「新基準原付」とは？注目の新しい原付バイクを徹底解説！

人々の生活に一番浸透しているバイクと言えば、原付免許や自動車免許で乗ることのできる排気量50ccの第一種原動機付自転車、いわゆる「原付バイク」でしょう。

しかし現在、そんな50cc原付バイクの生産終了が各メーカーから告知されています。

とはいえ、50cc原付バイクは通勤や通学といった手段で多くの人に利用されている大事な乗り物。
50cc原付バイクの新車供給は終わりますが、代わる乗り物として「新基準原付」というバイクが順次登場することになっています。

この記事では「新基準原付」とはどんな乗り物なのか、今までの50cc原付バイクとどう違うのか、間違われやすい交通ルールなどについて詳しく解説していきます。

50cc原付バイクと比較したメリット・デメリットや保険などへの疑問についても紹介するので、新基準原付への理解を深めたい方、これから新基準原付バイクへの乗り換えを検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

新基準原付とは？

新基準原付の特徴

新基準原付の最大の特徴は、125ccの原付バイクをベースにしながら、エンジンの出力を従来の50cc以下の原付バイクと同等に抑えている点です。

具体的には、50ccの定格出力（エンジンが常に安定して継続的に発揮できる最大出力）0.6kW以下で最高出力（そのエンジンが発揮できる瞬間的な最大出力）4.0kW以下に相当する車両とされます。

エンジンは50cc原付バイク相当のパワーとなりますが、見た目は125ccバイクと同等のサイズ感になることが予想されており、走行安定性の向上やより充実した装備の搭載が可能になることが期待されています。

「新基準原付」の区分基準はどうしてできた？

新基準原付が登場した背景には、環境規制の強化が大きく関係しています。

近年、地球温暖化対策や大気汚染防止の観点から、二輪車に対してもより厳しい排出ガス規制（以下、排ガス規制）が世界的に導入されるようになりました。

日本国内でも排ガス規制は年々厳しくなっていて、特に2025年11月1日から適用される「第４次排出ガス規制」により、従来の50ccバイクのエンジンでは対応が困難であるとされています。

このため各メーカーは50ccエンジンの開発・生産はコストに見合わないと判断し、生産終了の方向へと舵を切りました。

しかし、比較的免許の取得がしやすく、都心・地方問わず人々の生活に密接関わっている50cc原付バイクを完全に廃してしまうわけにはいきません。

そこで焦点が当たったのが50cc原付バイクに代わり現代の移動手段として台頭してきている125cc原付バイク。
既存の125ccクラスの車体をベースに出力を制限することで現行の原付一種の区分（50cc以下）に収まるようにしたのが「新基準原付」なのです。

メーカーは新たな排ガス規制に対応しつつ、引き続き50cc原付バイクを提供できる道を探っているのです。

原付一種、原付二種、新基準原付の違い

新基準原付は125ccの原付二種バイクをベースとした車両になりますが、同じ排気量でも発揮できる出力の制限に違いがあります。

新基準原付の定格出力（継続的に安定して発揮できる出力）は従来の50cc原付バイクと同様の0.6kWに制限。

また、最高出力に関しても4.0kW以下という規制が設けられています。

なので、たとえ排気量が同じでも、最高出力が4.0kWを超える原付二種バイクを原付免許や普通自動車免許で運転できるわけではありません。

最高出力が4.0kWを超える125ccバイクを運転するには、従来通り小型普通二輪免許、または普通二輪免許か大型二輪免許が必要です。

項目	原付一種（50ccバイク）	新基準原付	原付二種（125ccバイク）
排気量	50cc以下	125cc以下
定格出力	0.6ｋW以下		1.00kW以下
最高出力	－	4.0kW以下	4.0kW超

新基準原付の交通ルール

車体は125ccクラスがベースとなりますが、あくまで法規上は「原付一種」として扱われるため、これらのルールを厳守する必要があります。

新基準原付の交通ルールは、従来の50cc原付バイクと同様で、最高速度は時速30kmに制限されます。

交差点での二段階右折も従来の50cc原付バイク同様に義務付けられています。

もちろん二人乗りも不可。一番左の車線を走行する義務があります。

項目	原付一種（50ccバイク）	新基準原付	原付二種（125ccバイク）
必要な免許	原付免許 または 普通自動車免許 または 小型限定普通二輪免許 以上の二輪免許		小型限定普通二輪免許 以上の二輪免許
法定速度	30km/h		60km/h
二段階右折	必要（特定の交差点）		不要
2人乗り	不可		可能 （免許取得後1年以上経過）

