「バイクに乗りたいけど、腰が…」なんて声をよく聞きます。「モノとして欲しいバイク」「実際に乗るならこのバイク」、本当に悩みますよね。そこで今回は体の悩みも考えつつ50代にお勧めのバイクをご紹介します。

1.あの頃よもう一度。50代の衰えない情熱!


上の写真は、2018年8月に浅間山の麓で開催された「ライドアフリカツイン」というイベントのひとコマです。発売開始前から予約が殺到し、タミヤからプラモデルも発売されるなど、大人ブームの中で社会現象を巻き起こした大型アドベンチャーモデル「Honda CRF1000L Africa Twin」ですが、そのオーナー達が全国各地から集まりました。

製造メーカーであるHondaや用品メーカー各社もブースを出展し、マップ(コマ図)を使っての林道も含めたツーリングラリーや最新モデルの試乗会、ライディング講習会、カスタムコンテストなど多彩な内容で盛り上がりました。中でも、ライディング講習会には多くの50代オーナーが参加し、講師である松井勉さん(写真中央)のレッスンを受けました。


「Honda CRF1000L Africa Twin」にはDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)というHonda独自の変速機構を持つタイプもラインナップされています。クラッチレバーもシフトペダルもない最新のDCT搭載アフリカツインをどうしたらうまく乗りこなせるのか? オーナーの皆さんは一つひとつのレッスンにとても真剣に臨んでいました。


50代と言えば、かつては「パリ-ダカールラリー」に夢中になった年代でもあります。1986年にNXR750でパリダカを優勝したHondaはその後4連覇を果たし、鮮烈な印象を残しました。そのレプリカマシンとも言える「XRV750アフリカツイン(下写真)」が欲しくてたまらなかった、あるいは実際に乗っていた方々が、第二次アフリカツインブームとも呼べる現象を支えているのです。

2.「欲しいバイクを買え」が基本ですが… 50代へのアドバイスとは?


さて、50代のバイクに対する情熱をアフリカツインブームを例に紹介しました。では、50代にオススメのバイクがアフリカツインなのかというと、話はそう単純ではありません。かくいう筆者も50代目前(体力的には50代後半?)ですので、今回のテーマでは、自らのバイク・ツーリング経験を活かしつつアドバイスさせて頂きます。

ところで、50代と言えば、いま最も新車を購入している方々です。80年代のバイクブームを経験し、子育てもひと段落して自分の時間が持てるようになり、リターンライダーとして再びバイクに乗り出している世代なのです。現在の国内バイク市場を支えているのは、50代の皆さんなんですね。

かつてのバイクブームを知っている世代ですから、80年代レプリカブームよろしくスーパースポーツバイクに乗りたいという方が多いのもわかります。しかし、記憶や憧れはあの頃のままでも、バイクは自分の体やテクニックがものを言う乗り物です。しっかり乗れば乗るほど、かつての自分と現在の自分にギャップを感じる方も多く、リッターバイクでリターンしたけど、翌年、ニ-ハン(250cc)に乗り換えたという声もよく聞きます。

下の写真は、そうしたリッタークラスからの乗り替え需要をも支えている高性能なニーハンバイク「Honda CBR250RR(2020年モデル・7月中旬発売予定)」です。リニアで軽快、確実なアクセル操作を実現するスロットルバイワイヤシステム、路面や用途に合わせて選択できるライディングモードセレクト、シフトアップ・ダウンに対応したクイックシフター(オプション設定)などを装備するニーハンの概念を超越した満足度の高いスーパースポーツです。


趣味の乗り物として買うのであれば、好み(用途・カテゴリー)は第一です。基本は「欲しいバイクを買え」の通りなんですが、体とも相談しておきたいのが50代のバイク選びです。満喫したツーリングの翌日、会社や仕事に悪影響を残したくないですからね。

なお、そうした視点でオススメしたいバイクは国内外に山ほどあるのですが、今回は、体に負担のかかりにくいバイクという点で筆者選定によるナンバーワンバイクを紹介します。車種選びのポイント(評価点)はこちらです。

●体に負担のかかりにくい車種選びのポイント
1. 腰や頸椎(首)に負担をかけないアップライトなライディングポジション
2. 首や肩、上半身に負担をかけない防風性の高いウインドスクリーン
3. 手首の疲れや肩こりを悪化させない、遠すぎないハンドルポジション
4. 腰の負担を軽減するための座り心地が良いクッション性の高いシート
5. ハンドルを切った時、車体を取り回した時に、自分的に重すぎない

結論から言うと、ノーマルの状態でこの全てを満たすバイクには出会ったことがありません。ただ、5つのポイントのうち、4つを満たしているバイクがあります。

3.50代にオススメのNo.1バイクと注目の変速機構

オススメバイクNO.1
Honda NC750X Dual Clutch Transmission


前置きが長くなりましたが、そうした視点で選んだ筆者オススメNo.1は「Honda NC750X」のDCT装備モデルです。体に負担がかからないという点で、このバイクの完成度は最上位に位置します。前述した5つのポイントで見れば、もう少し上質でクッション性の高いシートが欲しいくらいで、残り4つのポイントは全て高いレベルで実現しています。

