本記事はバイク雑誌『タンデムスタイル』とのコラボ記事です!

本記事の内容はタンデムスタイル 2023年9月号 Vol.260の内容の一部を再編集したものです。
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ライダーであれば『気の向くまま思う存分バイクに乗って旅を楽しみたい!』と思ったことがあるはずだ。
しかし多くは限られた時間・予算の中でツーリングに出かけているだろう。
その中で充実感を高めるには『プラン作り』が重要になってくる。
これには個人の嗜好やさまざまな要素が絡み合うので、それらを含めてトータルで考えるようにしてほしい。

ただ、その一方で計画どおり進まないのがツーリングでもある。
渋滞やトラブルが生じることもあるからだ。
そのため、状況に応じて修正する柔軟さも持つようにしよう。

その1 目的地を決める

バイクで走り出せば、それだけでツーリングの気分を味わえる。
でも、なんとなく走るよりも『ここに行こう!』という目的地を決めたほうが、達成感もぐっと大きくなる。

目的地は人それぞれ。テレビで見た名物グルメを食べに行くのもいいし、SNSで見た絶景を自分の目で確かめに行くのも最高だ。
ただし、1日のツーリングであれもこれも回ろうとすると、意外と時間が足りないもの。

まずは『ここだけは絶対に行く!』という場所をしっかり決めよう。
そのうえで、行き帰りの道中や周辺に『ついでに寄れたらうれしい』スポットを加えていくと、気持ちにも余裕が生まれる。

無理なく、自分のペースで楽しめるプランこそツーリングの第一歩だ。

名物料理

ツーリングの日=休日という人がほとんど。
せっかくの休日は、おいしいものを食べたいと思うのは、ライダーでなくても同じだ。
愛機のハンドルを握り、走りを楽しみながら舌を満足させられれば、最高のリフレッシュになること間違いなし!

絶景

現在は紙媒体だけでなく、SNSでも絶景を目にすることができる。
しかし、実物にはそれらにはない迫力がある。その景色を目標に走っていけるのも、ライダーならではの特権だ。
ただし、夕日や朝日を絡める場合は時間の制約を受けることは覚悟すること。

観光スポット

休日になれば観光スポットは多くの人でにぎわう。
その多くは四輪車や公共交通機関を利用するだろうが、バイクではダメというわけではない。
むしろ、機敏に動き回れるバイクのほうが有利な面もあるのだ。

イベント

寒い時期を除けば、バイクシーズンにはさまざまなライダー向けイベントが全国各地で開催されている。
それを目的地にするのもいいだろう。
会場に行けば、さまざまな情報を集めることができ、バイクライフのプラスになるのでオススメだ。

その2 走る距離を決める

下の図は、都心から片道50㎞・150㎞・350㎞圏内を色分けしたもの。
350㎞は高速道路を使うことを想定した距離だが、日帰りツーリングでも十分に走れる範囲だ。

とはいえ、ビギナーライダーがいきなり長距離に挑戦するのは少しハードルが高い。
無理をして疲れがたまり、集中力が切れて転倒…、なんてことにもなりかねない。

まずは50㎞前後の近場から始めて、徐々に距離を伸ばしていこう。
ツーリングは距離を競うものではなく、自分のペースで『気持ちよく走る』ことこそが一番の楽しみ方だ。
経験を重ねるうちに、自然と行ける範囲も広がっていくはずだ。

スマートフォンのナビアプリで目的地を検索すれば、大体の距離がわかる。ルート別に検索でき、おおよその到着時間も確認できるので便利だ。

往復でほぼ同じルートを走るピストン型は、おおよその距離をつかみやすい。
一方、行きと帰りでルートを変える周遊型は距離が変わってくるが、ピストン型と違い、さまざまな場所に立ち寄れるのがメリットだ。

その3 ルートを決める

ひとつの目的地を目指すツーリングでも、そこへ向かうルートは一つではない。
気持ちのいいワインディング(カーブの多い道)を選べば、走る楽しさは増すが、到着までの距離は自然と伸びてしまう。
一方、最短ルートを重視するなら、高速道路や幹線道路を中心に走ることになるだろう。

