今回は車のアライメント調整を進めていきます!

ちなみに…アライメントとは?

アライメントとは、ホイールのバランスのことです。
バランスを調節するにあたり、キャンバ角、キャスタ角、キングピン傾斜角、トーなどがあります。
車が安定して走るのに、これらの調整が重要になってきます。
アライメントが取れていない例として、タイヤをまっすぐにしたときにハンドルが曲がっている、つまり、ハンドルをまっすぐにしたときにはタイヤが若干切れてしまっている場合はアライメントが取れていないです。
路面の状況にもよりますが、まっすぐ走っているつもりでも段々右に寄ったり、左に寄ってしまいます。

アライメントを実際に見ていこう!

今回のメイン工具はCCKゲージです!
CCKゲージはキャンバ、キャスタ、キングピンの角度を見ます。(今気が付いたのですが、3つの頭文字から取ってたんですね笑)
ちなみに、キャンバ、キャスタ、キングピンの意味はわかりますか?

キャンバ角とは?

キャンバとはタイヤを前から見た時の角度です。前から見て逆ハの字になっているのがプラスキャンバ(別称:ポジティブキャンバ)、ハの字になっているものはマイナスキャンバ(別称:ネガティブキャンバ)と呼ばれます。
プラスキャンバのメリットはハンドルが軽くなり、マイナスキャンバのメリットは旋回性能の向上です。

キャスタ角とは?

キャスタとは車を横から見た時のキングピン軸(※後ほど説明します!)と車の中心線との角度のことです。
車で考えると少し難しくなってしまいますが、バイクで考えるとフロントフォークの傾きです。
キャスタ角があると、直進安定性が向上します。ハーレーなどが直進安定性があるのは、他のバイクと比べてキャスタ角があるからです。

キングピン傾斜角とは?

キングピン傾斜角とは、車を正面から見たときのキングピンの傾きのことです。
キングピンとは、ナックル(タイヤを支持して車体を懸架している部品)とフロントアクスル(前輪軸)を結ぶピンのことで、タイヤに操舵角を与える際の回転軸となります。
キングピンは基本的調節はできず、キャンバやキャスタの角度で変わります。。

まずはCCKゲージを水平にします。

中に液体が入っており、気泡で角度を見ていきました。
気泡で見るなんてすごく意外で、新鮮でした笑
水平かどうかは一番上のゲージの気泡を中心に合わせて、キャスタのゲージの0点調節を行います。
そしてタイヤを180°回し、一番上のゲージの気泡を中心に合わせキャスタのゲージがずれていたら0点側に1/2近づけ、また180°回します。このときにキャスタのゲージが0点に合っていたら終了、合わなかったらまた1/2近づけ、ということを繰り返して180°、360°タイヤを回したときにキャスタのゲージが0点になるようにします。

CCKゲージの調節ができたら、ブレーキを効かせて、リフトダウンしてターニング・ラジアスゲージに設置させます。
ブレーキ

ターニング・ラジアスゲージ

ターニング・ラジアスゲージはすべてのタイヤの下に敷くのですが、車を水平にする役割と、角度を見る役割をします。

最初にキャンバを見ます。
キャンバは下ろしただけで見られるので楽です笑

読み方は大きい数字が1°や2°と読み、数字間の刻んだ数字は10′から50′(ふん)と読みます。
真ん中の目盛りが30′です。
これは50′くらいです。

次にキャスタとキングピンを見ます。
まずは20°内側にハンドルを切り、それぞれの0点を合わせます。

そして20°外側にハンドルを切ったときの角度をCCKゲージで見ます。

それぞれの基準が規定値内ならOKです!

ちなみに切れ角もターニング・ラジアスゲージで見ます。
切れ角とは内側、外側に目いっぱい切ったときの角度を見ます。
本来内側の角度の方が大きいです。
この切れ角が分かりづらく、内側、外側が理解しにくかったです;;
たとえば、フロント右側の内側を見たいときはハンドルを右に切って、外側を見たいときは左に切ります。
フロント左側の内側を見たいときはハンドルを左に、外側を見たいときは右に切ります。
つまり内側というのは曲がりたい方向で、ここが最初わかりにくく、何度も書き間違えました;;;

規定値から外れるようなら調節を行います。

アライメントの授業でサスペンションを脱着したときの合いマークです。
左側のマークは合っていないのであとで消しました。
今回のロードスターは、ロアアームにキャンバ、キャスタの調節ボルトが付いていました。
ここは確かキャンバの角度を変えるボルトだったと思います…!

さて、ここまでキャスタ、キャンバ、キングピンのお話をしました。
実は更にトー角というものが絡んできます。

トー角とは?

トー角というのはタイヤを真上からみたときの進行方向に対する傾きです。
進行方向に向かってタイヤが内側に入り込んでいるならトーイン、外側に開いているならトーアウトです。
ここで間違えやすいのがキャンバとの違いです。キャンバはタイヤを正面から見て地面に対する角度です。

トーはメジャーを使用して測定します。
リフトアップしてフロントの左右のタイヤの中心に目印を付けます。

中心を出せたら、左右の中心が前に来るようにタイヤを回して、リフトダウンし、地面に設置させて左右の中心の距離をメジャーで測ります。
そのあと車を押して、タイヤが180°の位置(後ろ側)に来るようにして測ります。
これで前側と後ろ側の距離が測れました。
数値の大きさが前側>後ろ側ならトーアウト、後ろ側>前側ならトーインです。
また、基準値から外れるようならタイロッドで調節をします。

最初は感覚でタイロッドを回してたのですが、中々基準値に合いませんでした…。
先生がスケールを渡してくれ、タイロッドの距離を測り、左右が合うようにしました。

調節中の様子です。
タイロッドのボルトの端が205mmになるようにしました。
何回か繰り返して…
基準値ぴったりになりました!!
フロントが終わり次第、リヤを行いました。
中々基準値が合わないのと、工程が多いので個人的にアライメントで一番苦手な作業でした笑

キャンバ、キャスタ、キングピン、トーの調整が終わったところで、
サイドスリップという機械に乗せ、ハンドルをまっすぐにした状態でどれくらい横にずれるかを見ます。

直進して、青い板の上を通り過ぎます。
青い板は左右の動くのですが、その時の振れがサイドスリップテスターで数値化されます。

運転席からだと意外と見にくいのですが、規定値から外れるとブザーが鳴ってくれました。

アウト側に10ずれたのでトーで調整します。

リフトアップせずに、タイヤを目一杯切ればタイロッドに工具が届くので、
この状態で左右同じ分タイロッドを回して、サイドスリップに乗せて、調節して…を繰り返し、
規定値に収めました。

今回はアライメントの実習についてでした!
微調整をしていって、数値を見ての繰り返しでやっていることは結構地味だなあと思いました笑
全部規定値内でも、サイドスリップで引っかかってしまったりして、細かいバランスで走っているんだなあと実感できました。
うまく調節できたり、車の運転は普段しないのですが、サイドスリップを通る際に少しだけ運転できたのは楽しかったです!

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筆者プロフィール

イギリスパン

バイク王で働きながら整備学校に通い、二級自動車整備士を目指しています!