自分ではまったく気にならず、むしろ「やっぱりこのマフラーはいい音だなぁ」と感じていても、その感覚が万人に共感されるとは限りません。
むしろSNSではバイクの音がうるさいと言った話題や投稿が毎日のようにタイムラインに流れてくるのが実情です。
立場を変えて、多くの人が寝静まった夜中に爆音をまき散らしながら走るバイクの音を聞けば、決して良い気はしないはずです。

本記事では
・うるさいバイクに悩んでいる場合の対応策
・バイクがうるさい理由
・バイクの音に関する違反
・ライダーとしてのマナーアップ
について解説していきます。

言うまでもなく、バイクメディアで掲載する記事としてバイク自体を否定するものではありません。
バイクの騒音が我慢できないときの対応策や自分が他人に不快感を与えないようライダーとしてできるマナーアップなどを列記していきますので、参考になれば幸いです。

うるさいバイクの対応策

バイクをうるさいと感じる場合、その原因は排気音量と運転方法に大別できます。

決まった時間に空ぶかしをする、低速で走行しながら高回転でリズムを刻むようにスロットルを操作する、いわゆるコールを切るような操作は明らかに迷惑行為です。

一瞬で通過してしまうバイクに対してできることは少ないと思われがちですが、その行為が継続的であればしかるべき対応によって状況が改善する場合もあります。

うるさいバイクに直接文句を言いに行くのは危険をともなうこともあるので、警察やその他機関への通報を通じたいくつかの対応策を解説します。

通報する準備

「夜中にバイクが爆音を出しながら走り回って困っている」ことを通報する場合、多くの場合は現行犯ではなく後日報告することになると思います。
そのため、なるべく多くの客観的な情報を収集しておくことが重要です。

具体的には
・時間(何時何分~何時何分ころ)
・場所
・規則性の有無(毎週何曜日の何時ころなど)
といった情報があることで、例えば警察に通報する際にもパトロールや取り締まりの対応がやりやすくなります。

さらに
・うるさいバイクの特徴(色・形・大きさなど)
・運転手の特徴(性別・身長・服装やヘルメットの特徴など)
・ナンバープレートの番号など
を控えておけば、通報する際の有力な情報となるでしょう。

直接注意はしない

バイクが1台でも複数でも、直接注意することは控えましょう。
トラブルや報復の元になる可能性があるためです。

特に自宅の目の前で騒音を出しているバイクに対して注意すると、身元が明らかになったり本人特定されるリスクがあるので、カッとして玄関から出て行くようなことは避けた方が無難です。

ではどうすれば良いのでしょうか?
前述のような状況証拠を揃えた上で、下記のような通報先に連絡することをおすすめします。

#9110

警ら中のパトカーや白バイが騒音をまき散らすバイクを発見した場合、即検挙することができますが、昨晩うるさかったバイクについて報告する場合は#9110に通報するのが良いでしょう。

警察への通報と言えば110番が思い浮かびますが、110番は事件や事故など緊急性の高い事案を通報する番号なので、日常生活にまつわる騒音被害や苦情については、警察相談専用電話である#9110番が適しています。

#9110番でかけた電話は、電話を掛けた地域を管轄する警察本部の相談窓口につながるので、そこで事案が発生した日時やバイク、運転手の特徴などを伝えます。

事件や事故で現場に急行する110番通報と違って、#9110番では即座に捜査活動などを行うことはありませんが、同様の情報がいくつも集まっているようならパトロール強化などの対応につながる可能性もあります。

運輸局

車両の管轄を運輸局で行う=ナンバープレートと所有者の紐付けができる126cc以上のバイクの騒音については、運輸局に通報すると当該車両のユーザーに対して改善・報告を求める文書を送付するなどの対応をしてもらえます。

国土交通省【不正改造車・迷惑黒煙車情報提供連絡先一覧表】
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/images/h_joho_list.pdf

