四国は信州や北海道に並ぶ旅ライダー憧れの地の一つ。
海を渡ってアクセスする一種の儀式的要素もあり、特別な非日常感的旅情を感じる事もその人気の秘密と言えるかもしれない。
初訪問の多くの方は、海岸沿いの外周一周コースを選ぶケースも多い。
もちろんこのコースは雄大な太平洋と風光明媚な瀬戸内の対比が美しく、観光名所を掻いつまんで楽しめるお勧めのルートレイアウトだ。

だが、四国の真の魅力は山岳部。
四国は国内屈指の山岳地帯でアクセス困難なガチ秘境の宝庫なのだ。
せっかく四国旅へ赴くならば、沿岸のみではなくぜひ内陸部の山岳地へも訪れて頂きたい。

“国道”とは名ばかりの酷道の見本市。1.5車線どころか離合不能な1車線区間も珍しくない。
路面は荒れ、変成岩の尖った石はパンクを誘発する事も度々。
現代の修験道とも言える厳しいルートに直面するだろう。

しかし、困難の先には素晴らしい風景と感動が待っている。この地は現代日本に残る数少ないガチ冒険フィールドなのだ。
孤独と共にバイクで旅する哲学を嫌でも考えさせられる事となる。

だが、この要素こそがキミがバイク旅を楽しむ要因の一つなのではないだろうか?
バイクを楽しみ、旅を楽しみ、そして人生を楽しむ。
より素晴らしいバイクライフのカギが四国に隠されていると言っても過言でないのだ。

さぁ、キミは今から勇者だ。従者は一台のバイク。
人生のカギを探索するためにいざ魔境へ!今回のセレクトは少々穴場なポイントだが、これでも中級編だ。
では、味わい深い四国旅へいざ!

四国のおすすめツーリングロード

瓶ヶ森林道


頭上にあるのは碧空のみ。日本屈指の天空回廊と呼べる感動の絶景道だ。険路四国道の代表格でもあり、全線1.5車線の狭路だがピーク付近の標高は約1700m。四国連山の頂点を走る。
総延は約27kmだが、ブラインドコーナーが多くペースは遅め。休憩等も含めると走破には2時間程度は見込んで挑みたい。
各連山山頂トレッキング(徒歩片道45分程度)は異次元のパノラマに感激できるぞ。自販機等一切無しのため要注意。

国道55号


徳島市街より海岸沿いに室戸岬を経由し、高知市へ至る総延約210kmの国道ルート。定番ながら初めての四国旅では必ず走っておきたいルートだ。
その多くの区間で水平線を望む潮風感抜群の海道。主要幹線路のため交通量は多いがほぼ全線が渋滞皆無の快走区間で満足感は非常に高い。
四国最東端の蒲生田岬や室戸スカイラインへのアクセス路でもあり、四国を代表する入門編絶景ロードだろう。

夕やけこやけライン


国道378号、愛媛県伊予市双海町~大洲市長浜町の約38kmの絶景ロードだ。
瀬戸内沿岸でありながら小島が殆どなく水平線が広がり、夕陽を楽しむには絶好のロケーショの上、交通量も少な目で穴場的路線と言える。
中でも伊予市~八幡浜市を連絡する沿岸ルートは海岸直近の断崖下を走るダイナミックな風景が魅力。
また、四国絶景道定番の佐田岬メロディーラインへも直結。比較的マイナーながら四国屈指の絶景道だ。

裏メロディーライン


佐田岬は四国を旅するライダーにとって外せないスポット。メインアクセス路のメロディーラインは佐田岬を横断する走り応え抜群の名道だ。
しかし、展望感は乏しく絶景道とは言い難い。だが、ダイナミック感抜群の穴場道がその上方に潜んでいるのだ。
通称“裏メロディーライン”と呼ばれるこのルートは、佐田岬風力発電所の風車群を縫って走っており展望感と迫力抜群!超穴場道ながら感動絶景が楽しめる。

四国ツーリングデジタルガイド

https://www.google.com/maps/d/u/0/viewer?hl=ja&mid=1ds8zsD8_ta_JJ1xPOnxKUKIUUNX7GFw&ll=33.56497565079859%2C133.38140835&z=8

四国のツーリングスポットを表示するデジタルガイドを公開中!
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四国特選ツーリングスポット10選

高屋神社


香川県観音寺市高屋町2800
高松自動車道さぬき豊中ICより8.3km/15分

高山の少ない香川県で国内髄一のパノラマ絶景を楽しめる穴場絶景スポット。
徒歩約50分のトレッキングを要するが、標高404mの本殿からは讃岐平野一望の感動展望が!別名“天空の鳥居”。
善通寺市街をはじめ風光明媚な瀬戸内の風景を天空より本殿の鳥居越しに望む。
石段は270段。道程は少々ハードながら一度は訪れておきたい。

