仲間と楽しむ『マスツーリング』のポイントについて解説!
公開日:2025.07.02 / 最終更新日:2025.07.02

一人気ままに愛車を走らせるソロツーリングも楽しいが、バイク仲間と時間を共有しながら旅をする「マスツーリング」にはまた違った魅力がある。
ただし、複数人で走るからこそ気をつけたいポイントもある。基本を押さえていないと、思わぬトラブルにつながることも…。
ここでは、マスツーリングを安全かつ楽しく成功させるためのポイントを紹介しよう!
そもそもマスツーリングとは?

マスツーリングとは、集団で行うツーリングという意味で、塊・まとまり・集団を意味する英単語である『mass』に『touring』を組み合わせた言葉。
何台からがマスツーリングかという厳密な定義はないが、3台そろってツーリングに出かければ十分マスツーリングと呼べるだろう。
ソロとは異なり、バイク仲間と同じ景色や感動を共有できるのがマスツーリングの醍醐味。
だが、大人数だからこそ、ソロとは違う注意点をしっかり押さえておく必要がある。
それを怠ると、せっかくのツーリングがトラブルの原因になりかねない。
感動を共有するどころか、仲違いや事故につながることもあるのだ。
とくにマスツーリングでは、ライダーの技量もバイクのカテゴリーや排気量もさまざまであることが多い。
免許を取ったばかりで、初めてツーリングに出かけるビギナーがいる一方で、経験豊富なベテランもいるかもしれない。
そういったメンバーで、いきなり日帰りで1,000㎞走るとなれば、ベテランにとっては問題ない距離でも、ビギナーにとっては「そんなの無理!」となるのは想像に難くない。
マスツーリングを成功させるには、まず参加者の技量と経験をしっかりと考慮することが重要だ。
基本は、もっとも経験が浅いライダーに合わせること。
だからこそ、走行時間や距離、休憩のタイミングなども、全員が無理なく楽しめるように計画する必要がある。
ある程度、同じレベルのライダー同士であれば、それに応じたペースや内容で問題ないが、ビギナーがいる場合は、それに合わせてプランを柔軟に調整しよう。
「初心者に合わせて走るなんて…」と思うなら、そうしたマスツーリングへの参加は見送った方がいい。
お互いに気まずい思いをしなくてすむからだ。
マスツーリングの基本は千鳥走行

複数台のバイクで走る際、一般的には、図のように左右が交互になりながら等間隔で走る『千鳥走行(ちどりそうこう)』という陣形を取るのが基本だ。この走行方法にはいくつかの理由がある。
まず、四輪車とは異なり、バイクは走行中に真後ろを見ることができない。
四輪にはバックミラーがあるが、バイクにはそれがないため、サイドミラーを使って後方確認を行なう。
そのため、前走車が後ろのライダーとの距離を確認しやすくするために、左右にオフセットして走るのだ。
また、もし一直線に走っていると、前走車が突然急ブレーキをかけた場合、後続車が突っ込む可能性もある。
後続車が前走車の真後ろにつくと、前方の状況をすばやく確認するのが難しくなる。
そのため、基本的には千鳥走行を採用することになる。
ちなみに、順番としては先頭にベテランライダーを配置し、その後にビギナー、再びベテランと並ぶのが一般的だ。
台数が増えても、ベテランライダーがビギナーを数台挟んでサポートする形が望ましい。
それと安全のためにも、車間距離を十分にたもつことにも配慮すること。
先頭のポイント
先頭は後方のペースをしっかりと把握するのがメインの役割。
ミラー、ときには目視で後方との距離を測りつつ、遅れているようであればペースを落とすなど、配慮をするのがポイントだ。
中盤のポイント
中盤に配置されることの多いビギナーは、極力先導から離れないようにする。
ただし、技術的に無理はしないようにすること。無理をしたがために転倒しては周りに迷惑をかけてしまう。
ただ経験を積めば、ペースを合わせられるようになるだろう。
あと後方にライダーがいるからと安心せず、後方確認も適度に行なうこと。
最後尾のポイント
最後尾はとにかく前を走るビギナーを追い越さないようにする。
場合によっては、前走車とビギナーが離れてしまう→あせって無理な走行をする→転倒・事故…ということにもなりかねない。
そうならないために『後ろから見守ってるからマイペースで走ってね』というオーラを放ちつつ、サポートに徹するのだ。
状況に合わせて臨機応変に動こう
マスツーリングの基本は千鳥走行だけど、必ず守らなければならないわけでない。走る場所によって適宜変更する必要もある。
たとえば四輪1〜1.5台の道幅しかない道路を通過することも。
そういった場所で千鳥走行をすると、対向車と接触する可能性が高い。
こういった場合、オフセット量を狭めたり、一列体形で走ったほうがいい場合おあるのだ。
またマスツーリングで重要なのが『焦らない』こと。
信号のタイミングをはじめ、交差点や車線変更で隊列が分断されることも多々ある。
そういったときに先頭が急ブレーキかけたり、後続が無理に追いつこうとすると事故に結びつく可能性が高くなってしまう。
とくに初心者はとっさの判断ができないことも十分考えられること。
そのため事前に信号待ちで分断されたら『先頭は安全な場所で待機するからあわてなくていい』、追い越しで隊列が乱れたら『安全を確保しつつ後続を待つ』、万一はぐれたら集合場所を決めておくなど、出発前に徹底しておくこと。そうすれば全員が慌てなくてすむわけだ。
とくに台数が増えれば増えるほど分断される可能性は高くなる。
そういった場合はいくつかのグループを作り、最悪そのグループ単位で公道すればいい。
もちろんそのグループにはベテランとビギナーをうまく組み合わせる必要はある。
マスツーリングはソロと違って集団行動が基本。ベテランが臨機応変にビギナーをサポートする。
ビギナーは焦らずに走れるようにすることが、ポイントになることを覚えておいてほしい。
以下にシチュエーション別の注意点を記すが、あくまで目安にして、臨機応変に対応すること。
高速道路

