公道でバイクに乗るうえで信号待ちなどの停車時に車体を支える足つき性は重要なポイントです。
足つきの良さ・悪さによってバイクを選ぶ方も多いと思います。

特にアドベンチャーバイクはシート高が高く足つきが悪い傾向にありますが、そこで救いの手のなるのがローダウン車。
メーカー純正のローダウンのモデルもあれば、カスタムを施してローダウンさせることも可能です。

今回はそんなローダウンについてご紹介します!

バイクのローダウンとは?

ローダウンとはバイクのシート高を下げることで足つき性を改善させるバイクカスタムの総称です。

どこにでも行けて不安のない安心安全なバイクライフを送るためには、自分の体格にあったバイクに乗ることが重要になってきます。
そうなるとある程度体格で乗れるバイクの幅が決まってしまいますが、ローダウンという手段を使えば選択肢が広がります。
ローダウンは以下のような手法で行われることが多くなっています。

サスペンション交換

リアサスペンションを少し短い社外品へ交換してシート高を下げ、ローダウンする方法。
社外リアサスペンションは高額な商品が多く、製品にもよりますが高額な費用が発生するケースが多くなっています。

しかし社外メーカーがそのバイクに合わせて専用設計しているローダウンサスなので、その後の走りの性能にも期待でき、コストが多少かかっても確実にローダウンしたいという方にはおすすめできます。

ローダウンリンクの取り付け

モノサス(1本ショック)であればローダウンリンクを装着してシート高を下げるという方法も。
リアサス自体は交換せず、取り付け位置を変更することでシート高を下げています。

製品やバイクにもよりますが1cm〜3cmほどシート高を下げることができ、サスペンション交換よりも安価で済むことが多いためメジャーなローダウン方法と言えるでしょう。

シートカスタム

シートのカスタムをすることでシート高を下げるという方法もあります。
純正よりシート高の低いローシートへの交換や、現在装着されているシートのスポンジを削って薄くするアンコ抜きなども方法の一つ。

足つき性にはシート高だけでなく、シートの横幅を絞ることで足が降ろしやすくなり、足つき性が改善されることもあるため、これだけでも足つき性の向上に期待が持てます。

プリロード調整

リアサスペンションのプリロード調整を行い、初期荷重を増やしてスプリングが縮んでいる状態にすると若干足つき性が改善されます。
費用をかけずにできる最も簡単な方法ですが、サスペンションのバネを縮めて使うことになるため乗り心地に悪影響が出る可能性があり、ローダウンリアサスペンションへの交換やローダウンリンクの取り付けほどの効果は期待できません。

ローダウンのメリット

様々の方法でバイクのローダウンは可能です。
ローダウンすることで得られるメリットはどういったところなんでしょうか?

足つき性の向上

ローダウンカスタムを行い、シート高を下げることで足つき性が向上するため、乗り降りの際や停車時に足を出してバイクを支える動作が行いやすくなります。
立ちゴケのリスクなども軽減でき、これまで走るのが不安に感じていた場面でも安心して乗れる可能性が高くなります。

他にも乗り降りがしやすくなったことや、バランスが取りやすくなったことでバイクの取り扱い面でもメリットが生まれるでしょう。

取り回しが良くなる

これは特に車高が高く、車重も重い排気量の大きいバイクで言えることですが、ローダウンを行うことでバイクの重心が下がるため、それだけである意味倒れにくさも向上する可能性があります。

重いものを頭の上で持って動かすと倒れそうになりますが、胸前辺りまで下げて持つと重心が安定して倒れにくくなりように、取り回しの際もこれまで不安だった角度までバイクを倒して押し引きしても支えやすくなるため、取り回しも若干なりとも向上するでしょう。

ただ、リアサスペンションのみでのローダウンではフロントサスペンションの長さは変わらないため、取り回し改善のためのローダウンであれば、フロントの車高調整も同時に行ったほうがバランスが取れたバイクに仕上がるでしょう。

ローダウンのデメリット

足つき性向上によりメリットは様々ありますが、ローダウンすることでデメリットはあるんでしょうか?

乗り心地の悪化

バイクメーカーは研究と開発を重ね、非常に高い次元でバイクのバランスを取っています。
そのため、メーカーオリジナルの状態が多くのライダーにとって最も乗りやすく、扱いやすい状態と言うこともできます。

それに手を加えて変更するということは、乗り心地や操作性もオリジナルの状態とは変わってしまい、本来の運動性能を発揮できなくなる可能性が考えられます。

しかし、自分仕様にカスタムして乗りやすく、扱いやすくしていくというのもバイクの楽しみ方の一つ。

オリジナルとは違った状態にするローダウンは何かしらの悪影響が出ることはほぼ確実ですが「どうしてもこのバイクに乗りたい」という強い想いがあるなら、ローダウンのメリットだけでなくデメリットも理解したうえで行うのも一つの手段だと言えるでしょう。

