コロナ禍が落ち着きを見せ、最近はツーリングの話題で盛り上がっていますね。

SNSやYouTubeではツーリング中の「ヤエー」について投稿するライダーも増えています。

ヤエーは昔で言うところのピースサインです。
昔は「仲間意識」「楽しさ」が前面に出ていましたが、今のヤエーはそれらに加えて「安全運転をしよう」「マナーよく走ろう」という良識ある大人の振る舞いを体現したハンドサインにもなっています。

バイクライフを楽しくしてくれるライダーならではの挨拶、ヤエーについて説明します。

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バイクの「ヤエー」とは?


インターネット掲示板での打ち間違いから生まれた「ヤエー」という言葉も今やすっかり浸透しました。
ハンドサインに託す思いは、ピースサイン同様にライダーの安全を願うものです。
ヤエーステッカーというアイテムも人気ですよ。

バイクの「ヤエー」はバイク同士のコミュニケーション

ヤエーは、バイク乗り同士が行う挨拶のようなもので、ツーリング先での「旅の安全を願って」「道中お気をつけて、ご安全に」「無事故・無違反で楽しいツーリングを」といったツーリング中の安全への願い・祈りをお互いに交わしあうという意味合いがあります。

ですから、街中でヤエーを見ることはほとんどありません。
多くのヤエーはツーリングエリアを走っている時に行なわれます。
なお、地元のライダーが「歓迎するよ! ようこそ!」の挨拶としてヤエーしてくれることもありますよ。

「ヤエー」の語源は?

2003年、インターネット掲示板の「ピースしようぜ!」というスレッドで、バイクのハンドサインについてやりとりをしていた時に「Yeah!(イエー)」の記載を「Yaeh!(ヤエー)」と打ち間違えたことを面白がられ、掲示板内で定着してから徐々に拡散されて広まりました。

ヤエーステッカー


有志により作られたヤエーステッカー(略称ヤエステ)は、掲示板仲間のオフ会ツーリングなどで無償配布されるようになり、バイク乗りの安全運転とマナー向上を願って、今では全国の配布拠点やイベント等で配布されています。

ヤエステは基本、すべて手作りです。デザインの作成、印刷、カットなどステッカーの製作はもちろんのこと、ステッカー配布場所(店舗等の施設)との交渉、設置、補充までの全てが非営利活動なので、ステッカーの販売・通販は一切許可されていません。

インターネットオークションやフリーマーケットアプリなどで販売されているヤエステは全て無許可で行われているものなので、決して買わないようにしましょう。

ヤエステが欲しい場合は、全国各地のヤエステ配布拠点か、公式で認められた配布イベント(配布会)、連携イベント内での配布場所(出張配布)に自ら足を運んで、もらいに行きましょう。
そして、ステッカーをもらうだけでなく「道中の安全を祈る」「ライダーのマナー向上を意識する」といった理念にもしっかり賛同してください。

なお、ステッカーをもらう時は、制限枚数に注意してください。
基本的には、1人1種類につき1枚となっています。来れなかった友人の分ももらっていこうと複数枚を取ってしまうと、せっかく現地まで足を運んだライダーがもらえなくなってしまいます(二次配布の禁止)。

この点は、ヤエステのマナーとして知っておいてください。
もちろん、配布拠点まで行ったのにステッカーがなかった!なんてことでクレームを入れたりしないでくださいね。

なお、ヤエステのデザインは公式WEBサイトで公開されています。
ダウンロードの申請をしてデザインデータを提供してもらい、自分でステッカーを印刷・カットして使用することは可能です。
また、規約を満たしていれば、自分でデザインしてオリジナルのステッカーを作ることもできます。

なんなら、申請して配布人になることもできますよ。
禁止事項などの規約がしっかり定められているので公式WEBサイトをよく読んでください。

■ヤエーステッカー 公式WEBサイト
https://yaeh-sticker.com/index.html

■ヤエーステッカー 公式Twitter
https://twitter.com/YAEH_STICKER_PR

ヤエーのやり方

ヤエーに決まったやり方はなく、ライダーそれぞれで違ってよいのですが、いわゆるピースサインを基本として、手を挙げる、手を振る、親指を立てる(サムアップ)、ガッツポーズをする、会釈をするといったやり方が一般的です。
ピシッと敬礼してくれるライダーも多いですね。

自分に向かって走ってくる相手に挨拶のサインが伝われば形にこだわる必要はないと思いますので、自由度は高いと言えるでしょう。

また、右手はスロットル操作をしているので、自然と左手でサインを送ることが多くなります。
ちなみに、排気量に関係はなく、50ccの原付バイクからリッターオーバーの大型バイクまで共通です。

ヤエーに関する注意点


ヤエーをしている時はハンドルから手を離していることが多く、事故に繋がるリスクもあります。
ヤエーは、周囲の状況を確認した上で安全なタイミングで無理なく行いましょう。