新基準原付のメリット

太いトルクによる発進や登坂の力強さ

新基準原付の大きなメリットの一つにトルクの高さが挙げられます。
そもそもトルクとはエンジンが発生させる「回転させる力」のことで、この数値が高いほど発進時の加速や坂道を上る際の力強さが増します。

新基準原付は従来の50ccエンジンではなく、より排気量の大きい125ccクラスのエンジンをベースにしているため、出力を制限していても従来の50ccバイクと比較して発進時や坂道でのトルクが向上する可能性があります。
これにより、信号待ちからのスムーズな発進や上り坂での安定した走行が期待できます。
時速30kmという制限速度は変わりませんが、力強い加速感は日常の移動をより快適にするでしょう。

しっかりした車格による走行安定性

新基準原付は125ccクラスの車体をベースとすることから走行安定性の向上が期待できます。
従来の50ccバイクはコンパクトさが魅力でしたが、車体が軽量であるために風の影響を受けやすかったり、段差での安定性に欠けるといった側面もありました。

一方、125ccクラスのバイクは50ccクラスと比較して車格がしっかりしておりタイヤも大きい傾向にあります。
これにより路面からの衝撃を吸収しやすくなったりカーブでの安定感が増すなど、全体的な走行安定性が高まる可能性があります。
特に、日常的に幹線道路を走行する方にとっては、より安心して運転できる要素となるでしょう。

充実した装備

新基準原付は、ベースとなる125ccクラスのバイクが持つ充実した装備が引き継がれる可能性があります。
従来の50ccバイクはコストや車体の小ささから装備が簡素化されているモデルが多い傾向にありました。
しかし、125ccクラスではスマートキーやABS（アンチロック・ブレーキ・システム）やLEDライトなどの先進的で快適な装備を搭載したモデルが多く存在します。

出力の制限に伴いコストダウンのため装備が見直される可能性も十分にありますが、従来の50ccバイクではオプションもしくはそもそも搭載されていなかった装備が標準で採用されるなど利便性や安全性が向上する可能性は十分にあると言えるでしょう。

新基準原付のデメリット

基本ルールは50ccバイクと変わらない

新基準原付の最大のデメリットは、基本的な交通ルールが従来の50ccバイクと全く同じという点です。

せっかく125ccクラスの車体になったとしても、「30kmh制限」「二段階右折の義務」「2人乗りの禁止」のルールは変わりません。

これらのルールは従来の50ccバイクのデメリットとして挙げられることも多いですが、新基準原付でもそのまま引き継がれるためこの点が改善されることはありません。

より速い速度で走行したい、二人乗りをしたいといった場合は、小型限定普通二輪免許を取得して原付二種（125ccバイク）に乗る必要があります。

車体サイズが大きくなる

新基準原付が125ccクラスをベースとするため、従来の50ccクラスと比較して車体サイズが大きくなることが考えられます。

体格の良い男性であれば車体が大きい方が安定感があり乗りやすいと感じるかもしれませんが、
小柄な方や女性にとっては駐輪場での取り回しや押し歩きなどが大変に感じる可能性があります。

また、今まで50ccバイクで止めていた場所が新基準原付ではスペース的に厳しくなるケースも出てくるかもしれません。
自宅での保管スペースや、普段利用する駐輪場の広さなども考慮する必要があるでしょう。

燃費の低下

エンジンが125ccをベースとしたものとなるため、従来の50ccバイクと比較して燃費が低下する可能性も考えられます。

同じ30km/hで走行したとしてもエンジンの排気量が大きく車両の車重も増えるため、燃料消費量が増える可能性もあります。

もち現代の原付二種モデルの燃費は極めて優秀ですが、現状の50ccバイクと単純に比較した場合に燃費性能では劣る可能性がある点は認識しておくべきでしょう。

車両本体価格が高くなる

新基準原付は125ccクラスのバイクをベースに作られるため、従来の50ccクラスと比較して車両本体価格が上がる可能性が考えられます。

開発コストや部品の共通化によるコストダウン効果も期待されますが、より大きな車体や充実した装備を考えると価格上昇は避けられないかもしれません。

価格調整のため装備が簡略化される可能性なども考えられますが、購入を検討する際には車両本体価格だけでなく維持費なども含めたトータルコストで比較検討することが重要となるでしょう。

新基準原付に関するよくある質問（FAQ）

新基準原付に関して、多くの方が抱きやすい疑問や誤解について解説していきます。

Q.自動車免許や原付免許で125ccの原付二種バイクを運転できるようになる？

A.125ccの原付二種バイクは運転できません

誤解されがちですが、自動車免許や原付免許で排気量125ccで定格出力0.6ｋW、ないし最高出力4.0kWを超える原付バイクは運転できません。
運転できるのは、あくまで新基準原付として区分された、出力制限がされた車両のみです。

