漫画のヒットをきっかけに現在ではアニメ化、実写映画化されるなど衰えることのない人気の東京リベンジャーズ。

不良漫画のため登場するキャラが乗っているバイクにも注目が集まっています。

今回は三途春千夜の東京卍會伍番隊副隊長時代の愛車、KAWASAKI GPZ900Rについて詳しく解説していきます!

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族車仕様のGPZ

作中に登場する途春千夜のGPZ900Rはピンク色に塗装され、三段シートが付いた族仕様となっています。
他に登場するバイクは400cc以下が多いのに対し、希少な大型クラスのバイクです。

登場したのは1984年。
ですがバイク黄金期を沸かせたライバル各社とのバトルにより生まれた名車なので、少し前まで遡って解説していきます。

カワサキは72年に発表した Z1の世界的な大ヒットにより「ビックバイクのカワサキ」というイメージを強く植え付けることに成功しました。
しかし高性能化に対応するため、新しいマシンの開発をスタートさせることになります。
それが水冷4気筒エンジンを搭載したGPZ900Rニンジャでした。

ビッグバイクのカワサキに追従するライバル達


70年代のビックバイクはカワサキが独走しているという感じでした。
ホンダはCB750に様々な変更を加えて完成度を高め、水平対向4気筒のGL1000をリリース。
スズキも初の4ストロークとなるGS750を投入しましたが、Zの牙城を崩すことはできませんでした。
ところが70年代後半から様相が変わってきます。
ホンダは耐久レースで勝利した技術を盛り込んだDOHC16バルブのCB750FやCB900Fといったマシンを送り込み、スズキも4バルブTSCCエンジンを搭載したGSX1100Eを登場させました。

カワサキはZのエンジンを進化させたGPZ1100Fを投入しますが、空冷2バルブでパワーを引き上げていくのは限界に近づきつつあり、設計が古いエンジンには大きくて重いという問題もありました。
熾烈になりつつあったパワー競争の中で、カワサキが84年に送り込んだのがGPZ900Rニンジャだったのです。

驚異の性能を発揮した水冷4気筒エンジン


ニンジャはカワサキの最新技術を満載したマシンでした。
エンジンは水冷4気筒16バルブですが、通常はエンジンのセンターに位置するカムチェーンを左サイドに持ってくることで軸受を減らし、エンジン幅をコンパクトにおさえることに成功。
サイドカムチェーンにしたことで吸気ポートをストレート化し、高い吸気効率も実現します。
フレームはエンジンを強度メンバーとするダイヤモンドタイプ。
フロントタイヤは当時流行となりあった16インチをチョイスし、リアショックにはカワサキお得意のユニトラックシステムを採用。
個性的かつ迫力あるデザインもカワサキファンのイメージを裏切らないものになっていたのです。

GPZ900Rが注目を集めたのはそのパフォーマンスでした。
プレスを集めた海外の発表会ではあっさりとゼロヨン10秒台、最高速で約250km/hという数値をマークして世界中のライダーにカワサキの技術がいかに進歩しているかを強烈にアピールすることになったのです。

国内にむけてはGPZ750Rをリリース


当時、国内ではビックバイクの排気量に関して750ccを上限とする自主規制があったので、カワサキは日本のユーザーに向けてGPZ750Rを販売します。
車体やデザインなどはGPZ900Rと同じで、エンジンのボア×ストロークを小さくしたマシンでしたが、エンジンの高性能ぶりは変わりません。
750も当時としてはクラス最速レベルのパフォーマンスを発揮して人気となりました。

独自の世界観を作り上げていったニンジャ


ニンジャが登場した80年代中期はバイクの性能競争が激化していたこともあり、他の国内メーカーも新しいマシンを開発します。
ニンジャ発表の翌85年に話題を独占したのは、軽量ハイパワーな油冷エンジン搭載のスズキGSX-R750でした。
86年にはGSX-R1100も登場し、最高速265km/hに到達しようかというモンスターぶりを発揮。
ヤマハからも水冷5バルブ・ジェネシスのFZシリーズなど意欲作がリリースされます。
登場した直後はハイパフォーマンスで人気となったGPZ900Rでしたが、次々と姿を表してくるライバル達の前に存在感が少しずつ薄れてしまうことになりました。

カワサキはGPZ900RのエンジンをパワーアップさせたハイスピードツアラーGPZ1000RXをリリースしますが、ニンジャが登場してきた時ほどの注目を集めることはできませんでした。

これにはムーブメントに迎合しないカワサキの姿勢が関係していたかもしれません。
80年代中期はハイパォーマンス化と共にレーサーレプリカがムーブメントになり、トレンドはとにかく速いバイクになろうとしていました。
ところが当時のカワサキは速さだけではなく、ストリートを走るライダーのことを考えて乗りやすさや快適性、使いやすさという点すべてを追求していたのです。
全体的に完成度を高めるカワサキのバイク作りは、ライバル達に比較するとスパルタンさに欠けて見えることもありました。

キープコンセプトで進化を続けたニンジャ


国内仕様のGPZ750Rは1986年に発表されたモデルが最終となりましたが、GPZ900Rは海外のライダー達から根強く支持されて、その後も生産が続けられました。

細かく仕様を変えて熟成を続けていき、90年にはビッグマイナーチェンジ。
フロントに17インチホイールを採用してフロントフォーク径をφ38からφ41に変更するなどニンジャらしさを失わないまま進化していきます。

国内オーバーナナハンとして再デビュー


ニンジャが再び話題になったのは91年のことでした。
国内の排気量自主規制が撤廃されたことでカワサキがGPZ900Rニンジャの日本仕様を開発。
カワサキ初のオーバーナナハンとして国内販売を開始したのです。
輸出仕様に比べるとパワーは若干抑えた86psでしたが、これをキッカケとしてカワサキは様々なビックバイクをリリースしていくことになります。
90年代はカスタムバイクブームということもあり、ニンジャはカスタムのベースとしても人気になりましたが、排ガス規制などが厳しくなっていく現状を受け、99年発表のモデルで国内生産が終了します。

更に03年には輸出仕様の生産が終了し、約20年にわたる長い歴史に終止符をうつことになったのです。

GPZ900RとGPZ750Rは、今乗っても魅力的なマシンです。
エンジンの動力性能は十分すぎるほど高く、トルクフルで力強いエンジン特性は高効率だけを追求した最新エンジンにはない味わいがあります。
ハンドリングも素直で、世界を熱狂させた高性能とバランスは現代でも色あせていません。
しかも長く販売されたマシンだけに中古車のタマ数が比較的多いことも魅力。
中古車でカスタムされたマシンが流通しやすいのもニンジャの特徴ですから、自分のイメージに合致したお得な中古車を探してみるのも良いかもしれません。

筆者プロフィール

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