この連絡先一覧表から住所地を管轄する運輸局のリンクに飛ぶと、例えば関東運輸局では不正改造を確認した日時や場所、不正改造の内容を記載できるようになっています。

ただし、あくまで不正改造を排除する運動の一環として該当する車両の所有者にハガキを送る対応であり、運輸局が捜査や検挙を行うわけではありません。

また運輸局のデータベースと照合するため、相手車両のナンバープレートの番号を入力しなくてはならないので、現車確認が必要です。

さらにノーマルマフラーで空ぶかしをするなど車両を不正改造していない場合や、125cc以下の車両の場合は対象外となるので注意が必要です。

自治体

125cc以下の原付バイクや不正改造車に該当しない126cc以上のバイクの騒音については自治体に相談してみるのもひとつの手段です。

音楽好きにとって癒やしとなるステレオやピアノの音が他人にとっては不快や不満の原因にになることは珍しくなく、各地方自治体では日常生活で発生する騒音に関する相談窓口が設置されていることも少なくありません。

バイクは走り去ってしまうという点で家の中から発生する音と異なりますが、安心して生活を送るにあたり騒音が問題となるのであれば相談してみると良いでしょう。

大家や管理会社

アパートやマンションの駐輪場にあるバイクがうるさい場合、直接声を掛けるとその後が気まずくなることが多いので、管理会社や大家に連絡すると良いでしょう。

またそのバイクが126cc以上で不正改造車であることが確認できれば、運輸局の不正改造車情報提供連絡サイトに情報をアップするのも一つの手段です。

デシベルについて

バイクの音を騒音と捉えるか否かを判断する際は、音の大きさや強さを表すデシベル(db)を理解することも重要です。

音は空気の振動によって伝わり、身の周りには静寂から大爆音まで振動の強さは非常に広いため絶対値で表すのは容易ではありません。

デシベルは音の大きさを対数スケールで表すための単位であり絶対的な値ではありません。
そう言われても難しいと思うので、以下に身の周りにある様々な音をデシベルで表示していきます。

デシベル 音の例(目安)
110デシベル 車のクラクション
100デシベル 電車が通るガード下
90デシベル 犬の鳴き声・カラオケ店内
80デシベル 救急車のサイレン・パチンコ店内
70デシベル 騒々しい事務所の中
60デシベル デバート店内
50デシベル 静かな事務所の中
40デシベル 閑静な住宅街
30デシベル 深夜の郊外
20デシベル 雪の降る音
0デシベル 人間の聴力限界

ここで基準となるのは人間の聴力限界である0dbで、20dbの差を音圧レベルにすると10倍大きくなります。

次に私たちライダーにとって身近なマフラーの排気音量について、JMCA(一般社団法人全国二輪車用品連合会)の騒音規制値を掲載します。
https://jmca.gr.jp/about_muffler/noise_regulation/

引用元:JMCA(一般社団法人全国二輪車用品連合会) 「騒音規制値について」

近接:近接排気騒音
加速:加速走行騒音
新:国産新型車(国産新型車期日以降に型式認定を受けた新型車)
継:国産継続車(国産新型車期日以前に型式認定を受け、国産継続車を超えて生産される継続生産車)
輸:輸入車(輸入車期日以降に生産された輸入車)

上記の表を見ると、平成10年規制を境に近接排気騒音法基準値が厳しくなっていることが分かります。
例えば二輪自動車の近接排気騒音は平成10年規制以前は99dbだった規制値が、平成22年規制では94dbとなっています。

たった5dbかと思うかもしれませんが、先に触れたようにデシベルは音の大きさを対数で示したもので20dbの差が音圧では10倍にもなります。

そこで規制値を5db下げることで音圧がどれほど下がるかといえば、なんと計算上では56%になってしまいます。
業界団体としてもそれだけ排気音量の低減に力を注いでいるというわけです。

その一方環境省では、生活環境を保全する上では住宅街は昼間55db以下、夜間40db以下が望ましいとしています。
https://www.env.go.jp/kijun/oto1-1.html

ただしこの数値は2車線以上の車線を有する道路に面する地域では昼間60db以下、夜間55db以下が基準となり、住居環境によっても差が生じます。

40db程度の閑静な住宅街の中を近接排気騒音94dbのバイクが走り抜けると、その音圧比は約501倍にもなります。

これは明らかに爆音ですが、近接排気騒音は測定用のマイクがマフラー出口から50cmの場所にあり、エンジン最高出力発生回転数の75%(原動機付自転車のうち最高出力時の回転数が毎分5000回転を超えるものにあっては50%)でスロットルを急速に戻した際の最大騒音値で示されるため、バイクとの距離が離れるほど音圧は低下します。

