街中で見かける125ccクラスの原付二種バイクにはリアフェンダーに三角マークがあり、フロントフェンダーの先端にもラインがあるなど特徴的な目印が付いています。

これらが何のために付けられているのか疑問に感じたことはないでしょうか?

125ccバイクを持っている人の中にはこの目印を剥がしたり取り外したりしても問題ないのか気になった人もいるかもしれません。

今回は、この原付二種バイク特有の識別マークにまつわる背景や取り扱いの注意点について解説します!

原付二種バイクに識別マークが付けられている理由

125ccクラスの原付二種は、50ccクラスの原付一種と比較して、
・二人乗りが可能
・法定最高速度が60km/h
・二段階右折の義務がない
など交通ルールが大きく異なります。

それに伴い、原付二種の運転には「小型限定普通二輪免許」もしくは「AT小型限定普通二輪免許」以上の免許が必要となります。

乗り物としては必要な運転免許が異なる2種類ですが、外観が非常に似ているモデルも存在します。

実はそこに三角マークやフェンダーの先端ラインが取り付けられいる理由があるのです。

排気量が異なっても外観が似ているモデルがある

原付二種を識別するマークが導入された最大の理由は、『原付一種ではないことを外観から即座に判別できるようにするため』と言えるでしょう。

一部のモデルでは50ccクラスと125ccクラスで車体デザインを共通化しているケースがあり、ナンバープレートの色やサイズを確認しない限りは一見して排気量を区別することが困難な場合もあります。

例えば、街中で多く見かけるホンダの「スーパーカブ」ですが、50ccと110ccそれぞれのモデルを見比べると見た目が非常に似ています。

ホンダ「スーパーカブ50(’2017)」
ホンダ「スーパーカブ110(’2017)」

フェンダーの目印が無ければ一目で「スーパーカブ50」なのか「スーパーカブ110」なのか判断に迷いますよね?

さらにこの先の社会で識別マークの重要性を高める存在が「新基準原付」。

エンジンを原付二種バイクと共有しながら出力を抑えることで、従来の原付一種モデルと同様の交通ルールに適応する乗り物です。
続々と生産終了を迎える50ccの原付一種の代替として、近く各メーカーから導入がアナウンスされています。

こちらはホンダが公開した新基準原付「Dio 110 Lite」。
細部に違いはありますが、原付二種モデル「Dio 110」と見た目はほとんど一緒です。

ホンダ「ディオ LITE」(新基準原付)
ホンダ「ディオ110・ベーシック」(原付二種)

こうした識別が難しい状況において、交通ルールが異なる両者をスムーズに見分けて交通の円滑化と事故防止に役立てるため、メーカーが自主的に白い三角マークや白いラインを取り付けているのです。

ですが、これらのマークは日本のメーカーによる自主的な表示であるため、輸入車や海外メーカーのバイクには取り付けられていないこともあります。

後付けしたい場合はバイク用品店などでステッカーが販売されていますので、購入して貼付することも可能です。

三角マークや先端ラインは剥がしても大丈夫?

デザイン上の理由などから、これらのマークを剥がしたいと考える方もいるかもしれません。
ですが、これらのマークは法律で表示が義務付けられているのでしょうか?

結論から言えば、リアフェンダーの三角マークもフロントフェンダーの先端ラインも法律による表示義務はありません。

ナンバープレートの色(51〜90ccは黄色、91〜125ccはピンク)で排気量の区別ができるため、これらのマークはあくまで任意の識別表示とされています。

したがって、剥がすこと自体は法的な違反にはなりません。

ですが一方で、マークを剥がす際にはそれに伴うリスクを認識しておく必要があります。

識別マークを剥がすことで生じるリスクとは?

法的な問題はないとはいえ、マークを剥がすことで思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

警察官による誤認停止の可能性

最も注意すべきリスクは、警察官による原付一種との誤認です。

原付二種は二人乗りや60km/hまでの走行が認められていますが、マークを剥がしているとこれらが原付一種の交通違反であると誤認される可能性があります。

例えばあなたが原付二種で二人乗りをしているときに、前方から巡回中の警察官が接近してきたとしましょう。

その時警察官は前方からバイクを確認しているため、ナンバープレートの色が確認できません。

フロントフェンダーの先端ラインが剥がされていると、警察官は外観から「原付一種が二人乗りをしている」と判断する可能性も考えられます。

その結果、原付二種として適法な運転をしているにもかかわらずに違反車両として停止を求められて職務質問を受けるといった煩雑な状況に繋がりかねません。

誤認であれば排気量の確認後に解放されますが、時間のロスや精神的な負担は避けたいですよね。

もしどうしても識別マークを剥がしたいという場合は「フロントフェンダーの先端ライン」は残した方がいいでしょう。

後方の三角マークは、ナンバープレートの色で代用が効きやすいですが、前方から原付二種であることを識別するにはフロントフェンダーの白いラインが非常に重要になります。

デザイン上の理由でマークを外したい場合でも、前方からの識別を助けるフロントフェンダーのラインを残しておくことで誤認停止のリスクを大幅に減らすことができるでしょう。

原付二種の識別マークは安全に繋がる任意表示

原付二種に取り付けられている三角マークや白い先端ラインは、原付一種との識別を容易にして安全かつ円滑な交通に貢献するためのメーカー自主的な表示です。

法的な表示義務はないので剥がすことは可能です。
しかし、特に前方からの識別を助けるラインを剥がしてしまうと、適法な運転をしている場合でも警察官に誤認されるなどのリスクが生じます。

これらのマークは単なるデザインではなく、交通ルールが異なる車種の区別という重要な役割を担っていることを理解した上で取り扱いについて判断することをおすすめします。

筆者プロフィール

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