どんな道を走るか―。その『ルート選び』もツーリングの楽しさを左右する大切なポイントだ。
スマートフォンのナビアプリは便利だが、最短ルートを優先してしまうことが多く、気持ちよく走れる道を見つけるのは難しい。
そんなときに役立つのが『ツーリングマップル』だ。
ライダー目線で編集されているため、景色のいい道やおすすめのルートがひと目でわかる。

また、日帰りで遠くまで足を延ばしたいときは、高速道路の利用も検討しよう。
一般道よりも巡航速度が高く、信号も少ないため、短時間で距離を稼ぎやすい。
サービスエリアやパーキングエリアでは食事や休憩も楽しめるので、行き帰りのちょっとした楽しみにもなる。
もちろん料金はかかるが、その分、時間と体力を節約できるのが高速道路のメリットだ。

スポーツライディングを楽しみたい人にとって、ワインディングはうってつけのステージだ。
ただし、攻めすぎると転倒の可能性も高くなるため、安全運転を心がけて走ってほしい。

オフロード系バイクに乗る人に好まれる道が『林道』だ。
舗装されていないため、場所によってはオンロードモデルでは走行が難しいこともある。
基本的に山の中にあることが多く、ワインディングとあわせて楽しめる可能性も高い。

その4 時間を考える

ツーリングを楽しむうえで大切なのが、「時間の使い方」だ。
出発から帰宅までのタイムスケジュールをあらかじめ考えておくことで、安心して走ることができる。

ナビアプリを使えば到着予定時刻はわかるが、そのとおりに進むことはまずない。
途中で渋滞に巻き込まれたり、トイレ休憩や給油で想定以上に時間を使ってしまうこともよくある。
そんなときは焦らず、進み具合に合わせてスケジュールを柔軟に調整しよう。

慣れてくると、自分のペースや距離感がつかめるようになり、ツーリングプランも立てやすくなる。
もし予定していた場所を回りきれなかったとしても、次回の楽しみにすればいい。
無理に詰め込みすぎると、焦りや疲れから注意力が落ち、思わぬトラブルにつながることもある。

ツーリングは『安全に楽しむこと』がいちばん大切。
ゆとりのあるスケジュールで、心にも時間にも余裕を持って走ろう。

バイクに乗るのは、ある意味スポーツのようなものだ。
徐々に体力は消耗していくため、定期的に休憩を取ることが安全につながる。
もちろん、休憩中は距離を稼げない一方で時間は経過してしまうが、それでも無理をせず体を休めることが大切だ。

ツーリングの目的を「食」に定める人は、特に注意してほしい。
人気店で人が並んでいたり、料理の提供までに時間がかかることもあるからだ。
そんなときは、食事をしながら次のプランを考えよう。

平日・休日を問わず、ツーリングに出かければ渋滞に巻き込まれる可能性はゼロではない。
一度巻き込まれてしまえば、当然ながら時間を消費してしまう。
渋滞中も解消後も、焦らず安全を意識して走ることが大切だ。

近場であれば陽のあるうちに帰宅できるが、ある程度距離がある場合は陽が落ちることも多い。
帰り道の夜間は、昼間とは違って視認性が低下し、疲れもたまっている。
ペースが落ちがちになることも頭に入れておこう。

その5 予算を考える

ツーリングを楽しむうえで、忘れてはいけないのが『お金の管理』だ。
バイクで走る以上、ガソリン代は必ずかかる。
最近は燃料価格も高くなっているため、長距離を走るほど出費がかさみやすい。

さらに、道中では飲み物や食事、ちょっとしたおみやげなどにも手が伸びがち。
「せっかくだから」と普段より少し贅沢をしてしまうこともあるだろう。
一度きりのツーリングなら問題ないが、定期的に出かけるようになると、思った以上に出費が重なってしまう。

特に注意したいのは、費用を使いすぎて「メンテナンス」に回すお金が足りなくなること。
安全に走るための整備やタイヤ交換などは、バイクライフに欠かせない大切な出費だ。

ツーリングを続けるなら、ガソリン代・食費・整備費などをあらかじめ見積もり、予算をしっかり管理しておこう。
楽しいバイクライフを長く続けるためには、走りの計画だけでなく、お金の計画も同じくらい大切だ。

自分のバイクの燃費を把握しておくことは、給油のタイミングだけでなく、予算を立てるうえでも重要だ。
同じマシンでも乗り方によって燃費は変わってくるため、ある程度ツーリングを重ねて平均値をつかむようにしよう。