高速道路は一般道と違って平均速度が高い。
それがメリットのひとつであるが、速度耐性のないビギナーは臆することも。
そのためしっかりと千鳥隊形を組んで、ビギナーのペースに合わせること。
中にはまったく速度を上げられないライダーもいたりする。
そんなときは計画を変更して、高速道路を降りることも考えよう。
ワインディング

ワインディングは道幅が狭いところもある。
そのため厳密な千鳥隊形を組むことができないことも。
その場合は一直線にならざるを得ないときもあるが、車間距離は十分にとること。
ときには路面が荒れてたり、砂が浮いていることもあるので、それを避けて先導が急にラインを変えたりすることもあったりするからだ。
林道

林道の場合、基本道幅が狭いので、十分な車間距離を取って1列で走る。
前走車と離れても無理して付いて行こうとすると、転倒のリスクが一気に高まるので、自分のペースを最優先すること。
先行した人は分岐で必ず後続を待つ。途中に難所があるならばそこで待つ。
そうすることではぐれることはないし、たとえ途中で転倒した場合でも探しに戻ることができる。
車線変更
高速道路や幹線道路でありがちな車線変更。急に先頭が車線変更をして、後続が焦って後方確認せずに変更するのは危険だ。
なので、最後尾が前方に注意して先頭がその前を走る四輪などに追いつく前に、複数台分のバイクが入れる車間距離があるかを確認してウインカーを出して車線変更をするのが安全だ。
見通しの悪いT字路
T字路は隊列が分断されやすいが、焦るのは禁物だ。
後続車が焦って無理に追いつこうとして事故になる可能性も高いし、操作ミスしてエンスト→立ちゴケというケースも考えられる。
先導者は曲がってから後続車が追いつくのを待つようにすれば、トラブル発生のリスクを抑えられる
信号待ち

信号は隊列を分断させる回数が多い存在。仮に途中で信号が変わる際、無理に前に追いつこうとしたり、急に停車したりしないこと。分断されたら『先で待つ』等決めておくこと。
給油

マシンが違えば燃費も違うし、航続距離も変わってくる。給油する際は必ず全員ですること。
1台が『まだもつ』と給油しないと、後にその1台のために再度給油でストップすることになってしまうからだ
休憩

ときには大集団になることもあるマスツーリング。休憩などでは、 周りに配慮して駐車すること。
また、分断されて後続を待つときも周りに迷惑がかからない場所を選んで停車しよう
分断した場合

隊列が分断され、前の集団が安全に停車するスペースがないことも十分考えられる。
そんなときに焦らないよう、次の目的地を決めておき、最悪そこで集合する。
そうすれば無理に追いつこうとしてトラブルが発生するリスクを抑えられるぞ
インカムがあれば便利

走行中の車線変更、休憩のタイミングなど、直接会話を交わせればスムーズにいく。
それを可能にするのが『インカム』だ。
価格は決して安くはないが、 あればマスツーリングで重宝する
まとめ
ソロツーリングとは異なる魅力を感じられるマスツーリング。
「楽しかった!」と思えるツーリング、そして「またみんなと出かけたい!」と感じるためには、今回紹介したポイントをしっかり押さえることが大切だ。
特にキャリアや車種の違いがあるため、ビギナーや小排気量車のライダーへの配慮を忘れずに。
参加者それぞれが気を使うことが、マスツーリングを成功させるための基本だ。














