本記事はバイク雑誌『タンデムスタイル』とのコラボ記事です!

本記事の内容はタンデムスタイル 2023年9月号 Vol.271の内容の一部を再編集したものです。
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過去には『薔薇(ばら)』や『天涯(てんがい)』といった漢字の車名も存在していたが、一般的にバイクの車名はアルファベットと数字の組み合わせが主流だ。
たとえば、スズキ・V-STROM 800 は「ぶい・すとろーむ・はっぴゃく」、スズキ・GSX-8S は「じーえすえっくす・えいと・えす」と読む。

アルファベットが単語として意味を持つときはそのまま単語読み、そうでなければ一文字ずつ読むのが基本。
数字は排気量を示すことが多いが、必ずしもそうとは限らないので要注意だ。
一桁や二桁なら英語読み・日本語読みどちらも使われ、三桁以上は日本語読みになることが多い。
ただし例外もあって、「250」は「にー・はん」「350」を「さん・ごー・まる/さん・ぱん」と読むケースもある。

また、車両によってはこれらの法則によらない『愛称』も存在する。
ここでは愛称で呼ばれるモデルの一部を紹介!アナタはいくつわかるだろうか?

『ナナハン』の始まりはこのマシン

HONDA CB750FOUR

1969年にデビューしたCB750FOURは、738㏄の並列4気筒エンジンや当時としては画期的なフロントディスクブレーキを装備し、瞬く間に世界中のライダーを魅了した。
結果的に、国内メーカーが大型車の排気量上限を750㏄とする自主規制を設けるキッカケにもなったと言われている。

そして、バイク好きにはおなじみの『ナナハン』という呼び名は、このCB750FOURが元祖。
ちなみに当時は他メーカーからも750㏄クラスのモデルは登場していたが、『ナナハン』といえばやはりCB750FOURのことを指すことが多かった。

CBはどこに行った?『ヨンフォア』

HONDA CB400FOUR

空冷4ストロークOHC並列4気筒に6速ミッションを組み合わせた、今でいうネイキッドにあたるのがCB400FOUR。
1974年の登場時は408㏄だったが、翌年の免許制度改正に合わせて398㏄仕様も登場した。

ホンダといえば『CB』のイメージが強いが、このモデルに限っては「4」と「FOUR」を組み合わせて『ヨンフォア』と呼ぶライダーが多い。
CBはどこに行ってしまったのだろうか?

『バブ』は入浴剤にあらず!

HONDA HAWK CB250T

排出ガス規制の影響で、それまでの並列4気筒ではなく並列2気筒エンジンを積んで登場したのが、1977年のホークII(CB400T)。
その後には弟分となるホーク(CB250T)もラインナップされた。

本来なら「ホーク」が愛称になりそうなところだが、特徴的なエキゾーストノートが「バブー」と聞こえることから、いつしか『バブ』と呼ばれるようになったのである。

小さいからとあなどるな! 『エヌチビ』

HONDA NSR50

NSRと聞けば、多くのライダーが思い浮かべるのはホンダのレーサーや市販車で人気を集めたNSR250Rだろう。
その一方で、実はミニバイクのNSR80やNSR50もラインナップされていた。

シリーズの末っ子にあたること、そしてコンパクトな車体サイズから『エヌチビ』と呼ばれるようになったのだ。
小さいながらも作りは本格派。チビとはいえ侮れない存在感を放っていた。

色・デザインが『赤とんぼ』に結びついた

YAMAHA YA-1

ヤマハ発動機が1955年に世に送り出した最初のバイクが「YA-1」だ。
同年7月の第3回富士登山レースや、11月の第1回浅間火山レースでは上位を独占し、その実力をいきなり見せつけた。
わずか3年間の生産期間で約1万1,000台を売り上げたヒットモデルでもある。

当時のバイクといえば黒を基調とした重厚なデザインが主流だったが、YA-1は栗茶色のカラーリングとスリムな車体で異彩を放った。
その姿から『赤とんぼ』の愛称で親しまれることになったのだ。

『ナナハンキラー』だけど怖くない

YAMAHA RZ350

「キラー=Killer=人殺し」。ちょっと物騒な響きだが、RZ350はその走りで多くのライダーを虜にした。
軽量でコンパクトな車体に、パワフルな水冷2スト347㏄エンジンを搭載。

ライダーの腕前によっては、ワインディングで倍以上の排気量を誇るナナハンをブチ抜くこともできたといわれており、そこから『ナナハンキラー』の異名で呼ばれるようになったのだ。

秋の味覚『サンマ』だけど焼いちゃダメ!

YAMAHA TZR250

ヤマハの2ストロークレプリカ、TZR250/Rには1KT・2XT・3MA・3XVの4つの型式がある。
ちなみに3XVだけはV型2気筒で、車名の後ろに「R」が付き、それ以外は並列2気筒を搭載している。

その中でもちょっとユニークなのが3MA。数字の「3」をサン、アルファベットの「MA」をローマ字読みでマと読んで『サンマ』と呼ばれているのだ。
秋のサンマはおいしいけれど、こちらのサンマは煮ても焼いても食べられない。だってバイクは乗って楽しむモノだから!

