国内屈指、雪の回廊は今が旬!この春、絶対に走りたい道だ

国内には数多くの絶景ワインディングロードがあるが、この春最も旬と言える絶景道がこの八幡平アスピーテラインだ。
岩手~秋田県を跨ぎ、標高約1600mの山岳地帯を超え、岩手山を一望できるダイナミックな山岳風景が一番のハイライト。

総延は約47km、かつては観光有料道路だったが、現在は無料で通行可能だ。
また、岩手~秋田を連絡するのみでなく、山頂の見返り峠より八幡平樹海ラインにて下山するコースを選べば、周遊ルートで走行できるのも嬉しいポイントだろう。

ところで“アスピーテ”とは楯状火山の学名の事。
山岳路が抜ける山々が盾状火山だった事から付けられた名称なのだが、実は近年の研究では“アスピーテ”ではなく成層火山だった事が判明。
アスピーテラインの根底を覆す研究結果なのだが、まぁそんな事はどうでもよい。

春になり、ツーリングシーズンの幕開け。
「今年はちょっと凄いところを走りたい…」と思っているライダーには最も旬なお勧めのツーリングロードなのだ。

お勧めは雪の回廊。
そう、立山黒部アルペンルートで有名なアレの事だが、アスピーテラインは一味違う。
何と、自分のバイクでココを走れてしまうのだ。
しかも、道路上には積雪無し。
スパイク等を装着せずとも安心して雪の回廊を走れる旅人垂涎のルート。

恐らく、雪壁の高さでも国内屈指。ダイナミックさも抜群だ。
その上、緯度の関係上、雪解けが遅く、GW期間中でも十分見応えがある事も嬉しい。

また、その展望も“国内屈指”と呼ばれるだけある。
岩手県民の心の拠り所としても有名な岩手山(南部片富士)の全様相が一望できるスーパービューも度肝を抜かれる迫力だ。
このクラスの山岳を、植生限界を超えた頂上からなだらかな裾野まで、同高度から遠望できる異世界感抜群の展望はちょっと他では見当たらない。

また、廃墟マニア垂涎のスーパーディープなスポットが隣接している事でも有名。
「第二軍艦島」とも呼ばれている程、国内トップクラスの知名度を誇る松尾鉱山の廃アパート群が遠望できるのだ。

これは19世紀末から昭和44年まで創業していた硫黄鉱山跡。
産出量は東洋一、「雲上の楽園」と呼ばれた当時最先端の生活水準を誇った鉱山街を形成していたのだ。
当時の鉄筋コンクリート製アパート群はアスピーテラインからも遠望できる。

また、山頂付近には国内屈指の露天温泉もある。
そう、「国内屈指」の大安売りか! と言う位、度肝を抜かれるスポットが連続で続く、超弩級ツーリングスポットでもあるのだ。

そろそろGWの予定を立てる時期。
今年は2日有給を取れば10連休!
死ぬまでに一度は見ておきたい旬の絶景を堪能して欲しい。

連続するスノーシェッドの近未来的な光景が印象的。
採光窓が多数ある為、シェッド内は明るく幻想的な光景が続く。

独立峰岩手山を遠望できるスーパービューもアスピーテラインの魅力。
常に同高度から観察できるルートはここしかない。

アスピーテライン岩手県側の頂上、見返り峠より八幡平樹海ラインにて下山するルートは最も定番な周遊コース。
展望は少な目だが、十分に走り応えあるルートだろう。

かつて「雲上の楽園」と呼ばれた標高1000mの山中に残された鉱山街の跡。
最盛期には1万5000人もの人口を擁した都市だった。

遠望するアパート群は、鉄筋コンクリート4階建て。
セントラルヒーティングが施された当時最新型の建築様式で、生活水準の高さから「第二軍艦島」とも呼ばれていた。
当時は岩手県トップクラスの総合病院や映画館・劇場も建てられ、あの美空ひばりもここで公演を行ったのだ。

アスピーテラインから遠望する松尾鉱山のアパート群。
かつて緑ヶ丘アパートと呼ばれた11棟の建物群だ。

写真左の2本の煙突がセントラルヒーティングのボイラー跡だと言われている。

かつての栄光が過ぎ去ると共に住民も去っていく。
街は完全にその機能を停止したが、信仰の跡だけは現在も細々と整備され続けている。

かつての独身寮だった松尾鉱山至誠寮跡。
若者であふれ活気のある界隈だったと伝えられている。

昭和の夢の跡。
全崩落の日も遠くはないだろう。

標高1400m。
八幡平樹海ライン沿いにある国内屈指の湧出量を誇る、足元大量湧出の完全かけ流し露天風呂がこの藤七温泉だ。

泉質やロケーションも素晴らしいが驚く事に、何と男女完全混浴! とは言え、女性には混浴用タオルを販売しているので安心だ。

藤七温泉 彩雲荘
岩手県八幡平市松尾寄木北の又 TEL:090-1495-0950(衛星電話)
4月下旬~10月下旬営業 ※立ち寄り入浴は8:00~18:00
■泉質:単純硫黄泉
湧出量:不明/極めて大量
泉温91℃

覚悟を決めたら意外と女性でも安心!?
完全白濁、透明度はほぼゼロなので、混浴とは言え心配は皆無。

女性は専用の入浴衣を着用可だ。
時間帯によっては女性客のほうが多い場合もある。
露天風呂は石鹸等の使用は禁止だが、内湯では使用可能。

お湯はまさに浴槽の底から湧出。
底には硫黄成分(湯の華)が大量に沈殿しており、ほぼ泥湯状態。
この効能の高さに首都圏から通うファンもいる。

充実のアスピーテラインと八幡平樹海ライン。
走り切って振り向けば雄大な岩手山が見下ろしている。
四季折々に変化する、東北地方きっての名山をバイクに乗ったまま堪能できるのもこのルートの特徴なのだ。

筆者プロフィール

神田 英俊

内外出版社発行、隔月刊ツーリング雑誌“MOTOツーリング”誌のコンセプター兼編集長。“旅人による旅人の為の雑誌”を基本コンセプトに、全国のDEEPな旅ネタを更に深く掘り下げて取材・掲載している。個人的なバイク趣向はオフロード。季節を問わず、主にキャンプを基軸とした旅が中心。冬季北海道ツーリングの常連でもある。バイクと共に温泉もこよなく愛しており、温泉ソムリエの資格を持つ秘湯巡礼ライダーでもある。