バイク王つくば絶版車館が提供しているサービス「プレミアムレンタルバイク」では、「NSR250R」や「RZ350」といった人気絶版車での日帰りツーリングを楽しむことが出来ます。今回はこのプレミアムレンタルバイクで、月刊『オートバイ』の編集部員・八橋さん(29歳)がカワサキ「Z1」で初の絶版車体験!良コンデションの貴重な絶版車で一日ツーリングをしたレポートをお届けします!

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「900 Super4(Z1)」ってどんなバイク?

カワサキの「900 Super 4(以下Z1)」は1972年に登場した、今なお多くのファンに支持される伝説的な名車。

当時、世界最速を目指して開発され、空冷4ストロークDOHC4気筒エンジンを搭載。その排気量903ccから繰り出される82psという圧倒的なパワーと、美しく堂々としたスタイリングで人気を博しました。

特に北米市場で大成功を収め、その後の日本の高性能バイクの方向性を決定づける一台となり、現在の「Z」シリーズの礎を築いています。

カワサキの歴史を語る上で欠かせないアイコン的な存在でしょう。

友達に自慢したくなる!「Z1」ではじめての絶版車体験

私が試乗したのは、カワサキの4気筒ビッグネイキッド、「900 Super4(以下Z1)」。

Z1は言うまでもなく、バイク好きなら一度は耳にしたことのある絶版車。現在でも絶大な人気を誇り、”伝説的な名車”、“Zの始祖“、“世界最速”といった仰々しい呼称で語り継がれています。

そんな有名なバイクですが、当の私は書籍や写真などを見てZ1のことを知っているだけ。なぜなら、このバイクが一大旋風を巻き起こした当時、私はまだこの世に生まれてすらいなかったのですから。

しかし今回、はじめてこのZ1というバイクの実車を間近で見て、さらに試乗する機会に恵まれました。仕事とはいえ、これは滅多にない機会……‼  はやる気持ちを抑え、まずは実車をぐるりと見渡してみます。

心臓部に悠然と佇む美しいフィンを備えた空冷4気筒エンジンと、サイドカバーに煌びやかに輝く後期型のエンブレムがどこか威厳の高さを感じさせます。これまでほぼ現行車にしか乗ってこなかった私は、歴史ある名車を前に「自分に乗りこなせるのか」と緊張しっぱなしでした。

意を決してまたがってみると、視線上にはアナログな速度計とタコメーターのみ。シフトインジケーターもなければ燃料計、時計も何もありません。現代バイクのようなアシスト機能のないレイアウトを見ただけで、グッと気が引き締まる思いでした。

エンジンをかけると、後方から伸びた4本のマフラーから「グオオオン」と唸りをあげ、その音にしばし圧倒されました。

一抹の不安と緊張感に苛まれながら、えいやとスロットルを回すとどうでしょう、思ったより優しい走り出し!

4気筒エンジンは低速トルクが控えめな印象がありましたが、Z1は低速でもググッと力強く回り、とても軽快な乗り味。振動も少ないのでやや混雑した街中の走行でも不安感は少ないです。走り出しだけで、とても50年前に作られたバイクとは思えない完成度の高さに驚かされました。

車重は230kgとやや重いため、押し引きの取り回しには少し気を使う必要はあります。とはいえ旧車らしいオーソドックスなアップハンドルは体重をかけやすく、普段大型バイクに乗っている人なら特段不安を感じる必要はなさそうです。

ポジションもシンプルでステップに足が自然と落ち、長めの楕円形タンクはニーグリップもしやすい。気持ち高めのアップハンドルにも無理なく手が届く範囲でした。

▲ライダーの身長・体重:181cm:89kg

いよいよ「Z1」をレンタルしたバイク王つくば絶版車館を出発し、千葉県・犬吠埼灯台を目指し東へ。大柄なZ1ですが、道中の街中や国道も気負わずスイスイと走っていけます。高速道路で追い越しをする際にスロットルを開けると、やや振動がキツくなるシーンはありますが、90km程度の巡航なら全く問題ない乗り心地。せっかくなら焦らず「Z1」らしいフィーリングをじっくり味わおうという気にさせられます。

高速を降りてワインディングに入り、コーナーでスロットルを開けると、4気筒の轟音を奏でながら、力強く軽快に進んでいきます。ググッとタイヤが路面を掴む感触を感じ取ることができるようになった頃には、私が「Z1」に感じていた不安はなくなり、純粋にツーリングを楽しんでいました。

ですが、これだけ安心して半世紀近く前につくられたバイクを楽しめたのは、「Z1」がつくば絶版車館でしっかりメンテナンスされていたおかげでしょう。

ここまで「Z1」の乗り味について話しましたが、何より魅力的なのはやはりビジュアルです!

エンジンから伸びるエキパイと、マフラーの艶やかさ。ヘッドライト上に鎮座する砲弾型メーターに金色に輝くカスタムパーツのセブンスターホイールなど、“ザ・バイク”といった佇まいに、否応なく気分が上がります。

道中見晴らしのいい場所や休憩で入ったコンビニに入った時、「Z1」のかっこいい角度を探して、ついつい写真を撮りたくなる。初めてバイクを買ってツーリングに行った日の新鮮な喜びを再び感じられたような気がして嬉しくなりました。

晴れた空の下、河川敷沿いの長い県道や海沿いの道を「Z1」で走っていると、約50年前のバイクでツーリングしていることへの高揚感と「Z1」に対する畏敬の念が湧いてきます。

すれ違うライダーを前にするとお腹に力が入り背筋がスッと伸び、少しでもかっこよく乗ってやろうという気持ちになりました。はじめは身構えていた試乗ですが、なんとか乗りこなしてやろうと夢中で走っていたら、返却時間まではあっという間に過ぎ去り、返すのが名残惜しくなるほど「Z1」は手に馴染んでいました。

今回のツーリングは、帰ったら「Z1に乗ったぞ」とバイク友達に自慢したくなるような、貴重な体験でした。

今回試乗したルートはバイク王絶版車館から千葉県・犬吠埼灯台までの往復6時間程度のツーリングでしたが、個人的には茨城県・大洗まで足を伸ばして海鮮グルメツーリングというのもおすすめのルートです。

冬は少し海風が冷たいですが海沿いを流すのも楽しいですし、冬の牡蠣は絶品!  冬限定のあんこう鍋というのも捨て難いですね。近くにサーファー御用達の温泉もあるので、グルメも温泉も楽しめますよ!

文:八橋秀行(月刊『オートバイ』編集部員)

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筆者プロフィール

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