バイク用レインウェアの選び方を解説!防水性・透湿性で選ぶ基準や重要ポイントも紹介
公開日:2025.09.25 / 最終更新日:2025.10.08

雨と言えば梅雨のイメージですが、実は台風の接近する8月~9月も雨の多い季節。突然の豪雨に見舞われることも少なくありません。
特にバイクでのツーリング中に予報外れの雨に降られてしまうと、ずぶ濡れになって運転しづらいだけでなく、体温を奪われ危険な状況に陥ってしまう可能性もあります。
そんなとき携帯しておくと便利なアイテムが「レインウェア」です。
バイクの雨天走行では、まさに必須のアイテムと言えるでしょう。
しかし、レインウェアにもさまざまな製品があり、「高い防水・透湿性」といったキャッチコピーが貼られていても、それが具体的にどのような性能を指すのか、数値によってどのくらいの差があるのかを知っていなければ、最適な製品を選ぶのは難しいものです。
この記事では、そんなバイク用レインウェアの「防水性」や「透湿性」といった基本的な性能から、一般的なレインウェアとの違い、そして性能と価格の関係性まで、選び方に役立つ情報を詳しく解説していきます。
バイク用レインウェアと一般的なレインウェアの違いは?

雨天走行で重要なレインウェアですが、今回焦点を当てていくのは一般的に知られるレインウェアとは異なる“バイク専用”のレインウェアです。
もちろん、一般のレインウェアを使用してはいけない、使用しない方が良いなんてことはありませんが、バイク用レインウェアはバイク用とだけあってバイク走行に適した機能が持たせてあります。
そこでまず、バイク用レインウェアが一般的なレインウェアとどのように異なるのかを見ていきましょう。
一見すると同じ「雨具」ですが、バイクでの使用を前提とした設計には、いくつかの重要なポイントがあります。
耐水圧・透湿度の基準値
まず一番重要な「耐水性」と「透湿度」について。
一般的なタウンユースのレインウェアが日常の少雨を想定しているのに対し、バイク用レインウェアは高速走行時の風圧による水の浸入や走行中のバイクの運転のような運動による発汗量を考慮して設計されています。
そのため、後述する耐水圧や透湿度の基準値がより高く設定されている傾向にあります。
プロテクターの有無と可動域
バイク用レインウェアの中には、肩・肘・背中などにプロテクターを内蔵できるものや、専用のプロテクターを着用した上から着用できるようにゆとりを持った設計になっているものがあります。
また、ライディングフォームを妨げないように膝や肘部分に立体裁断が施されるなど可動域を確保する工夫がされています。
防風性・防寒性
バイクは走行中に常に風を受けるため、一般的なレインウェアよりも高い防風性が求められます。
また、雨だけでなく、走行風による体感温度の低下を防ぐための防寒性も重視されます。
そのため、裏地にフリース素材を使用している等、防寒性を考慮した製品もあります。
耐久性と補強
バイク用レインウェアは、長時間の使用も考慮して可動部や摩擦の多いお尻や膝の内側などの部分が補強が施されていることが多いです。
場合によってはアスファルトやエンジン、マフラーなどとの接触による摩擦や熱に晒される機会もあるため、一般的なレインウェアよりも生地の耐久性が高く設定されています。
視認性
雨天時の走行は視界が悪くなるため、夜間や悪天候時でもライダーの存在を周囲に知らせるために反射材が効果的に配置されている製品が多いのも特徴です。蛍光色などの目立つカラーリングを採用している製品も多数あります。
これらの違いを理解することで、なぜバイク用レインウェアが「専門品」として存在し、それに見合った性能が求められるのかが分かります。
「防水性・透湿性」ってどんな機能?

バイク用レインウェアの重要性を提示したところで、ここからは本題の「防水性」と「透湿性」について説明していきます。
レインウェアの性能を示す上で最も重要ですが、それぞれの機能について詳しく見ていきましょう。
防水性(Waterproofness)
まず防水性とは、外部からの水の侵入を防ぐ性能のことです。
主な仕組みは生地による遮断。生地自体に防水性の素材を使用、もしくはコーティングを施したり縫い目をシーリングすることで水の侵入を防ぎます。
また、表面の水滴をはじく性能「撥水性」も重要な要素のひとつです。
その他にも、防水ジッパーや前立てのフラップ、袖口や裾の水の侵入を防ぐ構造なども防水性を高める要素です。
透湿性(Moisture Permeability)
透湿性とは、ウェアの内部で発生した汗などの水蒸気を、外部に放散する性能のことです。
液体の水は通しませんが、水蒸気は通すという特性を持っています。
近年バイク用レインウェアで多く使用される高い透湿性を持つ仕組みの製品としては、ゴアテックス🄬などに代表される透湿性素材を使用したものが挙げられます。
これは、水滴よりもはるかに小さい無数の孔が空いたメンブレン(膜)を使用していて、液体の水は通しませんが、水蒸気の分子は孔を通り抜けて外部へ排出されます。
これによって、レインウェア内の湿度が下がり、蒸れが軽減され快適度が高まるという仕組みです。
耐水性と防水性の目安ってどのくらい?

