愛車を盗まれないためにはどうしたらいいの? 保管・駐車場所、盗難防止装置、盗難保険など備えることが多すぎて少し戸惑いますよね。そこで今回は、駐車テクニックを始めとした盗難対策についてご紹介します。

1.盗難防止の第一歩は「停める場所をよく考える」こと


盗難防止のためにまず考えることは「バイクの置き場所」です。自宅での保管場所や勤め先・学校での置き場所、さらには宿泊先での駐車スペースまで、とにかくバイクを置く時に「ここでいいのか?」と考えるクセをつけましょう。その場合、通行人や通行車両から見えないようにするべきか、あるいは、むしろ目立つように置くべきなのかも考えます。

バイクの置き場所・置き方のポイント

①道路よりなるべく奥まった所に置く ※引きずられにくい場所
②屋根など構造物の下に置く ※ユニック(小型クレーン)による吊り上げを防止
③短時間でもバイクカバーと盗難防止用ロックを使用する ※特に深夜の時間帯
④ロック使用時はなるべく構造物を利用する ※ガードレールなど公共の設備とロックしてはダメ

2.保管・駐車場所により防犯手法を変える


計画的なプロの窃盗犯にせよ、衝動的な犯行にせよ、日常的なバイクの置き方が被害率に直結します。基本は人の目につかないように置くこと(隠すこと)ですが、幹線道路沿いに住んでいる、保管場所(月極め駐車場等)が目立つところにあるなど、どうしても車両の存在がわかってしまう場合もあります。駐車環境別だと防犯の基本は以下になります。

幹線道路沿いなど目立つ場所での保管・駐車

交通量の多い幹線道路など、たくさんの人の目に触れる場所では、窃盗犯からも目を付けられやすくなります。しかし、逆にしっかりと防犯対策をしていれば、窃盗のプロほど手を出しにくい場所(条件)でもあります。短時間でも犯行がひと目につきやすく、周囲の防犯カメラ等に捉えられる可能性も高いからです。

駐車時の防犯テクニック

こうした状況では、バイクカバーをかけた上で、太くて重い頑丈なチェーンロックや蛍光カラーのバーロックなど盗難防止装置が目立つように装着し、しっかり防犯対策がされていることをアピールします。バイク盗難時の直接的な犯行時間は数分間と言われていますから、「この車両を盗むには時間がかかる」と思わせることが重要です。

■DATA
品 名:デイトナ「STRONGERチェーンロック」
サイズ/価格:2.0m/11,000円、2.5m/13,000円、3.0m/15,000円、4.0m/17,000円、5.0m/20,500円、6.0m/24,000円(各種税別)
構 成: φ12チェーン、ディスクロック、キー3本(うち1本はLEDライト搭載キー)
重 量:6.4kg~約17.2kg
URL:https://www.daytona.co.jp/products/series-S00822-genre

住宅地など人通りの少ない場所での保管・駐車

人通りの少ない住宅地や交通量の少ない道路に面している場所であれば、バイクの存在は極力隠します。そこにバイクがあると思わせないことが重要です。住宅地では夜間の犯行が人目につきにくく、防犯カメラ等も少ないため、目立っているとすぐにターゲットにされてしまいます。

また、住宅地では白昼堂々の犯行も報告されています。近隣の住人が犯行を目撃しても、バイクに詳しくない人の大半は、犯人が何をしているのかがわかりません。家人と親しい間柄であっても、数人の窃盗犯が整備士のようなつなぎを着ているだけで、「バイクを修理に出すのね」と何の疑いも持たれないのです。バイク販売店や買取業者の格好をして、複数人で犯行に及ぶというやり口は空き巣集団の手口と同じです。

●駐車時の防犯テクニック
こうした状況では、バイクカバーも黒っぽい目立たないものを選びます。盗難防止装置も重要ですが、犯行時間となりやすい夜間の暗がりを補うようなセンサーライト(車体に当てるのではなく自宅の門前や周囲の暗がり、道路に向かって照らす)や防犯カメラの設置(ダミーカメラでも効果大)、自宅の場合は踏むと大きな音が出る防犯砂利を敷くといった盗難防止環境を作ることも大切です。

3.盗難防止装置で最も有効なものはバイクカバー


ハンドルロックをしてキーを抜いた後で、一番重要な盗難防止装置は、バイクカバーです。寝る前にバイクカバーをかけるかかけないかが被害率に大きく関わると言って良いでしょう。事実、バイク盗難は夜間の雨天時が多いとされています。雨天時に帰宅した際、車体はすでに濡れているのでバイクカバーをかけることが面倒くさくなり、そのまま就寝、朝にはバイクが無かったという事例です。夜間の雨天時は、犯行時の物音も目立たない為、とても危険な状況なのです。バイクカバーは全てに優先すると考えてください。

■DATA
品 名:デイトナ「バイクカバーSIMPLE デジタルカムフラージュ」
サイズ/価格:M/7,500円、L/8,000円、LL/8,500円、3L/9,000円、4L/9,500円(各種税別)
カラー:デジタルカモフラージュ
素 材:ポリエステル(はっ水性コーティング)
付属品:耐熱パッド
URL:https://www.daytona.co.jp/products/series-S13673-genre

