バッテリー交換式電動二輪車は、車体サイズに納まるコンパクトなEVシステムを搭載した電動二輪車で将来、カーボンニュートラルの実現や環境保全に期待されています。

電動二輪車は「低炭素」型の車両であることに加え、3密を避けた移動手段として期待されている。
しかし、従来の電動二輪車には航続距離の延長や充電時間の短縮などの利便性の点で弱点をカバーする必要がある。
そこで、2020年9月から日本自動車工業会と大阪府、大阪大学が連携し、府内で実証実験を開始した。その名も「eやんOSAKA」。

今回の実証実験「eやんOSAKA」で使用されたバイクは、2020年4月に法人向けに販売されたホンダ・BENLY e:シリーズであり、大阪大学の学生、教職員130名に貸し出し、府内12か所に設置されたバッテリー交換所でバッテリー交換を体験した。

2022年4月1日、ENEOSホールディングスとホンダ、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発動機の5社は株式会社Gachacoを設立し、今後はeやんOSAKAのモデルを継承し事業化を目指すそうだ。
今回の実証実験では、電動二輪車の印象について「便利」と回答したのが78%と評価さてれおり、今後の発展に期待できそうだ。

■バイク未来総研所長 宮城光のココがポイント

注目ポイント

今回のレポートは、実際に現場で生活に密着した形での取り組みからは多くのポジティブなコメントが集計されている事が注目だろう。
個人所有する事無く、シェアリングで、しかも行く先々でバッテリーを交換しながら目的地に到着する事で、排出ガスをゼロにする取り組みに好感が持てる。
こう言った取り組みによって、新たに小型モビリティーで有る「バイク」への接点をスタートした人も多く、また、過去にバイクに乗っていた人にとっても、ガソリンエンジン→電動モーター・・・と言うパワーユニットの変換だけではなく、乗り物に対しての新しい取り組みに魅力を感じた人も多いようだ。

今回のシステムについて

今回の電動バイクを走らせるシステム自体の考え方は、台湾のGogoro社がすでに5年前から稼働している。
小型電動スクータでのバッテリー交換システムは「Swap & Go in seconds」とプレゼンされ、僅かな時間で次の走行が可能だ。台湾国内だけでも2200箇所以上の充電ステーションのインフラが整い、Gogoroのプラットフォームを使い世界中の10社ものバイクメーカーが47機種のモデルをリリース、すでに台湾を初め中国、インド、インドネシア、さらにはアジア各国が正式採用に名乗りを上げている。

そして、それらはGogoroの開発した1つのオープンネットワークで管理されているので、手持ちのスマートホン上に、現在の位置から最寄りのステーション位置が表示され、バッテリーはそのステーションで何本使用可能か?また使用頻度から来るバッテリーのライフタイムも管理が可能。使用している電動バイクの現在位置や、走行距離などのデーターから来るメンテナンスサイクルも、Gogoroのプラットフォームで車両を生産すれば、それらのデーターから個別に車両が管理出来る。
電動バイク自体もサブスクでの使用可能となっているので、正に今回の「eやんOSAKA」の原型とも言えるシステムが存在するのだ。

国内での取り組み

今回の国内での取り組みでは、国内2輪4メーカー(ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキ)と燃料メーカーのエネオスによるコンソーシアム、そして経産省とバッテリー充電ステーションの設置店舗としてコンビニエンスストアー大手のローソンの後ろ盾での実現となり、実証実験の場として選ばれた大阪北摂地域では、良い結果となったのだろう。
2輪を含む国内の自動車産業は日本の基幹産業だけに経産省としても国内での生産需要を含め今後の展開に期待をしたいところだろう。

今後へ向けて

願わくば、国内での成功を収めた上で、海外への車両を含めたシステム輸出により、生産輸出を上げたいところだ。
そのためには、前段で述べたGogoroとどう向き合って行くのか?システムをGogoro と共有する事はできなかったのか?思い出すのは1970年代に勃発したビデオ戦争「VHS vs ベータマックス」だ。競争の原理は技術の向上には期待しつつも、市場価格の下落も懸念される。
そもそも、世界を見れば既に完成されたシステムが有るにも関わらず、行政をも参画した今回の取り組みが、無駄なエネルギー排出にならない事を祈るばかりだ。

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筆者プロフィール

宮城光

1962年生まれ。2輪・4輪において輝かしい実績を持つレーサーとして名を馳せ、現在ではモータージャーナリストとしてMotoGPの解説など多方面で活躍中。2022年、バイク未来総研所長就任。