温泉ツーリングを楽しむ基礎知識 -ロケーションと泉質-
公開日:2026.03.02 / 最終更新日:2026.03.02

日本は世界有数の温泉大国だ。
国内で宿泊施設のある温泉地は何と約2900ヶ所以上。
さらに源泉総数では約2万8000ヶ所以上にもなる。
当然、透明から濁り湯まで泉質も様々。
内湯のみならず露天や野湯とそのシーンも様々だ。
“温泉”と言っても実に多くの種類がある訳なのだ。
そこで、ここでは温泉の基礎知識に関して解説していこう。
実はこの泉質に関する知識は、自身の身体に関わる事だけに地味に重要なのだ。
本来、温泉入浴は身体に良い影響を及ぼす場合が多いが、この泉質に関する事を知っておく事で自分に健康&好みに合った湯を選ぶという選択肢も増えるのだ。
ツーリングを計画する際に、行きたい地域内から好みの温泉をピックアップするケースは多いだろう。
しかし、この知識を元にすると泉質やシーン等、好みの温泉でツーリングの行き先を決めるといった方法もあるのだ。
そこまで温泉にハマるか否かは賛否分かれるだろうが、ツーリングの選択肢の一つとして参考にして頂けると幸いである。
温泉の違い(シーン)
では、温泉の違いについてお話しよう。
まずは非常に簡単かつシンプルなシーンの違いだ。
だが、このシーンの違いにより観光客の大小や地域要因といったツーリングプランに直結する事になるため、温泉ツーリングにおいては重要な内容とも言えるだろう。
内湯浴場
静岡県:湯ヶ島温泉 河鹿の湯先ず一般的な共同浴場の内湯だ。
場所によっては男女別の内湯のみが設置されたシンプルな浴場である場合も多い。
温泉銭湯と兼ねている場合もあるが、観光客が比較的少なく利用者の多くが地域住民であるケースが多い。
タイミングによりディープな交流ができる浴場も珍しくないのだ。
露天風呂
秋田県:新潟県:蓮華温泉 蓮華温泉ロッジ温泉といえばコレ!的な、解放感抜群の浴槽が魅力的なシーンだろう。
絶景が望める露天風呂ならば、このためだけにツーリングする魅力を放つ温泉も多い。
ただし、ロケーションが良いからといって浴槽鮮度が良いとは限らない場合もあり、若干の注意は必要だ。
また、観光目的の利用者も多く混雑しがちな浴場も珍しくない。
だが、温泉旅館の露天風呂で宿泊利用であれば混雑問題も解決する。宿泊での利用は更にお勧めだ。
野湯
和歌山県:岩鼻温泉 流し台の湯これは中々マニア向けの温泉シーン。
“野”の名の如く、設備は一切無しの原野に湧く温泉をそのまま楽しむスタイルだ。
当然、脱衣所など皆無のケースも多く、混浴が基本。
女性にとっては大変ハードルの高いシーンだと言える。
また、源泉口や湯壺まで山行や藪漕ぎが必要な場合も多く、山慣れした玄人向けの温泉だ。
しかし、大地より湧きだした湯を即そのまま楽しめる、最も贅沢な温泉堪能方法である。
登山好きにとっても垂涎のシーンに違いない。
だが、入念で無理のない計画が必須となる。
温泉の違い(立地)
次は立地による温泉の違いだ。
これはツーリングプランの全体概要を決定する事となるため、慎重に決める必要がある。
ただ立地により泉質の傾向はあれど、それは温泉の良し悪しを決める要因ではない。
時期や気分によって決定して全く問題はないだろう。
山岳温泉
岩手県:藤七温泉 彩雲荘山岳系の温泉は主に火山地帯周辺に位置する場合は多い。
ダイナミックなワインディングや大規模スカイライン等バイクの魅力を存分に楽しみつつ、酷道・険道といったマニア向けの楽しみも存分に味わえる場合も多い。
温泉街や温泉旅館が立地している場合も多く、日本ならではの歴史ある温泉文化を共に楽しめる。
しかし、冬季積雪地に立地しているケースも多く、時期によりバイクでは走行不能になる場合もあるのが難点だ。
海浜温泉
静岡県:今井浜温泉 舟戸の番屋 露天風呂海浜温泉のメリットは特に太平洋側や北日本以南では時期を問わず楽しめるケースが多い事だ。
また、道路整備や線形改良が成されており、初心者でも気軽に走れるルート選択がし易い場合も多い。
初心者やマスツーリングの場合は海浜温泉を選択すれば無理のないプランを組み立て易いだろう。
ただ後述するが、泉質は塩化物泉の場合が多く泉質選択の余地が少ない事も覚えておいて良いだろう。
温泉の違い(泉質)