真剣(マジ)ではなく『マジェ』

YAMAHA MAJESTY

1995年に登場したマジェスティは、その後のビッグスクーターブームをけん引するキッカケとなったモデルだ。
名前はマジェスティと6文字だけれど、省略好きな日本人らしく、多くのライダーが『マジェ』と呼んでいた。

その後には「グランドマジェスティ」も登場したが『グランマ』と呼ばれることはなかった。
英語でおばあちゃんを意味するから、さすがに避けられたのだろう。

カンパチではなく『サンパチ』

SUZUKI GT380

スズキが1972年に世に送り出したGT380は、空冷2ストローク並列3気筒371㏄エンジンを搭載。
当時は350㏄クラスが主流だっただけに「ちょいプラスα」の余裕が人気を集めた。

呼び名は『GTサンパチ』。「380」の0を読まずに『3=サン・8=パチ』となったわけだ。
ちなみに兄貴分のGT750は「ジーナナ」の愛称で親しまれていた。

『東京タワー』の衝撃!?

SUZUKI GSX400X IMPLUSE

高さ333mの自立式鉄塔、東京タワーは1958年に完成。初めてその姿を見た人は、きっと圧倒的な高さに驚いたに違いない。
―さて、話はバイクに移るが『東京タワー』と呼ばれたモデルが存在する。1986年に登場したGSX400Xインパルスだ。

デザインを担当したのは、あのGSX-Sカタナにも携わったハンス・ムート。
しかし当時はその斬新すぎるスタイルが受け入れられず、不人気車となってしまった。
そしてライトまわりのカバーやカラーリングが東京タワーを連想させたことから『東京タワー』のあだ名で呼ばれるようになったのである。

高木ブー・カリブー・『スカブー」

SUZUKI SKYWAVE250

市場で盛り上がるビッグスクーターブームに対抗し、スズキが1998年に送り出したのが初のビッグスクーター「スカイウェイブ250/400」。登場と同時に好調なセールスを記録し、一気に存在感を示した。

名前がちょっと長いせいか、ライダーたちの間では省略されて『スカブー』と呼ばれるように。
なぜか「ブー」と付く愛称は親しみやすく、多くの人にすぐ浸透した。
ちなみにカリブーは北アメリカ大陸に生息するトナカイのこと。こちらはもちろんスクーターとは無関係だ。

リュをとって数字を組み合わせ『ダブ○』

KAWASAKI 650-W1
KAWASAKI 650RS
KAWASAKI W650

カワサキの歴史を語るうえで欠かせないキーワードが「Z」「ニンジャ」「W」だ。
Wの名が初めて登場したのは1966年の650-W1。
日本人にとってダブリュの「リュ」の発音が難しかったのか、650-W1は『ダブワン』、650RSは型式(W3)から『ダブサン』と呼ばれるようになった。

その流れで、後に登場したW650は『ダブロク』、W800は『ダブハチ』W400は『ダブヨン』。
そして最新のW230は、やっぱり『ダブ○○』になるのだろうか? さて、何と呼ぶのがしっくりくる?

鋭い走りをイメージさせる『ザッパー』

KAWASAKI Z650

1970年代のカワサキは、大型クラスで並列4気筒エンジンに力を入れていた。
Z1やZ2といった名車に続き、1976年には空冷4ストロークDOHC2バルブ625㏄エンジンを積んだZ650をリリースしている。

開発にあたっては、風を切り裂くような俊敏さを徹底追求。
そのコンセプトを表す「ZAP=風を切って走る音」から、『ZAPPER(ザッパー)』の愛称が生まれたのだ。
ちなみにこのエンジンは、後に登場するゼファー750へと受け継がれていく。

ローソンレプリカを略して『ローレプ』

KAWASAKI Z1000R

数々の伝説的ライダーの中でも、アメリカ出身のエディ・ローソンは外せない存在だ。
AMAスーパーバイクでは1981年・1982年と2年連続でチャンピオンを獲得。
その時に駆っていたのが、カワサキ・Z1の後継モデルにあたるZ1000Jだった。

その快挙を記念してリリースされたのがZ1000R。通称「ローソンレプリカ」、略して『ローレプ』だ。
生産台数が少なかったため、Z1000Jをベースにローレプ風にカスタムするライダーも少なくない。

『ユメタマ』には夢が詰まっている?

KAWASAKI ZX-9R

カワサキのスーパースポーツといえばニンジャZX-10R。しかしその前身にあたるのが、1994年に登場した899㏄エンジン搭載のZX-9Rだ。

このZX-9R、なぜか『ユメタマ』と呼ばれている。型式でもなければ「夢玉」という言葉と直結するわけでもない。気になるその由来は…、ロゴ。車体に描かれた「ZX-9R」の文字を「Z=ユ」「X=メ」「9=タ」「R=マ」と読んだ人がいて、そこから『ユメタマ』が広まったのだ。

筆者プロフィール

タンデムスタイル×BikeLifeLab

バイク用語で“タンデム”というと、おもに“二人乗り”を指します。
“じゃ、タンデムスタイルは二人乗り専門の媒体なんだ!”と思った方、残念ですがそれは間違いです。
もちろん二人乗りのことも取り上げていますが、それだけじゃありません。
“タンデム”という言葉には、“読者と編集部をつなぐ”“読者同士の輪が広がる”“みんなで楽しく”などという、むしろ象徴的な意味を持たせているんです。
内容は、バイク歴がまったくない人、バイクのことなんて何も知らないよというビギナーにもわかりやすく、楽しめるをこころがけています。「今までのバイク雑誌はムズカシすぎて読めなかった」という人にもご好評いただいています。
ビギナーは、何をするにせよ“やり方がわからない”という場面によく遭遇します。『タンデムスタイル』には、そんなビギナーが知りたいハウツーがギッシリ!
そして、バイクを使ったさまざまな楽しみ方を紹介しているので、自分に合った
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