大人気の絶版2ストマシンのパワーを体感! まるで現代バイクのように「NSR250R」を楽しめる⁉ 【バイク王プレミアムレンタルバイクツーリング:NSR250R SE編】
公開日:2025.11.19 / 最終更新日:2025.11.19
バイク王つくば絶版車館にて展開中のサービス「プレミアムレンタルバイク」で実際にツーリングに出発! 過去2ストロークバイクに乗り、現在は750ccのレーサーレプリカを所有するモーターマガジン社webオートバイのスタッフが、「NSR250R SE」が乗ってみたレポートをお届けします。
「NSR250R SE」ってどんなバイク?

ホンダ「NSR250R SE」は、1986年に初代モデルが登場した2ストロークエンジンの高性能レーサーレプリカ「NSR250R」の特別仕様車。
このSEモデルは1991年のMC21型から設定され、スタンダードモデルに対し、レース由来の乾式多板クラッチを装備しているのが最大の特徴。減衰力調整機構付きの高性能サスペンションを採用し、走行性能をさらに高めています。
最終型である1993年発売のMC28型では、片持ち式スイングアームのプロアームや、世界初のPGMメモリーカードキーも装備され、2ストローク時代の集大成として今なお高い人気を誇る伝説的なモデルです。
「NSR250R」は現行バイクに負けないパフォーマンスを発揮⁉

今回プレミアムレンタルバイクで試乗したのは、ホンダの2ストロークレーサーレプリカ「NSR250R SE」。
言わずと知れた2ストロークモデルの王道絶版車ですが、同時に人気も非常に高く中古市場も価格上昇の一途を辿っていて、当然乗るのは初めて。
引き起こしてみると、車両重量153kgという数値のとおり非常に軽く、コンパクトな車体は取り回しにも楽々。加えて770mmという低いシート高による驚くほど良好な足つきの良さが、試乗の敷居を下げてくれます。

つい身構えてしまう高価な絶版車のレンタルバイクで、ある程度気楽に試乗を始められるのは、軽くて足つきの良いNSRならではのメリットかもしれませんね。
さて、通常のバイクであればここでメインキーを差し込み……という流れですが、「NSR250R」はちょっと違います。
このバイクには、特徴的な「PGMメモリーカード・システム」が採用されていて、始動用のカードキーをメーターパネル下のスロットに差し込むことでイグニッションをオンにするんです!

このシステムが採用されたのは、後にも先にもMC28型のNSR250Rシリーズだけ。
現在は通常のメインキーとスマートキーが主流となっているので、このカードを差し込む動作にはこのバイクだけの特別感があります!
そしていよいよエンジン始動。「NSR250R」の始動方式はキックオンリーですが、以前「RZ250RR」に乗っていた私にとってキック始動は慣れっこ。……なんですが、2ストロークマシンは、コンディションがイマイチだと何度ペダルを蹴ってもエンジンがかからない、なんてことも。
しかし、そこはバイク王絶版車館のメカニックによってメンテナンスされたプレミアムレンタルバイク!
軽い力で一発ペダルを踏み下ろせば、拍子抜けするほどスルッとエンジンが始動しました。

徐々に目を覚ましていく2ストローク特有のパラパラというエンジン音と、マフラーから噴き出す白煙、燃えたオイルの匂いが、2ストロークマシンに乗っていた頃の感覚を思い起こさせ、なんだか懐かしい気分になります。
……NSRが生産されてた当時、私は生まれてすらいないんですけどね(笑)
クラッチレバーを握ってギアを1速に入れたら出発の準備は完了。乾式クラッチ特有の「シャラララ……」という音で気分を盛り上げながら、クラッチを繋いでいざ発進!
発進時に低回転でのパワー不足を補うクラッチ・スロットルワークは、現代の4ストロークマシンにはない独特の操作感。これだよ、これ! と思わず何年振りかの2ストロークマシンの感覚に、つい口元が綻んでしまいます。
市街地で常用する低中回転では、おとなしいスロットルレスポンス。4ストロークエンジンに慣れた身体には、思わず首をかしげてしまう眠たげなフィーリングですが、ロードスポーツ、レーサーレプリカモデルの2ストロークエンジンはこれが正常。回転数を上げていくと7000回転くらいを起点に、パワーフィールが激変します。