車重も231kgと決して軽いわけではないですが、ガソリンタンクに見える部分が実はフルフェイスヘルメットを収容できるラゲッジスペース(要はダミータンクでありガソリンタンクはシート下に配置)という車体構成になっていて、車体の高いところに重たいものがなく、とても重心の低いバイクなんです。

重心の低さは、重量のある大型バイクにとって、とても大きなメリットです。駐車場で取り回したり、カーブを曲がっている時でも、重たいものがエンジン部に集中していることで、楽に、正確にコントロールできます。やじろべえをイメージしていただくとわかりやすいと思います。そのため、フラットダートのような路面でもかなりのペースで走れてしまいます。


■DATA
車 種:NC750X Dual Clutch Transmission
価 格:95万400円(税込)
カラー:キャンディークロモスフィアレッド、マットバリスティックブラックメタリック、パールグレアホワイト
緒 元:サイズ/全長2,215×全幅845×全高1,320(mm)、軸距/1,520mm、最低地上高/140mm、シート高/800mm、車両重量/231kg、エンジン/745cc・水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒・電子式6段変速(DCT)、最高出力/40kW(54PS)/6,250rpm、最大トルク/68N・m(6.9kgf・m)/4,750rpm、燃料タンク容量/14ℓ、タイヤ/フロント・120/70ZR17M/C(58W)、リヤ・160/60ZR17M/C(69W)
URL:https://www.honda.co.jp/NC750X/

さらには、DCTを採用しているため、シフトアップ・ダウンといった変速操作が必要ありません。そもそもクラッチレバーやシフトペダルがないので、ロングツーリングの帰り道に左手の指が疲れて痛くなったり、左足がつりそうになることもありません。DCTは、手元のボタンを使えば、自分の意志でシフトアップ・ダウンできますから、完全なるオートマチックというわけでもなく、操作する楽しみも残されています。下の写真はDCTを搭載した「CRF1000L Africa Twin(2016年式)」のエンジンです。


DCTは、2010年にVFR1200Fで製品化されてから着実に進化を遂げており、変速のタイミングや変速時のショックも自然なフィーリングで、その精度を向上しています。今後もバイクに長く乗り続ける上でキー(鍵)となる技術のひとつですので、ぜひ一度体感してみてください。

●「Honda DCT」専用ウェブサイト
URL:https://jp.honda-dct.com/

●いきなり購入する前に、まずはレンタルバイクで試してみよう!
Hondaは2020年4月から「HondaGO BIKE RENTAL」をスタートしています。原付バイクから大型バイクまで様々なモデルをレンタルでき、2時間以内の「SHORTプラン」、2泊3日を想定した55時間の「LONG GOGOプラン」などニーズに沿ったレンタルプランが用意されています。WEBで予約でき、ヘルメットやグローブなどウェア類を借りることもできます(有料)。

バイクをレンタルすることで、DCTなどHonda独自の先進機構を気軽にじっくり体験できます。いきなり購入するのもいいのですが、まずはレンタルバイクで試し乗りすることをオススメします。きっと、納得してから購入できるはずですよ。


●Honda車両をレンタルできる「HondaGO BIKE RENTAL」ウェブサイト
URL:https://hondago-bikerental.jp/

法改正/オートマチック限定大型二輪免許の排気量制限撤廃

さて、DCT採用モデルの優位性をもうひとつ。2019年12月1日の法改正により、オートマチック限定大型二輪免許の排気量上限だった650ccという制限が無くなり、排気量が無制限となりました。

これにより、「ゴールドウイング」「X-ADV」といったHondaのDCT採用モデル、DCT同様にクラッチ操作の必要がなくシフトチェンジが可能なYCC-S(ヤマハ・チップ・コントロールド・シフト)を装備する「YAMAHA FJR1300AS」など、一部のモーターサイクルタイプにもオートマチック限定免許で乗れるようになりました。


この法改正は、体力に自信が無くなってきた50代にとって、免許選択、車種選択といった点で大きなメリットをもたらしました。こうしたモデルに乗れるようになったことにより、モーターサイクルモデルならではのスポーツ走行を楽しみつつ、片道数百kmといったロングツーリングでも、体力の不安をやわらげることができるようになったのです。

先進機構/疲労軽減にも効果のあるクイックシフター

なお、DCTやYCC-Sがオートマチック限定免許で乗れる一方、通常のマニュアル・トランスミッション車にも「クイックシフター(オートシフター)」というクラッチレバーを握らなくてもシフトアップ・ダウンができる機構を持ったバイクも増えています。元々はMotoGPマシンで採用されていた技術が市販車にフィードバックされたもので、スーパースポーツタイプなどスポーツ走行時の操作を補助する機構として普及し始めています。「SUZUKI GSX-R1000R ABS」「KAWASAKI VERSYS 1000 SE」といった大型バイクにも搭載されています。

クイックシフターは、後付けで販売されているものもありますから、自分の愛車に適合するものがあれば、購入・装着することでシフトチェンジの負担をやわらげることもできます。

いかがでしたか。ライダーの疲労を軽減するための様々な機構と、それらを装備したバイク。法改正も味方してくれて、体力に合わせた様々なバイクが選べて、50代でも目いっぱいロングツーリングを楽しめる。いい時代になりましたね。

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■筆者プロフィール

田中淳磨
46歳・男性・北海道札幌市出身
二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。