足摺岬



高知県土佐清水市足摺岬1349
四国横断自動車道四万十ICより44.6km/55分

四国最南端、足摺半島の先端に位置する岬だ。目前に広がる雄大な太平洋。朝陽も良し、夕陽も良し。特に四国4極巡りを試みる方にとってはハイライトシーンに違いない。
令和5年に、岬より若干東側に位置する天狗の鼻に展望所が設置され、灯台を絡めた旅情抜群の展望を楽しめる。写真は展望所より。

竜宮神社



高知県土佐清水市松尾
四国横断自動車道四万十ICより40.2km/45分

足摺半島西部の岩礁地帯に佇む社。参拝すると必ず大漁になると伝えられており、地元でも信仰が厚い。
黒潮が日本最初に接岸する地点と言われており、浸食により形成された奇岩群は異世界感抜群!国内髄一の絶景神社とも言えるだろう。
駐輪場より徒歩約10分程度ながら標高差があり意外とハード。だが、感激度も最高だ!

蒲生田岬



徳島県阿南市椿町
徳島南部道徳島津田ICより49km/70分

四国最東端の岬。観光客は皆無で穴場感抜群、秘境感すら漂う絶景地だ。
観光施設は無いが、蒲生田岬灯台と対岸の紀伊日ノ御埼灯台を結ぶラインが太平洋と瀬戸内の境界に設定されており、まさに瀬戸内の始終を成す重要なポイント。
蒲生田岬灯台も大正13年初点灯の文化財級の設備だ。周辺はウミガメの産卵地でもある。

佐田岬風力発電所 せと風の丘パーク



愛媛県西宇和郡伊方町大江
八幡浜道路保内ICより23.5km/35分

佐田岬半島は約50kmにも及ぶ日本最長の半島。四国最西端でもあり四国旅定番のスポットだ。
その半島尾根を横断するように設置された風車群が佐田岬風力発電所。
せと風の丘パークは標高330mの尾根に位置しており、無数の風車群と共に半島を一望できる絶好のポイント。全高50mもの巨大な風車も圧巻だ。

四国カルスト姫鶴平



愛媛県上浮穴郡久万高原町西谷
四国横断自動車道須崎中央ICより62.2km/80分

山深い四国連山の尾根頂上に突如開けた広大な丘陵地帯。無数の石灰岩が林立する展開的なカルスト台地が絶景すぎる四国髄一の展望地だ。
姫鶴平までのアクセス路は屈指の険路だが、カルスト台地の風景は国内屈指の感激展望。秋吉台を凌ぐ天空感抜群の光景が広がる。
キャンプ場や宿泊施設も整備されており、満足感も抜群だ。

安居渓谷 水晶淵



高知県吾川郡仁淀川町宮ケ平
四国横断自動車道伊野ICより48km/60分

透き通ったブルーに輝く清流が感動的な渓谷。幽玄の山中、仁淀川の支流である安居川の上流域に位置しているが、直近までバイクで行けるハードル低めの本格秘境だ。
仁淀川は“日本一の清流”にも認定された事があり、その水源の清らかさはお墨付き。
飲用は不可ながら幻想的な仁淀ブルーを存分に堪能しよう。

ひの字渓谷



徳島県三好市西祖谷山村田ノ内国ヶ滝
徳島自動車道井川池田ICより25.6km/45分

日本三大秘境地とも称される祖谷地方は深い峡谷に囲まれた屈指の山岳地帯だ。
今日こそ整備されたルートがあるが、かつては祖谷へのアクセスは困難を極めた。
この絶景峡谷は祖谷へ至るかつての主要街道沿線の光景だ。
谷底の祖谷渓までは落差何と200m!山国四国の神髄とも言える秘境地を体験しよう。

大歩危小歩危峡



徳島県三好市山城町西宇
徳島自動車道井川池田ICより23.6km/35分

国道32号は吉野川沿いに四国を縦断する主要街道だ。
だが、近世では屈指の難路として有名な区間だった。
明治期に国道が開通したが、現在も深いV字谷よりの落石は続き、荒天時には通行止めも発生する。
しかし、峡谷美は素晴らしい。一級国道沿いの定番風景だが四国を象徴するダイナミックな原風景でもあるのだ。

予讃線下灘駅



愛媛県伊予市双海町大久保
松山自動車道伊予ICより15.5km/20分

夕焼け小焼けライン沿線に位置する予讃線の無人駅。
“日本一海に近い駅”として知られていたが、映画や青春18キップのキャンペーンポスターとして取り上げられ、フォトスポットとして人気になった。
現役の木造駅舎は補修を繰り返されているが、昭和10年に設置以来の文化財級の施設だ。
瀬戸内に沈む夕陽を堪能するベストスポット!

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。