「NSR250R SE」のカタログスペックでは最高出力40PSとなっており、スペック値でいえば現行モデル「CBR250RR」の方が2PSほど高い値です。一方で、最大トルクは「NSR250R SE」の方が0.8kgf・mも大きい3.5kgf・mを発揮。加えて、車体が非常に軽量なので、驚くほど軽やか、というより爆発的に加速します!
2ストロークのスポーツバイクは、常用回転域から咄嗟にパワーを引き出そうとすると、シフトチェンジや半クラッチ操作など、ちょっとした慣れが必要。状況によって変化する速度、ギアで常にパワーバンドを維持するにもコツが要ります。
けれど、現代の4ストロークマシンとは明らかに異質で小難しいパワーフィールを体感できるのは、絶版車に試乗する最大のメリットに他なりません。
その点「NSR250E SE」は「2ストらしさ」がとてもわかりやすく体感できるマシンだと思いました。
次に、「NSR250R SE」に試乗して驚いたのは、その扱いやすさ!

以前乗っていた「RZ250RR(1984)」も、現在所有している「FZR750(1987)」も、現代とは異なる設計思想のもと作られています。そのため、ハンドリングや車体の操作感は、それぞれの時代の乗り方や技術に合わせた独特のクセがあります。
ところが、「NSR250R SE」は、最新の現行モデルに引けを取らないくらいハンドリングが素直。自分のしたい操作と、バイクの求める操作にほとんどズレなく、とても驚かされました。
基本的なシャーシ、それを支える足まわりもしっかりと機能しています。きちんとメンテナンスされた前後サスペンションはヘタった印象はなく、とくにリアサスペンションは想像以上にカッチリしたフィーリング。ブレーキの制動力にも不安はないどころか、自分のバイクより安心感があるほど。
強烈なエンジンとコントロール性に優れた車体からは、マシンに込められた当時の技術の最先端を垣間見ることができました。
それはもう「本当に自分が生まれるより前に売られていたバイクなのか?」と疑ってしまうほどの体験でした。

今回のツーリング試乗は、茨城県つくばみらい市のバイク王絶版車館をスタートし、千葉県銚子市の犬吠埼灯台まで、片道で約3時間・往復6時間程度でした。
高速道路や緩やかなカーブが続く農道を走り、「NSR250R SE」のパワフルな出力性能や軽快なハンドリングを味わうことができ、開けた景色を楽しめるルートでした。
今回はルートに採用していませんが、つくばみらい市周辺には筑波山があり、筑波山スカイラインをロープウェイ山麓駅まで上がることができます。その際には、表筑波スカイラインをはじめ、バイクが走行できない区間が多いため注意が必要です。
距離的に少し駆け足になってしまいますが「NSR250R SE」でワインディングを体験するなら、つくばみらい市から北上し、梅田湖や草木湖、赤城山方面に足を運んでみるのも楽しいかもしれませんね!

時が経つにつれ、入手や維持の難易度が上がる絶版車において、コンディションの良い「NSR250R SE」に試乗できるバイク王の「プレミアムレンタルバイク」は、とても貴重なサービスです。
今回のような機会が無ければ、「NSR250R SE」でツーリングするようなチャンスはこの先一生訪れなかったかもしれません。レンタルは7時間程度でしたが、それは私のバイクライフの中で間違いなく特別な時間だったといえるでしょう。
「NSR250R SE」を含め、「プレミアムレンタルバイク」で試乗できるバイクに興味がある方は、ぜひホームページをチェック。または、バイク王つくば絶版車館にお問い合わせてみてください。
きっと、思い出に残る1日を体験できますよ!
文:石神邦比古(webオートバイ編集部スタッフ)







