ナンバープレート(自動車登録番号標)はバイクの後ろ側に取り付けられている車両識別のためのプレートです。バイクの排気量、サイズ、構造等により道路運送車両法などで種類と区分が定められ、その区分に基づいた色やサイズのナンバープレートを装着します。バイクの場合は、見かけるだけでも楽しくなるようなご当地ナンバーもあってバラエティに富んでいます。一方で、クルマより複雑な面も多いので、基本だけでも知っておきたいところです。

バイクのナンバープレートの色の違い


白、黄色、ピンクとバイクのナンバープレートの色は豊富です。ミニカー登録したバイクは水色に、商用登録車は緑色になります。

種 類
原付一種(50cc以下)
原付二種(51~90cc)
原付二種(91~125cc) ピンク
軽二輪(126~250cc)
小型(251cc~) 白+緑枠線
ミニカー登録車 水色
商用登録車

●白色ナンバー 原付一種(50cc以下)
原付一種バイクのナンバープレートは白色です。

なお、原付一種の運転免許は学科だけで受験できるため気軽に取得できますが、30km/hの速度制限や二段階右折、2人乗りができないといった道路交通法上の制限があります。

●黄色ナンバー 原付二種(51~90cc)
原付二種バイクの中でも90cc以下のものは乙種に分類され、ナンバープレートは黄色になります。市区町村により形や大きさが異なるものもあります。

運転するには小型限定普通二輪以上の免許が必要です。2人乗りができ、30km/hの速度制限も二段階右折も必要ありません。なお、軽自動車税は原付一種と同じ金額なので、税制上のお得感もあります。

●ピンクナンバー 原付二種(91~125cc)
原付二種バイクの中でも91cc以上のものは甲種に分類され、ナンバープレートはピンク色になります。市区町村により形や大きさが異なるものもあります。

運転するには小型限定普通二輪以上の免許が必要です。2人乗りができ、30km/hの制限も二段階右折も必要ありません。現在、国内4メーカーからは乙種の新車は販売されていないので、原付二種では最も一般的なナンバープレートになります。

●白色ナンバー 軽二輪(126~250cc)
軽二輪バイクのナンバープレートは白色です。原付一種・二種に比べてプレートのサイズが大きくなります。ご当地ナンバーのようなものはなく全国共通です。

軽二輪からは高速道路が走行できます。車検がないので維持費が安く、バイク入門者にも人気のある排気量帯です。近年は150ccクラスのスクーターも増えています。

●白+緑枠線ナンバー 小型二輪(251cc~)
小型二輪バイクのナンバープレートは白地に緑色の枠線がついています。基本的に251cc以上のバイクは全てこのナンバープレートです。

なお、「小型二輪」という分類名称ですが大型バイクも含まれているので注意してください。

●水色ナンバー ミニカー登録
原付一種を改造してミニカー登録したバイクのナンバープレートは水色となり、クルマの免許(普通自動車免許)で乗れるようになります。30km/hの速度制限や二段階右折、ヘルメットの装着も不要です(とは言え、かぶるべき)。

一般的にミニカー登録されるのはスリーターと呼ばれる前1輪、後ろ2輪のバイクで、後輪部をワイド化(同一線上の車軸間の距離が500mmを超えること)に改造することで登録可能となり、配達業や営業用の車両として使われています。

ミニカー登録のバイクは業務用として使われることが多いので、一般の人には乗る機会が少ないバイクです。改造は個人でもできますが、ミニカー登録してしまうと軽自動車税が高くなったり駐輪場に駐輪できなくなるなどのデメリットもあります。

●緑ナンバー 商用登録
商用登録したバイクのナンバープレートは緑色になります。事業用ナンバーと呼ばれ、ちょうど普通のナンバープレートの色を反転したようになり、文字色は白です。

バイク便やデリバリーなど運送業務で使われるバイクに装着されています。126cc以上のバイクが対象で運輸支局に届け出を行う義務があり、怠ると貨物自動車運送事業法の違反となり罰則もあります。なお、クルマとは違い、軽自動車税での優遇はありません。

●トライクの場合
タイヤが3つ、跨がるタイプのシート、バータイプのハンドル、運転席の横にドアがないという定義(※)を満たした3輪バイクをトライクと呼んでいます。上からタイヤの位置を見ると二等辺三角形になります。

道路運送車両法では排気量やサイズなどの定義により側車付二輪自動車と側車付軽二輪に分類され、その区分に則したナンバープレートがつきます。

トライクは、道路交通法上は普通自動車となるので、クルマの免許(普通自動車免許)で運転できヘルメットの装着も不要です(とは言え、かぶるべき)。

※定義については、自動車検査場で使っている独立行政法人自動車技術総合機構の審査事務規程における「用語の定義」を参照してください。

●サイドカーの場合
バイクに側車を取り付けたものがサイドカーです。上からタイヤの位置を見ると直角三角形になります。道路運送車両法ではトライクと同じく側車付二輪自動車となりますが、こちらは排気量に則したバイクの運転免許が必要で、ナンバープレートも排気量に則したものになります。