理論的には空気中では距離が2倍になると音圧は1/2となり、デシベルで約6db減衰します。したがって、バイクメーカーの純正マフラーやJMCAの認定を取得した政府認証マフラーを正しく使用すれば、通報レベルの騒音になることは少ないと考えられます。

ただ、そうであっても静かな環境の中に救急車のサイレンやパチンコ店内以上の音を発生するバイクが走行すれば、どれほど目立つのかは自覚しておく必要があります。

バイクがうるさい理由

ライダーであればシングルやツイン、4気筒エンジンの排気音の違いを認識してそれぞれの音の良さを感じることができますが、バイクに興味が無ければどれもただの騒音にすぎません。

誰もが知る人気ミュージシャンが集まるフェスの会場から漏れる音にうるさいとクレームを付ける人がいるのと同じです。

「自分のような正統派のライダーは不正改造マフラーの運転手と同じに思われていないはず」と思っていても、実際はうるさいと思われている可能性があることを認識しておくことは大切です。

ではバイクに乗らない人の目線から見ると、どのようなバイクがうるさいと思われるのでしょうか。

マナーのない行為

信号待ちで何気なくスロットルを空ぶかしする行為が周囲に威圧感を与えることは少なくありません。
低いギヤでフル加速する行為もNGです。

また、幹線道路から離れた住宅街では早朝深夜のアイドリングも想像以上に周囲が迷惑に感じる行為となっている場合もあります。
場合によっては車の通りが多い場所まで押して行ってからエンジンを始動するといった配慮をしたいものです。

不正改造

バイクの運転が大人しくても、そもそも消音性能が低い保安基準を満たさないマフラーを装着してればうるさくなるのも当然です。
社外マフラーに交換する際は、必ずバイクの製造年度に応じた保安基準を満たした製品を装着しましょう。

マフラーのカスタム

騒音規制値をクリアした政府認証マフラーであっても、純正マフラーとは音質が異なるものや、測定回転領域以外の音量がノーマルを上回っているケースもあり、それが原因でうるさいと思われる可能性があります。

劣化した純正マフラー

たとえ純正マフラーであっても、経年劣化によってサイレンサー内部のグラスウールが消耗したり、マフラー内部の水分で錆びて穴が空くことで音量が上がることがあります。
車検付きのバイクでは、劣化した純正マフラーで近接騒音を測定して規制値をオーバーして不合格となる場合もあります。

回転数

アイドリングからエンジン回転数が上がるほど排気音量は大きくなります。住宅街ではシフトアップを早めに行い、低めの回転数で走行することが周囲に対する配慮につながります。

排気量

50ccの原付バイクと1000ccオーバーのビッグバイクの排気音の違いは明らかです。大排気量車になるほどサイレンサーや膨張室が大型化するのも消音性能を確保するためです。
大排気量車でエンジン回転数を上げれば排気音量が著しく上昇するので、住宅地では回転を抑えた走行が重要です。

旧車・絶版車

騒音規制は車両の年式によって違いがあり、1970年代半ばから規制が強化されるようになりました。
裏を返せば1960~70年代半ばまでは、規制はほぼないような状況でした。

1975年に騒音規制が導入された時でさえ規制値は約100dbで、音圧は現行規制値の94dbの約2倍となります。
また、当時の空冷エンジンは現在主流の水冷エンジンに比べてエンジン自体の騒音も大きいため、うるさいバイクと見なされる確率は高くなります。

外車・逆車

外車や逆輸入車の中には、かつては騒音規制値が国内販売車両と異なるケースもありました。
現在では国連の自動車基準調和世界フォーラムが制定した基準に適合したマフラーにはEマークが刻印され、このマークがある新車装着マフラーは日本において騒音試験を行う必要はありません。
ただしサイレンサーの劣化などで継続車検時に測定値をクリアできない場合は車検には合格できません。

