フィーチャーバイク -TMAX530-
スクーターの皮をかぶったスーパースポーツ
2001年にデビューし、欧州を中心に人気を博した初代TMAX。外観はスクーターながら、チェーン駆動の499cc並列2気筒を鋼管ダイヤモンドフレームに積み、オートマスポーツの「マキシスクーター」というジャンルを切り開いた1台である。以降も熟成を重ね、2008年にアルミフレームや前後15インチラジアルタイヤなどで磨きをかけた。
そして2013年、ついにフルモデルチェンジで、走りと外観を大幅に強化したTMAX530に進化。エンジンは530ccに拡大し、フレームに続いてスイングアームもアルミ化。同時にチェーン駆動をベルト駆動に改めた。これによって滑らかなパワーフィールと、5kgの軽量化による俊敏なコーナリングを獲得。スタイルも一段とシャープさを増し、精悍な走りを予感させるものとなった。
さらにTMAXは進化の手綱を緩めない。わずか2年後の2015年型で、倒立フォークとラジアルマウントキャリパー、スマートキーを投入。2017年型は新設計フレームで7kgもの軽量化を達成し、電子制御スロットルまでも採用した。加えてスポーティなSX、快適さを重視したDXの2グレードを設定。よりキャラクターを明確に分けてニーズに応えている。
走りは、やはりスポーツバイクに近い。一般的なスクーターは、フロントが頼りなく、安定感に乏しいが、歴代TMAX530は前後輪とも接地感に溢れ、フロントから旋回力が発生。モーターサイクル的な乗り味なので、コーナリングがとても楽しい。クルーザーとしての実力も十分。高速道路は安定感抜群で、優れた衝撃吸収性とゆったりしたライポジによりツーリングも楽々こなす。
特に完成度が高いのは2017年型以降。大型バイクらしい大きさと重さ、シート高を感じさせるものの、エンジンはアクセルの開け始めが扱いやすく、街中でも使える。一方で、右手を大きく捻ると微振動と豪快なサウンドを伴い、無段変速で二次曲線的に吹け上がるのが痛快だ。
特に大型スクリーンのDXは高速クルーズでの防風性も素晴らしい。
何より本領を発揮するのはワインディングだ。剛性感のある脚と車体により安心してバンクできる上に、旋回性が素直。トルクバンドをキープしやすいエンジン特性も相まって、攻めるのが楽しい。ギヤ操作に自信のない人なら、小排気量のスポーツバイクよりTMAXの方が速い可能性は十分ある。
唯一無二の個性で登場し、ライバルが出現した今でも輝きを放ち続けるTMAX。「しょせんはスクーター」と侮っている人は、一度体験して欲しい。その独自の世界にきっと目を見張るはずだ。
型式、年式ごとの特長
TMAX530(2013~2014年型 SJ12J)

並列2気筒は、先代から2mmボアを拡大し、ボア68×ストローク73mmに。併せて、大径の吸気バルブや新作アルミ鍛造ピストンも導入した。CVTや軽量なアラミド系繊維のベルトドライブも新設計で、一段とレスポンスが鋭くなっている。車体は、フレームの剛性バランスを最適化したほか、アルミダイキャスト製スイングアームなどで、リヤまわりを約3.5kgを軽量化。前輪分布荷重アップを実現した。
フロントカウルとスクリーンも新作で、初代からの特徴であるブーメランイメージを堅持しつつ、くびれ感を強調している。なお、この型から国内仕様が登場した。
全長(mm) | 2,200 |
全幅(mm) | 775 |
全高(mm) | 1,425 |
シート高(mm) | 800 |
軸距(mm) | 1,580 |
車重(kg) | 217[221] |
エンジン | 水冷4スト並列2気筒 |
排気量(cc) | 530 |
最高出力 | 48ps/6750rpm |
最大トルク | 5.4kg-m/5250rpm |
燃料タンク容量(L) | 15 |
タイヤ | (前)120/70R15 (後)160/60R15 |
※2013年型 [ ]内はABS
型式、年式ごとの特長
TMAX530(2015~2016年型 SJ12J)

従来型に設定していた上級機種のBLACK MAXに代わり、新たにIRON MAXも設定。スエード調シート表皮やクロノウォッチイメージの専用メーター、アルミ製フットプレートで質感を高めている。
全長(mm) | 2,200 |
全幅(mm) | 775 |
全高(mm) | 1,420 |
シート高(mm) | 800 |
軸距(mm) | 1,580 |
車重(kg) | 222 |
エンジン | 水冷4スト並列2気筒 |
排気量(cc) | 745 |
最高出力 | 48ps/6750rpm |
最大トルク | 5.4kg-m/5250rpm |
燃料タンク容量(L) | 15 |
タイヤ | (前)120/70R15 (後)160/60R15 |
※2015年型
型式、年式ごとの特長
TMAX530(2017~2019年型 SJ15J)

車体は、メインフレームの軽量化を促進し、スイングアーム長を40mm拡大。これに新設計のリンク式モノクロスサスを組み合わせ、切り返しの軽やかさが増した。
外装も一新され、逆スラントノーズの小顔などでよりスマートになった。一方で、収納スペースを拡大。従来はフルフェイス+小物程度だったが、ジェットヘルメットが2つ入るほど容量がアップしている。
DXグレードは、グリップヒーター&メインシートヒーター、クルーズコントロール、電動調整式スクリーンと快適装備を満載。SXグレードは、DXより3kg軽い215kgを実現している。
全長(mm) | 2,200 |
全幅(mm) | 765 |
全高(mm) | 1,420 |
シート高(mm) | 790 |
軸距(mm) | 1,575 |
車重(kg) | 215[218] |
エンジン | 水冷4スト並列2気筒 |
排気量(cc) | 530 |
最高出力 | 46ps/6750rpm |
最大トルク | 5.4kg-m/5250rpm |
燃料タンク容量(L) | 15 |
タイヤ | (前)120/70R15 (後)R=160/60R15 |
※2017年型SX [ ]内はDX
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