バイクのエンジンオイルの粘度ってなに?夏と冬でオイルを変えるワケ
公開日:2026.02.09 / 最終更新日:2026.02.09
バイクを長く、調子よく乗り続けるために欠かせないメンテナンスの代表格が「エンジンオイル交換」です。
ショップの店頭に行くと、さまざまな数値が書かれたオイル缶が並んでいて、「どれを選べばいいの?」と迷った経験がある方も多いのではないでしょうか。
特にベテランライダーの間では「夏は硬め、冬は柔らかめ」という使い分けが語られることもあります。
今回は、エンジンオイルの「粘度」とは何なのか、そしてなぜ季節によって使い分けるという考え方があるのか、その基本を分かりやすく解説します。
オイルは種類によって硬さが違う?

エンジンオイルは、よく「エンジンの血液」に例えられます。
しかし、単に循環しているだけではなく、非常に多岐にわたる役割を担っています。
エンジンオイルの主な役割

エンジンオイルには、主に以下の5つの役割があります。
| 潤滑 | 金属同士の摩耗を防ぎ、スムーズに動かす。 |
|---|---|
| 密封 | ピストンとシリンダーの隙間を埋め、爆発エネルギーを逃がさない。 |
| 冷却 | エンジン内部の熱を吸収し、オーバーヒートを防ぐ。 |
| 洗浄 | 内部に発生する汚れ(スラッジ)を取り込む。 |
| 防錆 | 金属の表面を覆い、サビの発生を防ぐ。 |
これらの役割を果たすために重要なのが、オイルの「粘度(ねんど)」です。
「粘度」とはオイルの「粘り気」のこと

オイル粘度とは、簡単に言えば「オイルの硬さ(ドロドロ具合)」のことです。
粘度が高いオイルを「硬いオイル」、粘度が低いオイルを「柔らかいオイル」と呼びます。
オイルのパッケージを見ると「10W-40」といった表記がありますが、これが粘度を示す数値(SAE粘度指数)です。

左側の数値(10W): 低温時の流動性を示します。「W」はWinter(冬)の略で、数値が小さいほど寒い時期でもオイルが固まりにくく、始動性に優れます。
右側の数値(40): 高温時の粘度を示します。数値が大きいほど熱に強く、高温になってもオイルの膜(油膜)が途切れにくい性質を持ちます。
また、オイルには構成する成分や規格などがありますが、今回の解説では割愛します。
興味のある方は以下のリンクからオイルに関する解説記事をご覧ください。
夏と冬でオイル粘度を変える理由
ではなぜ、季節によってこの粘度を使い分ける必要があるのでしょうか。
そこには「温度によるオイルの性質変化」が深く関わっています。
熱い夏は硬く、寒い冬は柔らかく

オイルはその名の通り主成分が油分であるので、「熱くなるとサラサラになり、冷えるとドロドロになる」という性質があります。
この性質により、夏と冬でエンジンオイルを使い分ける場合があるのです。
例えば、夏場は外気温が高いうえに、渋滞などでエンジンが非常に高温になります。
オイルが熱を帯びてサラサラになりすぎると金属表面を保護する「油膜」が薄くなり、最悪の場合はエンジン内部を傷めてしまう恐れがあります。
そのため、夏は高温時でも粘度を保てる「硬め(右側の数値が大きい)」のオイルが選ばれます。
反対に冬場は気温が低いため、始動前のエンジンは冷え切っています。
オイルがドロドロの状態だと、始動時にオイルがエンジン全体に行き渡るまでに時間がかかり、エンジンに負荷がかかります。そのため、低温でもスムーズに流れる「柔らかめ(左側の数値が小さい)」のオイルが冬場に適しています。
オイル粘度を変えるメリット・デメリット
粘度を変更することで、以下のような影響が出ることがあります。
| 粘度の特徴 | メリット | デメリット |
| 硬いオイル | 高温時の保護性能が高い。静粛性が向上する場合がある。 | 吹け上がりが重く感じることがある。燃費が若干落ちる傾向。 |
| 柔らかいオイル | 始動性が良く、エンジンが回りやすい。燃費向上に有利。 | 高温・高負荷時に油膜切れのリスクが(極端な場合)ある。 |
夏と冬で必ず変えなければいけない?
ここまで聞くと「必ず季節ごとに変えなければいけない」と感じるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
オールシーズン使えるオイルが主流
現代のエンジンオイルの多くは「マルチグレード」と呼ばれ、一年を通して使用できる性能を持っています。
一般的な公道走行やツーリングであれば、バイクメーカーが指定している「指定粘度(例:10W-40など)」を一年中使い続けても、大きな問題が発生することは稀です。
なぜ使い分ける人がいるのか?

それでも粘度を使い分けるのは、あくまで「パフォーマンスの向上」や「愛車の状態維持」のためです。
例えば、空冷エンジンのバイクは水冷エンジンに比べて温度変化の影響を受けやすいため、夏場に硬めのオイルを入れるのは効果的です。
また、旧車・走行距離が多いバイクは部品同士の隙間が広くなっている場合、硬めのオイルで気密性を高める狙いがあります。
そして、サーキット走行に使用されるエンジンは常に高回転・高温になるため、非常に高い粘度のオイルを使用することがあります。
日常的な街乗りがメインであれば、季節よりも「指定粘度を守る」ことのほうが重要と言えるでしょう。
オイルについて理解を深めて、愛車のコンディションを良好に保とう

エンジンオイルの粘度は、エンジンの保護性能と走行フィーリングに直結する重要な要素です。
「夏は熱から守るために少し硬め」「冬は始動をスムーズにするために少し柔らかめ」という考え方は、エンジンのコンディションを最適に保つための一つの知恵です。
しかし、最も大切なのは粘度の変更そのものではありません。
「どんなに良いオイルでも、劣化すれば性能は発揮できない」ということです。
季節の変わり目に合わせるのも良いきっかけですが、それ以上にメーカーが推奨する距離や期間を守って、定期的にしっかりオイル交換を行うことが愛車と長く付き合うための最大の秘訣です。
自分のバイクにどの粘度が合っているか迷ったときはまずは車両の取扱説明書を確認し、馴染みのショップスタッフに相談してみるのが一番確実な方法ですよ。