では温泉を語る上では避けられない泉質についてお話しよう。
泉質は環境省が定める“鉱泉分析法指針”により10種類に分類されている。
簡単に覚えておきたいが、中々複雑なのである。
しかし、ここでは泉質を知る入口として簡単に説明しよう。
必要な事は1つ。“療養泉”を知っておく事だ。
この療養泉とは泉温が25℃以上であるか、特定の成分を一定量含有する温泉の事。
入浴により一定の効果が期待できると認められており、この効果を知っておくと温泉が更に楽しめるのだ。
今回、ここで覚えておきたい療養泉は【単純温泉】と【塩類泉】の2つ。
同時に塩類泉の更なる分類である塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉の3種類も知っておこう。
単純温泉
岡山県:湯原温泉 砂湯国内で最も多い泉質の温泉であり、源泉温度が25℃以上ながら温泉法に規定の成分含有量に達しないか、成分が一定濃度以下の温泉の事だ。
これだけ聞くと“成分が少なく単なる湯に近い温泉”と感じるかもしれないが、これは誤解。
単純温泉は溶けこんでいる成分については規定がない。
そのため、薄めながら希少な成分が溶け込んだ温泉も数多くあるのだ。
また、pHが8.5を超すアルカリ性温泉も珍しくない。
多様な泉質ながら良い意味で特化していないため、刺激が少なく肌触りも柔らかい優しい湯なのだ。
湯あたりし難く、肌の弱い方や子供にとってはリスクの少ない温泉とも言える。
そして、その多様性からも非常に奥深い泉質でもある。
単純温泉に特化した湯巡りは低リスクで多様な湯を楽しめるとも言えるのだ。
塩化物泉
和歌山県:白浜温泉 崎の湯塩化物泉とはいわゆる塩の湯。塩化ナトリウムが主成分で海水のようにしょっぱい湯が特徴だ。
塩化ナトリウムが主成分ながらカルシウムやマグネシウムを同時に含む場合も多く、多様性も多い泉質である。
乾燥時に塩分の膜が皮膚を覆う事により保温効果も高く寒い時期により適した泉質とも言えるだろう。
ただし、比較的刺激の強い湯であるため、強塩泉に入浴する際は肌の弱い方は注意が必要だ。
また、塩によるべタつきを感じる場合もあり、真湯で流す方が快適な場合もある。
単純温泉に次いで多い泉質であり、海岸付近でもよく見られる泉質の一つ。
アクセスやロケーションの良さからツーリングでもお勧めの泉質だろう。
炭酸水素塩泉
山梨県:温泉銭湯 新遊亀温泉炭酸水素イオンを多く含む泉質で簡単に説明すると重曹の湯と言ったトコだろう。
適度なヌメリと肌触りが特徴的で、スベスベ感のある美肌効果を持つ場合もある。
カルシウムやマグネシウムを多く含む場合は浴槽に鍾乳石のような堆積物を形成する事もある。
サイダーのように泡付きの良い湯で、炭酸泉と呼ばれる場合もあるが二酸化炭素泉とは違う事に注意。
クセが少なく肌に優しい湯が多く、温泉初心者でもリスクが少ないのも特徴だ。
硫酸塩泉
長野県:切明温泉東日本に多く見られ、硫酸イオンを多く含む泉質。旧泉名では芒硝泉や石膏泉と表記される場合もある。
炭酸水素泉と同様に肌の脂分を洗い流す作用もあり、脂肌の改善を期待できる場合もあるため“美肌の湯”の一つともされる泉質だ。
また、肌に温泉成分が付着し乾燥すると肌に膜を形成する効果もあり、保湿・保温効果も期待できる。
ただし、濃度や入浴時間によっては肌の脂を過剰に洗浄する場合もあり、注意が必要だ。
とは言え、比較的優しめの泉質のため、温泉初心者にもお勧めの泉質だろう。
まとめ
以上が国内の温泉の代表格である療養泉についての説明だ。
このように温泉には様々な種類がある。
少々複雑ながらこの泉質の特徴と特性を知っておけば、自身の好みや興味のある泉質を探す温泉ツーリングを計画する事もできる。
ただし、これは“効能”として万人に効果を約束できる事項ではない。
単に真湯に浸かるだけでも温浴効果を期待できる事と同様、その成分による医療的身体改善効果が保証されている訳ではない事も覚えておいて頂きたい。
しかし…。ここで語れなかった驚愕の泉質がある。
それが6種類の“特殊成分を含む療養泉”だ。
これは様々な身体治癒効果を期待できるぜひチェックしておきたい温泉なのだ。
その説明は項を変え改めてピックアップさせて頂こうと思う。