場所と時間帯

環境省が規定した住宅地の騒音レベルが昼間と夜間で異なるように、日中と夜間ではそもそもの生活音に差があります。
日中に郵便配達をするスーパーカブと、早朝に新聞配達をするスーパーカブとでは、後者の方が音が大きく感じることもあります。
したがって早朝からツーリングに出かける際は、アイドリングはできるだけ短時間に済ませることが有効です。

価値観の違い

4気筒車の集合マフラーや2ストローク車のチャンバーの音など、排気音を「サウンド」として聴き分けることができるのはライダーならでは。
ですが、バイクに興味がなければシングルでもツインでも、純正マフラーでも社外マフラーでも関係なく「うるさい」と感じるだけでしょう。

価値観が異なれば評価も異なるため、いくら「これは政府認証マフラーで合法なんです」と説明しても理解されるのは難しいでしょう。
さまざまなハラスメント項目の中に音ハラスメント(音ハラ)とう言葉も認知されるようになった昨今では、ライダーである自分がどう思うかではなく相手がどう思うかを重視なくてはならない点に息苦しさを感じる場面も増えているのは事実です。

生活環境の違い

集合住宅であれ一戸建てであれ、自宅の周囲には他の家庭がある場合は生活スタイルもまちまちです。
週末が休みでない人や夜勤で日中に眠っている人、在宅勤務で一日中家にいる人も珍しくありません。
音に敏感な赤ちゃんやペットと一緒に生活している人もいるでしょう。

自分は休みであっても、洗車後にエンジンを掛けて長くアイドリングしたり、空ぶかしを繰り返すことがどう受け止められるかに対する想像も必要です。

時代の変化

ハイブリッド車の増加や電動アシスト自転車等の普及により、音の出る乗り物自体が徐々に減少しています。
そんな中、騒音規制が厳しくなり確実に静粛性が増しているとはいえ、ガソリンエンジンを搭載したバイクの排気音は相対的に目立つ存在となっています。

バイクの音に関する違反

不正改造や整備不良などによってバイクがうるさい場合、さまざまな法律に抵触する可能性があり、違反に該当する場合は相応の罰則が規定されています。

故意に法令に違反することは問題外ですが、自覚のないまま整備不良状態となり違反を犯さないよう、日頃からメンテナンスや整備を行うことが重要です。

不正改造の禁止

バイクメーカーが型式認定を取得する際に定めた仕様を逸脱し、保安基準に適合しない状態となった場合、以下の道路運送車両法に抵触します。

道路運送車両法第99条の2

何人も、有効な自動車検査証の交付を受けている自動車又は使用の届出を行っている検査対象外軽自動車について、自動車又はその部分の改造、装置の取付け又は取り外しその他これらに類する行為であって、当該自動車が保安基準に適合しないこととなるものを行ってはならない。

保安基準に適合した政府認証マフラー以外の違法マフラーを取り付け等する行為は違反となります。
また、政府認証マフラーであっても適合した製品を装着していない場合も違反となります。

罰 則:6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金

整備不良車両の運転の禁止

純正マフラーであってもサイレンサーに穴を開けると整備不良となります。また騒音測定により基準値を超えている場合も違反となります。

道路交通法第62条

車両等の運転者は、交通の危険を生じさせ、または他人に迷惑をおよぼすおそれのある整備不良車両を運転してはならない。

罰 則:3ヶ月以下の懲役、5万円以下の罰金
違反点数:2点
反則金:7,000円(二輪)、6,000円(原付)

消音器不備車両の運転禁止

純正マフラーでも社外マフラーでも、サイレンサーを取り外したり切断している場合は道路交通法により処罰の対象となります。

道路交通法第71条の2

自動車・原付の運転者は、消音器を備えていない自動車・原付、または消音器の機能に著しい支障を及ぼす改造等を加えた消音器を備えた自動車・原付を運転してはならない。

罰 則:5万円以下の罰金
違反点数:2点
反則金:6,000円(二輪)、5,000円(原付)