上記で説明した「防水性」と「透湿性性」について、「耐水圧10000mm」や「透湿性20000g/ ㎡/h」などで表記されていることが多いですが、基準がわからなければどれを選んでいいのかわかりませんよね。
防水性と透湿性の基準は概ね以下のような目安となっています。
まず防水性能は「耐水圧」という数値で示されます。
これは、生地がどれくらいの水圧に耐えられるかを表すもので、「〇〇mm」という単位で表記されます。
具体的には、生地の上に1cm四方の筒を立ててその中に水を入れてどのくらいの高さまで水が染み出さずに耐えられるか、という数値です。
この数値が大きいほど、高い水圧に耐えられる、つまり防水性が高いということになります。
一般的な目安としては以下の通りとなっています。
| 2,000mm | 小雨に耐えられるレベル |
| 5,000mm | 通常の雨に耐えられるレベル |
| 10,000mm | 大雨に耐えられるレベル |
| 20,000mm以上 | 嵐や激しい降雨にも耐えられる非常に高いレベル |
次に透湿性能は「透湿度」という数値で示されます。
これは、生地1平方メートルあたり24時間で何グラムの水分(水蒸気)を外部に排出できるかを表すもので、「〇〇g/㎡/24h」という単位で表記されます。
この数値が大きいほど、内部の蒸れを効果的に外部へ排出できる、つまり透湿性が高いということになります。
一般的な目安としては以下の通りです。
| 5,000g/㎡/24h | 軽い運動時や日常使いで快適さを保てるレベル |
| 10,000g/㎡/24h | 登山やウォーキングなど、ある程度の運動を伴うシーンで快適さを保てるレベル |
| 20,000g/㎡/24h以上 | 激しい運動や、バイクでの長距離走行など、発汗量の多いシーンでも高い快適性を維持できるレベル |
バイク用レインウェアを選ぶとき、どのくらいの耐水圧・透湿性のものを選べばいい?

バイクの走行時には、一般的な歩行や自転車での移動に比べ雨粒がウェアに当たる際の衝撃は大きく、想像以上の水圧がかかります。
そのため、バイク用レインウェアには最低でも10,000mm、できれば20,000mm以上の耐水圧を持つ製品を選ぶのが理想的です。
一方、透湿性についてはバイクの運転は一見するとそれほど運動量が多くないように思えますが、長時間にわたる集中や姿勢の維持や発熱するエンジンからの熱などにより想像以上に発汗量が多くなります。
特に気温の高い時期は汗による蒸れが不快感だけでなく体力の消耗や体温調節機能の低下にもつながります。
そのため、バイク用レインウェアには最低でも8,000g/㎡/24h、できれば15,000g/㎡/24h以上の透湿度を持つ製品を選ぶとより快適に走行できるでしょう。
基本的にはどちらも数値が高い方が雨天走行においてより高い性能を発揮してくれます。
ただし、一般的に性能が上がるほど値段も上がっていく傾向にあります。
バイク用レインウェアは必要とされる高い防水性・耐水性に加え立体裁断・シームレス加工などバイク特有の仕様により、一般的なレインウェアよりも高価な場合が多いです。
お財布事情を考慮すると、ただ性能が高いだけではなく使用頻度や状況に応じたウェア選びが重要です。
最適なバイク用レインウェアの選び方
これらの情報を踏まえ、自身の用途や予算に合わせた最適なバイク用レインウェアを選ぶためのポイントをまとめます。
使用する頻度とシーン

たまにしか乗らない場合や近距離移動がメインであれば、中程度の耐水圧・透湿度のものでも十分かもしれません。
長距離ツーリングが多い場合や悪天候でも走行する可能性がある場合は高耐水圧・高透湿度の製品を選ぶことで快適性と安全性が格段に向上します。
耐水圧の目安は近距離用であれば最低でも10,000mm、長距離ツーリングを想定するなら20,000mm以上の製品を選ぶと良いでしょう。
透湿度については最低でも8,000g/㎡/24h程度、できれば15,000g/㎡/24h以上の製品を選ぶと快適度が上がるでしょう。
携帯性

コンパクトに収納できるパッカブルタイプは急な雨に備えて常にバイクに積んでおきたい場合に便利です。
常にスクーターやリアボックスの中に携帯しておきたい場合やツーリング先での雨対策として携行したい場合、コンパクトに収納できるものを選ぶといいでしょう。
安全性

雨天走行時は自分だけでなく周囲のライダー・ドライバーの視界も悪くなり、夜間走行には注意が必要です。
そのため、ウェア選びをする際は反射材が適所に配置されているか確認することもひとつのポイント。
蛍光色などの視認性の高いカラーを選ぶのもおすすめです。
フィット感と動きやすさ

レインウェアは通常ライディングウェアの上に羽織ることが多いため、中に着るウェアを考慮したサイズ選びをしましょう。
また、実際に試着をしてライディングフォームを取ったときに突っ張りがないか、動きを妨げないかを確認することも重要です。
細部の機能
水の浸入を防ぐ袖口の構造・襟元や裾の調整機能・ベンチレーション(換気)機能・ポケットの防水性なども確認すると良いでしょう。
まとめ

バイク用レインウェアは単に雨をしのぐだけでなく、ライダーの安全と快適性を大きく左右する重要な装備です。
防水性と透湿性という2つ性能を理解することでライディングスタイルや用途に最適な一着を選ぶことができるはずです。
確かに性能の高いレインウェアは価格も上がりますが、それはライダーの快適性、ひいては安全を確保するための「投資」と考えることもできます。
快適なレインウェアがあれば突然の雨も乗り越え、より安全で楽しいバイクライフを送ることができるでしょう。
最近ではよりデザインの洗練されたオシャレなレインウェアも増えているのでぜひこの記事を参考に、自分にぴったりのレインウェアを見つけて快適なツーリングを楽しんでください!







