自然の風を肌で感じるバイクにとって、爽やかな風と新緑が楽しめる季節こそ、ツーリングにもってこいのシーズン! ただし、ツーリングといっても、ソロ(一人)なのかグループなのか、日帰りなのかロング(数日間)なのかなど、楽しみ方もさまざまです。今回はそんなツーリングをより安全に、より楽しくするための注意点を、先輩ライダーの失敗から学んでみようと思います。

先輩ライダーの失敗から注意点を学ぼう

バイクの醍醐味でもあるツーリングですが、多かれ少なかれ、ライダーの皆さんは一度はツーリングで失敗を経験するもの。ここでは、先輩ライダーの失敗からツーリングの注意点を学びましょう。

山ツーリングでの失敗

◆落ち葉で滑って大転倒! 道の状態にご用心
山道のツーリングはワインディング・ロード(カーブの連続)を走るのも醍醐味のひとつ。ヒラリヒラリと軽快に走れたときの爽快感は格別です。でも、何も考えずに走っていると時に危ない思いをすることも。特に強風の続いた後などは、道の端に砂が溜まっていたり、秋には落ち葉が積もっていたりします。これを踏んでしまうとさあ大変! タイヤが滑って大転倒、最悪の場合は谷底へまっさかさまという事態に。道の状態は常に把握しながら走りましょう。

◆予定していた道が通れない! 意外とある通行止め
春のツーリングで山間部、特に標高の高い道でたまに遭遇するのが「冬期通行止め」。東北や甲信越の一部では、GWを過ぎても通行止めが解除されていない道があります。また、倒木の片付けやアスファルトの補修工事で通行できないケースも。こうした通行止めは、現場よりも手前、その道に入る分岐点にお知らせがあることも多いので、道の脇に置いてある看板には常に注意を払うこと。もしも通行止めに遭遇してしまったら、焦らず落ち着いて地図やスマホで別のルートを調べましょう。「回り道を楽しむ」くらいの気持ちの余裕を持ちたいですね。

海ツーリングでの失敗

◆海ならではの潮風も、浴びすぎると人もバイクも後で大変
独特の潮の香りで、「海に来た!」と気持ちが盛り上がる海ツーリング。でも、潮風に含まれる塩分には要注意。海沿いの道ばかり走っていると、塩分が体表に付着して顔や首がなんだかベトッとすることも。海を目指すツーリングのときは、顔をサッと拭けるウェットティッシュがあると便利です。また、バイクに付着してしまった塩分は放っておくと、数カ月後には車体がサビサビに…。雄大な水平線を間近に眺めるツーリングを楽しんだ後は、数日以内の洗車は必須です。

◆行けそう…でも本当に行ける? 脱出不可能な砂浜
せっかくやってきた海。その誘惑に誘われて砂浜を走ってみたいと思う方も多いのではないでしょうか? 海沿いの道路から広い砂浜がチラチラ見えると、ついそちらに向かってしまいたくなるものです。しかし、砂浜はちょっと走るとすぐに後輪が砂地に沈み、しまいにはタイヤが空転して動けなくなってしまいます。最悪の場合、数人がかりでないと脱出できないなんてことにもなりかねません。ちなみに、石川県には自分のバイクで波打ち際の砂浜を走ることができる日本で唯一の道路「千里浜ドライブウェイ」があるので、ぜひ一度行ってみてください。

その他の失敗

ここまで紹介した失敗以外にも、ソロツーリングで山間部を走っているときにガス欠になって大変だったというエピソードもありました。山間部の奥地など、極端に交通量の少ない道では、万が一事故を起こしてしまったときや、長い区間ガソリンスタンドがなくガス欠になってしまったときに助けを呼ぶことが困難です。ソロツーリングでは、できるだけ国道や県道などメジャーな道路を選びましょう。またグループツーリングで、うっかりはぐれてしまったというエピソードも。大勢でのツーリングでは、休憩のたびに次のルートと目的地を共有して「全員がペースをあわせて走る」のが重要です。それでもはぐれてしまった時は、寂しさをぐっとこらえて「自分のペースで走る」ようにしましょう。

初ツーリングで失敗しないために

初めて出かけるツーリング、せっかくなら失敗せずに楽しみたい! そこで、ツーリング前日までに準備しておくことや必携アイテム、あると便利なグッズをご紹介します。

ツーリング前日までに準備しておくこと

少なくとも、ツーリングのルートは決めておきましょう。Googleマップで出発地と目的地を入力し、表示された最短ルートに少し手を入れて寄り道を加えれば、おおまかな距離がわかります。個人の感覚にもよりますが、日帰りで200kmくらいまでは軽め、300km以上で満足感がある、400kmを越えると精神的にも体力的にもハードなツーリングになります。なお、予定していたルートで雨が降る予報だったら、臨機応変に目的地を変更するのが正解。あくまで無理は禁物です。そして何よりの準備は、「早寝」です。早起きして出発すれば渋滞にも巻き込まれません。

ツーリングの必携アイテム

まずはレインウェアです。いくら予報をチェックしていても、時には急な雨に遭遇することも。ポイントは、「降ってから」ではなく「降りそうになったら」安全な場所で着ることです。そして、言うまでもなく地図。予定通りの道を走っているかの確認や、通行止めなどでルートを変更するときには必須です。こちらはスマホでもOKですが、電池の残量には気をつけましょう。

あると快適な便利グッズ

ヘルメットホルダーがないバイクの場合、100円ショップで売っている自転車用のサイクルロックがその代わりを果たしてくれます。キータイプは持ち歩く鍵が増えてしまうので、番号合わせのもので、全長が短めのものがかさばらなくておすすめ。また必須ではありませんが、ガソリンスタンドでの支払いには、サッと出せるクレジットカードがあると便利です。

まとめ

先輩の失敗談を見て「しっかり準備しなければ!」と肩に力が入るかも知れませんが、「ちょっと近場までバイクでお出かけ」だって立派なツーリング。行き先は、気になっている近くのカフェでも、隣町の道の駅でもいいんです。あまり気負わず、いきなり遠出を考えず、まずは走り出してみましょう。回数を重ねるうちに、持ち物もライディングも無駄が削られてスタイリッシュになりますよ。ただし、常にレインウェアは忘れずに!

マメ知識コーナー

「燃料コック」や「フューエルコック」という言葉をご存じでしょうか。これは、タンクからキャブレターに燃料を送る経路の切り替えスイッチのこと。最近のバイクにはコック自体が存在しないものもあるため、初めて聞いたという方もいるかもしれません。このコック、通常の走行時は「ON」、燃料が少なくなってきたら「RES(リザーブ)」、整備などで燃料を抜き取る場合は「OFF」に手動で切り替えます。「RES」にするとタンクの底の方にたまったガソリンまできっちり使い切れるため、いざというときの「予備」の役割を果たすのですが、うっかり「RES」のまま走り続けると、いざガス欠になった際に「予備」の燃料がないため、バイクはうんともすんとも言わなくなってしまうのです。ツーリングでは、くれぐれも「RES」のまま走りませんように。

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筆者プロフィール

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