勝手に指標

  • 秘境感
    ★★★★☆
  • 天空感
    ★★★☆☆
  • 潮風感
    ★★★★★
  • 爽快感
    ★★★★★
  • 根性感
    ★★☆☆☆
  • 開放感
    ★★★★☆

蒼と碧が出会う境界の地
旅の哲学を内包する絶景道

ライダーの聖地とも言える能登半島。
能登半島一周ツーリング、通称“ノトイチ”は全国の旅ライダーにとって憧れの地だろう。

山岳が海岸直近にまで迫る豪快な風景に加え、地形変化にも富み、海岸ルートを走るだけでも多様な絶景が楽しめる。
また、千里浜や輪島といった全国的にもメジャーなスポットも多く存在する。

旅のベテランには冒険感、初心者にも高いレベルの旅行感を楽しめる事も人気の高い要因だろう。

そんな能登半島の旅路の中で、最も走っておきたいのがこの“奥能登絶景海道”だ。

ネーミングは非常にベタながら看板に偽りなし。
能登の最も美味い絶景が凝縮した濃厚な絶景ロードなのである。

半島先端部一帯の海岸沿い、約90kmにも及ぶ長大なルート。
能登の奥座敷と呼ばれている奥能登の素晴らしい風景を存分に堪能できるのだ。

奥能登絶景海道のハイライトは数多いが、やはり特筆すべきは文字通り奥能登地域。
海岸沿いの国道より分岐し、海沿いを更に半島の先端に向かい奥へ。

海岸は名勝奇岩の岩礁。
観光スポットとして整備されている訳ではないが、異世界感すら感じる雰囲気は旅情抜群だ。
この最果て感は、能登旅最良のスパイスとも言えるだろう。

能登は伊豆半島に似た雰囲気がある。
海岸直近まで山岳が迫る豪快な海岸線。海がメインながら、山林の文化がチラ見される不思議さも魅力的だ。

国道区間は良線形の幅広2車線だが、奥能登一帯は旧規格2車線が中心。
場合によっては1.5車線の狭路も散見される。

伊豆半島で例えるならば西伊豆的雰囲気と言えるかもしれない。
関東ライダーにとっては、ホームに来たような懐かしい錯覚に陥る可能性もあるだろう。

初訪問にも関わらず覚える懐かしさ。
しかし、感動の連続で一気に走り切ってしまうほどの躍動感に満ち溢れている。

ここは冒険感に存分に浸れる。
この感覚とは一体何だろう?

秘境感漂うとは言え、到達困難な本物の秘境地帯ではない。
決して“冒険”を探しに来ている訳ではないのだが、どこか冒険感を感じてしまう。

あぁ…。これは非日常感の成分に近い。
“半島”という地理的要因が併せ持つ“一周の旅”。

このイメージは円環だ。
出発し、閉じる事で何かをやりきった感がある。
この一種の“チャレンジ”にも受け取れるイメージが非日常感…つまり“冒険感”を醸しているのかもしれない。
奥能登絶景海道の風景はこの“非日常感”を絶妙に醸しているのだ。

ルートは半島先端部をターンし、その先へ。
この“最先端”というシチュエーションもいい。

一周旅と絶景と先端。
旅人にとって外せない3大要素を、完璧に満たしている。

水平線の向こうは、ただ空と海。その遥か彼方はユーラシア大陸だ。
能登の海岸風景は先端であると同時に、事実上の境界でもあるのだ。

なぜ、旅に出たくなるのか?
その答えは旅人の数だけあるが、自らが生きる世界の境界を目で見たい…という動機もあるだろう。

そこにあるのは絶景ながらも決して“珍しい”風景ではない。
だが、“境界”にリアルに訪れた事は自身にとって大きな満足感になるに違いない。
例え、そこが絶景でないにしてもだ。

奥能登絶景海道は旅の動機になる要素を全て満たしている。
日本の絶景ロードは数多い。
しかし、旅人のマインドと哲学の琴線を直撃する道は意外と数少ない。

この道は絶景ロードの魅力要素と哲学を全て含む浪漫街道。
訪れる旅人を全て虜にする不思議な異世界なのである。


奥能登一帯は海岸直近を走るルートが多い。
路肩の狭い旧線形路が中心ながら、鄙びた漁村をつなぐ旅情溢れる風景が至る所に。
旅で走りたい道の筆頭格と言える。


県道部は決して良線形路とは言えない。
しかし、田園・山林・海が同時に混在する特徴的な風景が魅力だ。

日本の原風景を感じる心温まる風景。
奥能登美景の一つである。


ルート沿線、半島北部の日本海沿いは製塩が大変盛んな地域。
現在も古来の伝統技法で製造されている能登の海塩は全国的な一大ブランドにもなっている。土産にぜひ。


旅の相棒は蒼い海と空。
ここは海と空が出会う境界の地であると同時に、事実上の国界でもある。
奥能登は旅の哲学を内包した浪漫街道でもあるのだ。


奥能登絶景海道とセットで走りたいのが半島北西海岸。
1.5車線の険道区間で観光客は当然、ライダー達も初訪問で訪れる方は少ない。
しかし豪快な絶景の凝縮ロードなのだ。


奥能登最深部、椿の断崖展望台は秘密の絶景ポイント。

歩く事約10分。
断崖に突出した岩棚からは奥能登海岸一望の展望が広がる。

観光整備されておらず看板も皆無。
落差は約100m。転落即死亡の危険地帯のため要注意!

ロードデータ

交通量

半島髄一の風景街道のため、全体的な交通量は比較的多い。しかし、渋滞は皆無。爽快なライディングを存分に楽しめる。狭路もあるがライダーは大変多い。互いに注意を!

路面

全域が完全舗装2車線路だが、奥能登方面は主に旧規格路。一部は1.5車線の狭路区間も残っており注意が必要。路面状態は悪くないものの、国道部と県道部での差が大きい。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。