なお、見た目はサイドカーでもバイク部に加え、側車部のタイヤも駆動するものは道路交通法上は普通自動車となり、クルマの免許(普通自動車免許)が必要です。ただしナンバープレートは道路運送車両法の定義に則したバイクのものがつきます。

●電動モビリティの場合
電動バイクや電動キックボード等の電動モビリティは定格出力によって道路運送車両法による車両区分が変わります。

車両区分
(道路運送車両法)
定格出力
原付一種 0.6kW未満
原付二種 0.6~1kW
軽二輪 1kW以上
※車検不要

 

なお、2023年7月1日に予定されている改正道交法の施行により、原付一種は特定原付(特定小型原動機付自転車 ※新設される電動モビリティ区分)と一般原付(一般原動機付自転車 ※これまでの原付一種と同じ)に分離されます。

○特定原付 ⇒原付一種よりも小型のナンバープレートを予定
※16歳以上免許不要・ヘルメットは努力義務・要自賠責保険加入

○一般原付 ⇒これまでの原付一種と同じナンバープレートを予定
※要原付一種免許・ヘルメットも必要・要自賠責保険加入

特定原付の保安基準を満たさない電動モビリティは、今と同じように一般原付(原付一種)となる予定です。※2023年3月時点

三輪バイクのナンバープレート

タイヤが3つあるものは、トライクでもサイドカーでも、その駆動方式に関係なく、道路運送車両法では側車付二輪自動車になりますが、3輪共に傾斜するなど一部の特殊な構造のバイクは特定二輪車という区分になります。ナンバープレートは排気量やサイズ、傾斜の有無などにより異なります。

メーカー純正3輪バイクの場合

ホンダ「ジャイロシリーズ(原付一種)」、ヤマハ「トリシティ125(原付二種)」「トリシティ155(特定二輪車 ※特定普通自動二輪車・軽二輪扱い)」「ナイケン(特定二輪車 ※特定大型自動二輪車・小型二輪扱い)」などのメーカー純正3輪バイクの場合は基本的にその排気量・車両区分に則したナンバープレートになります。

なお、特定二輪車は2009年9月1日の内閣府告示において三輪自動車(オート三輪等)に対する改正として定められたもので、以下の基準を満たすものです。

1. 3個の車輪を備えるもの
2. 車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に備えられているもの
3. 同一線上の車軸における車輪の接地部中心の間隔(輪距)が460mm未満であるもの
4. 車輪及び車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有するもの

これらを満たすものは排気量に則した二輪車扱いとなります。逆にここから外れるものは道路運送車両法上では側車付二輪自動車(トライクまたはサイドカー)になります。

カンナムやトライグライドなどの純正3輪や、カスタムして3輪にした場合は変わる

前2輪の「カンナムスパイダー」シリーズや後ろ2輪のハーレーダビッドソン「トライグライド」といったメーカー純正の3輪車はタイヤや車体が傾かずにクルマのように旋回するためトライクに分類され、道路交通法上は普通自動車に準ずるためクルマの免許(普通自動車免許)で運転できます。

また、バイクをカスタム・改造して3輪にする場合は、傾斜構造や同軸車輪の軸距(トレッド)の幅などによって区分が変わってきます。排気量やサイズ、傾斜構造などにより道路交通法上の運転免許も変わりますが、装着するナンバープレートは道路運送車両法による保安基準や定義に基づきます。

なお、公認改造申請には強度計算なども必要ですので、ノウハウのない方は専門ショップにお願いして制作してもらうか、完成車両を購入した方が安心でしょう。

原付バイクにはご当地ナンバーがある

125cc以下のバイクではご当地ナンバーが選べる自治体もあります。2007年に松山市が導入してから様々な地域で採用されています。たいていは、その土地を代表する観光スポットや風景、ゆるキャラや出身著名人にまつわるものが描かれます。

上の図は大阪府吹田市で運用されているご当地ナンバーで、Jリーグチーム「ガンバ大阪」のキャラクター「ガンバボーイ」と吹田市のゆるキャラ「すいたん」が描かれています。

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バイクは希望ナンバーはとれる?

残念ですがバイクは制度の対象となっていないため、希望ナンバーを取得することはできません。

「88-88」や「11-11」といったナンバープレートをよく見かけます。これは、1999年に導入された希望番号申込サービス(抽選・有料)を経て取得したもので、クルマではかなり浸透していますが、バイクはクルマに比べると保有台数が少ないこともあって対象となっていないため利用できません。

バイクのナンバープレート取り付けのルール

カスタムポイントとして人気のナンバープレートですが、新基準の適用以降、位置や角度など取り付け基準が厳しくなっています。

2021年10月1日から、道路運送車両法の規定(車両番号標の表示の義務)と省令・告示の規定が改正となって、ナンバープレートの取り付け基準が厳しくなりました。

新基準の対象となるのは2021年10月1日以降に「初めて」登録・検査・使用の届け出を受ける車体ですが、新車時の状態からナンバープレートの位置などを大きく変更しているカスタム車両は国交省・警察による街頭検査などで厳しくチェックされる可能性もあるので注意しましょう。