新基準原付は法規上の扱いが「原付一種」であるため、原付免許または普通自動車免許で運転が可能です。
しかし、これは排気量ではなくエンジンの出力（定格出力0.6kW以下、最高出力4.0kW以下）によって区分されるためです。

既存の原付二種（例えば、70ccや90cc、125ccのバイク）はその排気量に見合った出力があるため、これまで通り小型限定普通二輪免許以上が必要となります。

たとえ排気量が125cc以下であっても、新基準原付として認定されていない車両は普通自動車免許や原付免許では運転できないので注意が必要です。

Q.新基準原付の登場で今までの50ccバイクには乗れなくなる？

A.乗り続けて大丈夫

新基準原付が登場しても今までお乗りの50ccバイクには引き続き問題なく乗ることができます。

道路交通法上の区分に変更はなく、従来のルールが適用されます。
免許の種類や維持費、税金なども変更はないので安心していいでしょう。

Q.50cc原付バイクは購入できなくなる？

A.新車は購入できなくなる時が来るけれど、中古車はこれからも購入可能

新車の50cc原付バイクは順次生産終了となり、最終的には在庫限りとなります。
いつかは新車で購入できなくなる時が来るでしょう。

しかし、中古の50ccバイクは、これまで通り購入可能です。

ただし、新車の供給が止まるため、程度の良い中古車は年数の経過に伴い減少していくことが予想されます。
この先数十年というスパンで見ると、中古であっても購入することが難しくなる可能性も十分に考えられます。

もし、どうしても欲しい50ccバイクがある場合は、早めに動いた方が良いかもしれません。

50ccのサイズ感だからこそ際立つ魅力を持つモデルも多く、生産終了から10年以上経過してもその人気が衰えない車種も少なくありません。

バイク王では、中古の50ccバイクを多数取り揃えています。
お探しのモデルがある方は、ぜひ以下のリンクから在庫をチェックしてみてください。

Q.50cc原付バイクを売ったり譲ったりできなくなる？

A.今まで通り売却・譲渡可能です

新基準原付の登場によっても今までお乗りの50cc原付バイクを売却したり誰かに譲ったりすることは今まで通り問題なくできます。
中古市場も継続して存在するため、売買が不可能になることはありません。

Q.新基準原付の税金は？

A.従来の50ccバイクと同じです

新基準原付の税金は、従来の50cc原付バイクと同様です。具体的には、軽自動車税が年間2000円かかります。これは排気量ではなく、法規上の区分に基づいています。

Q.新基準原付の保険は？

A.従来の50cc原付バイクと同じ

新基準原付のも従来の原付一種と同様に自賠責保険への加入が義務付けられています。
自賠責保険は全ての原付バイクに共通する強制保険です。

また、自賠責保険だけではカバーしきれない損害に備えて、任意保険への加入も強く推奨されます。

自動車を所有している方は、ファミリーバイク特約の対象になるはずです。

任意保険の料金は、50cc原付バイクと同じ区分が適用されると予想されますが、各保険会社のプランや補償内容によって異なりますので加入の際には複数の保険会社を比較検討することをおすすめします。

Q.新基準原付のナンバープレートは？

A.従来の50cc原付バイクと同じ

新基準原付のナンバープレートは、従来の50cc原付バイクと同じく、白地に緑の文字で交付されます。

形状は各市区町村によって異なり、中には地域の特色をデザインに取り入れたご当地ナンバーを採用している地域もあります。

法規上の区分が原付一種であるため、ナンバープレートの色や種類に大きな変更はありません。

ライフスタイルに合った原付バイクで移動をもっと便利で快適に！

今回は、「新基準原付」について多角的に解説しました。

環境規制の強化に伴い登場するこの新しい原付バイクは従来の50ccバイクの利便性を保ちつつ125ccクラスの車体をベースとすることで、走行安定性や装備の充実といったメリットをもたらす可能性のある乗り物です。

一方、法規上の最高速度や交通ルールは従来の50cc原付バイクと変わらない点や、車体サイズの大型化・燃費や車両価格の上昇といったデメリットも存在します。

新基準原付の登場は、今後のバイク市場に大きな影響を与えることになるでしょう。

ご自身のライフスタイルや用途に合わせて、新基準原付、従来の50ccバイク、そして原付二種など、様々な選択肢を比較検討し、最適な一台を見つけてみてください！