また、自宅で保管する時は、極太のチェーンロックが安心です。本体が重いため取扱いには難儀しますが、プロの窃盗犯に対して「切断に時間がかかるので危険」と思わせることができます。

車体装備品で言うと、防犯(セキュリティ)アラームやイモビライザーが有効です。防犯アラームは、車体の振動や傾きを感知して作動する大きなブザー音によって窃盗犯を撃退してくれますし、イモビライザーは配線直結等によるエンジンの始動、乗り逃げを防止してくれます。こうした装備の中には後付けできるものもあるので、一度検討してみて下さい。


■DATA
品 名:キジマ「COMBAT V コンバットファイブ」
音 量:110dB
機 能: 感度設定3段階、消費電流0.13~0.15A、リモコン付属
URL:https://www.kijima.info/combat5.html

4.万が一への備え。防犯登録と盗難保険


万が一の備えとして、防犯登録と盗難保険への加入もしておきましょう。

防犯登録で早期発見を

「グッドライダー・防犯登録」は取扱販売店で登録できます(登録料1,050円)。こうすることで警察のオンライン網に登録され、盗難車両の早期発見を実現しています。原付バイクから大型バイクまで登録でき、有効期間は10年間です。いつでも加入でき、中古車でも登録できるので、盗難後の早期発見のためにも加入しておくと安心です。

盗難保険を選ぶポイント

盗難保険は、どれに入ったらよいのか迷ってしまいますが、たいていは1年ごとの掛け捨て保険となっています。ゆえに、月々いくら、年間いくらといったコスト面に注意が行きがちですが、しっかり見定めるべきは、補償の中身が自分と自分の愛車に合っているかどうかです。

多くの盗難保険は、車両の全額が補償されるわけではありません。だいたい8割から9割といったところです。また、盗難後に車両が発見され、自分の元に帰ってきたときの修理代についても出してくれるところとくれないところがあります。さらに、多くの保険では、免責金が5~30%くらいで設定されていますので、自分の懐が全く痛まずにお金が全額帰ってくるわけではないのです(新規購入車両の場合は新車を提供という保険もあります)。

また、高価なカスタム車両などはカスタムパーツまでが補償の対象になるのか、ヴィンテージ車両はちゃんと市場価格(時価総額)で保険金額(補償額)を設定してくれるのかということも重要です。近年はパーツ盗難も増えているので、高額カスタム車両の場合は、この点も考えて保険を選びましょう。

●盗難保険はバイクライフの成否に直結する
完全無欠の保険は無いと思いますが、愛車を盗まれて大きなショックを受けているところに、8~9割の補償が帰ってくることはとても大きなことです。「愛車を盗まれた後、何年間もローンだけを支払っている」「お金はあるけど買い直すことに妻の許しが出ない」といった被害者の声を聞いていると、保険金が下りて、次のバイクをすぐに購入できるかできないかということはバイクライフの成否に直結するからです。愛車を盗まれてしまい、それでバイクを降りてしまったという声をたくさん聞いてきましたから、盗難保険への加入は強くオススメしたいですね。

●盗まれたバイクは帰ってこない
盗まれたバイクが自分の元に帰ってくる確率は約10%と言われています。補償額では全く同じ車両は買えないとしても、次のバイクの購入資金として少し多めにお金を払っておくというのは賢い考え方だと言えるでしょう。

近年では、メーカー系ディーラーも力を入れていますので、一度目を通しておくとよいでしょう(下記リンク先を参照)。なお、50~125ccクラスのスクーターであれば、毎年春先(2~3月ごろ)にキャンペーンが実施されており、その特典として盗難補償が付いてくることが多いので、新車のスクーターを買うならその時期が安心かつお得です。

<参考>
●ZuttoRide Club
https://zuttoride.jp/

●ホンダ「Honda Dream 盗難補償」※新車・中古車
https://www.honda.co.jp/DREAMNETWORK/search/theft/

●ヤマハ「YSPスペシャル盗難補償」※126cc以上の新車・中古車
https://www.ysp-members.com/support/theft/

●スズキ「スズキ盗難補償サービス」※50~125cc新車購入時
https://www1.suzuki.co.jp/motor/support/tonan_hosho/

●スズキ「サンスマイル保険」※新車
https://www.sunsmile-hoken.jp/

●カワサキ「KAZE盗難補償制度」※新車
https://www.kawasaki-motors.com/kaze/prev/tonan.html

●カワサキ「KAZE盗難補償制度」※中古車
https://www.kawasaki-motors.com/kaze/prev/tonan2.html

いかがでしたか。日常的なバイクの置き方、さらには備えておくべき保険までをご紹介しました。盗難被害の原因のひとつにハンドルロックのかけ忘れやキーの抜き忘れがありますが、うっかりミスなんですね。バイクを置くという、その瞬間の意識を高めることが、最大の防犯対策だと思います。

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筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。