強く意識したパッケージングとなっています。

1989年 ヤマハ:ジョグスポーツ

YAMAHA JOG Sports
総排気量:49cc
最高出力:6.8PS/7000rpm
最大トルク:0.71kgm/6500rpm
車両重量:63kg(乾燥)

1983年に登場したヤマハのロングセラースクーター「ジョグ」に、1989年に追加された新たなスポーツエディション。

足まわりにはテレスコピックサスペンションと油圧式のディスクブレーキを標準装備し、エンジンは6.8PSを発揮。

スタイリッシュな外観とキビキビとした走りが魅力で、後ほど紹介する「スーパージョグ」へと進化していきます。

1988年 ホンダ:DJ・1RR

Honda DJ・1RR
総排気量:49cc
最高出力:6.8PS/7000rpm
最大トルク:0.73kgm/6500rpm
車両重量:60kg

「DJ・1R」をベースに、さらなる高出力化と足まわりの強化を図った進化モデル。名前にはレーサーレプリカマシンのような「RR(ダブルアール)」が与えられました。

空冷2サイクルエンジンは、新設計のシリンダーを採用することで掃気効率を改善し、最高出力6.8PSを実現。ロングストローク化と細部の改良により、トルク特性も向上されています。

足まわりは本格的な油圧ダンパー内蔵のテレスコピックサスペンションを採用し優れた路面追従性を発揮。ブレーキには95mmの大径ディスクを採用した油圧式ブレーキが装着されました。

空力特性を考慮した新設計のフロントアンダーカバーやリアスポイラーを装備し、高速走行時の安定性を向上。スタイリングもレーシーなものに仕上げられていました。

1989年 スズキ:ハイアップ R

SUZUKI Hi UP R
総排気量:49cc
最高出力:7.0PS/7000rpm
最大トルク:0.75kgm/6500rpm
車両重量:66kg(乾燥)

「ハイアップR」は1988年発売のコミューター「ハイアップ」の走行性能を徹底的に磨き上げたハイパフォーマンスモデルとして同時に登場。

エンジンはチューンアップにより「ハイアップ」よりも0.5PS高い最高出力7.0PSを発生。足まわりも162mmの大径油圧ディスクブレーキとグリップ性の高い扁平タイヤにグレードアップ。フロントサスペンションにはボトムリンク式のサスペンションを採用することで、乗り心地と走行性能の両立を図っています。

そして、エアインテークを備えるアンダーカウルをはじめとしたエアロパーツなど、空力を意識したデザインが施されていました。

1990年 スズキ:セピアZZ

SUZUKI SEPIA ZZ
総排気量:49cc
最高出力:7.0PS/7000rpm
最大トルク:0.75kgm/6500rpm
車両重量:65kg(乾燥)

1989年登場のメットインスクーター「セピア」の兄弟モデルとして1990年に登場した「セピアZZ」。

エンジン出力の向上だけでなく、ボトムリンク式のサスペンションの採用や、油圧式ディスクブレーキの標準装備などにより、走行性能の向上が図られています。

スタイリングもリアスポイラーやチャンバータイプのマフラーの採用により、スポーティな印象に仕立て直されていました。

1994年 ヤマハ:スーパージョグZR

YAMAHA SUPER JOG ZR
総排気量:49cc
最高出力:7.2PS/7000rpm
最大トルク:0.74kg/6500rpm
車両重量:66kg(乾燥)

90年代のスクーター・レースシーンで人気を博した1991年登場の「ジョグZ」が、「スーパージョグZ」を経て1994年12月に「スーパージョグZR」へと進化。

エンジンは吸排気系の最適化により、出力はクラス最高峰の7.2PSを発揮。足まわりにはテレスコピックフロントフォークとブレンボ社製対向2ピストンキャリパーを採用する本気っぷり。リアにはリザーバータンク付きのショックを装備します。

さらに、ZRではハイマウントストップランプ付きリアスポイラーや、スモークレンズのウインカー、外観にアクセントを加えるフェイスランプを装備。

徹底した高機能パーツの採用とスポーティにより、高い旋回性能と制動力を誇りました。

1992年 ホンダ:ディオZX

Honda Dio ZX
総排気量:49cc
最高出力:7.0PS/7000rpm
最大トルク:0.74kgm/6750rpm
車両重量:71kg

「ディオ」シリーズの最上級スポーツモデルである「ディオ ZX」は1992年に登場。

シリンダーやキャブレター、マフラーに至るまで新設計され、無段変速機もワイドレシオ化。中回転域から高回転域にかけてのパワフルな乗り味が魅力でした。

もちろんフロントフォークには油圧式テレスコピックサスペンションを採用し、ブレーキは油圧式のディスクタイプ。リアにはハイマウントストップランプ付きウイングを装備し、スタイリングもライダーの心を掴む、性能に負けないスポーティなものとなっていました。

スポーティなスクーターは現代ラインナップにも生き続けている!

現代の視点で見ると、少々“やりすぎ”にも感じてしまう歴史を彩ったスポーツスクーターですが、それらで培われた技術体系は間違いなく現代のスクーターにも活かされています。

生活の足として便利なスクーターですが、基本構造は2つのタイヤとエンジンで走る「バイク」です。逆に言えば、クラッチやミッション操作のない分手軽に爽快な走りを楽しむことができるでしょう。

次の通勤・通学の相棒選びには、ちょっぴり移動が楽しくなるスポーティなスクーターを選んでみてはいかがでしょうか?

今回紹介したバイクの中にも、探せばまだ見つかるモデルもありますよ!

筆者プロフィール

webオートバイ×BikeLifeLab

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