今月のフィーチャーバイク

有終の美を飾った
2ストレプリカの進化形

市販車初のアルミフレームとクラス初のフルカウルを引っ提げ、1983年に登場したRG250Γは、2ストレプリカブームの幕を開けた。その後、ヤマハからTZR、ホンダからNSRと強力なライバルが続々と投入され、ガンマも劣勢を強いられていた。だが、RG-Γの登場から5年後の88年、ついに次世代機のRGV250Γが姿を現す。
その名が示す通り、並列2気筒に代わって完全新設計の90度V型2気筒を搭載。1シリンダーあたり2つの排気デバイスや、市販車としては異例のラウンドラジエターなど意欲的な装備を満載。TZRやNSRと一線を画すスラントノーズしたフロントカウルも新時代を感じさせた。
スズキは82年からWGPのワークス活動を休止していたが、88年からV型4気筒のRGV-Γ500を引っ提げて本格復帰。新作の250Vガンマもこれに合わせて投入された格好である。また、当時スズキのエースとして活躍したケビン・シュワンツの影響も大きく、人気を後押しした。

以降、93年型まで毎年のようにモデルチェンを行うも、レプリカ人気の下降に伴い、沈黙を守った。ところが、96年に突如フルチェンジを敢行。94~95全日本250を連覇したワークスマシンのRGV-Γ250(XR95)に倣い、何と新作の70度Vツインや剛性を2倍に高めたフレームなどを投入し、車名も変更した。ライバルが進化を止めている中、この完全新設計レプリカは驚きを持って迎えられ、結果的に最新&最後の国内2ストレプリカとなった。初代RG250Γが開拓したレプリカ時代を、Γが締め括った格好である。
96年型は、「ジャジャ馬」と評された従来型と異なり、扱いやすい出力特性が魅力。広いパワーバンドと自由度の高いライポジによって、乗り手が積極的に操ることが可能だ。一方、超コンパクトかつ高剛性の車体が生み出す旋回性はクイックそのもので、ダイレクト感が圧巻である。
最後発だけに、初心者からベテランまで満足できるバランスに優れた1台。2ストレプリカの完成形と呼ぶべき出来映えである。

型式、年式ごとの特長

1988~1989(VJ21A)

ライバルに対抗すべく、待望の90度V型ツインを採用した初代Vガンマ。フラットな低中速域と炸裂するような高回転パワーが特徴だ。車体は、ボルトオンのダウンチューブを持つ、極太ボックス構造のアルミツインスパー=DC-ALBOXフレームで高剛性を実現した。さらに、乾式のクロスミッションや前後フルアジャスタブルサスなどを備えたレース向けのSPもいち早く追加。当時、シュワンツが駆ったWGP500マシンのレプリカであるペプシカラーが施された。また通常ミッションのSP2も存在した。
89ではスロットルポジションセンサーを追加し、電装系を変更した。
全長(mm) 1,990
全幅(mm) 695
全高(mm) 1,065
シート高(mm) 755
軸距(mm) 1,375
車重(kg) 128(乾燥)
エンジン 水冷2ストV型2気筒
排気量(cc) 249
最高出力 45ps/9500rpm
最大トルク 3.8kg-m/8000rpm
燃料タンク容量(L) 17
タイヤ (前)110/70-17 (後)140/60-18

※1988年型

1990~1995(VJ22A)

フルチェンジを受けたVガンマの2代目。前年のZXR250に続いて、倒立フォークを採用したほか、湾曲したCAL-BOXスイングアーム、現代的な前後17インチホイールを与え、戦闘力をアップした。排気デバイスはトリプルとなり、サイレンサーは左右2本出しから片側2本出しに変更されている。
91年型ではオーバルキャブなどで中低速トルクをアップ。93年型で、自主規制により40ps化し、スタビライザーによってねじれ剛性を10%高めたスイングアームも投入した。
SPには、WGP500ワークスマシンと同じラッキーストライクカラーが発売され、人気を博した。
全長(mm) 1,980
全幅(mm) 690
全高(mm) 1,070
シート高(mm) 765
軸距(mm) 1380
車重(kg) 139(乾燥)
エンジン 水冷2ストV型2気筒
排気量(cc) 249
最高出力 45ps/9500rpm
最大トルク 3.9kg-m/8000rpm
燃料タンク容量(L) 16
タイヤ (前110/70-17 (後)150/60-17

※1990年型

1996~2000(VJ23A)

排ガス規制で2スト車の存続が危ぶまれる中、フルチェンジでファンを驚かせた。クランクケースリードバルブのVツインエンジンは、マスの集中を促進するため、90→70度に変更。同時にホイールベースの50mm短縮に成功した。さらに、電子制御式のTM32キャブに加え、ラムエアも導入。2スト250レプリカ初のセルモーターは、700gという超軽量の上、着脱も可能だ。
車体は、アンダーチューブを廃した新設計ツインスパーフレームやフルアジャスタブルのφ41mm倒立フォークで武装。こうしたエンジンや車体レイアウトに加え、エアロフォルムの外装もワークスXR95譲りとなる。
車名はワークスマシンと同じ、「RGV-Γ250」に改め、SPに一本化。2000年までラインナップされ、ラッキーストライクカラーも存在する。
なお、「Γ(ガンマ)」とは、ギリシャ語で「栄光」を意味する「ゲライロ」の頭文字から取ったネーミングである。
全長(mm) 1,965
全幅(mm) 695
全高(mm) 1,095
シート高(mm) 765
軸距(mm) 1330
車重(kg) 134(乾燥)
エンジン 水冷2ストV型2気筒
排気量(cc) 249
最高出力 40ps/9500rpm
最大トルク 3.9kg-m/8000rpm
燃料タンク容量(L) 16
タイヤ (前)110/70-17 (後)150/60-17

※1996年型

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■筆者プロフィール

沼尾宏明
1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。