バイクに乗り始めたときは、普通に走っているだけでも緊張しますよね。ましてや、雨が降ったり風が強かったりしたら、もう大変。今回は、たとえ天気が悪くてもバイクに「乗りたい」「乗らなきゃいけない」場合に気をつけるべきポイントやコツをご紹介します。

悪天候時のポイント5選

基本的には、雨や強風などの悪天候時は、できるだけバイクに乗るのは控えるべきでしょう。しかし、それでも乗るときには、以下のポイントをおさえて安全運転を心がけましょう。

【ポイント1】レインウェアは全身防水できる丈夫なものを

バイクはスピードの出る乗り物なので、薄手の安価なレインコートだとちょっとしたことで破けたり、バイクの前輪が跳ね上げる水が裾から入り込んでしまったりすることも。風に強く、袖や足首をアジャスターで絞れるなど便利な機能があるバイク用のレインウェアを購入しましょう。そうした機能的な部分とともに、レインウェア選びの際に注目すべきは「耐水圧」と「透湿度」。耐水圧とは、生地に染み込む水の力を抑える性能を数値化したもの。耐水圧1,000mmなら小雨、10,000mmなら普通の雨、20,000mmなら台風時の大雨に耐えられることを示しています。一方の透湿度は、レインウェア内にこもった蒸気を発散させる能力を数値化したもの。透湿度1,200g/㎡/24hrなら、大人が静止した状態でかく24時間分の汗を放出することができます。12,000g/㎡/24hrなら軽めの運動による汗、24,000g/㎡/24hrならランニングなどの激しい運動による汗を発散できます。レインウェアの購入を検討する際は、これらの数値も参考にしてみてください。

【ポイント2】停まるときのブレーキは早め、弱め、リア多め

雨のときは普段よりもブレーキに気を使わなければなりません。ポイントは、「早め=いつもより手前から」「弱め=いつもよりソフトに」「リア多め=減速時のリアブレーキの比率を多めに」です。バイクのタイヤが路面に接している面積はハガキ1枚より小さいといわれています。そんな小さなスペースでグリップしているわけですが、路面が濡れているとグリップ力が低下するため、スリップしやすくなってしまうのです。なお、雨天時のスリップ防止にはエンジンブレーキの活用も効果的。通常のブレーキは「タイヤを止めてスピードを落とすもの」ですが、エンジンブレーキは「エンジンの回転数が落ちて自然に制動力が発生してスピードが落ちるもの」なので、スリップしにくいというわけです。雨の中でのブレーキングは、通常のブレーキとエンジンブレーキをうまく併用すれば安定して止まれるでしょう。

【ポイント3】強風時こそ、上半身は力を抜いて

前方・後方からの風ならまだしも、強い横風は怖いですよね。例えば、高速道路を運転していて、トンネルを抜けた途端に強い横風にあおられてバランスを崩したといった経験のある方も多いと思います。風が通りやすい場所には「吹き流し」という鯉のぼりのようなものが設置されていることも多く、吹き流しの状態から風の強さを把握できます。この吹き流しが見えたら「あの地点では風にあおられるかもしれない」と心の準備をしておきましょう。ちなみに、吹き流しが風で真横に流されている状態のときは、風速10m以上。これは、走行中の車が横風にあおられているのがわかるほど風が強い状態です。そうした強風の際に、ぐらつくのを防ごうと全身に力を入れてしまうと、かえって体ごと振られてしまいます。上半身の力を抜き、下半身でバイクをコントロールすることを普段よりも心がけましょう。

【ポイント4】暑さ・寒さもあなどれない

暑さ・寒さも度が過ぎれば立派な悪天候の仲間です。暑さをガマンしていると頭がボーッとしてきたり、寒いとだんだん体がこわばってきたり、いずれも事故のもとになりかねません。また山など標高差のあるところでは、高地と低地で気温の差が10℃以上になる場合もあります。行き先の天気や気温を事前に確認しておき、状況に応じて服装を変えられるようにしておきましょう。

【ポイント5】ダメなときは、ダメと諦める

いくらなんでも、「これはバイクに乗ってはダメ」という天候もあります。たとえば、雪。大粒の雪や、そもそも何センチも積もっていると、転ぶ危険性が非常に高いでしょう。また、台風など猛烈な暴風雨のときはもちろん、数メートルしか目の前が見えないほどの大雨や、雷、雹(ひょう)のときも危険です。無理な走行は命にもかかわるので、そのような天候時はバイクに乗るのは諦めましょう。

悪天候時のよくあるトラブルと、その対処法

悪天候のときは、好天のときには考えられないトラブルも起こります。ここでは、悪天候時によくあるトラブルを3つ、予防や対処方法とともにご紹介します。

【トラブル1】あそこでも、ここでも滑る

横断歩道や中央線などのライン(白い部分)、マンホール、高速道路のつなぎ目の金属部分など、雨の日はいろいろなところが滑ります。カーブで普段通りにバイクを傾けると、ツルッと滑って転倒してしまうこともあるため、手前から十分に減速し、普段よりも車体を傾ける角度をゆるやかにして走りましょう。また、そうした滑りやすい箇所ではカーブの時だけでなく直進時でも滑りがち。転倒こそしにくいものの、後輪が滑ってバランスを崩すこともあるため、滑りやすい箇所は避けて走行しましょう。そして停止の際も、滑りやすい箇所での停止は避け、早めに減速して停止することが重要です。