参考サイト:国土交通省「報道発表資料」

なお、古いバイクでも新車発売時の状態ならば問題ありません。

ナンバーの取り付け位置

とにかく見やすい位置に付けることです。車体の横に装着するサイドナンバー自体は違法ではありませんが、回転させてはいけませんし、それが「見にくい」と判断されれば違反の対象となる恐れもあるので注意しましょう。

ナンバーの角度

折り返しや折り曲げは一切禁止です。左右や上向き下向きの角度も定められています。フェンダーレスキットを購入して取り付ける時には特に注意しましょう。また、ナンバー角度を可変できるステーは使用不可です。

上下の角度 上向き40度~下向き15度の間で固定

左右の角度 左右向き0度

ナンバーの裏ペタ(裏貼り)

スーパースポーツバイク向けのカスタムとして知られたリヤフェンダー裏にプレートを貼り付けるように装着する“裏ペタ”は、普通に考えて見えにくいので取り締まりの対象になる可能性が高いのでやめましょう。

ナンバーの回転

斜めにしたり縦にしたりなどプレートを回転させて装着してはいけません。

ナンバー灯

ナンバー灯の球切れは整備不良になります。違反としては軽微ですが、取締りを受けてしまうと後日警察署に直した状態を確認してもらう必要があるなどかなり面倒な目に合います。

ナンバーのシール・ステッカー

自賠責保険加入ステッカー(保険標章)以外はあらゆるものが貼りつけ禁止です。

ナンバーボルトカバー

ボルトカバーは直径28mm以下、厚さ9mm以下で番号にかぶってはいけません。サイズが定められているので注意しましょう。

ナンバーの汚れ

泥などでナンバーが読み取れないまま走っていると取締りを受ける恐れがあります。林道走行後のオフロードバイクは特に注意し、ナンバーの文字が視認できるか、しっかり走行前点検をしてから走りましょう。

ナンバー関連の違反の罰則

ナンバープレートを見えづらくする番号標表示義務違反など、ナンバープレートに関する違反を紹介します。ライダーの故意かどうかは問われずに違反となるので要注意です。

整備不良に該当する場合

ナンバー灯が切れていて道路交通法「整備不良尾灯等」で違反した場合は以下となります。

反則金
違反点数 二輪車 原付
1 6,000 5,000

不正改造(違法改造)に該当する場合

ナンバープレートをカバーで被覆する、シールを貼るなど道路運送車両法「不正改造等の禁止」で違反した場合は以下となります。

反則金
違反点数 二輪車 原付
2 7,000 6,000

番号標表示義務違反になる場合

ナンバープレートの判読が困難と判断された場合は排気量によって処罰が異なります。

  罰金
違反点数 二輪車(126cc以上)
2 道路運送車両法違反となり50万円以下の罰金

 

  反則金 反則金
違反点数 原付一種 原付二種
加算なし 公安委員会遵守事項違反

により5,000円

公安委員会遵守事項違反

により6,000円

ナンバーの偽造・変造の場合

道路運送車両法(第106条)により「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」という厳しい罰則があります。

ナンバープレートをなくしてしまったら

ナンバープレートをなくした時は、排気量によって手続きが変わります。

原付一種・二種の場合

ナンバープレートは悪用される恐れがあるので、まずは最寄りの交番や警察署に行き、紛失届を出して受理番号を受けます。次に、運転免許証・印鑑を持って市区町村の役所に行くとその場で再交付されます。この時、一度廃車手続きが行われ、ナンバーも新しいものになります。

転倒事故などでナンバープレートがき損した(壊した)場合は、ナンバープレートの一部でもいいので役所に持って行き、弁償金を支払ってその場で再交付を受けます。

軽二輪・小型二輪の場合

ずは、最寄りの警察に紛失届を出して受理番号を受けます。次に、陸運支局で手続きとなりますが、持って行くべき書類は以下になります。陸運支局で作成する書類もあるので、それなりの時間もかかります。

陸運支局ではまず窓口や案内の方のところに行きましょう。手順などを教えてくれます。

126~250ccの場合

自動車届出済証・自賠責保険証明書・印鑑・理由書(様式はないので自作)

251cc以上の場合

車検証・印鑑・理由書(様式はないので自作)

法律などの情報も集めてマナーのよいバイクライフを!

ナンバープレートは道路運送車両法による車種分類によって装着されるものが決まります。とは言え、トライクやサイドカーのように道路交通法上は普通自動車で、クルマの免許で運転できるものもあります。バイクの免許を持っていなくてもバイクの楽しさを味わえるというのもこうした車両のメリットです。

ただ、2021年10月の新基準適用以降は、カスタムポイントとしてのナンバープレートについて知っておかねばならないことも増えました。しっかり情報を集めて、法律の範囲内でカスタムを楽しむというのも大人のバイク乗りのマナーですね。

筆者プロフィール

田中淳磨

二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。