タイヤやエンジンオイルをはじめとする消耗品の交換や、チェーンやスプロケットの清掃・注油など、安全に走るためにはメンテナンスが欠かせない。
しっかりと整備していれば燃費も向上する。もちろん、メンテナンスには出費がともなうぞ。

遠方を目的地にする場合は、高速道路を利用することになるが、一般道とは違い出費がともなう。
ETCを使えば若干の割引を受けられるものの、この費用を抑えたいなら一般道のみでツーリングを楽しむのもいいだろう。

その6 マスorソロ

ツーリングには大きく分けて、ひとりで走る「ソロツーリング」と、仲間と走る「マスツーリング」の2つのスタイルがある。
それぞれの魅力があり、どちらも体験してみることでツーリングの楽しみ方が広がる。

ソロツーリングは、自分のペースで自由に走れるのが魅力だ。
気になる場所に立ち寄ったり、時間を気にせずのんびり走ったりと、自由度が高い。

一方、マスツーリングは仲間と景色や食事を共有できる楽しさがある。
ペース配分やルールを守る必要はあるが、安心感や連帯感が得られるのもマスならではの魅力だ。

ビギナーのうちは、まだバイク仲間がいないという人も多いだろう。
最初はソロで走ることになるかもしれないが、ツーリングイベントやSNS、バイクショップなどを通じて仲間を見つけるのもおすすめだ。
仲間ができれば情報交換の幅が広がり、より充実したバイクライフを送ることができる。

ソロツーリングは、とにかく気ままに走れるのが魅力だ。
休憩したくなればすぐに休めるし、気になる場所があればふらりと立ち寄ることもできる。
ただしトラブルが発生した場合は、すべて自分ひとりで対処しなければならない。
そのため、ビギナーのうちは慣れるまで、誰かと一緒に走ったほうが安心できる。

マスツーリングは仲間がいるぶん、安心感が高い。
万一トラブルが起きても、仲間と助け合ってリカバリーできる可能性があるのがメリットのひとつだ。
道中の会話を楽しめるうえ、ベテランライダーにいろいろ相談できるのも魅力だ。
ただしペースを合わせたり、仲間に気をつかったりする必要があるのはデメリットといえる。

自分に合った『ツーリングプラン』で、バイクの楽しさを広げよう

ツーリングはただバイクで走るだけの行為ではない。
目的地を決め、距離やルートを考え、時間や予算を調整する。
その「プランづくり」こそが、ツーリングの醍醐味のひとつだ。

走る距離が短くても、目的がはっきりしていれば満足感は大きい。
ルートを工夫すれば、同じ場所へ行くにもまったく違う景色や発見がある。
また、時間配分や予算を意識しておけば、無理のない安全な走りにつながり、心からツーリングを楽しむことができる。

さらに、ひとりで走る自由なソロツーリングも、仲間と走るマスツーリングも、それぞれに魅力がある。
経験を重ねるうちに、「自分はこんなツーリングが好きだ」と感じる瞬間がきっと訪れるはずだ。

バイクの楽しさは、目的地に着くだけでは終わらない。
走る過程そのもの、そして自分なりのプランを立てること。それこそがツーリングの面白さだ。

しっかりと準備して、次の休日は自分だけのルートで風を感じに出かけよう。

筆者プロフィール

タンデムスタイル×BikeLifeLab

バイク用語で“タンデム”というと、おもに“二人乗り”を指します。
“じゃ、タンデムスタイルは二人乗り専門の媒体なんだ!”と思った方、残念ですがそれは間違いです。
もちろん二人乗りのことも取り上げていますが、それだけじゃありません。
“タンデム”という言葉には、“読者と編集部をつなぐ”“読者同士の輪が広がる”“みんなで楽しく”などという、むしろ象徴的な意味を持たせているんです。
内容は、バイク歴がまったくない人、バイクのことなんて何も知らないよというビギナーにもわかりやすく、楽しめるをこころがけています。「今までのバイク雑誌はムズカシすぎて読めなかった」という人にもご好評いただいています。
ビギナーは、何をするにせよ“やり方がわからない”という場面によく遭遇します。『タンデムスタイル』には、そんなビギナーが知りたいハウツーがギッシリ!
そして、バイクを使ったさまざまな楽しみ方を紹介しているので、自分に合った
“バイクライフ”を見付けるにもピッタリのメディアなんです。