【トラブル2】走行中に、大雨や、雷に遭遇

「冷静な判断を」と前述した大雨や雷ですが、出かけている最中に出くわした場合はすぐに避難しましょう。雷は言わずもがなで、場合によっては非常に危険な事態を招きます。大雨の場合は、場所によってはアンダーパスに水が溜まってしまうため、それに気づかずにいつものスピードで侵入すると急減速してとても危ない状況になります。また、大雨や雷に遭遇した際、もしも周囲に建物がなく、やむを得ずトンネル内などに緊急避難する場合は、たとえ道路脇のスペースであったとしても、必ずハザードを点灯してください。

【トラブル3】強風で車体が振られ、車線をはみ出す

強風の際は、気をつけていてもバイクの車体が振られてしまうことがあります。もし車線をはみ出してしまうと、縁石に触れての転倒や、別の車に接触する危険も。例えば風が進行方向の右から吹くときは、万が一左へ振られてしまっても問題ないよう、車線の真ん中より右側を走りましょう。左から吹くときはその逆です。風向きが安定せず、左右どちらからも風が吹くときは、車線の真ん中を走行します。なお強風の際は、「低速ほど振られやすくなる」ため、怖いかもしれませんがある程度走行スピードを上げた方が安定することもあります。

悪天候時の運転を楽にしてくれるおすすめアイテム

十分に気をつけないと、さまざまなトラブルが発生しがちな悪天候時のライディング。そこで、悪天候での走行に役立つおすすめアイテムをご紹介します。

蛍光リフレクターステッカー

悪天候時は、当然ですが自分だけでなく、他の車両も視認性が悪くなります。そこで、自分の存在をしっかり知らせて追突などのもらい事故を防ぐのにオススメなのが、蛍光リフレクターステッカーです。このアイテムをウェアに貼れば、視認性バッチリ! なのですが、バイクを降りて普通に歩いているときは、このステッカーはちょっと目立ちすぎるかもしれません。しかも蛍光リフレクターステッカーは、一度貼るとなかなか剥がせないものもあります。よってウェアではなくヘルメットの後頭部やバイクのリア部に貼っておくのがオススメ。他者に自分の存在を知らしめ、無用なもらい事故を防ぐための定番アイテムです。

荷物用の防水カバー

レインウェアを着ることで人間は濡れずに済んでも、大事な荷物がズブ濡れでは大変。だからこそバイク乗りは、バッグを購入する際は防水性の高さに注目しています。ただし防水機能にも限界があり、雨が長時間続く場合などは水が染み込む可能性があります。そこで意外と役に立つアイテムが、アウトドアショップで購入できるリュック用の防水カバー。バイクに乗っているときの濡れ方は歩いているときの比ではありませんので、そうした防水カバーはレインウェアと同様、とても重要なアイテムです。

グローブワイパー

悪天候時のライディングを不安にさせる要素のひとつ、視界不良。特に雨天時は、ゴーグルやシールドにつく雨粒で視界が悪くなりますが、そんなときのお役立ちアイテム「グローブワイパー」をご存じでしょうか? これはズバリ「指につけるワイパー」です。このアイテムを指につけてゴーグルやシールドをふけば、水滴をさっと拭えて便利です。また、「ワイパー」の役割を果たすものが最初からついているグローブもあります。

番外編・防水スプレー

レインウェアや防水カバーは、経年劣化で防水性能が下がっていきます。「レインウェアを着ていても部分的に濡れてしまう」という場合は、レインウェアのその部分に防水スプレーをすると、防水性能が復活します。防水スプレーは、屋外で使用するバイク用のカバーにも使えますので、1本持っておくと便利です。

まとめ

悪天候時の走行では、事故を起こさないために、レインウェアやグッズなどをしっかりと「準備」すること、そして状況を冷静に「判断」することを忘れずに。ただしバイクに乗り慣れてくれば運転にも余裕が出てきて、例えば「雨の日の山間地、まるで水墨画のような景色だな」といったように、その天候ならではのシチュエーションも楽しめるようになれるはずです。

マメ知識コーナー

バイクの鍵穴は雨に強い構造になっていますが、年月とともにいつの間にか水分が入り込み、中が錆びて鍵が差し込みにくくなったり、差し込んでも鍵が回りにくかったりすることがあります。ですので、雨の日に屋根のない場所にバイクを停めておく際は、鍵穴を覆えるものを被せておくとサビの予防になります。いざというときは、ジャムの瓶などの蓋が役に立ちますよ。

■筆者プロフィール

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