無理にヤエーを返さない

カーブを曲がっている時にヤエーをもらった場合は、ヤエーを返さなくてはと焦ってしまうと操作ミスや事故につながる可能性があります。
無理をして返すのではなく、自身の安全運転を優先しましょう。

カーブ中はヤエーをしない

カーブを旋回している時にハンドルから手を離す行為は危険です。
その瞬間にタイヤが小石や砂を踏むなどすればバイクの挙動を抑えることができず転倒に繋がる恐れもあります。

クラッチ操作やブレーキ操作をしている際はヤエーをしない

加速・減速時など、クラッチレバーやブレーキレバーを操作している時もハンドルから手を離すことは危険です。
ヤエーより安全な操作を優先すべきです。

路面が悪い場所や悪天候時にはヤエーをしない

林道走行時や雨天・強風時などの悪天候時にハンドルから手を離すことはやめましょう。
スリップや突風などの不意の事態に対処できないので危険です。

無茶なヤエーはしない

直線区間が長いからと両手を離してバンザイポーズをしたり、バイクに立ちあがってヤエーするような行為は事故に直結する可能性が高く危険な行為です。
相手を驚かせてしまって転倒や事故等につながる危険性もあります。

また、過去には足を上げてヤエーする動画がSNSで炎上したケースもあります。
目立ちたいからと過度なヤエーをすることは、ヤエー本来の想いからかけ離れていると知りましょう。

ヤエーの返事がなくても落ち込まない

知らない人にヤエーをするのは勇気がいることですが、相手からヤエーが返ってこなくても落ち込まないようにしましょう。
相手が気づいていなかった、ヤエーできない状況だった、そもそもヤエーを知らなかったということもあり得ます。

ヤエーが嫌いなライダーもいる

ヤエーという行為が嫌いなライダーもいます。走行中にハンドルから手を離す行為が危険と感じられることも理由のひとつです。

ですから、友人や仲間とツーリングする時に、他のメンバーにヤエーをするように強要することは良くないですし、ヤエーに理解のあるライダー同士で行うほうがストレスがありません。強要しないこともマナーのひとつですね。

ヤエーは違反になる?


ヤエーは道路交通法で違反とはされてはいませんが、目立つことを目的に過剰なアクションを加えたヤエーは、警察官の判断によっては安全運転義務違反とされる恐れもあります。
ヤエーをすることが違反や事故につながらないように自制しましょう。

ヤエーを禁止する法律は無い

道路交通法でヤエーを交通違反とするような記載はありません。
ヤエーをしている時は片手運転になりますが、ウインカー故障時などの手信号は認められています。

片手運転が違反となるケースは、スマートフォン等を操作しながらの運転(携帯電話使用等(保持)違反)や、何かを食べながらの運転(安全運転義務違反等)などが該当します。

ヤエーの仕方によっては安全運転義務違反に該当するケースも考えられる

一瞬とは言えハンドルから手を離して運転することは、やり方次第では「安全運転義務違反」に該当するケースも考えられます。
例えば、バイクに立ちあがってポーズを取ったり、ウイリーをしながらヤエーをするなどの大きなアクションをしていると違反となる可能性が高まるでしょう。

道路交通法第70条には「安全運転の義務」について書かれており、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とあります。

安全運転義務違反の罰則

違反行為の種別 違反点数 反則金
二輪車 原付
安全運転義務違反 2 7,000円 6,000円

※反則金を支払わなかった場合は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

常識の範囲内のヤエーであれば、安全運転義務違反になることはまずないですが、目立とうと大きなアクションをしていると、警察官の判断によっては違反となるケースがあることを頭に入れておいてください。

ヤエーは無理なく安全に! 相手のことも考えよう

ヤエーはバイク乗り同士の挨拶ですが、片手を離すことで危険も伴います。
ヤエーをする、ヤエーを返す時は、運転操作に余裕がある時のみとしましょう。ヤエーをもらった時に返せなくても問題はありません。
ヤエーをしたライダーもそれはわかっています。

ヤエーを返してもらいたくてヤエーをするライダーも多いですが、「向かってくる相手にいまヤエーをしたら相手は返せるかな?」とタイミングを考えてあげることも安全運転に関わる運転マナーです。

自分がカーブを立ちあがって相手を見つけた時、向かってくる相手は今まさにブレーキングを始よう、またはすでにブレーキをかけている状況にあります。
自分が出したヤエーで相手のブレーキが遅れてしまっては本末転倒ですね。

それでは、安全第一で、楽しいヤエーを交わしてください。道中ご安全に!

※サンプルステッカーはヤエーステッカー管理者から提供いただいたデータを加工したものです
※写真はすべて「第2回 関東ヤエツー・ヤエステ配布オフinビーナスライン」(2018年)より

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。