今月のフィーチャーバイク

Ninja ZX-12R

Ninja ZX-12R

300km/h時代のラストを飾る
スパルタンな戦闘機

Ninja ZX-12R

強烈な印象を残す異形のフロントマスク。そして、怒濤の最高速と加速性能が今なお語り草になっているモデルがNinja ZX-12Rである。
デビューイヤーは2000年。当時、最速マシンが大きな隆盛を迎えていた。1996年にホンダがCBR1100XX、1999年にスズキがハヤブサをリリース。長年、最速マシンとして君臨してきたカワサキZZ-R1100は、性能面で大きく水を開けられてしまう。ファンが待ち望む中、ついに次世代機のZX-12Rがリリースされた。

コンセプトは「20世紀最高のスーパースポーツ」で、当時最強の最高出力178psをマーク。排気量は、ハヤブサの1298ccより少ない1199ccながら、ショートストロークの高回転設定でハヤブサの175psを上回る数値を叩き出した。メーターには、驚くべきことに350km/hまで刻まれる。さらに、エンジン上部を覆う斬新なアルミモノコックフレーム、超高速域での浮き上がりを抑えるウイング付きのカウルなど、新機軸の装備を満載。乾燥重量も210kgとハヤブサより5kg軽量だった。

運動性能を優先したレーシングマシンのような辛口の乗り味と、ハヤブサに匹敵する実測300km/h超の実力で、ZX-12Rは大いに話題を呼んだ。しかし、2001年から欧州で300km/hリミッター装着の自主規制が開始。最高速競争は突然終息する形となった。結果、12Rも300km/hまでの到達速度や快適性を重視し、進化を遂げていく。
現在はZX-12Rの後継モデルとして、ZX-14Rがラインナップしている。だが、12Rは、14Rよりピュアスポーツ的な性格を有し、最高速を競った最後の公道モデル。唯一無二の存在として、今もライダーのハートを捉え続けている。

  • Ninja ZX-12R

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型式、年式ごとの特長

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    2000~2001年(A型)

    世界最速の座を奪還すべく、2000年に登場。水冷直4エンジンはZZ-Rと異なる専用設計で、右サイドカムチェーンやコンパクトな燃焼室を採用。軽量&小型に仕上げている。フレームは、エアクリーナーと一体化した革新的なモノコックバックボーン。空力特性を向上させるため、外装やミラーには川崎重工航空機部門の技術が存分に活かされている。
    その乗り味は実にレーシー。マイルドな低速域に対し、トルクの盛り上がる中速域、2次曲線的に吹け上がる8000rpm以降と様々な表情を持つ。ハンドリングも的確な操作が必要で、ライダーに挑戦するかのようなバイクである。なお、欧州仕様のフルパワーは178psだが、2000年型のマレーシア仕様のみ触媒の関係で181psを発生。2001年型で300km/hメーターに変更された。
    また、テレビアニメ『ばくおん!!』では、メインキャラクター 川崎来夢の愛車として登場する。彼女は常にフルフェイスのヘルメットを被り、年齢や経歴はおろか素顔もすべてが謎に包まれている。作中では、愛車のZX-12R A型を華麗に操り、離岸したフェリーに飛び乗るという超人的な技術を披露している。

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    2002~2006(B型)

    登場3年目で、早くも大規模な変更を実施。178psのハイパワーはそのままに、ヘッドライトとラムエアダクトの形状を刷新し、FIやギヤ比、サスセッティング、フレーム剛性を最適化した。さらに2004年型で熟成が進み、ZX-10R譲りの4ポット式ラジアルマウントキャリパーを獲得。ECU(コンピュータ)を16→32ビットとしたほか、デュアルスロットルバルブとイモビライザーも備えた。
    2002年以降のB型は、先代のピーキーな出力特性とハンドリングから一転し、ニュートラルかつ扱いやすいマシンに仕上がっている。2006年型が最終型で、新作のZZR1400に旗艦の座を譲った。

主要諸元

全長(mm) 2,085
全幅(mm) 740
全高(mm) 1,200
シート高(mm) 820
軸距(mm) 1,450
車重(kg) 210
エンジン 水冷4スト並列4気筒
 排気量(cc) 1,199
 最高出力 178ps/10,500rpm
 最大トルク  13.6kg-m/7,500rpm
 タイヤ  F=120/70ZR17 R=200/50ZR17

※2000~2001モデル

筆者プロフィール

沼尾宏明

1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。