全体の調整が必要

ローダウンリアサスへの交換やローダウンリンクの取り付けをすることで車体リア側に手を加えた場合、フロント側にも手を加えないとバランスが取れなくなってしまいます。
そのため、フロントフォークの突き出し変更や、油面調整、場合によっては内部のパーツに加工が必要になる場合も。

また車高が下がることでサイドスタンドを立てた際に直立しやすくなってしまうため、ショートタイプのサイドスタンドへ交換が必要になる場合もあります。
他パーツに干渉が発生する場合もあるため、オリジナルの状態から崩したうえで乗りやすいマシンに仕上げるというのは非常に難しいことなんです。

ローダウンに合わせて完璧なセッティングをしようとするとそれ以外も含めて高額な費用がかかるケースも考えられるので、その点も頭に入れたうえで検討してみてください。

ローダウンを検討している人にオススメなバイクの選び方

今乗っているバイクの車高が高すぎるという方の他にも、これから乗りたいバイクがあるけどシート高が心配で買った後にローダウンして乗るか考えている方もいると思います。
ここからはローダウンを検討している方におすすめしたいバイクの選び方を解説していきます。

実車に跨る

実際に足つき性はスペック表のシート高の数値だけではわからない部分があります。
先述したようにシートの横幅なども関連してくるため、足つき性に不安があるなら一度バイク販売店などで実車に跨ってみるのがベストだと思います。

お店ならスタッフが補助してくれるため倒れてしまう心配もなく安心です。
友人のバイクに跨って倒してしまったらトラブルの元になってしまう可能性があるため避けるようにしましょう。

バイクに跨ってわかることは多いので、せっかく跨るならバイク販売店で跨って確認するようにしましょう。

メーカー純正ローダウンモデルを選ぶ

メーカー純正でシート高を抑えて販売しているモデルもあります。
社外パーツを使用してローダウンを行うよりも、そのバイクを作っているメーカーが計算したうえで出しているローダウンモデルは安心感が強いというメリットがあります。

しかし全ての車種でローダウンモデルがラインナップされているわけではないため、狙っているモデルにローダウンモデルがあるかどうか調べてみてください。

中古バイク

まず注目してみてほしいのはメーカー純正ローダウンモデルですが、その次に注目したいのが中古バイク。
先述のデメリット部分で費用が高額になる可能性を紹介しましたが、前オーナーがローダウンカスタムを施した状態で手放した個体が中古バイク市場に流通している事もあります。

その場合は新車で購入してローダウンカスタムを施すよりもトータルで見てお得になるケースも考えられ、メーカー純正のローダウンモデルが販売されていないモデルや、新車で購入ができない生産終了モデルも候補に入れることができます。

前オーナーが足つき性に不安を感じていたライダーの場合、万が一に備えてローダウン以外にもエンジンガードやドライブレコーダーなどのカスタムをしている可能性もあります。

新車で購入検討している方も「新車に近い状態の中古車」を候補に入れて検討するとバイク選びの幅が広がるでしょう。

複数車種を比較する

乗りたいバイク以外にも複数車種を含めて比較検討するのがおすすめ。
最初は見た目からスポーツバイクに乗りたいと思っていても、実際に跨ってみたらアメリカンタイプも意外と悪くないと感じるかもしれません。

バイクは乗っているときにワクワクを感じる乗り物ですが、バイクを選んでいる最中は乗っているときとはまた違ったワクワク感があります。

自分はどんなバイクに乗りたいのか、どんなバイクと相性がいいのか、焦らず今しか味わえない楽しみを感じながらバイク選びをしてみてください。

ローダウンでバイクが身近になるかも

どうしてもずっと前から乗りたかったバイクがあって購入しても、足つき性が悪いと自由に出かけられず、乗るために気合いが必要になる場合もあります。

そうなると本末転倒なので、自分の体格にあったローダウンカスタムを施すことで、愛車がもっと身近に、どこにでも行ける相棒として進化するかもしれません。

これは筆者の個人的な経験ですが、数年前はオンロードしか乗ったことがない状態でオフロードバイクに跨ると「車高が高すぎて乗れないなぁ」と感じていても、モトクロスや林道などでオフロードを学んでから同じバイクに跨ってみると「あれ、こんなに小さかったっけ?これなら乗れる」とバイク側ではなく、自分側のスキルでカバーすることもできます。

もちろんカバーできる幅にはある程度限界があり、金額的にはスキルを上げるほうがローダウンカスタムするよりも高額だったかもしれませんが、それでも長くバイクに乗っていくならその方法もアリかもしれません。

自分が一番乗りやすくて楽しく移動できるバイクに仕上げて、バイクライフを楽しみましょう!

筆者プロフィール

Bike Life Lab supported by バイク王

~バイクがあれば もっと楽しい~
すべてのライダーに贈るバイクコンテンツサイト「Bike Life Lab」では、お役立ちコラムからおすすめバイクロード、Bike Life Lab研究員によるお楽しみコンテンツまで幅広く掲載中。