騒音運転の禁止

他人に迷惑を掛ける騒音については、マフラーが純正部品であっても適用されます。
空ぶかしやレブリミットまで回すレブ打ちなどが対象となります。

道路交通法第71条第5号の3

自動車・原付の運転者は、正当な理由が無いのに、著しく他人に迷惑を及ぼす騒音を生じるような急発進・急加速・空ぶかしをしてはならない。

罰 則:5万円以下の罰金
違反点数:2点
反則金:6,000円(二輪)、5,000円(原付)

ライダーとしてのマナーアップ

バイクが発する音に関して私たちライダーが過度に萎縮する必要はありませんが、近隣住民のいる中で生活する以上は常に迷惑を掛けているかもしれない、という気持ちでいることが重要です。

例えば深夜のツーリングスポットにマナーのないライダーが集まることで、そこに暮らす住民から苦情が寄せられ、時間限定でバイク進入禁止になる可能性だってあります。

「苦情を言われたことがないから大丈夫」と思っていても、実は周囲は不満を募らせているかもしれません。
ぽつんと一軒家で暮らしているのなら別ですが、どれだけバイクが好きだからと言って自分が寝ているそばでエンジンを吹かされたらどう感じるかを想像すれば、おのずと答えは出るはずです。

バイクに乗らない人の気持ちに配慮する

バイクに乗らない人がバイクを理解できないのは当然です。
排気量の大きな社外マフラーを装着したバイクが無駄に空ぶかししたりアイドリングしていれば、脅威と威圧感しか感じないでしょう。格好いいと思っているのは自分だけかもしれないという自覚が不可欠です。

時間帯への配慮

早朝や深夜のエンジン始動や走行には特に気をつけましょう。
幹線道路が近ければそこまで押し歩いてからエンジンを始動したり、住宅街で始動走行するときは幹線道路まで移動してから暖機運転する配慮も必要です。

保安基準を満たしたマフラーを装着する

保安基準に適合しないマフラーを装着すると道路運送車両法違反となることは先に述べた通りで、社外マフラーに交換する際は必ず政府認証マフラーを選ぶようにしましょう。

通販サイトで販売されている安価な海外製品や、レース用と謳われた公道使用が認められていないマフラーを安易に購入しないよう注意しましょう。

バイクに静かさを求めるのは難しい。しかし「うるさい」と思われないように走ることはできる

乗用車はもちろん、トラックやバスに至るまで走行騒音を低減した車両が増えるとともに、相対的にうるさい存在となりつつあるのがバイクです。

日頃からエンジンを動力としたバイクに乗っているライダーは「そうかなぁ?」と首を傾げるかもしれませんが、郵便配達などで使われている電動スクーターの音もなく近づいてくる様子を目の当たりにすると、新聞配達のスーパーカブが騒々しく感じてしまうものです。

バイク好きのライダーが愛車に乗ってツーリングすること自体は、ゴルフやキャンプに出かけるのと何ら違いのない趣味のひとつですが、「音」という大きなネガティブ要素があることは否めません。

ライダーにとってはサウンドとして聞こえるマフラー音も、バイクに興味のない大人やバイクを知らない乳幼児にとっては強い威圧感と不快感を与えるだけというのが現実です。
そうした中でも周囲と共生を図っていくためには萎縮したり、逆に強く出る必要はありません。

重要なのは、自分が心地よいと感じるサウンドが他人にどう受け止められるかを想像することです。
バイクに興味があるか否かは個人の気持ち次第ですが、騒音に関しては家の中にも容赦なく飛び込んできます。
自分にとっては待望のツーリング日和の休日でも、同じ時にこれから眠ろうとする人がいるかもしれない、赤ちゃんがいるかもしれない、バイクに対して良くない印象を持っている人もいるかもしれないと想像し、自宅の周辺だけでなく住宅地の近くを走行する際はなるべく大きな音を出さずに走行するよう心がけるようにしましょう。

筆者プロフィール

栗田晃

バイク雑誌編集・制作・写真撮影・動画撮影・web媒体での記事執筆などを行うフリーランスライター。現在はサンデーメカニック向けのバイクいじり雑誌「モトメカニック」の編集スタッフとして活動中。1976年式カワサキKZ900LTDをはじめ絶版車を数台所有する一方で、現行車にも興味津々。