様々なバイク用パーツが新しくリリースされ、バイクライフを豊かにしてくれています。

そんな中、近年大きな注目を集めているのがバイク用スマートモニター。

バイク用スマートモニターはバイク用品店や販売店、通販サイトでも購入することができますが、実は日本で使用すると違法となる製品が通販サイトで販売されている事もあるのをご存じでしょうか?

本記事では違法スマートモニターについて解説を行いますので、スマートモニター選びの参考にしてみてください!

違法スマートモニターとは

日本では屋外で無線などの電波を発して通信を行う製品について電波法によって基準が定められています。

バイク用スマートモニターも屋外でスマートフォンと無線接続を行うために電波を発するので、電波法によって定められた基準に適合していないといけません。

この基準に適合していない製品は全て違法スマートモニターに該当します。
違法スマートモニターの使用は電波法上では販売者に罰則はなく、使用するユーザーが罰則の対象となります。

そのため、購入前には必ずその製品を購入して使用して大丈夫かどうかを確認するようにしましょう。

違法スマートモニターを使用するとどうなる?

電波妨害を行う可能性がある。

「家庭内で電子レンジを使用した際にWi-Fiが切れてしまった」という経験のある方もいるのではないでしょうか?

電子レンジは強力な電磁波によって中に入れたものの水分子を振動させることによって温めているため、家電製品の中でも強い電磁波を発生する製品です。

電子レンジが発する電磁波は家庭用Wi-Fiの2.4GHz帯と同じ帯域の電磁波を使用しているため、電子レンジから漏れ出た電磁波が2.4GHz帯のWi-Fiの電波と干渉することでWi-Fiが切れてしまったり繋がりにくくなる事があります。

このように同じ周波数帯域において電波同士が干渉し合うと通信機器に悪影響が発生する可能性があるのです。

そのため、日本では屋外において使用が制限されている周波数帯域があります。

5GHz帯の「W52・W56」というチャネルが気象レーダーや航空機レーダーなどの社会的に重要度の高い分野で使用されているため、そういった機器に影響を及ぼさないように日本では一部例外を除き原則として5GHz帯の屋外利用が制限されています。

罰則の対象となる


違法スマートモニターは電波法に違反した製品です。
電波法の法律上、販売者には罰則がなく使用するユーザーが罰則の対象となります。
罰則として1年以下の懲役または100万円以下の罰金が処され、重要な無線局に妨害を与えた場合にはさらに罪が重くなり、5年以下の懲役または250万円以下の罰金が処されることになります。

事故に繋がる可能性もある

電波妨害に関する説明内でW56というチャネルが社会的に重要度の高い分野で使用されているという内容を記載しましたが、バイクと関わりの深いETCの無線通信にも同じく5GHz帯(W56)のチャネルが使用されています。

違法スマートモニターを装着しているとETCの無線通信と干渉してしまい、ETCバーが開かずに追突してしまったり、追突を避けようとして転倒してしまうなどの事故につながる可能性も考えられるのです。

違法スマートモニターの見分け方

技適を取得していない

技適とは「技術基準適合証明」の略称で、無線通信の安定とスムーズな利用を目的として作られたものです。
Bluetooth(2.4GHz帯)やWi-Fi(5GHz帯)などの無線機能が搭載された製品は電波法に規定されている認定を受けて技適を取得する必要があります。

技適を取得していない無線機能のある製品を使用すると電波法に違反することになり罰則の対象となります。

技適を取得した製品は総務省のホームページで誰でも無料でチェックが可能です。

関連リンク

総務省 技術基準適合証明等を受けた機器の検索
https://www.tele.soumu.go.jp/giteki/SearchServlet?pageID=js01

技適を取得しているが日本の屋外で使用できる製品仕様になっていない

技適を取得していれば必ず安全とは限りません。
例えば、日本と中国では以下の表のように5GHz帯の屋外利用についての法律が大きく異なります。

W56チャネル W52チャネル
日本 屋外利用OK 屋外利用NG
中国 屋外利用NG 屋外利用OK

技適を取得している場合でも、W52チャネルを使用する製品は日本の屋外での使用は認められず、屋内でしか使用することができません。

日本の屋外で使用するためにはW56チャネルを使用する必要があるため、中国製のスマートモニターが仕様変更されずに日本向けに発売されている場合、技適を取得していても日本での屋外使用が違法となるケースがあるのです。

