小さなお子さんがいる親御さんは「子どもとタンデムしてみたいなぁ」と一度は思うことでしょう。そこで今回は、大人気フリーライターの村上菜つみさんにお話を伺いながら親子タンデム事情の今をご紹介します。

1.以前より厳しくなった!? 親子タンデム事情のいま。


さて、いきなりですが、親子タンデムをするのに必要な用品や子ども用のウェアを探してもほとんど見つかりません。バイク業界が長い筆者の感覚でも、4~5年前よりも明らかに減っています。この事態を某パーツ・ウェアメーカーの企画担当に聞いてみると「以前はラインナップしていたが、数が出ず、商売にならないためやめた」とのことでした。これは残念…。用品やウェアがなければ市場はさらに小さくなってしまいますから、モデルチェンジなどしなくてもいいので、ロングテール戦略でのラインナップ継続をお願いしたいところです。

なお、親子タンデムに便利な用品は以下のようなものです。
①子供の背もたれになる「タンデム(パッセンジャー)シート用シーシーバー」
 ※パニアのトップケースに「背もたれパッド」をつけることでも可
②子供の足裏が届く「純正品よりも位置の高いタンデムステップ」
 ※ビッグスクーターなどシート幅のあるバイクで有効
③子供が居眠りしても落ちないための「タンデムベルト」
 ※居眠り対策として、親の体と子どもの体をベルトで固定
④子供が退屈しない、居眠りさせないための「インカム」

さらに、子どもが着るためのウェアも用意したいのですが、これがほとんどありません。万が一の転倒を考えれば、子どもにもプロテクター入りジャケットを着させたいのですが、あまりに少ないため、キッズ用アウトドアウェアを着させる親御さんも多いのが実情です。暑さや寒さ、雨風といったものはこういったアウトドアウェアで防ぐことができますが、バイクの特性上、プロテクター入りのジャケットやパンツ(ずぼん)、グローブもしっかりラインナップしてほしいものです。

こうした点からも親子タンデムを安心して行うには、基本的なところからハードルが高いことがわかります。次項では、フリーライターの村上菜つみさんに、お子さんとの実例も踏まえながらお話を伺います。

2.苦労もあるけど!? 親子タンデムを楽しむコツとは?


二輪専門誌などでフリーライターとして活躍されている村上菜つみさんは、「あの空を君に」というお子さんとの母子タンデムコンテンツを制作し、雑誌での執筆やフェイスブック、インスタグラム、ツイッターなどのSNSも活用し、様々な話題を発信しています。

筆者:お子さんとタンデムすることについて、どうお考えですか?
村上:始めはどちらかというと反対派だったんですが、おとなしくて引っ込み思案だった子どもの、彼なりの成長を目の当たりにしたとき、自分の体験してきたこと、特にバイクで旅した先の美しい空を見せてあげたいと、ふと思うようになりました。「子どもとタンデムなんて危ないんじゃないの?」と聞かれることもありますが、ライディングスクールでタンデム講習を受けたり、いつもより高い安全意識を持ってキビキビとした安全運転ができています。バイクだから危ないんじゃなくて、電車の旅やクルマのドライブと同じように、バイク旅も楽しいものだと感じてもらえたらいいですね。

筆者:お子さんとのタンデムで苦労した点を教えてください。
村上:まず、バイクに乗せるということで子ども用のバイクウェアや用品を探しましたが、なかなか見つからず苦労しました。ヘルメットはアライヘルメット「SZ-LIGHT/税抜32,000円」、ジャケットはデグナー「キッズヴィンテージジャケット/税抜8,900円」がありましたが、正直選べるような状況ではないですね。

特に、グローブが全くと言っていいほどないんです。子ども用ウェアはキッズ(幼児)、ボーイズ(小学中学年くらい)ともに数が少ないですが、特にキッズはラインナップがありません。レース用のものだといくつか出ていますが、モトクロス用はエアスルー構造で冬場に使えませんし、オンロードレース用のものはプロテクションがゴツすぎて子供の負担が大きいんです。適度なプロテクション性能で小さなサイズのグローブを出してほしいですね。キッズの場合は指の長さがたいてい余るので、ストレッチ性があるとよいかもしれません。

筆者:お子さんとのタンデム時に気をつけていることはありますか?
村上:子どもはバイクに乗せると寝るんです。特にお昼寝の時間帯にあたる午後1時前後は、乗せるとすぐに寝てしまいますし、ツーリングの帰りもほとんで寝ています。だから、走行中の落下を防ぐためにタンデムベルトは必需品です。私はタンデムライダーズ「タンデムツーリングベルトTB/オープン価格」を愛用しています。背もたれになるシーシーバーも子供の疲労感や不安感をやわらげてくれるので、あったほうがいいですね。私はデイトナ「リバーシブルバックレスト/税抜35,000円 ※レブル250用」を装着しました。

また、「暑い、寒い、お腹空いた、トイレ行きたい、眠い」など子どもの状況を把握するためにもインカムは必需品です。私はデイトナ「クールロボGT2(ペアユニット)/税抜54,000円 ※現在は販売終了」のものを使っています。始めは大声で話していましたが、高速道路ではインカムがないと聞こえませんし、今見ている景色やその時の気分などおしゃべりをしながら走ることで子どもはリラックスできます。時には2人で歌ったりしながら走りますよ。「バイクでタンデムすることは楽しい!」と思ってもらいたいですから。子どもが寝ているかどうかもインカムがあると確実にわかります。寝ているならいるで、私的に安心して運転できますからね。

●ゲストプロフィール
村上 菜つみ Natsumi Murakami (二輪モデル/モーターサイクルジャーナリスト)
ツーリング雑誌の編集を経て、二輪媒体を軸に活動。長年の自走取材で培った全国各地のツーリング情報を基に、「読んで役立つ旅情報」やマシンインプレ・用品インプレなどを二輪各誌、Web、SNSで配信中。
〇FB:facebook.com/natsumi0606
〇Instagram:instagram.com/mi_natsu66/
〇Youtube:「あの空を君に」で検索

いかがでしたか。親子でタンデム、いいですね! 用品やウェアのセレクトには気を使いそうですが、皆さんもぜひ親子タンデムで楽しい休日を過ごしてください。

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■筆者プロフィール

田中淳磨
46歳・男性・北海道札幌市出身
二輪専門誌編集長、二輪大手販売店、官公庁系コンサルティング事務所等に勤務ののち二輪業界で活動するコンサルタント。二輪車の利用環境改善や市場創造、若年層向け施策が専門で寄稿誌も多数。