製品がどのチャネルを使用しているかも総務省の技適登録内容から確認することができます。

DFSが搭載されていない

屋外で5GHz帯のW56チャネルを使用する製品にはDFS(Dynamic Frequency Selection)という機能が搭載されている必要があります。

屋外使用可能なW56チャネルと使用不可のW58のチャネルは周波数が近いため、電波干渉を発生させてしまう可能性があります。

チャネル 周波数
W56 5,470 MHz ~ 5,725 MHz
W58 5,725 MHz ~ 5,850 MHz

DFSは電波干渉が発生する可能性のあるチャネルでの通信中にレーダー波を検知した場合に自動的に通信を停止して電波干渉を発生させないようにする機能です。

DFS機能を搭載せずに5GHz帯で無線機能を使用するとW58チャネルへの電波干渉を発生させてしまう可能性があるため、屋外利用をしてはいけないという電波法の決まりがあります。
そのため、W56チャネルを使用している製品かつDFSを搭載している製品を選ぶ必要があります。

DFSが搭載されているかの確認は総務省ホームページの技適登録画面に登録されているのテストレポート内にDFS搭載の記載有無で確認できます。

1分以内に接続が完了する

通販サイトでバイク用スマートモニターの製品レビューを見ると、「スマートフォンと接続が完了するまでに時間がかかる」といったレビューを見かけることがあります。

これは5GHz帯(W56)を使用する製品に搭載されるDFSの電波法の法律上、通信帯域の確認に約1分間の時間が発生するためです。

5GHz帯を使用しているのにすぐに接続が完了する場合や30秒程度で接続が完了する場合、DFSが搭載されていない違法スマートモニターの可能性があります。

なお、2.4GHz帯を使用する製品の場合はDFSを搭載する必要がないため、技適を取得していれば1分以内に接続が完了しても違法ではありません。

極端に価格が安い

価格が安い製品全てが違法スマートモニターということではありませんが、有名メーカーの製品の半額以下で販売されている海外製のスマートモニターは技適を取得していないものや、日本で使用できる製品仕様となっていない製品が多い傾向にあります。

また、通販サイトの商品ページで「技適取得」「DFS搭載」などの記載があっても実際に総務省のホームページで調べると技適を取得していなかったり、DFSを搭載していないような海外製品の事例も確認されているため注意が必要です。

バイク用スマートモニターは安心できる製品を

バイク用スマートモニターが登場によって、ライダーのバイクライフがより豊かになったことは間違いないでしょう。

様々なメーカーがバイク用スマートモニターの販売を開始していますが、中には日本の電波法を守っていない製品が販売されているのも事実です。

日本の電波法に適合していないスマートモニターを使用するライダーが増加するということは妨害電波を出すバイクが増えるともいえるので、社会問題になってしまう可能性も考えられます。

スマートモニターは数万円単位の費用が発生する高額な製品なので、購入する前に製品についてしっかり調べた上で比較検討を行い、基準を満たした安心して長く使用できる製品を選ぶようにしましょう。

特に海外製の聞きなれないメーカーで格安な製品の場合は注意が必要です。
「レビューの内容が良いから」「有名なYouTuberが紹介しているから」等の理由でで安易に購入を決めず、

・技適を取得しているか
・W56チャネルを使用しているか
・DFS機能を搭載しているか

等、製品について自分で確認すると安心でしょう。

BikeLifeLabではTANAXの「スマートライドモニター」をおすすめしています。
気になる方はぜひチェックしてみてください!

関連記事


筆者プロフィール

Bike Life Lab supported by バイク王

~バイクがあれば もっと楽しい~
すべてのライダーに贈るバイクコンテンツサイト「Bike Life Lab」では、お役立ちコラムからおすすめバイクロード、Bike Life Lab研究員によるお楽しみコンテンツまで幅広く掲載中。